Side:なのは


まさか、またしても平行世界からの渡航者が現れるとは思ってなかったよ。
しかも今回は、平行世界の私やシグナム達がやって来たって言うんだから驚きなんだけど……取り敢えず、そっちの世界から来たアルフは落ち着こうか?


「プレシアァァァァ!この鬼婆!殺す!超殺す!!」

「落ち着け、平行世界のアタシ!!
 そっちのプレシアがどんな奴だったかは知らないけど、こっちのプレシアは鬼婆とは程遠い奴だから、取り敢えず気持ちを静めろぉォォォ!!」

「落ち着け……此処は平行世界だと理解しろ。」

「状況は冷静に見極めねばな……」


こっちのアルフとザフィーラ、そして向こうのザフィーラで抑えてるから多分大丈夫だと思うんだけど、アルフが此処までプレシアさんを嫌悪してるなんて……


「向こうの世界の私は一体何をしたと言うのかしら?
 でも、アレだけアルフが敵意を剥き出しにすると言う事は母親として失格だった?………もう何て言うか、色々と御免なさいね、其方のフェイトには!」

「あ、いえ……その、大丈夫です。」


本当に何したんだろうね、向こうのプレシアさんは。
まぁ、其れは兎も角として、ナハトヴァールと平行世界の私、そしてマテリアルの子達が揃わないと如何しようもないんだけど――


「お待たせしましたマイスターなのは。」

「此処が時の庭園か……うむ、中々に良い場所であるな?」


良いタイミングで来たねナハトヴァール!と平行世界の私。
はやてちゃんによく似た人はマテリアルの子かな?シュテルにそっくりな子も居るし、多分そうだよね?――さて、一体何が起きちゃったのかな………












魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜  夜天71
『平行世界クロスオーバー』












取り敢えずは自己紹介を済ませて、情報交換と思ったんだけど……此れは流石に予想してなかったかな?


「姉やん?……姉やんやろ!!
 うわ〜〜〜ん!姉やんが生き返った〜〜〜!!会いたかったで〜〜〜!!姉や〜〜〜〜〜ん!!!」

「のわぁ!?……えぇい、ひっつくでないわ小鴉!!
 大体にして誰が貴様の姉か!!気色悪いわひっつくでない!!」

「ガーン!!そんな……そんなに嫌わんでも良いやん……姉やんのイケず……」

「どわぁぁぁ!!そんなに落ち込むな小鴉!!
 その、アレだ、我も本気で貴様の事が嫌いな訳ではなくてだな……タダあんまりベタベタされるのは好かぬと言うか、し、心底嫌ってはおらぬでな!?」


はやてちゃんそっくりのマテリアルの子にはやてちゃんが凄く懐いちゃったみたいだね?
もっと言うと、マテリアルの子もつっけんどんな態度乍ら嫌じゃないみたいだし……いっその事、その子にお姉ちゃんになって貰っても良いんじゃないかな?


「待って〜〜〜!!其れは無しにしといてや姉やん!!彼是面倒が解決したら、あの姉やんは元の世界に戻ってまうんやで!?
 あまりにもクリソツやったから暴走してもうたけど、今の私の姉やんはなのはちゃんと美由希さんだけやで!?……やから、見捨てんといてぇぇ!!」


うん、分かってるよ?
見捨てる筈がないじゃない♪はやてちゃんは、私の大事な妹なんだから♪



「平行世界に於いては私はなのはちゃんの妹で、更にはなのはちゃんが夜天の主と来たか……あまりの事態に脳味噌パンクしそうや。
 せやけど、パニック起こしても如何にもならへんから、先ずはお互いに情報交換と行こうやないの?……異存はあらへんやろ『夜天のなのはちゃん』も?」

「その呼び名は新鮮だね――二つ名として貰おうかな?
 だけど異存はないよ『夜天のはやて』ちゃん――情報共有は何よりも大事な事だし、其れが事態打開に直結する事は少なくない……そうでしょ?」

それじゃあ、改めて自己紹介と行こうか?
初めまして、高町なのはです。
私立海聖小学校の4年生で、今代の『夜天の魔導師の主』です。以後お見知りおきを。



「「「!?」」」


ほえ、如何かした?


「平行世界とは言え、此れが本当に私なの!?……このあふれ出る気品と威厳……10年経っても私には身に付けられないよ……」

「此れが夜天の力を宿したなのはちゃんやと?……アカン、此れは正に『絶対王者』のオーラが溢れかえらんばかりやないの……ふ、完敗や。」

「なのはも凄いけど、こっちのなのはも凄い……///


「えっと、そっちの私は色々と大丈夫かな?」

「ダメだなアレは……向こうのお前は、誰が如何見ても向こうの主なのはにぞっこんラブのようだからな……世界が違えば人も変わるか………」


此れは何処から突っ込めばいいのかな!?(瀑布汗)
取り敢えず、そっちの世界の私達は戻って来て!先ずは情報の共有をしないとダメなの〜〜〜〜〜!!!!














――只今平行世界からの渡航者であるもう一組の『私達』を落ち着かせてるから少し待ってね?












で、15分後、漸く鎮圧して、取り敢えず自己紹介までは終わったね。
そっちの私達は『私立聖祥大学付属小学校』って言う学校に通っていて、アリサちゃんとすずかちゃんは魔導師じゃなくて、アリシアちゃんは存在してない。
ジュエルシードを取り合った相手はフェイトちゃんで、しかも事件の黒幕はプレシアさんで、その目的はアリシアちゃんの蘇生……此れはショックだったなぁ。
更に夜天の主ははやてちゃんで、ナハトヴァールは存在してないと来たか……此れって結構差異が大きいですよねプレシアさん?


「相当に大きいわ――此処まで来ると、平行世界どころか完全に別世界であると言った方が良いんじゃないかしら?
 ジュエルシード事件の内容に、フェイトの生誕の違い、夜天の主の差異にナハトヴァールの存在の有無、私とリニスとアリシアの生死……凄い違いよ?
 そもそも平行世界と言うのは、有る分岐点に於いて枝分かれした世界なのだけれども、此処まで違うと分岐点が何処であるのかすら分からないわね。」


そうなんですか?
まぁ、如何してこっちの世界に来たかは大体想像が付くと言うか、多分次元震か何かが発生したから何だろうけど……何だってそんな事になっちゃったの?


「戦ってたの……夜天の魔導書の中に眠っていた無限連環機構『System U-D』……通称『砕け得ぬ闇』と。」

「砕け得ぬ闇だと!?
 まさか、そっちの世界では砕け得ぬ闇――無限連環機構『エクザミア』は、シュテルとは違う形で存在していると言うのか!?」

「はい?私が砕け得ぬ闇だったのですか、此方では?」


うん、そうだよ?
ユニゾンした私と、調停者の力を解放したシグナム、其れにナハトヴァールの援護があって漸く倒せた難敵で、倒した際にエクザミアも砕いたんだけどね。

だけどそっちの世界ではマテリアルとはまた別の存在として存在してるんだね?
そして、それとの戦いの際に次元震が発生して、其れに巻き込まれてこっちに来た………多分、そう言う事ですよねプレシアさん?


「でしょうね……寧ろそれ以外には考えられないわ。
 だけど問題は、今此処に居ない人達ね?件のU-Dにフローリアン姉妹、アースラのメンバーに謎の渡航者……考えると頭が痛くなりそうだわ。
 しかも話を聞く限りだと、そのU-Dとやらは早急に何とかしないと、リヒティガルードの暴走体以上に厄介な事になりかねないわ……如何したモノかしら?」


「アタシ達で何とかするしかねーんだろうな。
 幸い、戦力になる連中は向こうの世界の倍以上にはなってんだ、人数にモノ言わせてU-Dとやらを探しまくって、邪魔しに出てきた奴はブッ飛ばす!
 其れが一番シンプルだし面倒な事もねー……何人かでチーム組んで動けば、其れで行けんじゃねぇか?……其れで如何かななのは?」


良い案だよヴィータちゃん。
そうなるとチーム分けをする際には、こっちと向こうの混成チームにするのが良いだろうね?向こうの状況を分かる人が居た方が良いと思うし。


「そうね……でもそうなると、なのはと組むのは向こうのはやて以外には居ないわよねぇ?
 二つの世界が交わって、二人の『夜天の主』が居るんだから、此れはもう組ませない訳には行かないでしょ?寧ろ組ませるのが必然!!拒否権なしよ!」

「あ、アリサちゃん!!?」

「あ〜〜〜……確かに其れはアリやなぁ〜〜〜♪」


向こうのはやてちゃんまで!?
確かに其れはアリかも知れないけど、少し冷静になろうよ!戦力って言うのは分散した方が良い場合があるんだよ!?同じ力を集中しても……


「ならばお供いたします、主なのは!!!」

「共に参りましょう、我が主!!」



って、シグナムと向こうのリインフォースまでノリノリ!?
あうぅぅ……こうなっちゃった以上は何を言っても無駄かな?向こうのはやてちゃんも、私と組むって聞いて物凄く嬉しそうだし……はぁ、覚悟を決めますか。

だけどやるからには徹底的にやるよ?
私達以外がどんなチームになるかは此れからだけど、必ずU-Dを何とかしなくちゃだもん。


「えぇ、その通りです………主なのは、御命令を!」

「分かってるよシグナム!……夜天の主『高町なのは』の名に於いて守護騎士に命ずる!
 平行世界からの渡航者と協力して、砕け得ぬ闇――通称U-Dを見つけだし、そして発見し次第其れを撃滅、または無力化せよ!!」

「「「「「「Jawohl Meister NANOHA!!(了解しました、主なのは!!)」」」」」」


さてと行こうか!!……って、如何したのそっちの私達は?


「アカン……こっちのなのはちゃんはカッコ良すぎやろ!!何やねん、その見事な『主』っぷりは!!
 此れは惚れる、フェイトちゃんやなくても惚れる………万人のハートをキューピットの矢で穿ち貫くわマジで……!!!」

「なのは……カッコいい……ゲフゥ!!」

「フェイトちゃん!?フェイトちゃ〜〜〜ん!!!
 鼻血が!吐血が!!気を、気を確かに持って〜〜〜〜!!死んじゃ駄目なの〜〜〜〜〜!!!」


……何このカオス?
私は、何時も通りにやっただけだよね?特別な事はしてないよね?


「向こうのなのはさん達には刺激が強過ぎたんでしょうか?
 でも、今のなのはさんは物凄くカッコ良かったのは確かですからね?――矢張り世が世なら、なのはさんは絶対に兄様と共に天下を統一していましたよ。」


褒め言葉と取ってきますね、お市さん。
取り敢えず、そっちの私達は落ち着けなのーーー!!大事な作戦を前に取り乱したら、出来る事も出来なくなっちゃうよ?
気持ちは昂っても平常心は忘れずに……此れは戦いに於ける基本だからね?分かったかな?


「「「は〜〜〜い………!」」」

「分かったなら良し!
 じゃあ、そっちのはやてちゃんは私と一緒に来てくれるかな?――そしてシグナム……頼りにしてるよ?」

「お任せ下さい主なのは。
 我が剣と魂は、何時如何なる時でも貴女と共に在ります……貴女が必要としてくれる限り、私は例え地の果てであろうとも貴女と共に在ります!!」


なら、私も夜天の主としてその忠義に応えないとだね!
行こうか、砕け得ぬ闇を鎮静化する為に!!――平行世界の出来事とは言え、夜天の主としては、此れを見過ごす事は出来ないからね!!



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で、出撃してからそろそろ30分だけど、やっぱり簡単には見つかる相手じゃないんだねU-Dって言うのは。
U-Dを探す途中で出て来た闇の欠片は、向こうのはやてちゃんとリインフォースが手を下すまでもなく、私とシグナムで文字通り『滅殺』してやったけどね。


「てか、ぶっちゃけ私とリインフォースの出番ないやん!
 こっちのなのはちゃんとシグナムはドンだけやねん!!てか、最強の砲撃魔導師と、最強の近接型の騎士が組むと此処まで強いんか!?…予想外や!」

「此れも日々のトレーニングの賜物かな?
 私とシグナムは、日々コンビネーションの練習をしてるからね?……まぁ、コンビネーションの練習は皆としてるんだけどさ。
 だけど、シグナムと私のコンビネーションは、私が思ってた以上に相性が良くて、其れを重点的に鍛えて来たからコンビネーションが洗練されてるのかも。」

だけど、夜天のはやてちゃんもリインフォースとの絆は凄く強く感じるから、訓練すれば私とシグナム位には上り詰める事が出来る筈だよ。
夜天の背負う宿命は決して軽くないけど、だけど背負いすぎたら何処かで綻びが生じるから、適当に肩の力を抜いて最高の頂を目指そうよ?


「せやな……肩の力を抜く事が出来る場所って言うのは絶対に必要や。
 やけどなのはちゃん、如何やらトンもなく面倒な事が起きたみたいやで?……たった今目の前でな〜〜?」


みたいだね……




「うぇぇぇぇ?何此れ、此処何処!?
 行き成り光に包まれたと思ったら……なんで、如何してこんな事になってるの〜〜!!」


私達の前に現れたのはハニーブロンドとオッドアイが特徴的な女の人と、翡翠色の髪とオッドアイが目を引く女性と、何だ怖そうな青年の3人。
若しかしてこの人達が、向こうの私達が言ってた『正体不明の渡航者』なのかな?



……マッタク持ってプレシアさんの言う通りなの……物凄く厄介な一件だよ此れは。
だけど、無視する事は出来ないし――取り敢えずこの子達から話を聞いてみるのが一番かも知れないね。








――――――








Side:???


あう〜〜〜〜……強烈な閃光に包まれたと思ったら、此処は何処〜〜?
多分『海鳴』なんだろうけど、何て言うのかさっきまで居たところとは何となく感じが違うんだよねぇ……クリスもそう思うでしょ?


『(−−)>!』


だよね?
って、それよりも大丈夫ですかアインハルトさん、其れとトーマ!!


「私は大丈夫です、ヴィヴィオさん。」

「俺もリリィも大丈夫………なんだけど、此れって結構面倒な事態に発展してるパターン……だよなぁ?」


だね……何時の間にか、目の前にはちっちゃいママと、ちっちゃい八神司令に、シグナムさんに謎の騎士まで……私達で切り抜けるのは絶対無理だよ!!



だけどアレ?……八神司令は其のままだけど、なのはママとシグナムさんの防護服は色が違う?……だけど闇の欠片とは思えないし――


「取り敢えず大人しくしてくれるかな?此方としても手荒な真似はしたくないから。」


この『黒いなのはママ』から感じるのは、紛れもない『本物の魔導師』の波動!!




若しかして――ううん、若しかしなくて此処は、私達が居たのとはよく似て非なる世界……パラレルワールド!!!!


此れは完全に、私の理解の範疇を超えた事になっちゃったみたいだね……まさか、パラレルワールドとは幾ら何でも予想外が過ぎるよマッタク……


うえ〜〜ん、一体如何なっちゃうんだろう〜〜〜〜〜!!














 To Be Continued…