Side:なのは
時は2月2日。明日は節分だから豆まきと恵方巻だね。お母さんがどんな恵方巻を作ってくれるのか今から楽しみだよ。
でも、その節分の日に、私とはやてちゃんとヴィータちゃんには学校側が用意してくれた『授業参観』って言う、其れは其れは素敵なイベントがある訳で……
「しかも、私等の学校は、一体全体何をトチ狂ったんか、『両親以外の家族を参加させて』とか言いよってな?
両親以外言うたら、お爺ちゃんとお婆ちゃんか、そうやなかったら兄妹やろ?……爺ちゃんと婆ちゃんは居てへんし、お兄ちゃんとお姉ちゃんも……」
「スマナイが、明日は外せない講義が入ってるんだ……」
「私も無理……明日は小テストもあるし。」
しかしながら、ご覧の通り参観者は全滅状態!
此れは一体如何したモノだろう?……授業参観に誰も来ないって言うのは、微妙にへこむから、誰かに来て欲しいんだけど……
「主なのは、もしよろしければ私が参観いたしますが……と言うか、参観してみたいのですがダメでしょうか?」
「へ?シグナム?」
「シグナムさんだけでは足りないですよ?なのはさんの参観者がシグナムさんだとして、はやてさんとヴィータさんの参観者が残りますからね?
なので、私がヴィータさんの参観者として行く事にします!!」
ちょ、お市さん!?
「なら、私ははやてのか……楽しみだ。」
ナハトヴァールまで〜〜〜!?
だ、だけど確かに此れなら私もはやてちゃんもヴィータちゃんも参観者はバッチリOKって言う訳か……じゃあ、お願いしようかな?自慢のお姉ちゃんだし♪
あ、其れとシグナム、ナハトヴァール学校内では『主』『マイスター』と『敬語』は禁止ね?……へんな疑い掛けられても困るからね♪
「はい!?………ぜ、善処します……」
「其れは中々に……頑張ってみます。」
そんなに固くならなくてもいいよ?普段よりも幾分フランクに接してくれれば其れで良いだけだから♪
魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜 夜天676
『節分の日の授業参観は……』
で、授業参観当日。
授業参観は今日の最後である5時間目なんだけど、昼休み終了前から、色んな人達が集まってるねぇ?……若い人は時間休を取って来たのかなぁ?
担任の先生の、ある意味での無茶振りに此処まで人が集まった事の方に驚きだけれどね。
シグナム達は……まだ来てない……
――ザワザワ……
ん?何か騒がしく……何かあったのかな?
「何だよあのカッコいい人!……長身でスタイル抜群な上に、男物のスーツで決めて来るとは!!」
「男装の麗人此処に極まれり……侮れないわね。」
「確かにその人はスゲェが、一緒に居た人達を忘れんなよ?
黒髪に抜けるような白い肌の日本美人に、褐色肌に金髪のエキゾチック美人……此れが揃っただけでも、あと10年は戦える!!」
「あの方が姉妹と言う人が本気で羨ましい!!!」
………え〜〜〜と、此れはまた、如何ともしがたい事になってるみたいだけど……今の話の人達って如何考えてもシグナムとお市さんとナハトヴァール!
来てくれたのは嬉しいけど、まさか速攻で此処まで噂になるとは思わなかったの。
「こ、このクラスに来た!?誰だ、一体誰の姉なんだ!?」
来たね……って、ふわぁぁ〜〜〜……シグナムも、ナハトヴァールもお市さんも、凄くカッコいい!
お市さんはダークレッド、ナハトヴァールはダークヴァイオレットの女性物のスーツを着て、バッチリ決めてカッコいいのは勿論なんだけど……
「何とか間に合ったみたいだ、あr……なのは。」
「シグナム………凄くカッコいい!」
シグナムは完全に別格だよ此れ!!
黒の男物のスーツに身を包んだ、正に『男装の麗人』!凛とした雰囲気が更にその魅力を高めて、最早カッコ良さは無限大の限界突破なの!!
「んな、高町の所かよ!!?」
「でも如何見ても、日本人じゃないけど……」
「其処は突っ込むな!高町の所は、もう何時何処で家族が増えたって驚く事じゃないんじゃないか?
だって、冬休み明けたら行き成り八神が高町になってたんだから、もう高町の家族として誰が来たって俺は驚かない!!」
「あんなに素敵なお姉さんが居るなんて……いいなぁ、高町さん達……」
にゃはは、物凄く注目されてるけど、其れもしょうがないよね?だって3人とも、自慢のお姉ちゃんだから♪ね、『シグナムお姉ちゃん』♪
「!!!!」
「如何してたの、お姉ちゃん?」
「いや…何でもない、大丈夫だ。」《主なのは〜〜〜〜!!幾ら何でも不意打ちすぎます!あまりの破壊力に理性が飛びかけましたよ!?》
「そう?なら良かったの♪」《にゃはは、そんなに驚かなくたって良いと思うんだけどなぁ?今は姉妹なんだから此れ位普通だよ?》
「では、授業が始まるようなので、後ろで見させてもらうな?」《だとしても、驚くものは驚くのですよ……ですが、悪い気分ではありませんでしたので…》
悪い気分じゃなかったらよかったの。
でも、物凄く注目されてるよね……まぁ、シグナムもナハトヴァールもお市さんも、女性としては長身だしあの容姿なら注目を集めて当然かな?
しかも純和風美人と、エキゾチック系美人にクールイケメン系美人て揃いに揃ってるからね?……その中でもシグナムは特に注目されてるけどね。
「っと、間に合った〜〜〜!やっほ〜〜、来たよフェイト!」
「アルフ!」
で、フェイトちゃんの所には、これまた注目を集めそうなアルフが来た訳だね?
ラフな格好で纏めた元気型ワイルド系美人は注目されて当たり前だし――でも、アルフがフェイトちゃんの方に来たって言う事は、アリシアちゃんの方は…
「アルフ、アリシアの方は誰が行ってるの?やっぱりリニス?」
「いんや……プレシアが、授業参観に出れないって事に静かに激怒してね……『トンでもないのを送り込む』とかなんとか……」
プレシアさん、一体何を―――
「どわぁぁぁあぁぁぁぁ!?黒いライオン〜〜〜!!何処から入って来たんだ〜〜〜!?」
「授業参観か!?参観に来たのかコイツ!!」
「あ、この子は私の家族で〜〜す♪」
「テスタロッサ〜〜〜〜!君のところか〜〜〜!だが流石に其れは幾ら何でも…って言うか、ライオンが居るのか君の家には〜〜!!」
「はい!大事な家族なので……ほら、御挨拶は?」
「我こそは、第六天魔王、織田上之介信長である!!」
「喋った〜〜〜!?しかも物凄く名前が御大層!?」
……6年生の教室の方から何か聞こえるの――何やってるんですか信長さん!?
もう会う事はないだろうとか言ってた割に、あっさり再会できそうな気配がバリバリです。プレシアさんに頼まれたんでしょうけど、ノリノリですね本気で。
「兄様……風評ではなく、尾張の虚けは割と本気で虚けな部分もあったのでしょうか?」
「如何だろうな……或は、締めるところは締めるが、そうでない所は盛大にハッチャケる奴だったのかもしれん……何れにせよ大物さ、彼はね。」
そうなんだろうけど、若しかしなくても今日の授業参観は海聖の伝説になる事だけは間違いないだろうね。
まぁ、あっちはアリシアちゃんに任せるとして、私達は私達で授業に集中!シグナム達が見てる前でとちるような事だけはしたくないからね♪
しかも、授業参観の教科は最も得意な算数だからね!此れは頑張るしかないって所なの!!
――――――
Side:シグナム
「それじゃ〜ね、高町さん!」
「シグナムさん達もバイバ〜イ!!」
「あぁ、さようなら。」
「バイバイ、また明日ね♪」
……………………ふはぁ、漸くか――思った以上にハードだったな、主なのはにフランクに対応すると言うのも。
市は兎も角、ナハト姉さんも結構大変だったんじゃないか?
「あぁ……何度も『マイスター』と言いそうになってしまったよ。リインフォースだったら、間違いなくうっかり『我が主』と言っていたかもしれないな。」
「……リイン姉さんは、確りしてて頼りになるんだが、緊張すると盛大にやらかしてくれるからな……」
そう言う意味では、私とナハト姉さんと市と言うチョイスは間違いではなかったのかも知れんが、我等は役目を果たせたでしょうか主なのは?
「バッチリだよ?物凄く注目はされてたけど、シグナムもナハトヴァールもお市さんも良くやってくれたの……お疲れ様、ありがとう。」
「ホンマ感謝の極みやな〜〜〜。シグナムもナハトもお市さんも、見事なまでの『お姉ちゃん』やったからね。」
「まぁ、よく頑張ったと思うぜ?……特にシグナムはな。」
主なのはと其処までフランクに付き合えて、かつ呼び捨てに出来るお前が心底羨ましかったよヴィータ。
だが、役目そのものは果たせたようなので良しとするか。
時に主なのは、今日は『節分』と言うモノと言う事ですが、何か特別な事をなさるので?
「特別って言うか、取り敢えずは豆まきかな?炒った大豆を『鬼は外、福は内』の掛け声と共に、家の外と中に撒くんだよ。
『厄災』って言う名の『鬼』を家から追い出して、新たな福を巻き入れるって言う日本独特の文化だね。で、撒いた後に歳の数だけ豆を食べるの。」
「歳の数だけ?」
となると、私達は一体何粒の豆を食せば良いのだろうか?
私と姉さん達が、夜天の魔導書のプログラムとなったのが、およそ千年前でヴィータ達が誕生したのも略同時期なのだから……千粒食せば良いのですね!
「んなに食える訳ねぇだろ!!豆だけで腹膨れちまうだろうが!!
そんな事になったら、桃子さんが作ってくれる『恵方巻』って言うのを食べる事だって出来なくなっちまうじゃねぇか!!」
ならば如何しろと!?
「取り敢えず、外見年齢分食べればいいんじゃないかな?
ヴィータちゃんは10粒、シグナムは19粒って感じで……流石に炒り豆を千粒も食べたら、お腹が凄い事になっちゃうからね……」
成程、外見年齢分とはその手がありましたか。
其れならば、大変ではなさそうですしね……で、恵方巻とは?
「ハーフサイズの太巻きやな。此れをその年の恵方を向いて食すと福がある言われとる、関西発祥の食べモンや。
で、具材には七福神に倣って七つの具を使うんが正統とされとる訳や……お母さんは其れを護りつつ、バリエーションを持っとるやろうけどね。」
其れは何とも期待できるモノですね。
しかし厄を払って福を招き入れる、か……シンプルなようでいて大切な事であるのかもしれません。
我等も主に降りかかる厄災を払い、福を招きたいと思っていますが、厄災を払うのは兎も角、福を招き入れるのは難しい物がありますからね。
「シグナム達がそう思ってくれてるだけで充分だよ。
――それに、皆が一緒に居てくれる事が私にとっては一番の幸福だから、これ以上の幸福を願ったら罰が当たっちゃうよ。」
左様ですか……なれば、我等は其の幸福を護りましょう――我が騎士の誇りに誓って。
ですが、其れとは別に『節分』なるモノは初体験なのでとても楽しみです。豆まきとやらも、そして恵方巻なる食べ物についても興味が尽きません主なのは。
貴女の騎士になれてよかったと心底思います。
そのお蔭で、此れまでにはない様々な体験が出来る訳ですからね――この世界で覚醒が成って良かった……我が魂は永遠に貴女の騎士です。
例え千年の時が経とうとも、其れだけは絶対に変わらない私の誇りと理念ですからね……節分と言う節目の日に、其れを改めて誓います。
と、言いながら桃子殿の『恵方巻』が気になって居る辺り、私も相当に馴染んでいるのだろうな。
だが、料理の天才、寧ろ料理の神と言っても過言ではない桃子殿が作る恵方巻に期待するなと言うのがそもそも無理な話だ!期待して当然だろう!!
何とも楽しみだな。
――――――――
Side:キリエ
節分と言えば豆まきだから、鬼役のロボットが欲しいとは言ったけど、此れは一体何なのパパ!?なんだってジャンク・バーサーカー!?
確かに赤鬼っぽかもしれないけど、此れは流石に如何かと思うわよ〜〜ん?
「ん〜〜〜……何て言うか、鬼=ナマハゲのイメージで作ってみたんだけど、どうしてかこんな物が出来てしまったんだよねぇ?」
一体どんな電波を受信したのかしら〜〜……取り敢えず其れを作り上げたパパは見事って言っても過言ではないわねぇ。だけど、覚悟は良いかしら〜?
「覚悟…?」
福を招き入れるのは当然として、厄災は一切残らず払うからね?……そぉれ、鬼は外ーーーーーーー!!」
『ワリィゴハイネガァァッァァッァアッァァアァァァ!!!!』
……徹底抗戦なら応えるわ!!――世界最強レベルの節分をた〜〜〜〜っぷり味わうと良いわ!!
如何やら今年の節分は、生涯忘れる事の出来ないイベントになりそうね〜〜〜ん?……まぁ、此れは此れで物凄く面白かったけれどね〜〜〜。
取り敢えず、近年稀にみる楽しい節分イベントだったわねん♪
To Be Continued… 
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