Side:グランツ


うむ、此れはまた良い感じで模擬戦がスタートしてくれたね?
奇しくもベルカvsミッドの構図ではあるけれど、何方のチームも実に見事としか言いようのない布陣を持ってして、模擬戦に臨んでいるみたいだ……まぁ、互いのスタイ
ルを考えるとオーソドックスな陣形なんだけど、魔法を世に知らしめる為のバトルとしては分かり易くていいかもしれないね。


「4人チームの方は、大剣と銃剣の子が前衛で、白い服の子が後衛、紫の髪の子が司令塔と言った感じかな?」

「多分な……対する2人組は、剣士が前衛で、栗毛のツインテールの子が後衛兼司令塔って感じかな?
 って言うか、普通に考えれば数の上で不利なのに、2人組の方はマッタク引けを取ってない!!――寧ろ、戦いを有利に進めてないかオイ!?」


そして、大体予想はしていたけどなのは君とシグナム君のコンビは本気で素晴らしいものがあるね。
無論、すずか君達のチームだって一級品であることは間違いないけれど、夜天の主と烈火の将のタッグは、文字通り別格の存在だと言わざるを得ないね此れは。


しかし、シグナム君は歴戦の剣士だから兎も角として、まさかなのは君がこれ程までにはやて君達に差を付けて成長するとは、幾ら何でも予想外だったよ。

けれど、そのなのは君の成長に引っ張られるように、差が有ろうともはやて君達も成長して居る訳だから、果たしてどれだけの力を持っているのか想像も出来ないね。


『ハッ!セイ!!テヤァァァァァァァ!!!』

『ちょ、射撃魔砲をレヴァンティンで弾き飛ばして無効化するって、そんなのアリ!?
 いや、アリなんだろうけど、なたねとすずかの同時射撃を一発残らず叩き落すって、どんな動体視力と運動神経してるのよシグナム!!』

『愚問だなバニングス……主に使える騎士たる者、常人では計り知れない力を持っていねば主をお守りする事など出来んだろう?
 つまりは我が主を護る為に、徹底的に己を鍛えた結果と言うやつさ――其れを超えられるか、バニングスよ?』

『上等じゃないシグナム……私の炎と、アンタの焔のどっちが強いか勝負よ!!』

『受けて立つ――烈火の将の二つ名の由来、その身をもって味わって貰おうか!』



さてと、バトルの方も白熱して来たみたいだし、それに比例して集まった皆が注目しているね――此れは、僕の予想以上の結果になるのかも知れないね。


だけどまぁ、くれぐれも施設を破壊しないようにだけはお願いするよ。













魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~  夜天99
『魔法の開示と新たなる存在』












Side:なのは


シグナムとアリサちゃんがタイマン状態になったか……と言う事は、私1人で3人を相手にしなくちゃならない訳だね?――マッタク見事な分断だよ。
此れを考えたのはなたねかな?


「はい、こうして分断させてしまえば、オーソドックスな前衛後衛スタイルはその力を半減させてしまうでしょう?
 前衛の居なくなった後衛は意外と脆く、其れは絶対的な堅さを誇る姉さんでも例外ではありません……御覚悟ください。」


確かに、理には適ってるけどシグナムはアリサちゃん1人で如何にかなる騎士じゃないし、私だって3人の相手位なら割と余裕で出来る感じなんだけど、其れを聞いて
も退く気はないよね?

だったら、トコトンやろう!!全力全開すら超えた『全力全壊』でね!!


「そう来たか……上等や姉やん!!やったるで!!」

「では、心が滾る戦いを行いましょう。」

「氷漬けになっても恨まないでね、なのはちゃん。」


大丈夫だよすずかちゃん、だって模擬戦とはいえ此れはバトルだからね。
闘いともなれば、怪我をするのは当たり前の事でしょ?――バトル中の彼是に文句を言う方が間違いなの!!……怪我も何もかも覚悟していた筈なんだから!!!


「せやなぁ……けど、この戦いの勝利は譲らへんで!!」

『否!勝利とは奪い取るモノですから、覚悟をしておいてください。』


レイジングハートもノリノリだねぇ……だけど、其れだけに頼りになるんだけどね♪



さてと、連携は分断されちゃった訳だけど、だったら今度は私が数の利を潰させて貰おうかな?
近接よりの万能型のはやてちゃん、防御と支援と広域魔法に長けたすずかちゃん、射撃と砲撃メインのミドル~アウトレンジ型のなたねの組み合わせは、チームのバ
ランスとしてはこの上ない組み合わせだし、私みたいな射撃と砲撃がメインの魔導師が1人で相手にするには相当にきついと思う。

だけど、其れはあくまでも一般的な砲撃魔導師の場合の話なの。


「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「甘いよはやてちゃん!!」



――ガキィィィィィィィン!!!


「っち~~~!!ったく、恭也お兄ちゃんやらシグナムやら、最強クラスの剣士が居るせいで、私の剣技は簡単に姉やんに見切られてまうなぁ~~!
 しっかも、姉やんのシールドは滅茶苦茶堅いし……カートリッジ3発ロードしとるのに、罅すら入らんて如何言う事!?」

『つーか、此のままだと俺の方に罅が入っちまいそうなんだが……』

「攻撃する側がダメージ受ける防御力!?姉やんは鉄壁防御の女の子やった!!!!」


まぁ、クロスレンジでも戦えるとは言え、其処まで得意な訳じゃないから、懐に入り込まれた時の対策位はしてあるよ?
そして、其れは防御だけじゃなくて攻撃も!!行っけ~~~~、クロススマッシャーーーーーーー!!!!!


――バガァァァァァァァン!!!


「のわぁぁあっぁ!?」

「まだまだ!!相手の方が数が多いなら、其れを纏めて攻撃してしまえば良いだけの事なの!
 アクセルシューター・アラウンドシフト………穿ち、貫けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


――ギュイィィィィィィィィィィン……ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!


「此れは……全方位への無差別攻撃!?」

「いえ、無差別に見えてシグナムだけは確りと攻撃対象から外しています――流石、お見事ですね姉さん。」


此れ位は出来ないとだからね♪


さてと、大分派手に魔法を披露したから集まった人たちも驚いただろうけど、攻撃や防御の魔法だけだと、デバイスに備わってる機能って思われて、魔法だとは思わな
い人もいるかも知れないね……だから、ここ等で少し毛色の違う魔法と行こうかな?――グルム!!


「はいです!お呼びですか、マイスター?」

「うん!ユニゾン――行くよ!!」

「はい!!」

「其れじゃあ早速、ユニゾン――!」

「――インです!!」


――轟!!


融合完了、夜天の祝福、今ここにです!


「はい~~~!?ちょっ、ユニゾンて何してんの姉やん!?
 って言うか、姉やんの方はシグナムとのタッグとちゃうの!?戦闘中に行き成り増援よんでとか、ちょ~~~~っと狡いんとちゃう?」

「何言ってるのはやてちゃん?変わらず状況は私とシグナムのタッグだよ?
 其れにグルムは騎士であると同時にユニゾンデバイス――戦闘中に新たなデバイスを使っちゃいけないって言うルールは無かった筈なの――そうでしょう?」

「屁理屈や!って言いたい所やけど、完全にグルムの特性とルールの穴を利用して来たなぁ……その辺の巧さも大したモンやで。
 せやけど姉やん、何だって此処でユニゾンなんや?態々ユニゾンで能力底上げせぇへんでも、姉やんやったら私等相手にしても勝てんまでも負けないやろ?」


其れはアレだよ、所謂よくある魔法モノを集まった人達に見せてあげえようと思ってね。
アニメの魔法少女とかだと、大人モードや変身の他に、後はどんな物があったかなはやてちゃん?


「えっと……マスコット的なキャラクターと合体して強くなる――って、其れか!!
 確かにグルムは通常サイズやと魔法少女アニメに出て来る精霊とか妖精のイメージやし、ユニゾンは合体やから此れはアリや……やるな姉やん!!」


ガッチリと勘所は抑えとかないとだからね!!――因みにそれはシグナムもだけどね♪



「覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


――豪!!!


「って、調停者モードって、アタシを殺す気かアンタは!!
 通常状態のアンタにだってカートリッジ使いまくって漸く付いて行けるレベルなのに、ベルカ式超サイ○人に変身されたら、誰が如何考えても勝てる筈ないわよ!」

「安心しろバニングス、あくまでも演出の為に変身したに過ぎん――姿は変われども、通常状態の私の出力に気持ち上乗せした程度の力で相手になってやる。」

「アンタの気持ち上乗せって、結構大きい気がするんだけど……こうなったら、全力の更に先にアクセルブチ込むだけよ!!」

「その意気だバニングス。同じ炎使い同士、仲良くやろうではないか。」


夜天の調停者に変身して、アリサちゃんと更に激しい炎熱の剣戟を繰り広げているからね。


「シグナムもノリノリやなぁ……」

「でしょう?……だけど、まだこれだけじゃないんだよ?」

「……更なる隠し玉があると言う事でしょうか姉さん?」


察しが良いねなたね、その通りだよ。
これが、ユニゾン状態限定で使える更なる能力強化術!!………覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ドラゴンインストール!!!


――バチィ!!


「んなぁ!?魔力で作り上げたドラゴンを己の中に取り込んだぁ!?しかも、其れでメッチャ姉やんの魔力デカくなっとるし!!」


本来攻撃の為に練り上げた高密度の魔力を、自らに取り込む事でカートリッジ以上の爆発的な強化を可能にしたオリジナルの強化魔法って所かな?
流石に負担が大きいから、今はグルムとユニゾンした状態じゃないと制御が出来ないんだけど、その効果はハンパじゃないよ?――今の私はEX+ランクだからね!


「EX+と言うと、測定不能ランクの中でも特に強い者達にのみ与えられるランク……その高みに上り詰めるとは、見事です姉さん。」

「日々研鑽を積んだ成果って所かな♪
 何よりも、夜天の主として中途半端な実力ではいられないからね――最強の騎士を統べる主が騎士よりも弱くちゃ説得力の欠片もないもん。」

そう言う意味では、シグナム達の存在が私を強くしたと言っても過言じゃないかもしれないね。
だけどまぁ、そろそろ終わりにしようか?――余り長ったらしい戦闘は逆に飽きられちゃうから、ここらで決着を行こうかな?


『確かにそろそろだねぇ。
 だけど決着の前に、最後のとっておきをお願いしても良いかななのは君?――アレなら、最高にして最強の魔法の証明になるからね。』


と思った矢先に、シークレット回線で博士から通信が来たの。
最後のとっておきと言うと……アレの事かな?確かに、アレはCG投影じゃ説明できない事だから、魔法の存在を世界に知らしめるには持って来いかも知れないの。


分かりました博士、滅多に使うモノじゃないですけど、魔法を世界に知らしめる為に私は此れを使います!!

「Das Herz wird mit Stahl getan.(心は鋼で出来ている。)」

「んな!?この詠唱は……本気か姉やん!!」


至って本気だよはやてちゃん!!――何よりも此れが魔法の存在を知らしめる決定打になるんだからね!!

「Bezuglich des Gedankens ist die Absicht Eisen mit dem Glas.(思いは硝子で、意思は鉄。)
 Es ist indomitability uber viele Schlachtfelder.(幾多の戦場を超えて不撓。)
 Ohne einen Misserfolg gibt es nicht nur eine Versohnung auch.(ただ一度の挫折もなく、一度の諦めもない。)
 Deshalb hort die Person es nicht auf.(だからこそ、その者は止まらない。)
 Ich bete nur um die Zukunft mit einem Freund im Himmel des nachtlichen Himmels.(ただ夜天の空で仲間と共に未来を願う。)
 Deshalb hat das Leben den Misserfolg nicht……(故に、その人生で諦める事はなく……)
 ――Der Korper wurde sicher von unnachgiebigen Herzen gemacht!――身体はきっと、不屈の心で出来ていた!)」


――キュゴォォォォォォォォォォォォ!!


『な、何だ此れ!?行き成り景色が変わった!?』

『良く出来たCG……じゃねぇ!!此処には壁があった筈なのに全然触る事が出来ねぇ!?……まさかとは思うけど、此れは若しかして――!!』



ふふふ、ようこそ私の世界になの。
疑似固有結界『夜天の剣製』――此処は夜天の主と守護騎士の絶対領域だよ!!――さてと、終わりにしようかはやてちゃん、すずかちゃん、なたね!!





「ソロソロ決着と行こうかバニングス?」

「望むところよ……やってやるわ!!!」





シグナムとアリサちゃんもやる気は充分みたいだし、フィナーレには持って来いの雰囲気だね♪――行くよシグナム!!


「決着ともなればお声がかかると思っていましたよ――行きましょう!!」

「全力全壊でね!!――さぁ行くよ!!」

『Starlight Breaker.』


翔けよ隼!

『Sturmfalken.』



「負けられない……フリーズエクスキューション!

「勝つのは私等や!!打っ飛べ、クラウソラス!!

「舐めんじゃないわよ?……ヒートドライブ!!

「走れ明星、全てを消し去る炎と変われ。真・ルシフェリオンブレイカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!



――ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!



うん、全員の必殺技がかち合っての大爆発って言うのは、イベントの締めとしては最高の演出になったかもしれないね。
まぁ、模擬戦結果は僅差で私とシグナムのタッグが勝ちだったけど、イベント云々は別として、思いっきり体を動かすって言うのは、やっぱり気分がスッキリするね♪








――――――








Side:グランツ


いやはやまた何とも、なのは君達の模擬戦のおかげで、魔法の存在を世に知らしめるって言うのは大成功だったみたいだね。
極めつけは、なのは君の疑似固有結界の発動だったみたいだね……誰もがCGの投影かと思ってたみたいだけど、あの空間の物には触れる事が出来るから、単純
なCGでは説明が付かないからね。

無論そのあとの会見で魔法の危険性やら何やらも質問されたけど、非殺傷の設定と、魔法は誰にでも扱えるわけではないと言う事で決着してもらったよ。
まぁ、非殺傷の魔法しか使えず、リンカーコアを持たない人達にも疑似的に魔法が使えるように成る簡易デバイスも開発予定だし抜かりはない心算だからね。

まぁ、取り敢えず今日の一件は大成功だったかな?


既にネット上に情報が公開されてるみたいだから、魔法の存在が世界に示されるのは時間の問題だろうね……確実に世に広がると思うよ。



――ピン。



っと、メールか。

ん?見た事のないアドレスだが―――


――ヴォン……




!!触れた瞬間にモニターが起動した!?


しかも画面越しの彼は……まさか、こんな形で再会するとは思って居なかったよ――マッタク持って、人生と言うモノは科学では計り知れないのかも知れないね。



『先の会見、実に見事だったよグランツ博士……流石は、学生時代から研究していたテーマを現実にしただけの事はあるね。』


この声は……矢張り君は見ていたようだね?

マッタク持って何年ぶりかの再会かは分からないけど、お褒めに預かり光栄だよ我が親友――ジェイル・スカリエッティ博士!!










 To Be Continued…