『此れは〜〜!!十六夜アキの1ターンキルコンボを防いでの逆1ターンキル!
勝ったのは緋渡遊哉!…だが、まだデュエルは終っていない〜〜!!』
MCの実況が会場を盛り上げる中で遊哉が決めた『逆1ターンキル』。
アキのコンボを防いだ上で、逆にと言うのは中々見事だろう。
「まさか、逆1ターンキルをされるなんて…!」
「悪いが一撃必殺は俺の十八番だぜ?」
だが、変則WRG1ルールである以上はこの時にカードの発動は可能。
アキの2枚の伏せカードも発動できるのだ。
「一撃必殺は確かにそうかもしれないわね…けど、私は負けてもシェリーには繋ぐわ!
トラップ発動『リバイバル・ブラックローズ』!『ロスト・スター・ディセント』!
リバイバル・ブラックローズで『ブラックローズ・ドラゴン』を、ロスト・スター・ディセントで『月華竜 ブラック・ローズ』を特殊召喚するわ!」
ブラック・ローズ・ドラゴン:ATK2400
月華竜 ブラック・ローズ:DEF1800→0 Lv7→6
「此処で呼び出すか…良いぜ十六夜、後続のメンバーの事考えた良い戦術じゃねえか!
此れならシェリーもある程度楽だろうしな……だが、俺は負けないぜ?」
「言うわね遊哉?…けど残り4人も今みたいに倒せるかしら――私達だって負けないわよ。」
いざデュエルとなれば仲間だろうとも全力が礼儀だ。
その全力の末に勝利した遊哉だが、まだ後続に4人が控えている。
デュエルの熱は、きっと留まる所を知らないだろう。
遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel98
『全力こそ醍醐味也!』
「ごめんなさい、1ポイントも削れなかったわ…遊哉は私達が思ってる以上に強くなってるわ。」
ピットに戻ったアキはバトンの受け渡しと、カードの移行を行いながら遊哉の感想を述べている。
正直に言ってパワーデュエルには更なる磨きが掛かっているとしか言いようがない。
今のアキとのデュエルも、遊哉が最も得意とする『パワー』を生かしたデュエルだっただろう。
だが、今のデュエルはモンスターの攻撃力のみならず直接火力に連続攻撃を併せた一撃必殺。
言うなれば、あらゆる力を凝縮した『パワー』の一撃だったと言える。
技巧を凝らした力といえば、些か矛盾かもしれないが今の遊哉にはピッタリだろう。
「けど…今の遊哉はワクワク出来る。
一緒に走るだけでデュエリストの力をヒシヒシと感じる事が出来る……負けたとは言え楽しかったわ。」
更に負けたのにアキは何処かさばさばして満足そうだ。
自分の全力を止めた上で、逆に全力の一発で決めてきた。
完璧な1ターンキル返しを喰らった訳だが、全力は出した故に悔いは無いのだろう。
「楽しかった……そんなデュエルが出来るなら期待するなと言うほうに無理があるわね。」
準備を終えたシェリーもアキの感想を聞いて楽しくなってきたらしい。
第2戦も激戦になるだろう。
『さぁ、2番手はシェリー・ルブラン!十六夜アキの残した2体の薔薇龍を如何生かすのか!?
そして緋渡遊哉は如何迎え撃つのか!?もう俺のワクワクは上限破壊でお伝えするぞ〜〜!!
それじゃあ行こうか!セカンドデュエル…スタートォォ!!』
「「デュエル!!」」
遊哉:LP4000 SC2
シェリー:LP4000 SC2
セカンドデュエル開始!
ルール上、先攻はシェリーだ。
「私のターン。スピードスペル『Sp−エンジェル・バトン』を発動。
スピードカウンターが2つ以上あるとき、デッキからカードを2枚ドローしてその後手札を1枚捨てる。
ドロー………私は『聖騎士の新兵』を墓地に送り、更にチューナーモンスター『聖騎士の槍使い』を召喚。」
聖騎士の槍使い:ATK1000
速攻には速攻を。
本よりチーム遊戯王の面子は、全員が形は違えど速攻型のデュエリストだ。
そうなれば仲間内でのデュエルの高速化は必然。
更にシェリーはアキからフィールドを受け継いでいるため1人の時よりも更なる速攻が可能になっている様だ。
「レベル6となった月華竜 ブラック・ローズに、レベル2の聖騎士の槍使いをチューニング
光速を越えし魂よ、闘いの時は来たれり、祝福を我が手に!シンクロ召喚、『ホーリー・ヴァルキュリア』!」
『トォァァァァァ!』
ホーリー・ヴァルキュリア:ATK2700
「行き成り最上級レベルのシンクロたぁ気前が良いなシェリー?
しかも今素材にしたチューナーは確か…」
「えぇ、聖騎士の槍使いを素材にした光属性の戦士族シンクロモンスターの攻撃力は400ポイントアップしカード効果では破壊されないわ。
そして、私の場に戦士族のシンクロモンスターが存在する時、墓地の『聖騎士の新兵』を特殊召喚出来る。」
ホーリー・ヴァルキュリア:ATK2700→3100
聖騎士の新兵:DEF100
強化を行い、次なる一手の準備もする――矢張り一切の出し惜しみはしないと言うところだろう。
互いに手の内は知っているのだから様子見などは意味を成さないが故に当然の事だが
「レベル7のブラック・ローズ・ドラゴンに、レベル1の聖騎士の新兵をチューニング。
恐れを知らぬ魂よ、覚醒の時は来たれり。我が手に勝利を!シンクロ召喚、翔けよ『スカイソード・ドラゴン』!」
『コォォォォォ…!』
スカイソード・ドラゴン:ATK2800
そして2体目のレベル8シンクロモンスター。
2体の攻撃力は龍皇の攻撃力を上回っている。
加えてさっきのデュエルのラストターンで遊哉はフィールドにカードを伏せなかった。
攻撃するには絶好のチャンスという事だ。
「アキとのデュエルは見事だったけれども、伏せカードを出さないなんて……伏せるカードがなかったのかしら?」
「さてな?」
「ふふ……何か狙ってるんでしょうけど、此処は臆せずに攻めさせてもらうわ!
スカイソード・ドラゴンで、嵐龍皇−ルドラに攻撃!『クリア・ストラトス』!」
迷わず攻撃。
透き通った光のブレスがルドラに迫る。
ソレを防ぐ手立ては無い―――あくまでフィールドには。
「やっぱ攻撃してくるよな?最大のチャンスは逃しちゃいけねぇ。
だが、そう簡単にはやらせないぜ!手札の『ガード・リンドヴルム』の効果発動!
このカードを手札から捨てることでこのターン俺のドラゴンは戦闘で破壊されないぜ!」
「手札から…!でも、戦闘ダメージは無効にはできないでしょう?」
「其れは流石に無理だ!つー事で耐えてくれルドラ!」
『うむ、まぁ戦闘では破壊されぬからな…』
遊哉:LP4000→3700
ライフこそ削られたがルドラは護る。
だが、シェリーにはもう1体のモンスター、聖なる戦乙女の攻撃が残っているのだ。
「一騎果敢に攻めるわ、ホーリー・ヴァルキュリアで追撃!『ストリーク・ジハド』!」
――ズバァァア!!
『…矢張り切られると痛いな?』
「ソリッドヴィジョンでも痛ぇのか?」
遊哉:LP3700→3100
不明である。
ともあれ先制したのはシェリーだ。
ルドラを破壊できなかったとは言え、攻撃力では勝る2体を従えている事を考えると取り敢えずのアドバンテージは得ただろう。
「先手は取ったけれど、貴方相手に900ポイント程度のライフ差は無いと考えた方が良いわね――攻撃力馬鹿ですもの。
カードを3枚伏せてターンエンド。」
「褒め言葉どうも!礼はキッチリするぜ、俺のターン!!」
遊哉:SC2→3
シェリー:SC2→3
「デッキの上からカード2枚を墓地に送り、墓地のチューナー『クイン・ドラグーン』を特殊召喚する!」
クイン・ドラグーン:DEF0
「で、俺のフィールドにドラゴンが現れた事で、手札のチューナー『コイル・ドラグーン』が特殊召喚される!」
コイル・ドラグーン:DEF1500
「更に、手札を1枚捨てて『ヘブンズ・ドラグーン』を特殊召喚!」
ヘブンズ・ドラグーン:ATK1900
「そして此れでフィールド満席!『ドラゴンガール』を通常召喚!」
ドラゴンガール:DEF300
『礼はする』は粋がった訳では無く勿論本気。
あっという間にフィールドをモンスターで埋め尽くしてしまった。
「あら、賑やかね?」
「だが、直ぐにスッキリとしちまうんだがな。
レベル4のヘブンズ・ドラグーンに、レベル4のコイル・ドラグーンをチューニング!
天空を翔ける金色の翼、轟く雷鳴の咆哮、虚空を打ち貫き此の地に降り立て!シンクロ召喚!迅雷の化神『雷龍皇−イズナ』!」
『久々の出番ですね…暴れさせてもらいましょう!』
雷龍皇−イズナ:ATK2800
その始として、金色の雷光を纏った龍皇を呼び出す。
久々の出番とあってイズナも相当に気合が入っているようだ。
「でもってドラゴンガールの効果をイズナに適用!次の俺のターンまで攻撃力は1000ポイントアップするぜ!」
雷龍皇−イズナ:ATK2800→3800
「続いてレベル1のドラゴンガールに、レベル1のクイン・ドラグーンをチューニング!
進化を促す光速の翼よ、その力を今こそ解き放て!シンクロ召喚、奇跡の化身シンクロチューナー『フォーミュラ・ドラゴン』!」
フォーミュラ・ドラゴン:DEF1200
イズナを強化した上で、今度呼び出したのはシンクロチューナ。
…進化の始まりだ。
「シンクロチューナー……アクセルシンクロね?」
「おうよ!行くぜぇ……クリアマインド!!
レベル8シンクロモンスター嵐龍皇−ルドラに、レベル2シンクロチューナーのフォーミュラ・ドラゴンをチューニング!
吹き荒れる嵐を翔ける翼よ、其の暴風を制し風と共に示現せよ!アクセルシンクロォォォォォ!!」
――轟!!
「暴嵐の化神『真嵐龍皇−ミナギ』!!」
『溢れるぞパワー、吹き荒れるぞ嵐、刻むぞ龍族のビートォ!!』
真嵐龍皇−ミナギ:ATK3300
光を超えて進化した嵐の龍皇が起こす烈風でスタジアム全体が煽られる。
だが、観客もそれに怯むどころか大迫力の演出に更に盛り上がる。
デュエリストも観客も共に熱くなる、此れがデュエルだ。
「フォーミュラの効果で2枚ドロー!更にミナギの効果発動!
デッキの上からカード5枚を確認し、その中のドラゴン1体に付き200ポイント俺の場のモンスターの攻撃力をアップする!
……俺が引いたドラゴンは3体!よって攻撃力は600ポイントアップ!!」
真嵐龍皇−ミナギ:ATK3300→3900
雷龍皇−イズナ:ATK3800→4400
そして強化。
この攻撃力上昇は遊哉の十八番とも言うべき戦術だ。
「さてと…ミナギの効果を発動して3枚のリバースブッ飛ばすのが普通は正しいんだろうが、その3枚は如何にも面白そうな感じがするぜ。
つー事で、その3枚は破壊しねぇでバトルに入る!!」
「それで良いの?」
「オメェがどんな手で来るか楽しみでよ……ソレにお前の性格からして攻撃モンスター破壊型は考え辛いからな。
何を狙ってるか見せてもらうぜ!真嵐龍皇−ミナギでホーリー・ヴァルキュリアに攻撃!『エアロショット・ブレイカー』!」
今度は遊哉からの攻撃。
攻撃力では上回っているがシェリーには3枚のカードが…
「リバースに臆せず攻撃…流石ね遊哉、ならば応えましょう!トラップ発動『クイック・エクシーズ』!
私のフィールド上の同レベルのモンスターを任意の数選択し、選択したモンスターを素材としてモンスターをエクシーズ召喚する!
但しこのカードはバトルフェイズにしか発動できないけれどね。」
「緊急同調のエクシーズ版か!魅せてくれるぜ!」
その1枚はエクシーズのサポートだった。
多種多様かつ臨機応変な戦術を使うシェリーにとってはエクシーズもまた大切なデッキの要なのだ。
「私はこの効果で、ホーリー・ヴァルキュリアとスカイソード・ドラゴン、2体の光属性レベル8モンスターをオーバーレイ!
光速を駆ける魂よ、進化の時は来たれり。栄光を我が手に!エクシーズ召喚、光来せよ『剣の聖騎士−セイバー』!」
『その命に従おう、我がマスターよ。』
剣の聖騎士−セイバー:ATK3700
光の剣を携えた最強の聖騎士のお出ましだ。
その威光は2体の龍皇にも引けを取らないほどだ。
「セイバー…しかも攻撃表示か!いいぜシェリー、バトル続行だ!頼むぜミナギ!!」
『任せておけ!』
それでも怯まず遊哉はバトルを続行!
シェリーもすぐさま対応してくる。
「トラップ発動『聖騎士の威光』!
私の場に聖騎士が存在する時、相手の攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了し、相手に500ポイントのダメージを与える。」
「攻撃無効化とダメージって結構欲張り効果じゃね?いや、限定状況下なら有りか。」
遊哉:LP3100→2600
その攻撃を無効にして更にはダメージまで。
実に上手い一手だろう。
「バトル終了じゃしょうがねぇ…カードを2枚伏せてターンエンド。」
真嵐龍皇−ミナギ:ATK3900→3300
雷龍皇−イズナ:ATK4400→3800
「私のターン!」
遊哉:SC3→4
シェリー:SC3→4
「セイバーの効果発動。オーバレイユニットを1つ取り除き相手のモンスター1体の攻撃力を0にする。
私は雷龍皇の攻撃力を0にするわ!」
剣の聖騎士−セイバー:ORU2→1
『く…力が…!!』
雷龍皇−イズナ:ATK3800→0
返しのターンでシェリーはイズナの攻撃力を0に。
ミナギには逃げられるのでこの選択は正解だ。
そしてセイバーの効果はそれだけでは無い。
「そしてこの効果で攻撃力を0にしたモンスターの種類によって異なる効果が発動。
シンクロモンスターの攻撃力を0にした場合は、墓地のモンスターを選択してこのカードのオーバーレイユニットに出来る。
私は墓地の『聖騎士の槍使い』をセイバーのオーバーレイユニットとする!」
『力が戻ってきたきた…!』
剣の聖騎士−セイバー:ORU1→2
オーバレイユニットを補充し更なる効果発動の布石とする。
更にシンクロを切り札とした遊哉相手なら、事実上オーバーレイユニットが尽きる事は無いと見ていいだろう。
「オーバーレイユニット補充ってマジかよ…流石はランク8エクシーズだけあるぜ!」
「その力を存分に味わいなさい遊哉。
剣の聖騎士−セイバーで、雷龍皇−イズナに攻撃!『エクスカリバー』!」
「そう簡単にやられるかよ!ミナギの効果発動!
自身を除外する事で相手モンスター1体の攻撃を無効にする!」
だが流石に攻撃は防ぐ。
ミナギがフィールドから消え、ソレと同時に現れた烈風の障壁がセイバーの攻撃をシャットアウトだ。
「矢張りそう来るわよね……でもね遊哉、其れは読んでいたわ!
リバースカードオープン、トラップカード『聖騎士の進軍』!
私の場の聖騎士1体を選択して発動!選択したモンスターはこのターンバトルフェイズ中に2回攻撃が出来る!」
「マジで!?」
シェリーも其れは予想済み。
連続攻撃を可能にするカードで更なる攻撃を試みる。
ミナギの効果は1ターンに1度のみなのでこのターンはもう攻撃は防げない。
烈風の障壁の隙間をぬってセイバーが突進してくる――喰らえば終りだが…
「まぁ、予想はしてるよな…」
「え?」
「ミナギの効果を読んでることくらいは予想済みだぜシェリー!
トラップ発動『不死の竜』!墓地のドラゴンを蘇生する!蘇れ『フォーミュラ・ドラゴン』!!」
フォーミュラ・ドラゴン:DEF1200
トラップでモンスターを蘇生しバトルの巻き戻しを行う。
それでも再度イズナが狙われたらおしまいだが、呼び戻したのはシンクロチューナーだ。
それが意味するのはつまり…
「此処で!!まさか…!!」
「まぁ分るよな?俺と進化に限界なんざ存在しねぇ!!いつ何時でも力の限りブッ飛ばす!!
レベル8シンクロモンスター雷龍皇−イズナに、レベル2シンクロチューナーフォーミュラ・ドラゴンをチューニング!
金色の閃光よ、迅雷の力で暗空を引き裂き、雷光で闇夜を打ち貫け!!アクセルシンクロォォォ!!!」
――バガァァァン!!
まるで落雷の如き轟音を轟かせ、再び遊哉が光を超えて消える。
「雷神の化神『真雷龍皇−インカルラ』!!」
『成程…確かにこの力は凄まじい…!』
真雷龍皇−インカルラ:ATK3600
眩い雷光と共に進化した雷の龍皇が堂々降臨!
身に纏う雷光も輝きを増し、スパークは留まる所を知らない。
この龍皇の降臨に、更に意気軒昂するのはデュエリストゆえか?
遊哉のみならずシェリーもまた驚きながらも楽しそうだ。
「雷龍皇が進化…!」
「人もモンスターもデュエルも、その進化に限りはねぇ!
だからよ……最高のデュエルを楽しもうぜシェリー!」
「最高のデュエルを……えぇ、そうね。楽しみましょう遊哉!!」
To Be Continued… 
*登場カード補足
クイック・エクシーズ
通常罠
このカードはバトルフェイズにのみ発動できる。
自分フィールド上の同じレベルのモンスターを任意の数選択し、選択したモンスターを素材としてモンスターをエクシーズ召喚する。
聖騎士の威光
通常罠
自分フィールド上に「聖騎士」と名の付くモンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了し、相手に500ポイントのダメージを与える。
聖騎士の進軍
通常罠
自分フィールド上の「聖騎士」と名の付くモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターは、このターンのバトルフェイズ中に2回攻撃できる。