Side:なのは


私の目の前に居るのは、何とも特徴的な3人組なの。
一人はハニーブロンドの髪に赤と翠のオッドアイの女性で、一人は翡翠色の髪にアメジストとルビーのオッドアイの女性………で、なんか怖そうなお兄さん。
この3人が、向こうの私が言ってた『正体不明の渡航者』って言う事は間違いないと思うんだけど……


「や、八神司令!?其れに高町教官!?………嘘だろ、何だよこの最強タッグ!
 てか八神司令と高町教官のタッグって時点で完全に詰んでるのに、其処にシグナム隊長と謎の騎士まで一緒って、始まる前からチェックメイトだろこれ!」


怖そうなお兄さんは、良い具合に暴走してるみたいだね?

あの〜〜〜、スイマセン、取り敢えず話を聞きたいんだけど良いかなぁ?


「はひぃ!?……スイマセン、一身上の都合により、逃走させていただきます!!」

「は〜〜い……って、なんでやねん、逃がさへんて!」

「どわぁぁぁぁぁぁ、突っ込みながら追って来たぁぁぁぁぁぁ!!!」


あらら……聞く前に逃走を開始したみたいだけど、其れじゃあはやてちゃんからは逃げられないと思うな?…てか、何であの人はあんなに怯えてるんだろ?
まぁ、向こうははやてちゃんが何とかしてくれると思うんだけど、貴女達は何もしなくていいのかな?


「か、勝てる気も逃げきれる気もしませんので……」

「此処で降参です。」


成程ね……と言う事は、逃げ回ってる怖そうな兄さんを確保できれば、取り敢えずはOKって事だね♪












魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜  夜天72
『パラレル・ショック・デイズ』












でも、それにしても強いなあのお兄さん。
向こうのはやてちゃんとリインフォースに追いつかれても、其処から互角以上の戦いを演じてるから……ドレだけ少なく見積もってもSランクは下らないよ。


だけど、経験は未だ不足してるみたいだね?
魔導書を使ったトリッキーな戦術は見事だけれど、其れじゃあ完璧なコンビネーションを見せる夜天の主従に勝つ事は出来ない――


『良い感じに追い込んでやったわ……では現場上空の高町一尉、発砲を許可します!』


何よりもはやてちゃんがノリノリだからね。っていうか、其処でトドメを私に振るんだ?
だけど、振られた以上は応えるのが礼儀だからねぇ?――それじゃあ、先ずは落ちて貰おうかな?……レイジングハート!!


『了解ですMaster、取り敢えずやってしまいましょう。寧ろやるべきです。』

「言うと思ったけど、確かにその通りだからね?
 取り敢えず、大人しくして貰おうかな?ディバイィィィン……バスタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!



「へ?……んな、嘘だろぉぉォォォ!?」


嘘じゃなくて現実なの………取り敢えず撃墜完了!
うん、向こうの世界の……メンドクサイからパラレルリインフォースがキャッチしてくれたから大丈夫だね。


さてと、其れじゃあ貴女達は一緒に来てくれるって事で良いのかな?


「はい……其れが最善と思いますので……」

「だけど、一緒に行っても大丈夫ですか?迷惑とかには……」


ならないから安心して良いよ?
私達の活動本拠地になってる研究所の所長さんは、彼方達の事だって笑顔で迎え入れてくれると思うから、心配ご無用だよ。

――取り敢えず、貴女達の名前を教えてくれるかな?


「アインハルト……アインハルト・ストラトスです。」

「高町ヴィヴィオです!そして、向こうで伸びてるのがトーマ・アヴェニールです。」


うん、皆良い名前だね?

だけどヴィヴィオちゃんの『高町』って……向こうの世界の私の従姉弟か何かなのかなぁ?――なんか、ちょっと複雑な気分なの。


まぁ、取り敢えず『正体不明の渡航者』は確保出来たから、一度グランツ研究所に帰投しようか?伸びちゃったトーマさんを休ませなきゃならないし。
グランツ博士とプレシアさんが、一緒に色々調べてるから、新たに何か分かった事があるかも知れないからね。


「其れが良いと思いますが、主なのは何か気になる事が?」

「シグナム………気になるって言うか、他の皆は大丈夫かなって思ってね。
 闇の欠片程度じゃ、相手にならないだろうけど、もしもU-Dと遭遇したらその限りじゃない……下手したら、増援に向かうまでにやられちゃうかもだから…」

「成程……ですが、多分大丈夫でしょう。
 此方の世界の者達は当然として、向こうの世界の者達も己と相手の力量差くらいは計れる筈ですから、無茶で無謀な特攻はしないと思いますと…多分。」


そうなんだけど、私が一番心配なのは平行世界のキリエさんだよ。
マテリアルズの話だと、パラレルキリエさんは、元々エクザミアを手に入れる目的で動いていたらしいから、場合によっては単身で突撃する可能性も………


「……確かに、その可能性は捨てきれません――寧ろ、その可能性は高いと見た方が良いでしょう。
 其れを踏まえると、全員で帰投するよりも何名かはこのままU-Dの捜索を続けた方が宜しいのでは?」

「てか、其れってつまりトーマが目を覚ませば帰投の必要はあらへんて事になるよなぁ?
 やったら、目を覚ましてやったらえぇねん!ほ〜〜〜〜ら、起きてやト〜マ!朝やで?起きる時間やで?早よ起きんと……やってまうで?


「何を!?手加減なしの模擬戦はマジ勘弁してください八神司令!!!……ってアレ?」


うん、見事に目覚めたね?
だけど、このトーマさんの慌てっぷりを見ると、パラレルはやてちゃんはトーマさんに何をしたのか滅茶苦茶気になるね……何したの?


「知らへんて。其れに八神司令て……私は、そないな大層な役職に就いた覚えはないで?如何言う事なん?」


何か、更に面倒な事態発生の予感だね此れは。
だけど確かに気になるから、話せる範囲で良いから教えてくれないかな?――彼方達は、若しかして今の時間軸とは違うところから来たりするのかな?


「正解です、黒いママ。
 私達は今よりも未来から……私とアインハルトさんは13年後、トーマ達は16年後の未来から飛ばされて……更に平行世界に来ちゃったみたいで。」

「其れは何とも………って、言うか『黒いママ』って、平行世界の私は未来ではヴィヴィオちゃんのママになってるの!?
 あ〜〜〜〜……うん、多分養子縁組だよね?23歳でこんなに大きな娘が居る筈がないし、其れなら納得なの……非常に複雑な気分だけどね。」

「あ、この姿は大人モードで、本当の私は10歳ですよ?」


だとしても、13歳で子供産むなんて事は、普通はあり得ないもん。
けど、平行世界からの渡航者ってだけでも吃驚物なのに、更には未来世界からの渡航者だなんて、如何にも今回の一件は只じゃ済みそうにはないよ。


「実際に済みそうにはありませんよ主なのは――面倒な連中が現れてくれましたからね。」


「「「「「「「………」」」」」」」


だね……しかも、よりにもよって私と守護騎士達の闇の欠片とは――何とも悪趣味な事をしてくれるよね?
しかも、私の欠片も含め全員が無口って、不気味な事この上ない。……だけど、私とシグナムの前に、その姿で現れたのはちょっとばかり愚策だったね?

「私は兎も角、ヴォルケンリッターの姿を模すとは良い度胸だね?私が夜天の主と知っての狼藉かな?
 正直、闇の欠片程度は全然相手にならないんだけど、私の大切な守護騎士達の姿を安易に真似るって言うのは許せないかな?……覚悟は良いよね?」

「闇の欠片風情が、我等の主『高町なのは』の姿を模すなど身の程知らずも良い所だ。
 此れも騎士の務め……主を模ような愚者は、この剣で斬り捨てる!――我等の前に現れた、己の考えの浅さを呪うが良い!!!」


さて、行こうか!
パラレルはやてちゃんと、パラレルリインフォースも力を貸して!それから、未来から来た彼方達も!!


「勿論や!行くで、リインフォース!」

「はい、我が主!!」


「良い経験ですから、やりますかアインハルトさん!」

「そうですね、此れもまた己の訓練になりますので。」


「俺達も行こう……リリィ、もう少しだけ行ける?」

大丈夫、ダメージは大した事ないから、マダマダ全然行けるよトーマ。



それじゃあ、全軍突撃!
闇の欠片を残らず撃滅して、U-Dの探索を続けるよ!……因みに一切手加減しないでやって良いから。寧ろ手加減は不要だから、その方向で宜しくね?


「言われなくともその心算です!覇ぁぁぁぁぁぁぁぁ……飛竜一閃!!!

「だよね?……せぇぇぇの、ディバイィィィン……バスタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!

全力全壊、手加減無用!……さぁ、殲滅開始だよ!!








――――――








Side:ナハトヴァール


私が共に行動する事になったのは市と、平行世界のマイスターなのは……矢張り、此方のマイスターとは色々な部分が違っているようだな。
尤も人柄そのものは、マイスターなのはと遜色ないようだけれどね。

だが其れだけに、平行世界の彼女を如何呼ぶか悩むところだな?
如何に同じ姿とは言え、彼女は私のマイスターではないから『マイスターなのは』と呼ぶのは憚れるし、だからと言って『君』や『お前』と言うのも流石にな…

如何呼ぶのが良いかな?


「えっと、其れじゃあ普通に『なのは』って呼んでください。皆そう呼びますので。」

「……了解だ『なのは』。
 しかし、幾らなんでも驚いただろう?行き成り平行世界に飛ばされて、その世界には全く異なる道を歩んでいる、己の異世界同位体が居たと言うのには。」

「はい……でも、私的には『お市さん』が普通に居る事の方が驚きなんですけどね!?
 織田信長の妹が現代に居るって言うだけでも驚きなのに、其れが私の家族同然の状態になってるんですよ!?驚くなって言うのが無理だと思うの!!」


だ、そうだぞ市?


「まぁ、現代に於いては歴史上の人物が居る訳ですからねぇ……其れは驚いて然りですよ。
 でも、私はこの世界に来てよかったって思ってますよ?夜天さんやなのはさんと友達になれましたし、何よりも桃子さんのしゅーくりーむは最高ですから。」

「そ、そうなんですか……こっちの世界でも、お母さんのシュークリームは無敵なんだね。
 けどまぁ、驚いてばかりも居られません!取り敢えずはU-Dを補足して無力化しないと……下手したらこの世界が吹っ飛んじゃうかもしれませんから!!」


だね。
まぁ、私達の他にも動いている者達が居るし、皆が力を合わせれば其れも不可能な事ではないさ。


だが、最大の問題は、U-Dが今何処で何をしてるかが分からないと言う事だろう。
其れが、如何にも嫌な予感がする――U-D……砕け得ぬ闇が、トンでもない事をしでかすのではないかと言う、漠然とした不安がな。

私達が力を合わせれば、砕け得ぬ闇だって制する事は出来るだろうが、如何に胸騒ぎが治まらない――一体、何が起きると言うんだ此れから……?


「分かりませんけど、何が起きても私達は、その場その場で適切な対処をして行くだけです!そうでしょう、ナハトさん、なのはさん!!!」

「その通りなの!現場で出来る事は現場でやれば良いの!!」


……尤も其れも、この面子だと何が来ても最終的には如何にかなるレベルで済みそうだな。
確かに、面倒な事を彼是考えるのは性に合わないからね?先ずは、自分の出来る事を精一杯やってみるか!マイスターなのはもそうするだろうからね!

その準備運動として、現れた闇の欠片を撃滅するとしようか!!








――――――








Side:アミタ


平行世界の渡航者と言うのは驚きましたが、しかし中々に面倒な事態になった物です。
砕け得ぬ闇こと『System U-D』も此方の世界に来ていて、平行世界のキリエはU-Dの持つエクザミアを狙っている……此れはある意味で脅威ですよ!!

「此れは何が何でも、U-Dを確保しなければなりません……ですが、何か良い案はありますかキリエ?」

「凄く残念のS・Z・N……ま〜〜〜たく思いつかないのよね〜〜〜?
 だ・け・ど、平行世界の私がエクザミアを目的としてるなら、逆に言うなら、パラレルキリエが居る場所にU-Dは居るって思って良いんじゃないアミタ?」


其れは確かに言えていますが、何れにしてもU-Dを最優先で発見しなくてはならない事に変わりはありませんからね。
ですが、現状ではサーチャーを飛ばしての広域探索が精一杯なんですが――ん?キリエ、前方100mほど先に何か見えませんか?……なにか…


「ん?ん〜〜〜〜……アレは一人は私じゃないのかしら〜〜〜?って事は、もう一人は砕け得ぬ闇って事!?
 確認するまでもないと思うんだけど、此れって結構切羽詰った状態じゃないかしらアミタ〜〜〜?」

「切羽詰ったどころじゃありません!寧ろ最悪ですよ此れは!!」

まさか平行世界のキリエが、私達よりも早くU-Dと接触してしまうとは――アミティエ・フローリアン、一生の不覚です!!


だけど未だ間に合う筈、平行世界のキリエを止めてU-Dへの干渉を止めさせないと――其れこそ、取り返しのつかない事態を招きかねません!!

「行きますよキリエ!彼女とU-Dを止めます!――付いてこれますね?」

「だ〜〜れにモノ言ってるのよアミタ。
 大体にしてアミタが止めるって決めたんなら、其れは殆ど絶対の事でしょ〜〜〜?……私達のコンビネーションを色々と見せ付けてあげましょ♪」


その意気やよしです!さぁ、行きますよ!!!








――――――








Side:U-D


何故だ……何故君達は向かって来るんだ?…私に勝てない事は理解出来て居る筈なのに……其れなのに、如何してこうして向かってくる?分からない。
だけど、私の中のエクザミアが唸ってる――全てを破壊しつくせと。

こうなってはもう止まらない……私は、只破壊を繰り返す魔人となり果てるのだろう……だが其れも運命だと言うのならば、きっとそうなのだろう……


何か起きているようだが、私には関係のない事だ――私の使命は、破壊衝動に身を任せてこの星を滅ぼす、其れ一点に尽きるのだから。


だから、邪魔者は一匹残らず消さなくちゃいけないんだ……私の邪魔をするなら、例えディアーチェであっても滅する……何れは全てが塵と消えるからね。


さてと、先ずは、私の領域にずかずか入り込んできた愚か者に鉄槌を下してやるとしよう。覚悟は良いですね『キリエ・フローリアン』――!!!



エクザミアに手を出そうとした己の愚行、その身を持って知って頂きますよ……















 To Be Continued…