Side:なのは


季節は夏!!そして、夏と言えば海!!

夏休みのある日、此れも毎年恒例となって居るけど、皆で海水浴にやって来たの!!しかも、今日は雲一つない快晴!絶好の海水浴日和だね!!!


「確かに、その通りですね主なのは。
 照り付ける陽射しは、夏特有の強いモノですが、海水浴を楽しむならば寧ろ心地いい位でしょう――身体を焼くのにも、此れ位の日差しならば適しているのでは?」

「だね。此れ位の陽射しが無いと、寧ろ海水浴は楽しめないからね。」

其れに今年は、自分の力で泳ぐ事も出来るから、尚の事楽しみなんだよ♪


「成程………では、今年もまたご一緒させて頂きましょうか?」

「それは、是非ともだよ♪」

今年もシグナムと一緒に、海中散歩を楽しもうと思ってたからね。
時にシグナム、今年新調した私の水着、如何かな?似合ってる?変じゃない?


「……とてもよく似合っていると思いますよ?
 パレオ付きの、桜色のセパレートタイプ――シンプルですが、実に良く似合っている。主なのはの魅力を、実によく引き出していると思いますよ。」


ふふ、ありがと♪
シグナムも、新調した水着が良く似合ってるよ?今年は、紅色のセパレートタイプでパレオ付き……カラーリングこそ違うけど、お揃いのデザインみたいだね?


「言われてみれば確かに……偶然の一致とは言え、嬉しい物ですね?」


そうだね。――さて、今年も海水浴を楽しむとしようなの!!













魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~  夜天97
『Signal des folgenden Kapitels』












と思った矢先、このバスタオルグルグル巻きのミイラ怪人2体は一体何なのかな?


「ズィルバ姉さんです、マイスターなのは。」

「もう1体はお市さんや。」


はい?ズィルバとお市さん?
なんだって、こんな姿に……若しかしてとは思うけど、去年のシグナムみたいに水着姿が恥ずかしいとか?……仮にそうだとしても、此れは厳重過ぎる気がするの…


「お姉ちゃんも、お市さんも恥ずかしがり過ぎです。
 グルムだって、フルサイズで水着なんですから、此処は思い切り行くべきなのです!」

「グルムの言う通りだぞ姉さん、お市さん。
 確かに、布面積の少ない水着に羞恥心を覚えるのが分からないでもないが、其れではマイスターなのはとの海水浴を楽しむ事は出来ないだろう?
 何よりも、2人がそんなでは、マイスターなのはがガッカリだぞ?……皆と海水浴を楽しみたいと思っておられたのだからな。」


「其れは分かっているのだが……」

「矢張り、恥ずかしいと言うか、踏ん切りがつかないと言うか………」


やっぱりそうだったの?
ナハトヴァールは平気なのに、ズィルバは恥ずかしがり屋さん?――お市さんも、水着位は着れないと、現代ではやっていけませんよ?――此れから毎年ですし。

其れに、私はズィルバやお市さんとも海水浴を楽しみたいのに、2人がそんなじゃ其れも無理……一緒に楽しむ事は出来ないのかな?ダメなのかなぁ?


「ぐ……その上目遣いは反則ですよ我が主……」

「そんな風に言われたら……」

「「応えるしかないじゃないですか!!」」


――バッ!!


あ、タオルが吹き飛んだ――うん、吹っ切れたみたいだね。
ズィルバは黒のビキニで、お市さんは白のビキニのパレオ付き。2人ともとっても良く似合ってるよ?何も恥ずかしがることはないと思うの。寧ろ自信を持っていいよ!


「そう言って頂けると、少しばかりアレですが……矢張り、まだ少し気恥ずかしい感じはします。」

「戦国の世に、この様な物は有りませんでしたからねぇ……。
 それにしても、凄い人の量ですね?確かに、暑い夏の日に、水遊びで涼を取ると言うのは理に適ってますが、よもやこれ程人が居るとは思いませんでした。」


まぁ、シーズンだからね。
海水浴だけじゃなく、サーフィン、シュノーケリングなんかを楽しみに来てる人もいるし、岩場の方では釣りも出来るから、割と色んな人が市外からも来るんだ♪


「まぁ、人の多さには去年で慣れましたが、何やら今年もビーチの一画が赤く染まっている様な……?」

「だから大概オメーのせいだ、乳魔人。
 しかも今年は、オメーに加えて更に3人増加で破壊力300%アップしてるからな………」


まぁねぇ……ズィルバとナハトヴァールは分かってたけど、お市さんも水着になると此処までだったなんて、本気でモデル顔負けのスタイルだよね。

あれ?そう言えばなたねは?まだ着替え終わってないの?


「お待たせしました、姉さん。」

「あぁ、遅かったね――って、何その全身タイツタイプの競泳水着!?この間、皆で買いに行った時の水着は如何したの!?」

「其れならば勿論……」


――ビリィ!!!


「ちゃんと中に着ています。」

「なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!今のはボケか?ボケなんか!?
 ボケやったらボケらしいテンションで言えや!抑揚のない声と真顔で言うなやアホンダラ!!もうこの上なく分かり辛いわ、この突っ込み殺しがぁ!!」

「お褒めに預かり光栄です。」

「いや、褒めてへんから!!」


……ま、まさかなたねにボケ倒されるとは思ってもいなかったの。
まぁ、此れもなたねが大分『人間らしくなった』って事だよね?――相変わらず淡々とした話し方だし、表情もあんまり変わらないけど、其れでも感情表現は『シュテル』
だった頃と比べたら、格段に分かり易くなってるからね。


……今の所、なたねの表情の違いを明確に見分けられるのは、私とお母さんだけって言うのはこの際置いておいてだけど。


さてと、其れじゃあ先ずは何をしようか?
泳ぐのも良いし、ビーチバレーもアリかな?デバイス使って、魔力のバリアを張れば結構長い時間の海中散歩も楽しめるし、楽しい事は盛り沢山だね♪


「何て言うか、例年以上に楽しそうやな姉やんは?」

「ま、歩けるようになって初めての海だからしょうがないんじゃない?
 今までは海に来たって、誰かと一緒に浮き輪を使って浮く位しか出来なかった訳だから、思い切り色んな事が出来るってのは楽しいのも、少し分かる気がするわ。」

「頑張ってリハビリをやり遂げたからね、なのはちゃんは♪」

「にゃはは……まぁ、頑張ったかな?
 でも、確かに自分の足で歩く海辺や、自分の力で泳ぐ海は初めてだから、いつも以上にテンションが上がってるのかも♪――もう、思い切り楽しんでやるの!!」

「では、その様にいたしましょう。
 何をするかは別として、折角の海なのですから楽しまねば損と言うモノですからね。」


うんうん、その通りなの!って言うか、夏休みを楽しまないなんて言う事自体があり得ないからね♪


「マイスタ~!」

「うにゃ?如何したのグルム?」

「なんか、凄いもの見つけちゃったです♪」


って、何その巨大なウミガメは!?
それ以前に其れってウミガメの大きさ超えてるよね?如何見ても、軽く体長5mはあるよね!?何処で見つけたの、そんな化け物じみた巨大なカメを!?


「向こうの砂浜で暇そうにしてたです。」

「其れで連れて来たって、ドンだけやねん……寧ろ、フルサイズ状態とは言え、その体躯でそんだけの巨大な物体を担いできた事に驚いたわ私は!!」


意外と、力持ちなんだねグルムって。(汗)
だけど、そのカメさんは砂浜でゆっくり休んでたんだと思うから、元居た場所に戻してあげてくれるかな?グルムだって、ゆっくり寝てるのを邪魔されるのは嫌でしょ?


「それは、そうですね……其れじゃあ戻してくるです!
 ごめんなさいカメさん、もう邪魔しないので、今度はゆっくり休んでほしいのです!」

『ふぁ~~~~~~~~~~~……Zzz……』


あらら、大欠伸をかまして寝ちゃったよ――あの大きさだと、多分相当な年月を生きてるだろうから、大抵の事じゃ動じなくなってるのかも知れないね。


ともあれ、今年も思い切り海を楽しまないとだよ!!
泳いで、潜って、砂浜で遊んで、そしてスイカ割りと日が暮れてからの花火――楽しい事は盛りだくさんだからね♪



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「おりゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

「まけないのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」



――ダァァン!!!


海水浴や、海中散歩を楽しんで、今は『ビーチ・フラッグス』で対戦中!!――ふっふっふ、今回は私の勝ちみたいだねアリサちゃん?


「あ、歩けるようになって半年も経ってないってのにやるじゃないなのは……まさか、負けるとは思ってなかったわ……
 てか、アンタよくこの砂場でアンだけの速度で走れるわね?スポーツテストの50m走の時と遜色なかったわよ?」


ん~~~、如何やらリハビリを熟す過程で、石田先生が考えてた以上に足腰の筋肉が強くなったみたいなんだよね?多分、その影響じゃないかな?
加えて、リハビリの仕上げのハイキングでは結構キツイ事もやったから、砂浜に足が取られる事は無い位に強くなってるのかも知れないよ?」


「アンタの努力の成果って訳ね?……ったく、ある意味弩チートだわアンタって。」

「褒め言葉と受け取っておくよ♪」

と、そう言えばなたねは何をしてるんだろう?
ビーチ・フラッグスに誘ったら『少しばかりやってみたい事がありますので』って断られちゃったけど……果たして、何をやってみたかったのかな?


って、ん?なんか人だかりの出来てるところが……一体何だろう?




「出来ました、サンドアート作品ナンバー10『ブラック・マジシャン師弟』です。」

「マジスゲェ!!つーか、砂で其れを再現するとか、ドンだけだこのお子様は!?」

「コイツは、未来のアーティストとの邂逅か?……トンでもない、卵が眠っていたもんだぜ!!」




な、なたねはサンドアートをやってたの!?
しかも、此れまでに造ったと思われるサンドアートは夫々が物凄くクオリティが高い――って言うか、その『遊戯王三幻神』は本気で芸術作品なの!凄いねなたね?


「えっへん、頑張りました。」


此れだけの手先の器用さが有れば、デコレーションケーキのメレンゲ菓子の細工とかも得意かも知れないね。
うん、今度挑戦してみて貰おうかな。クリスマスシーズンになれば、ケーキの飾りのメレンゲ菓子は必須になるから、職人が居るに越した事は無いの。

だけど、取り敢えずなたねも自分流に海を楽しんでみるだから安心したよ。
なたねの事だから、全く何もしないで、日光浴だけをしながら読書なんて言うのを、勝手に想像してたのは事実だからね。


「まぁ、普段の私を見ればそう思うのも無理はないでしょうが、折角の海を楽しむ位の事はしますよ私だって。――多少、アートに熱が入ったのは否定しませんが。」


まぁ、熱中するのは悪い事じゃないけどね。
其れに、そのサンドアートは注目されてるみたいだから、どんどんやってくれちゃって構わないよ――あくまでも常識の範疇でだけどね♪

加えて、其れがなたねの楽しみになって居るなら――




「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁあぁぁぁぁ!!!」




!!!……な、なに今の悲鳴は?向こうから聞こえたけど……



「あそこです姉さん。」

「アレは!!」

沖の方で、クルーザーがひっくり返ってそのクルーザーに乗ってた人達が溺れかけてる!?


海上警察に連絡しても良いけど、其れじゃあ到着する間にあの人達は溺れちゃうかもしれないの!!――だったら!!

「行くよ皆!!!」

「姉やんなら、そう言うと思ったわ!!――やったろやないか!!」

「まぁ、緊急事態だし、此れもアリでしょ!!」


だよね!!――行くよ、レイジングハート!!


『お任せ下さいMaster.』


――ギュオォォォォォォォォォォォォ!!!



よし、セットアップ完了!!
シグナム達も、準備は出来たみたいだね?


「えぇ、当然です。
 して、如何いたしますか主なのは?――どのような命令であっても、我等ヴォルケンリッターは其れを熟して見せますが?」

「其れは何とも頼りになるね。
 それじゃあ、シグナムは私と一緒にクルーザーの完全破壊を。船内に閉じ込められた人が居るかも知れないからね。
 アリサちゃん達とヴィータちゃん達は、海に放り出された人達の救出をお願いするの!――そしてシャマルは、救出した人達の手当てや回復をお願いするの!!」

「任せなさいっての!」

「やってやろうじゃねぇか!!」

「怪我人の手当ては任せて、なのはちゃん!」


――今更だけど、私達は本気で最高のチームかも知れないね?
詳しい事を言わずとも察してくれるし、前衛も後衛も最高クラスの戦力が揃ってる訳だし、此れって誇張抜きで最強モードじゃないのかな?


「其れは否定しないけど、其れもアンタが居てこそよなのは。
 チームを纏め上げるリーダーがいてこそ、集団はチームとして機能するんだから、アンタ無しではこのチームは存在し得ないわよ!!」


そうなの?……でも、そう言う事なら尚の事頑張らないとだね!





さて、それじゃあ救助開始だよ!!!




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で、皆の活躍の甲斐も有って、1人の犠牲者も出す事なく、クルーザーの転覆事故を処理できたけど……アレだけの人の前で、公然と魔法を使っちゃったのは流石に
拙かったかなぁ?――適当に誤魔化したとは言え、空を飛んだのとか、クルーザーを粉微塵にしたのは目撃されてるからねぇ……


「ふむ、確かにやってしまったかもしれないけど、今回の事は逆に好都合かな?」

「は?如何言う事ですか、お父さん?」

「意味不明よパパ。説明プリーズのSMP。」


確かに、好都合って如何言う事ですかグランツ博士?


「実は、魔法の理論やら何やらを漸く論文に纏める事が出来てね、近々世界に魔法の存在を明らかにしようと思っていたんだよ。
 だけど、ファンタジーの世界でしか存在しない魔法なんて物は誰も信じないだろうからね……実は、僕が魔法の存在を明らかにする前に、不特定多数の人達に、魔
 法を認識してほしいと思っていた所だったんだ。
 魔法の存在を明らかにする際には、君達の『実演』も必要不可欠だけれど、君達の魔法を見たと言う意見もまた重要なモノになるからね。
 それらを総合的に判断すると、君達の今回の行動は、結果的には願ってもない事だった訳さ――心の底から、感謝するよ。良くやってくれたね皆。」


そんな、私達は自分のすべき事をしただけですよ!

それが、博士の手助けにもなって居たって言うなら、確かに悪い気分じゃないですけどね。



でも、魔法を世界に明らかにするか――其れが巧く行ったら、きっと世界は大きく変わりますね。


果たして、世界はグランツ博士が発表する魔法を、どんな風に受け入れるのかな?……良い方向で、受け入れられるように、私達も最大限お手伝いをしないとだね!




だけど、グランツ博士が魔法の存在を明らかにしたその日に、間違いなく世界は変わるだろうね?――其れだけは、間違いのない事だよ。











 To Be Continued…