『ななななんと〜〜!此処でアクセルシンクロ!しかもWRG1でも見れなかった雷龍皇の進化!
此れはもう仲間内のデュエルじゃスマナイぞ!観客諸君、今すぐ友達に連絡するんだ〜〜!
このデュエルを見逃すなんて、デュエルファンとしては勿体無い事この上ないぞ〜〜!!』
雷龍皇の進化に、MCも会場も大盛り上がり。
尤も最高のデュエルは人の心を躍らせるものと相場が決まっている。
観客を熱くできないデュエルなど、所詮は二流でしかない。
「良いね、良いね、良いねぇ!客が盛り上がるとこっちもテンション上がるぜ!
やっぱデュエルってのは、デュエリストも観客も楽しまなきゃ嘘だよな、シェリー?」
「マッタクその通りね……なら、もっと盛り上げましょう、私達のデュエルで!」
「望むところだオラァ!!」
そしてソレは実際にデュエルしているデュエリストも同様。
最高のデュエルにはテンションが上がり、自然と限界以上の力が出るものだ。
デュエルは止まらない。
そう、加速する2台のDホイールの様に…
遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel99
『ブレーキ壊れた決闘!』
遊哉:LP2600 SC4
真雷龍皇−インカルラ:ATK3600
シェリー:LP4000 SC4
剣の聖騎士−セイバー:ATK3700
互いに最上級クラスのモンスターを従え一歩も退かない。
2度目のアクセルシンクロで、雷龍皇を進化させたとはいっても、攻撃力はセイバーの方が上。
更にはセイバーにはもう1度だけ攻撃の権利が残ったままなのだ。
「真雷龍皇ね…恐らくはアクセルシンクロ特有の効果を併せ持ってると見るべきね?」
「さてな?そいつを確かめるために、インカルラの降臨で巻き戻ったバトルを再開しちゃ如何だ?」
「勿論、言われなくてもその心算よ!」
攻撃は必然にして当然。
新たに現れたモンスターを知るには、攻撃してみるのが有る意味で最も効果的な一手といえるだろう。
本より攻撃型同士のデュエルにおいて、攻撃力が相手より上なのに攻撃しないなどありえない。
己の最強の攻撃で相手を制してこそ、攻撃型の本領と言うものだ。
「セイバーでインカルラに攻撃!『約束された』…」
『勝利の剣!!』
「うおぉ、遂にぶっちゃけたか!その意気やよし!!ならソイツには応えねぇとな!!インカルラ!!」
『うむ、お任せを……渇!』
セイバーの放った光の剣閃がインカルラに迫るも、ソレはヒット直前で四散。
攻撃が止められたのだ――が、インカルラはフィールドに残ったまま。
アクセルシンクロの攻撃無効効果は除外する必要が有ったはずだが…
「インカルラは1ターンに1度、モンスター1体の攻撃を無効にできる。敵味方問わずな。
尤も、この効果を発動するには手札のドラゴンを捨てなきゃならねぇが…中々便利だろ?」
「新たな効果…楽しませてくれるわ。
さて、もう攻撃は出来ないから……カードを2枚伏せてターンエンド。」
――遊哉は間違いなくミナギの効果を発動してくるはず……けれどソレは果たして通るかしら?
新たな効果にも冷静に、シェリーはカードを2枚伏せてエンド。
その瞬間に、異次元からミナギが帰還する。
真嵐龍皇−ミナギ:ATK3300
「俺のターン!」
遊哉:SC4→5
シェリー:SC4→5
「さてと……攻撃力ではそっちが上なんだよなぁ……つー事でミナギの効果発動!
デッキの上からカード5枚を確認し、その中のドラゴンの数×200ポイントパワーアップ!」
矢張り攻撃力の上昇を狙う。
デッキの半分がモンスターで、尚且つ9割がドラゴンで占められている遊哉のデッキならば効果成立率は大きい。
だが、ミナギの効果発動はシェリーの読みどおり。
「矢張りきたわね?ソレを待っていたのよ、永続トラップ発動『聖騎士の縛鎖』!
私の場に聖騎士が存在する時に発動、相手モンスター1体を選択し、選択したモンスター1体は聖騎士が存在する限り効果が無効になり攻撃できない。
私はこの効果をミナギに適応するわ!」
「んげ…マジかよ!?」
仲間であるが故に、大方の戦術と狙いは予想が付く。
仲間内でのデュエルの場合、大会などでの『初顔合わせ』デュエルよりも次の一手が予測しやすい。
だが、此れも仲間内故に『此れで終わるとは思えない』のも又事実。
「ミナギの効果で攻撃力を上げ、更にもう1つの効果で私のカードを吹き飛ばして、2体で攻撃ってところしょう?」
「ま、当たりだな――けど、俺が此れで止まるたぁ思ってねぇだろ?」
「…やっぱりまだ有るのね?」
「当然だろうが!攻撃力馬鹿が攻撃力上げる手段もたねぇでどうするぅ!!
スピードスペル『Sp−スピードエナジー』発動!
俺のスピードカウンターが2個以上ある時、俺の場のモンスター1体を選択!
選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで俺のスピードカウンターの数×200ポイントアップする!
コイツでパワーアップさせるのは当然インカルラ!俺のスピードカウンターは5!攻撃力は1000ポイントアップ!」
『流石、お見事…』
真雷龍皇−インカルラ:ATK3600→4600
そしてその予想通りに攻撃力アップ。
緋渡遊哉という男の攻撃力を制御するのは並大抵では無いのだろう。
「カードを1枚伏せて、バトル行くぜ!!
真雷龍皇−インカルラで、剣の聖騎士−セイバーを攻撃!」
攻撃力が上回れば即攻撃も当然の事。
シェリーもソレを易々通す気は無い――いや、無かった。
「その攻撃は通さないわ、リバースカードオープ……」
――バチィ!!
攻撃に対してのカードを発動しようとして出来なかった。
インカルラからの雷がセットカードの発動を封じたのだ。
「此れは…?」
「インカルラの第2の効果だ。
インカルラが攻撃宣言した時、相手はダメージステップ終了まで魔法・罠を発動できねぇ!」
「そんな効果が…!」
「攻撃対策されてても問題ねぇ!俺はソレをブチ破る!!『ブリッツ・インパルス』!!!」
インカルラの放った雷のブレスに対して、セイバーも光の剣閃で対抗するが攻撃力の差は明白。
抵抗虚しく、ブレスに飲まれて消滅!
「く…流石ね…!」
シェリー:LP4000→3100
「まぁ、全力だしな!――セイバーが居なくなった事で聖騎士の縛鎖はその効力を失い、ミナギの効果と攻撃権利が復活!
そして、インカルラの第3の効果発動!相手に戦闘ダメージを与えたとき、フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊できる!
俺が破壊するのは、発動未遂に終ったその伏せカードだ!!」
第3の効果はダメージ経由の魔法・罠破壊。
攻撃が略確実に通るインカルラにこの効果は強力そのものだろう。
「さぁて、何を伏せてたんだ………って、ミラーフォースだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「喰らってもいないのに驚くの!?」
「いやぁ、矢張りやっておくべきかなと――ネタとして!」
「又久しぶりにメタ発言が来たわね…」
久々のお約束である。
だが、インカルラの効果が無かったと考えると逆に恐ろしい。
もし発動封じと、魔法罠破壊が無かったらミラーフォースで2体の龍皇は葬られていたのだから。
「ま、ネタはこれくらいにして――これで決めるぜシェリー!
真嵐龍皇−ミナギで、シェリーにダイレクトアタック!!『エアロショット・ブレイカー』!!」
『楽しめたぞ、騎士道の娘よ。』
シェリーのフィールドは効力を失った永続罠が1枚のみ。
自身を護るカードも無い。
ミナギの一撃は何にも隔てられずにシェリーを直撃。
第2戦も此れにて決着だ。
「お見事……流石ね遊哉。」
シェリー:LP3100→0
「だけど未だカード効果は発動できる!
私がダイレクトアタックでダメージを受けたとき、私のフィールド上のカードを全て破壊する事で、デッキから『闇聖騎士』を特殊召喚出来る!」
闇聖騎士:ATK2300
「転んでも只では起きねぇってか?デッキからとは予想外だったぜ。」
ルールを最大限に生かして鬼柳に繋ぐ一手を打つ。
攻撃力は心許無いが、1体でも居れば充分――鬼柳の助けにはなってくれるはずだ。
「此れで2人抜き……けれど、本番は寧ろ此処からよ?」
「あ?俺には全部本番だぜ?オメェも十六夜も充分強かったしな!」
「……その賞賛はありがたく受け取っておくわ。…残り3人も頑張りなさい。」
「おうよ!」
シェリーはそのままピットイン。
第2戦も遊哉が1ターンで4000のライフを削りきっての勝利だった。
――――――
「又1ターンでライフを削りきったわね……」
「だが、こいつは満足できそうだ。」
ピットでは鬼柳がスタンバイOK状態でシェリーを待っていた。
この辺の手際の良さは流石優勝チームといったところか。
「ふぅ…マッタク清清しいほどに完敗だわ。」
シェリーも帰還し、カードは鬼柳に受け継がれる。
負けはしたものの、シェリーもまたアキと同様にデュエルを楽しんだようだ。
「元々迷いなんてないような人だったけど、今の遊哉は本当にブレが無い。
ソレであの実力……勝つのは簡単じゃないわよ?」
「そりゃ余計に楽しみだ……満足させてくれそうだぜ!」
デュエルに期待を寄せて、鬼柳京介発進!
爆音鳴らして爆走し、あっと今に遊哉に並ぶ。
「来たか京介ぇ!!ガンガン行こうじゃねぇか!!」
「勿論その心算だ……ハンドレスの恐ろしさ、刻み込んでやるぜ…!」
『さぁ〜〜、セカンドデュエルも緋渡遊哉が制し、3番手はハンドレスの鬼神・鬼柳京介が登場!
無限の煉獄は龍皇を打ち倒して遊哉の快進撃を止めるのか!?
それとも龍皇が無限煉獄を叩き破って鬼柳を退けるのか!?
遊哉のライフもリセットされて準備は万端!それじゃあ行くぞ!3rdデュエル…』
「「「「「「「「「「スタートォォォ!!」」」」」」」」」」
「「デュエル!!」」
遊哉:LP4000 SC5
鬼柳:LP4000 SC5
観客は何時の間にか超満員。
こうなるとスタジアムの外のオーロラビジョンで観戦している者も居るかもしれない。
いやはやデュエルファンの嗅覚とはかくも凄いものである。
「俺のターン…『スピードワールド2』の効果発動。
スピードカウンターを4つ取り除いて、手札のスピードスペルの数×400ポイントのダメージを与える。
俺の手札のスピードスペルは1枚…400のダメージを受けてもらう。」
鬼柳:SC5→1
「行き成りかよ…!だが、たった400ぽっちのダメージの為に効果使ったわけじゃねぇだろ?」
遊哉:LP4000→3600
先ずは挨拶とばかりにバーンダメージ。
ソレは勿論只の挨拶であり、鬼柳の本領は此処からだ。
「当然だ、スピードスペル『Sp−インフェルニティ・アクセル』を発動。
スピードカウンターが2個以下の時、手札から『インフェルニティ』と名のつくモンスターを任意の枚数墓地に送り、
その後デッキから同じ枚数、『インフェルニティ』と名のつくモンスターを墓地に送る。
そして、この効果で墓地に送ったカードの枚数分、俺のスピードカウンターを増やす。
先ず手札から『インフェルニティ・ネクロマンサー』『インフェルニティ・ビートル』『インフェルニティ・リベンジャー』『インフェルニティ・アーチャー』を墓地に!
次にデッキから『インフェルニティ・デーモン』『インフェルニティ・ビショップ』『インフェルニティ・キング』『インフェルニティ・デストロイヤー』を墓地に送る。」
鬼柳:SC1→9
「やっぱ狙いはそっちか…8体の墓地肥やしとスピードカウンター+8とか贅沢すぎるだろ!」
マッタクだ。
だが、此れをする為のスピードワールド効果は巧いと言えるだろう。
そして此処からがハンドレスの真骨頂だ。
「『インフェルニティ・ミラージュ』を召喚。」
インフェルニティ・ミラージュ:ATK0
「インフェルニティ・ミラージュは手札が0の時、自身をリリースして墓地のインフェルニティを2体復活させる。
その身を生贄に煉獄の住人を呼び起こせ、現れろ『インフェルニティ・デーモン』『インフェルニティ・ネクロマンサー』!」
インフェルニティ・デーモン:ATK1800
インフェルニティ・ネクロマンサー:DEF2000
手札0からのこの展開力。
スピードカウンターまで増やして、一気にモンスターを展開するとは相変わらずのハンドレス。
「速攻かよ…!いいねぇ!!マダマダ来るんだろ?」
「当たり前だ、此れだけじゃ満足には遠い。
インフェルニティ・デーモンの効果で、デッキから『Sp−リビング・インフェルニティ』を手札に加え、そのまま発動。
俺の手札がこのカード1枚の時、このカードの発動に必要なスピードカウンターは0になる。
そして、このカードは俺の墓地からインフェルニティを蘇らせる、来い『インフェルニティ・ビートル』!」
インフェルニティ・ビートル:ATK1200
「更にインフェルニティ・ネクロマンサーの効果で、墓地の『インフェルニティ・リベンジャー』を呼び戻す!」
インフェルニティ・リベンジャー:DEF0
そしてフィールドが埋まる。
シェリーの残した闇聖騎士とインフェルニティの揃い踏みだ。
「マジかよ…流石は京介、こいやコラァァ!!」
「そうさせてもらうぜ遊哉!
レベル7の闇聖騎士に、レベル1のインフェルニティ・リベンジャーをチューニング!
光と闇、そして天と地が交わる時、その狭間…煉獄より無の支配者が現われる。シンクロ召喚!『煉獄龍 オーガ・ドラグーン』!」
『グオォォォォォ…!』
煉獄龍 オーガ・ドラグーン:ATK3000
其処から呼び出されたのは煉獄の支配者たる黒龍。
圧倒的な力を持った2体の龍皇を前にして尚その存在感を主張している。
更に!
「インフェルニティ・ビートルの効果!手札0の時、このカードをリリースして、同名カードをデッキから特殊召喚出来る!
自らを生贄に同胞を呼び出せ!来い、2体の『インフェルニティ・ビートル』!」
インフェルニティ・ビートル:ATK1200(×2)
チューナーを増殖。
素材モンスターは未だ残っている。
「レベル3のインフェルニティ・ネクロマンサーとレベル4のインフェルニティ・デーモンにレベル2のインフェルニティ・ビートルをチューニング!
死者と生者、煉獄にて交わる混沌の時、無限の闇より死の女神は放たれる。シンクロ召喚、『煉獄神 ナハトヴァール』!」
『Ich entferne eine Versiegelung…Anfang.』
煉獄神 ナハトヴァール:ATK3000
次いで降臨したるは禍々しくも美しい煉獄の女神。
僅か1ターンで煉獄の2強が揃う事となった。
当然、遊哉もテンションが上がる。
此れだけの布陣ならば相手にとって不足なしだ。
「如何にも興奮するぜコイツァ!!
正に、奮えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!!刻むぜデュエリストのビート!!!って奴だ!!
全力全壊手加減無しだ!テメェの魂ぶつけ合おうぜ京介!!」
「望むところだ!遊哉…俺を満足させてくれよぉ!?」
盛り上がるテンションはオーラとなり、ソレがぶつかりスパークする。
3rdデュエルも、相当に気が抜けないものになりそうだ。
To Be Continued… 
*登場カード補足
Sp−スピードエナジー
スピードスペル
自分のスピードカウンターが2つ以上ある場合に、 自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで 自分用スピードカウンターの数×200ポイントアップする。
Sp−リビング・インフェルニティ
スピードスペル
自分のスピードカウンターが4つ以上ある場合に発動できる。
自分の墓地から「インフェルニティ」と名の付くモンスター1体を選択して特殊召喚する。
自分の手札がこのカード1枚のみの場合、このカードの発動に必要なスピードカウンターは0になる。
聖騎士の呪縛
永続罠
自分フィールド上に「聖騎士」と名の付くモンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
相手モンスター1体を選択し、選択したモンスターは自分フィールド上に「聖騎士」と名の付いたモンスターが表側表示で存在する限り、
モンスター効果は無効になり、攻撃することが出来ない。