Side:なのは


本日は、毎年恒例の温泉旅行!
高町家、月村家、バニングス家、フローリアン家、テスタロッサ家合同の温泉旅行は、ある意味で1年の内での重大イベントかも知れないね?温泉は楽しみだし♪


「えぇ、温泉と言うモノは疲れが吹き飛びますし、身体にも良い物ですからね。
 ですが、如何に人数が多いとは言え、温泉旅館1つを丸々貸し切りにしてしまうと言うのは、些かやり過ぎのような気もするのですが、良いのでしょうか主なのは?」

「ん~~~~……まぁ、気兼ねなくのんびりできるから良いんじゃないかなぁ?
 其れに、旅館1つを丸々借り切るとか、お父さんとお母さんなら今更な事だから突っ込むだけ無駄だよシグナム……此処は、四の五の言わずに楽しむのが上策。」

「成程、納得しました。
 確かに、士郎殿と桃子殿ならば、温泉宿を丸々一つ借り切る等と言う事は造作もない事でしたね……果たして、彼等にどれだけの力が有るのか気になりますが。」


其れも言うだけ徒労だよ。
多分、お父さんとお母さんは、海鳴に於いての最大権力者と言っても過言じゃないからね……ホントに、私の両親が何者なのか気になる事はあるけどさ。

でも、そのお蔭で気兼ねなく温泉が楽しめるんだから、うだうだ言うのは無しでしょ?
折角の温泉旅行なんだから、目一杯楽しまなきゃ損だよ♪


「其れは……確かに、その通りですね。
 では、温泉に入ったその時は、丁重に背中を流させて頂きます、主なのは。」


にゃはは……うん、その時はお願いね?
代わりに、私もシグナムの背中を流してあげるからね♪


「其れはまた、何とも身に余る光栄です主なのは――ですが、私だけだと色々問題が有りそうなので、守護騎士の女性陣全員にお願いしても宜しいでしょうか?」

「其れ位なら全然OKだよ♪
 元より、ヴィータちゃんの髪は洗ってあげる心算だったし、皆の背中も流してあげる心算だったからね♪」

「そうでしたか……矢張り、良く考えておられますね、主なのはは。」


そう?自分の守護騎士の事は一番に考えるのは当然の事じゃないかな?――己の守護騎士の事を考えられなければ、主としては失格だと思うからね。

まぁ、堅苦しい事は抜きにして温泉を楽しもう?楽しまないと損だからね♪













魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~  夜天96
『唐突ですがリリパモードです』












さてと、そんなこんなで、温泉を楽しんで、夕食時。
この旅館は食事のレベルも高くて、お刺身やら天婦羅やらアワビの網焼きやら、豪華な料理が盛り沢山で、心の底から海鳴の幸を堪能させて貰った感じだよね♪


と、普通だと此処で終わりなんだけど――


「其れでは、第1回海鳴魔導師ガチンコバトル、ベルカvsミッドチルダを開催しま~~す!!!司会は、私『高町桃子』と……」

「私『月村忍』でお送ります~~~!!」


良い感じに酔っぱらった大人組が、何やら盛り上がって、ベルカ組とミッド組にチーム分けして何かやってる?って言うか、何をさせる心算なのお母さん、忍さん!!


「大丈夫よ、変な事じゃないから。
 此れから、私達の出題するテーマに沿って、即興でイラストを描いて貰うのよ。
 そして、夫々のチームの中から3枚まで選んで、そのイラストのクオリティの高さで夫々のチームに得点が加算されて行くのよ♪」

「総合得点で勝てば何もないけど、負けたチームはものすご~~~~く恐ろしい罰ゲームが待っているので悪しからず♪」


何処のバラエティ番組ですか其れは!?
って言うか、即興でイラストとか無茶振りにも程があるの!!何を考えてるのお母さん!?


「宴会が盛り上がるネタが欲しくてね……此れなら、そこそこ楽しめるって思ったのよ~~。若しかして、ダメだったかしら?」

「ダメじゃないけど、せめて一言欲しかったの。」

「ゴメンねぇ?……でも、話しちゃったらサプライズにはなり得ないでしょう?」


其れが本音だよね絶対に!!
まぁ、此処まで来たら途中でやめる事も出来ないし、やるとなったら全力でやるだけだよ。

因みにチーム分けは

ベルカ組:私、シグナム、ズィルバ、ナハトヴァール、ヴィータちゃん、シャマル、ザフィーラ、グルム、なたね
ミッド組:はやてちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん、フェイトちゃん、アリシアちゃん、アミタさん、キリエさん、アルフ、プレシアさん


まぁ、数を考えると妥当な所だね。

色々と突っ込みたい所は有るんだけど、やるとなった以上は負けないからねはやてちゃん?


「其れはこっちのセリフや姉やん、絶対負けへんからな!!」


ふっふっふ、夜天の主と、その騎士達、そして元闇の書の構成素体のなたねの『超純正ベルカチーム』に勝てると思ってるのかな?
って言うか、お母さんと忍さんがノリノリで用意した罰ゲームとか、本気で恐ろしすぎるから、何が如何あっても負ける訳には行かないんだよ!!全力全壊なの!!



「あらあら、やる気みたいね~~?
 其れじゃあ早速、各チームとも『チームリーダー』を決めて貰いましょうか♪」


チームリーダーねぇ?
えっと、答えは分かってるんだけど、ベルカ組のチームリーダーは……


「「「「「「「「お願いします。」」」」」」」」

「だよね。と言う訳で、ベルカ組は私がリーダで。」

「まぁ、そうなるわよね?して、対するミッド組は………」

「「「「「「「「………………」」」」」」」」(じ~~~~~~~~………)

「……その『年長者なんだからお願いします』的な視線を向けるのは止めて貰えるかしら?――はぁ、マッタクもう。やればいいんでしょう、やれば。
 些か不本意ではあるけれど、ミッド組のチームリーダーは、私が務めさせてもらうわね。」


ミッド組はプレシアさんですか。ある意味で妥当だね。


ともあれ、此れで準備は完了!
配られたイラスト用のフリップは3枚だから、お題は3種類って事だよね――それじゃあ、最初のお題は何ですかお母さん、忍さん。


「最初のお題は此れよ!!」


――『闇堕ちしたなのは』


って、行き成り何なのそのお題は~~~!?と言うか、闇堕ちした私って何!?ベルカの暗黒面に魅入られて、邪悪なる力を手にしてしまった私って事なの~!?


「其れでは、スタートぉ♪」


えぇ!?
もう、こうなったらヤケなの!!闇堕ちした自分て言うのは想像出来ないけど、多分目付きを悪くして、口元に邪悪な笑みを浮かべて、後は身体の周りに闇のオーラ
っぽい物を纏わせて、レイジングハートも真っ黒にして……よし、こんな感じかな?


「それでは、制限時間~~!」

「では、一斉にフリップオープン!!」


――ドン!


………此れはまた何とも、色々な『闇堕ちした私』が出て来たねぇ?
意外な程に巧いのがアルフと、グルムだね?なんて言うか、ダークサイドの私を良く表現できてる感じがするよ。それからシグナムとキリエさんもね。

半面――ザフィーラとフェイトちゃんは壊滅的だね。
辛うじてツインテールだけは有るみたいだけど、色々やり過ぎて、其れはもう既に『私』じゃないよね?


「書いてる途中で、ドンドン妄想が膨らんでしまい……」

「アレも此れもと詰め込んだらこんな結果に……」


成程。
でも、ある意味で凄いのはプレシアさんかな?なんたって、目の色反転して、口から妙な瘴気が溢れ出して、極めつけに背後に『滅殺』とか入ってるからね……(汗)


と、取り敢えず3枚選ばないとだね。
シグナムとグルムは確定として、あと1枚は――うん、堅実さでなたねだね。『王様座りしてる私』って言うのは、結構行けてると思うしね。


「では出そろいましたね~~~?」

「此れはまた、甲乙つけがたいですが……審判の士郎さん、結果は!?」

「ん~~~……此れはお題的にベルカチームに有利だったようだねぇ?
 どちらの選抜作品も良く出来ているけど、なのはの特徴を巧く闇と融合させていたのはベルカチームだったからね?10対7でベルカチームの勝ちだね。」


よし、先ずは一勝!!


「ちぃ……先手はくれてやるわ姉やん。
 せやけど、最終的にこっちが勝てばえぇんや……そんな訳で、次のお題お願いします!!」

「OK~~!次なるお題は此れよ!!」


――『吐血するプレシア』


「なぜかしら、有る筈がないのに物凄く容易にイメージ出来た私が居るのだけれど……」

「奇遇ですねプレシアさん、私もです。」

このお題を見た瞬間『際どい魔女衣装に身を包んだプレシアさんが吐血してる』イメージが、速攻で浮かんだんですけど、何ででしょうねぇ?……考えちゃダメだね。
其れは兎も角、このお題は以外と難易度が高いかもだね?……ん~~~……取り敢えず、咳き込んで口を押えた手の指の間から血が溢れてる感じでかな?


「其れでは制限時間で~~す。」

「フリップオープン!」


――ドン!


って、ちょっと待ったフェイトちゃーん!!
それ怖い!超怖い!!そんなに吐血してたらプレシアさん死んじゃう!って言うか、其れだけの吐血してるのに、顔が何か嬉しそうな感じがするのが超怖いの!!

さっきのアレもだけど、若しかして、フェイトちゃんて絵は苦手なのかなぁ?

まぁ、取り敢えず3枚を選んで……って、ミッドチームはまさかのフェイトちゃんのイラストを!?
此れは、ある意味博打だけど、結果は!?


「10対8でミッドチームの勝ちだね。
 もう何て言うか、今回はフェイトちゃんの1枚のインパクトが全てを持って行った感じだね?正直、此処までインパクトのあるモノが出て来るとは思って居なかった。」


博打が大当たり!?
総合得点では1ポイントだけリードしてるけど、此れは次の最後のお題の結果が、勝敗に直結するのは間違いないから、絶対に負けられないの!!

そして、最後のお題は!!


「よくぞ聞いてくれました!最後のお題はこれよ!!」


――『見つめ合うなのはとシグナム』


なんだと?なの。
まさか、こんなお題が来るなんて、幾らお母さんと忍さんが考えたとは言っても予想外だったの……だけど、このお題は絶対に負けられないの!負けちゃダメなの!


「此れは、負けられんな。」


シグナムもやる気充分だしね!!
此れはもう、私の持てる全てを出しきって!!此処はこうで、シグナムはこうした方がカッコ良くて、其れから―――よし、これで完璧なの!!!


「タイムア~~~ップ!」

「では、ラストステージ、フリップオープン!!」


――ドン!!


うん、ミッドチームでは、アルフとキリエさん、そしてすずかちゃんが巧い感じだね?私とシグナムの特徴を良く捉えてるし。
だけど、悪いけど、こっちはその上を行くよ?私とシグナムは言うまでも無く、このお題に限っては全員が『超神的イラスト』を描いてくれたから、負ける気がしないの!

取り敢えず、シグナムとグルム、そして私のだね!!

対するミッドチームは、アルフとプレシアさん、其れとすずかちゃんで来ましたか……そして評点は?


「此れは、言うまでも無くベルカチームの勝ちだね。
 どちらも巧いし、なのはとシグナムが良く表現されているけど、見つめ合う2人の愛情を表現しきれてるのはベルカチームだった。10対5でベルカチームの勝ちだ。
 そして、総合点は、ベルカチーム28点で、ミッドチームは22点だから、ベルカチームの勝利だね。」


やった~~!私の勝ちだねはやてちゃん!!


「く……及ばずやったか……今回は私の負けやな姉やん。」


まぁ、お題の有利性って言うのは有ったのが否めないけどね。
だけど勝ちは勝ち――罰ゲームは受けて貰うよ?……そう言えば、罰ゲームって何なのお母さん?


「勝者であるベルカチームが、所謂『リンディ茶』を作ってミッドチームに提供してあげて♪
 因みに、リンディ茶は好きな様に作ってくれていいわよ?相手チームの相手を決めてね♪」

「相手を決めて……となると――覚悟しろテスタロッサ(妹)!!

「ひぃ!?シグナム!?」


何て言うか『待ってました』と言わんばかりだねシグナム。(汗)
若しかして、前に模擬戦で『僅差の判定負け』だったのが、よっぽど悔しかったのかなぁ?……まぁ、リンディ茶で死ぬ事は無いだろうから大丈夫だろうけどね。
でも、シグナムの料理の腕前は一級品……其れは裏を返せば『意図的に不味い物を作る事が出来る』訳だから、フェイトちゃんは覚悟を決めておくべきかもなの……


「ふむ……一度、アルフを狼狽えさせてみたいと思っていた。」


で、ザフィーラはアルフなんだね?
となると私は……貴女しか居ないよね、はやてちゃん?覚悟は良いかな?


「た、食べ物を粗末にしたらあかんのやでーーー!?」

「あ、そう?それじゃあ、作った物は残さず全部飲んでね?」

「なにぃぃぃぃぃぃ!?」

「余計な事言ってんじゃないわよはやてー!!!!」

「此れは、腹をくくって一気飲みするしかありませんね……」

「KKY――覚悟を決めてやっちゃうしかないみたいね~~~……」


ふふふ、墓穴を掘ったねはやてちゃん?
精々、自分の言った事を後悔すると良いよ?――何が有っても、出した物は残さず飲み干して貰うからね?


「あっさり言いよった~~~!?
 この……姉やんの鬼!悪魔!!エイリアン!!!」

「……悪魔で良いよ。悪魔らしいやり方で、オチを付けさせてもらうから!!

「又しても地雷やった~~~~!!!???」


残念だったねはやてちゃん♪
精々、この特大クラスの罰ゲームを喰らいやがれなの!!!――さぁ、覚悟は出来てるよね!?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



――カポーン


で、宴会も終わって、私はシグナムと一緒に、もう一度露天風呂に。
それにしても、シグナムは一体どれだけの物を作ったの?多少の演技が入ってるとは言え、フェイトちゃんのあのリアクションは、流石に普通じゃないと思うんだけど?


「砂糖を大匙4杯入れたカップの半分まで緑茶を注ぎ、良くかきまぜた後にカップの残り半分をミルクで埋めただけの事です――まぁ、味の保証は出来かねますが。」


其れはまた何とも凄そうだねぇ?
まぁ、私が作ったリンディ茶も、はやてちゃんにクリティカルヒットしたみたいだしね――其れを平然と飲むリンディさんは、やっぱり味覚がオカシイと思うの。


「リンディ提督の味覚には突っ込むだけ徒労でしょう――寧ろ、突っ込んではいけない気がしますから。」


だよね。……リンディさんの味覚は、本気で謎過ぎるからね。(汗)


時にシグナム、温泉旅行は楽しめたかな?


「其れはもう。
 妙なイベントも起きてしまいましたが、疲労によく効く温泉も然る事ながら、宿の食事メニューも見事でしたので言う事なしですよ――娯楽施設も楽しめましたしね。」


にゃはは……そう言えば、卓球でキリエさんと白熱したラリーを演じてたよね。
でも、楽しんでもらえたなら良かったの――温泉に限らず、旅行って言うのは楽しまないと意味がないから、そう言う意味ではお母さんと忍さんのやった事はアリなの
かもね――罰ゲームはアレだけど、皆楽しんでたからね。


「楽しむ事が、大前提ですね。」

「そうだよ♪」

楽しんでこそ、見えて来るモノもあるからね……取り敢えず、お疲れ様だったねシグナム♪


「いえ、この程度ならば問題ありません――主の剣となるのが、私の役目ですからね。」


ふふ、だよね♪
なら、私も夜天の主として、更なる研鑽をつまないとだね♪


それにしても、ザフィーラが作ったリンディ茶をごくごく飲みほして、挙げ句には『いや、美味しいよ此れ』って流石に在り得ないと思うんだけど――



如何やらリンディ茶は、作り手によって劇物にも美味しい『緑茶オレ』になるのかも知れないね。まぁ、そんなモノを作り出せる人ってのは、早々居ないだろうけど。



ともあれ、今年の温泉旅行が、例年よりも賑やかで楽しめたって言う事だけは、間違いない事だね♪











 To Be Continued…