1ターン目から最上級レベルのシンクロモンスターを3体も呼び出した遊哉。

 ソレに対抗するように、高打点のエクシーズを呼び出したダークネス。
 攻撃は止められたが、モンスターパワーでは遊哉に勝っているだろう。

 だが、高々3500くらいの攻撃力ならば自他共に認める『攻撃力馬鹿』の遊哉ならば軽く超えてくる事は間違いない。


 「遊哉相手に高打点勝負挑むとは……中々やるなダークネス。」

 「攻撃力勝負で緋渡が負けるとは思えないがな。」

 「まぁ、攻撃力馬鹿だからねアイツ…」

 仲間達も誰1人として遊哉が負けるとは微塵にも思っていない。
 寧ろ『遊哉にパワー勝負を挑む?馬鹿なのアイツ?』と言わんばかり。

 「攻撃力勝負でアイツが負けるはずがない……攻撃力馬鹿の真髄を見せてやって!」

 更に霧恵が遊哉に向かって応援の檄を飛ばす。
 距離が離れているゆえ聞こえるはずもないだろうが、遊哉のDホイールはソレに呼応するように加速していた。











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel91
 『虚無と無限と龍皇と』











 「さてと…如何料理してやっかな、この骸骨野郎は…」
 遊哉:LP4000   SC2


 『丸焼きはどうであろう?
 炎龍皇−アグニ:ATK2900


 『瞬間冷凍も良いのでは?
 氷龍皇−ミヅチ:ATK2500


 『いっそ埋めるのが一番だと思います。
 守護女神−エアトス:ATK3000


 遊哉もアグニ達も絶好調。
 ダークネスの料理法を考える位には精神に余裕がある。
 『余分な力は抜いて』の極意そのままだろう。

 ダークネスの高打点エクシーズの攻撃を受け流して、今度は自分のターン。
 精神的優位は遊哉が得ているだろう。


 「むぅ…精霊と心通わせるとは…矢張り危険だな貴様は…」
 ダークネス:LP4000    SC2
 虚無と無限の使徒:ATK3500



 一方のダークネスは、折角の高打点が通らず、しかし、改めて遊哉を『障害』として認定した。
 が、状況は不利。

 2枚のリバースを出したとは言え、この2枚に怯えて攻撃しないなど遊哉にはありえない。
 寧ろリバースが有ろうと何だろうと『取り合えずぶん殴る』のが遊哉のデュエルスタイルの基本なのだ。

 2枚の伏せカードなど牽制にもならない。


 「まぁ、なんにしても叩きのめす!
  俺はデッキの上からカード2枚を墓地に送って『クイン・ドラグーン』を墓地から特殊召喚する!!」
 クイン・ドラグーン:ATK0


 「次いで、『ドラゴンガール』を召喚!」
 ドラゴンガール:ATK300


 其の攻撃性を示すようにチューナーを含めたモンスター展開で、自フィールドを埋める。
 この布陣は進化の為の陣形だ。

 「ドラゴンガールの効果を発動し、ミヅチの攻撃力を次の俺のメインフェイズまで1000ポイントアップする!」

 『ふむ、力が漲る…!
 氷龍皇−ミヅチ:ATK2500→3500


 進化の前に出来るだけの強化だって忘れない。

 「行くぜ!!レベル1のドラゴンガールに、レベル1のクイン・ドラグーンをチューニング!
  進化を促す光速の翼よ、その力を今こそ解き放て!シンクロ召喚、奇跡の化身シンクロチューナー『フォーミュラ・ドラゴン』!」
 フォーミュラ・ドラゴン:DEF1200


 進化の道を切り開く神速の龍を呼び出し、コレで準備は完了。
 光速を超える為のエネルギーが遊哉の周りに集まり、Dホイールを加速させていく。

 「行くぜ、アグニ!!」

 『応!

 「クリアマインドォォォォ!!」


 ――轟!


 「レベル8、シンクロモンスター炎龍皇−アグニに、レベル2、シンクロチューナーフォーミュラ・ドラゴンをチューニング!
  燃え滾る轟炎の双眸、そして焦熱の牙よ!万物を焼き尽しその姿を示現せよ!アァァクセルシンクロォォォォォォ!!」


 ――バシュゥン!


 遊哉の姿が消え、そして次の瞬間にダークネスの背後から眩い光と共に進化した龍皇を従えて現れる。

 「爆炎の化神『真炎龍皇−カグヅチ』!!」

 『進化した我の轟炎に如何抗う、闇の使者よ!
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK3700


 威風堂々、天下無敵の龍皇が吠え、ダークネスのモンスターを強烈に威嚇する。
 威嚇されたモンスターが、少しばかり怯えたように見えたのは気のせいではない筈。

 それほどに遊哉のデュエルオーラと、カグヅチの龍皇としての力は強いのだ。


 「僅か2ターンでこれほどのモンスターを揃えるとは…!」

 「あぁ?何この程度で驚いてやがんだテメェ――コレで終わるとか思ってねぇだろうな?」

 「なに!?まだ有るというのか!!」

 アクセルシンクロを決め、カグヅチを呼び出して尚、更なる戦術があるらしい。
 アクセルシンクロの影響でダークネスの後ろについた遊哉だが、スピードを上げて再び抜きさっていく。


 「テメェの事はブチノメスって言ったろうが!!先ずはフォーミュラ・ドラゴンの効果で2枚ドロー!
  そして俺の墓地にシンクロモンスターが2体増えた事で、エアトスの攻撃力が400ポイントアップする!」

 『眠れる魂よ、其の力を借り受けます。
 守護女神−エアトス:ATK3000→3400


 「でもってリバースカードオープン!トラップカード『皇の秘術−輪廻』!!
  俺の場に『龍皇』が表側表示で2体以上存在するとき、墓地のドラゴン1体を条件を無視して特殊召喚出来る!
  こいつの効果で蘇れ、『ライジング・パワード・ドラゴン』!!」
 ライジング・パワード・ドラゴン:ATK2400


 「この効果で蘇ったドラゴンは俺のターンで数えて2ターンの間攻撃できねぇ。
  だが、ライジングが墓地から特殊召喚された事で、手札の『ブリッツ・ドラグーン』が特殊召喚されるぜ!」
 ブリッツ・ドラグーン:ATK0


 そして再度埋まるフィールド。
 集うレベル8シンクロの素材モンスター達。
 本より手加減不要だが、何時も以上に遊哉も乗りに乗っている。

 「全力全壊手加減不要!レベル7のライジング・パワード・ドラゴンに、レベル1のブリッツ・ドラグーンをチューニング!
  闇を暴きし聖なる龍よ、幻惑の衣を纏いて此処に降臨せよ!シンクロ召喚!光の化神『幻龍皇−アシェル』!」

 『此れは又…何とも凄まじい顔ぶれだな…
 幻龍皇−アシェル:ATK3000


 舞い降りた聖なる龍皇。
 コレで合計4体――たった2ターンでこの状況は余りにも凄いだろう。

 「馬鹿な…僅か2ターンでレベル8以上のシンクロモンスターが4体だと!?」

 「な〜に驚いてんだ?俺を……俺達『チーム遊戯王』を相手にするならコレくらい予想しとけよタコ!
  俺達のデュエルに、テメェ如きの常識と限界論が通用すると思うなボケナス!
  アシェルの効果発動、手札のドラゴンを墓地に送ってこのターンのお前の魔法と罠の効果発動を封じるぜ!」

 「く…そうはさせん!虚無と無限の使徒の効果発動!
  オーバーレイユニットを2つ取り除き、エンドフェイズまでこのカード以外のモンスターの効果を無効にする!
  そしてこの効果はモンスター効果で無効には出来ない!」
 虚無と無限の使徒:ORY3→1


 其の状況下で1ショットを狙っての遊哉の効果発動は流石に止めて来た。
 しかもモンスター効果では無効に出来ない効果となると、エアトスの影響下でもモンスター効果は無効にされてしまう。
 先程の攻撃は無効になったものの、流石はレベル8のモンスターを3体も使ったエクシーズと言った所だろう。

 「効果発動を封じるか…つー事は其の2枚はと〜〜っても大事なカードってことだな?」

 「如何にも…臆して攻撃するを止めるか?時には攻撃しないもまた兵法だぞ?」

 「だが全力で断る!!つーか今ので決定、其の2枚は攻撃反応型の迎撃カードじゃねぇ。
  大事なカードってのをアッサリ認めて、如何にも攻撃反応型ってのを臭わせた心算だろうがなってねぇ。
  俺に心理戦挑むんなら、京介並の演技力か遊星並のポーカーフェイスを身につけて来い!」

 が、その後の心理戦は如何やら失敗。
 逆に遊哉を勢いづかせてしまったようだ。

 「ま、尤も高々2枚のカードで俺が攻撃躊躇する事もねぇがな!
  バトル!真炎龍皇−カグヅチで、虚無と無限の使徒に攻撃!『バーン・オブ・ディストラクション』!!」

 『灰燼に帰すが良い!


 紅蓮の炎が闇の使者を焼き尽くさんと放たれる。
 コレが通ればダークネスの場はがら空きとなり、残る3体のモンスターの総攻撃でTHE END。

 まぁ、流石にそう簡単にはいかないようだが…

 「矢張り攻撃してきたか……そう来なくては!
  リーバースカードオープン、永続トラップ『虚無の深淵』!永続トラップ『無限の回廊』!」

 攻撃に合わせて2枚のカードが発動し、フィールドが異様な雰囲気に包まれる。
 攻撃が止まらない所を見ると、遊哉の読み通りに攻撃反応迎撃型では無いのだろう。


 が、攻撃を喰らったはずの虚無と無限の使徒は健在。
 マッタクの無傷だ。

 「んだと?…ソイツの効果か?」

 「正解だ。永続トラップ『虚無の深淵』は攻撃表示のモンスターに戦闘破壊耐性を付加するカード。
  そして、『無限の回廊』は私のモンスターに効果破壊耐性を付加……我が僕達は無敵のモンスターとなったのだ!」
 ダークネス:LP4000→3800


 「つっても戦闘ダメージは無効にならねぇみてぇだな?」

 戦闘でも効果でも破壊されないダークネスのモンスター。
 一応遊哉のモンスターも攻撃表示ならば戦闘では破壊されなくなった。
 だが、破壊されないだけでダメージは通る。

 要は殴り合いだ。


 「攻撃表示なら戦闘耐性ねぇ………モンスターでの殴り合いを御所望ならとことん付き合うぜ?
  でも良いのか?そうなると詰まる所はパワー合戦だ。パワー勝負は俺の土俵だぜ?」

 「ふふふ…この2枚の真価はただモンスターを破壊出来なくするだけでは無い…」

 「そうかよ。ま、何が来ようと返り討ちにするだけだけどな!カードを2枚伏せてターンエンド。」

 不気味な2枚のカードだが、それでも僅かだが遊哉が先手をとってターンエンド。
 ダークネスはこの2枚の真価は別にあるというが…

 「私のターン。」


 遊哉:SC2→3
 ダークネス:SC2→3



 「虚無と無限の使徒の効果を発動。
  私のフィールド上に『虚無の深淵』と『無限の回廊』が表側表示で存在する場合、
  墓地のモンスターを2体まで選択し自身のオーバーレイユニットと出来る。
  この効果で、墓地の『死の恐怖』と『偽りの預言者』をオーバーレイユニットとして吸収する!」
 虚無と無限の使徒:ORY1→3


 限定状況下でのみ発動できる効果でユニットを充填。
 このエクシーズ自体が2枚の永続罠の影響下で真価を発揮するモンスターなのだろう。

 「そして虚無と無限の使徒の限定化の第2の効果発動!
  『虚無の深淵』と『無限の回廊』が存在する場合、オーバーレイユニットを任意の数取り除いて発動する。
  デッキから取り除いたユニットと同数の『虚無』か『無限』の名を持つモンスターを特殊召喚する。」

 「限定条件化では大量展開効果か?……いいぜ、来いよ!テメェの全力叩き潰してやっからよ!!」

 「其の減らず口を利けないようにしてやろう。
  私はユニット3つを取り除き、デッキから『虚無−嘲う弁舌者』『無限−果て無き呪術師』『虚無−姿無き恋人』の3体を特殊召喚。」
 虚無−嘲う弁舌者:ATK1700
 無限−果て無き呪術師:ATK1400
 虚無−姿無き恋人:ATK500



 其の効果で新たに現れた虚無と無限の使者。
 前のターンでの最上級展開とは違い、今度は3体全てがレベル4以下の低レベルモンスター。
 内1体――姿無き恋人はチューナーだ。
 今度は高レベルのシンクロを狙っているようだ。

 「シンクロ召喚がお前だけのものと思うなよ?
  レベル4の嘲う弁舌者と果て無き呪術師に、レベル2の姿無き恋人をチューニング。
  虚無は無限、無限は虚無。定義不能の常闇より現れよ。シンクロ召喚、『無限と虚無の蛇龍』。」

 『ウヴォァァァァ…!』
 無限と虚無の蛇龍:ATK3000



 其の同調で呼び出されたのは、漆黒の蛇龍。
 固定形態と言うよりも、闇が蛇の形を形成していると言った方が正しいだろうか?
 何れにせよ、余り生理的に受け入れられる姿では無い。

 「別にシンクロが俺だけのモノとは思ってねぇがよ……少なくとも龍皇の方が万倍カッコイイぜ!
  そんな影だか蛇だか分らないような奴に、俺の龍皇と守護女神が負けるかよ!!」

 「精々吠えろ。
  『虚無の深淵』と『無限の回廊』が存在する時に無限と虚無の蛇龍のシンクロ召喚に成功した場合、相手のモンスターを全て破壊する!
  消え去れ…『虚無の誘い』!!」

 「んな効果が通るかよ!守護女神の効果で、俺のシンクロモンスターは1ターンに1度だけ相手のモンスター効果を受けねぇ!」

 『悪しき力、絶ちます!


 蛇龍から放たれた闇の瘴気も、守護女神の光の障壁の前には力及ばない。
 だが、ダークネスは慌てず、寧ろ『コレで良い』と言った具合だ。

 「其の効果は厄介だが、このターンはもう使えまい!
  無限と虚無の蛇龍の効果はまだある、1ターンに1度、手札を2枚まで捨て、
  捨てた枚数分相手モンスターを破壊し、破壊したモンスター1体に付き1000ポイントのダメージを与える!」

 「グングニールの互換版みてぇな効果だな?で、それで誰を破壊するんだ?」

 「手札を2枚捨て…そうだな、私のカード効果を封じる幻龍皇と、此方の攻撃力を下げる氷龍皇に退場願おう!
  やれ、無限と虚無の蛇龍、2体の龍皇を闇に滅せよ。『無限の拷問』!」

 再びの破壊効果。
 エアトスの防衛効果は既に発動してしまったため、このターンはもう発動しない。。

 闇の瘴気が2体の龍皇を喰らおうと迫り…


 ――パシュン、パシュン!


 闇に飲まれる刹那、2体の龍皇の姿が消えた。

 「なに!?」

 「だ〜から効かねぇつってんだろ!トラップカード『ドラゴニック・コンステント』
  俺の場のドラゴン族シンクロモンスターを2体までリリースして発動。
  リリースしたモンスターと同レベルのドラゴン族シンクロモンスターをエクストラデッキからシンクロ召喚扱いで特殊召喚するぜ!」

 其の正体は所謂『リリース・エスケープ』。
 効果対象となった2体の龍皇をリリースする事で、破壊効果を回避したのだ。

 「貴様…私の戦術を読んでいたのか!?」

 「あぁ?ったりめーだろ!『攻撃表示なら戦闘で破壊されない』なんてのは如何考えたって俺用だろ?
  俺は基本的にモンスターは攻撃表示で召喚するからな。
  で、戦闘破壊できねぇんなら効果破壊狙うは道理、ミヅチとアシェルを狙ってくる事も予想してたぜ!」

 完全にダークネスの上を行く遊哉のデュエリストレベル。
 戦術、パワー、観察眼……そして直感。
 其のドレをとっても遊哉は一流の域に居るのだ。

 「テメェ如きが俺達に喧嘩売るなんざ一千万年はぇんだダシガラ野郎!
  テメェなんざWRG1で戦った、どのデュエリストよりも弱ぇ!ソイツを証明してやる!」

 「貴様…!」

 「其の序章だ!ミヅチとアシェルの魂は闇の龍皇と嵐の龍皇に受け継がれる!
  出番だぜ、『嵐龍皇−ルドラ』『邪龍皇−ヴァリアス』!!」

 『出番か…精々暴れさせてもらおう!
 嵐龍皇−ルドラ:ATK2500


 『某が真の闇の力を教えてやろう!
 邪龍皇−ヴァリアス:ATK2800


 啖呵を切り、そして現れた風の龍皇と闇の龍皇。
 一切隙は無い。


 「墓地のシンクロが2体増えて守護女神の攻撃力は更に400ポイントアップする!」
 守護女神−エアトス:ATK3400→3800


 「コレでテメェの手札は0だぜ?どうする?」

 「効果が決まらず手札は0……ふむ、ならば此処で虚無の深淵と無限の回廊の効果を見せてやろう!」

 それでもダークネスには2枚の永続罠がある。
 この2枚の影響下で発動する効果がエクシーズとシンクロで発動したが、効果はまだ有るようだ。

 「『虚無の深淵』は『無限の回廊』が存在する時、1ターンに1度、私の手札が6枚になるようにデッキからカードをドローする。
  そして『無限の回廊』は『虚無の深淵』が存在する時、通常のドロー以外でカードをドローした場合、ドローした枚数×600ポイントのライフを回復する!」

 「うわ〜…ありえねぇ位の反則効果だろ…」

 正に反則効果。
 2枚揃っている事が条件とは言えこの効果は凄まじい。
 手札を使い切ってもフル補充できる上、6枚ドローなら3600ものライフゲインが可能なのだ。

 「私の手札は0枚、よって6枚ドローし3600のライフを回復する。」
 ダークネス:LP3800→7400


 「コレで手札も増えた、貴様のライフを削り取ろうとしよう!
  虚無と無限の使徒で、嵐龍皇ールドラを攻撃!『ダークスマッシャー』!」

 新たに現れた嵐の龍皇に闇の波動が迫る。
 戦闘では破壊されないとは言え、ダメージは必須だ。

 「あめぇ!!トラップ発動『不死の竜』!コイツで墓地から『フォーミュラ・ドラゴン』を呼び出すぜ!!」
 フォーミュラ・ドラゴン:DEF1200
 守護女神−エアトス:ATK3800→3600


 だがそれでも墓地からシンクロチューナーを呼び出す。




 そう、『進化の担い手』たる存在を。


 「シンクロチューナーの復活…まさか!!」

 「其のまさかだ、進化の道に限りなんざねぇ!!ブチかます……クリアマインドォ!」


 ――ゴォォォォ!


 再びクリアマインドを発動し、進化の道を駆け上がる。
 止まらない、止まるはずが無いのだ今の遊哉は。

 仲間からのエールを受け、恋人からの祝福を貰い、何より雪花を利用したダークネスへの怒りが轟々と燃えている。

 それらがデュエリストの魂と融合して凄まじい力を醸し出している。
 其れこそダークネスの闇の瘴気を凌駕するほどに。

 「教えてやるよダークネス、テメェは所詮人の心に巣食わなけりゃ何も出来ないクズだってなぁ!!」

 「なにぃ!?」

 「テメェは結局の所、ショックでボロボロになった雪花の心を利用したんだろ――傷ついたボロボロの心を!!
  本来のアイツの優しい心に漬け込んで利用しやがって……ぜってぇ許さねぇ!!ルドラ!!」

 『参ろう!コイツは生かしておかん!!


 怒りは既に限界突破。
 龍皇達もエアトスも…遊哉のデッキもモンスター全てが同じ思いだ。


 「レベル8シンクロモンスター嵐龍皇−ルドラに、レベル2シンクロチューナーのフォーミュラ・ドラゴンをチューニング!
  吹き荒れる嵐を翔ける翼よ、其の暴風を制し風と共に示現せよ!アクセルシンクロォォォォォ!!」


 ――轟!!


 「暴嵐の化神『真嵐龍皇−ミナギ』!!」

 『吹き荒れる嵐は止まらぬぞ!
 真嵐龍皇−ミナギ:ATK3300


 そして進化した嵐龍皇。
 其の力は吹き荒れる嵐の如しだ。

 「馬鹿な…こんな事が!!」

 「デュエリストの歩む道にゴールなんざ存在しねえ!
  生涯自分の求める『最高のデュエル』を模索するだけ…其の結果がコレだぜダークネス!」

 このデュエルで現れた2体目の進化シンクロ。
 まだまだデュエルの行方は分らないようだ。

 「吠えるな……消してくれる!」

 「やってみろよ…託された7人分の魂を喰らう事が出来るならぁ!!」
















   To Be Continued… 






 *登場カード補足



 ドラゴニック・コンステント
 通常罠
 自分フィールド上のドラゴン族のシンクロモンスターを2体まで選択してリリースする。
 自分のエクストラデッキから、リリースしたモンスターと同じレベルのドラゴン族のシンクロモンスターを特殊召喚する。
 この特殊召喚はシンクロ召喚扱いとする。



 虚無の深淵
 永続罠
 このカードが表側表示で存在する限り、表側攻撃表示で存在するモンスターは戦闘では破壊されない。
 自分フィールド上に「無限の回廊」が表側表示で存在する場合、1ターンに1度手札が6枚になるようにデッキからカードをドローできる。



 無限の回廊
 永続罠
 このカードが表側表示で存在する限り、自分フィールド上のモンスターはカード効果では破壊されない。
 自分フィールド上に「虚無の深淵」が表側表示で存在する場合、通常のドロー以外でカードをドローした場合、
 ドローしたカード1枚に付きライフを600ポイント回復する。