Side:なのは


 「派手な怪我の割に傷は浅いから、命に別状は無いわ、安心して。」

 「「「「「「「良かった〜〜〜。」」」」」」」


 公園で保護した不思議なフェレット(?)…無事なら安心だね。
 とは言っても、あの声の主がこの子だとしたら、面倒なことが起こる可能性は大。

 如何しようかな…


 「ソレで如何するのこの子?家で引き取る?それとも皆の内の誰かが飼う?」

 「あ…」

 其処までは考えてなかったの…う〜ん…アリサちゃんの家もすずかちゃんの家も定員限界だし…
 私がその子を引き取ります!


 「良いの?」

 「ちゃんと説明すればお父さんもお母さんも分ってくれる筈ですから!」

 この子は私が引き取ります!









 魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜  夜天6
 『The First Battle!』










 と、言うわけで其のフェレットを家で保護したいんだけど…


 「良いわよ?」

 「構わないよ?」

 「予想はしとったけど、あっさり通ったな〜〜♪」


 ホントだね……お父さんとお母さんは基本的にあんまり『ダメだ』って言わないんだよね。
 その代わり『自分のする事、した事に責任を持ちなさい』って感じだけど。

 「ありがとう。
  でね、その子は多分魔法に関係している子だと思うの、念話が出来てたし…
  シグナム達にも聞こえたでしょ?」

 「はい、仕事中だったので向かえませんでしたがハッキリと…」

 「成程ね……だが、危険はないんだろう?
  魔法関連なら家かグランツさんの所で保護した方が一般の動物病院で保護するより良いと思う。
  ソレに万が一何か有ってもその時は…」

 「切り捨てます。」

 「叩きのめす。」

 「捻り潰す…」

 「(リンカーコアを)ぶっこ抜きます♪」

 「あら、頼もしいわね♪」


 ま、未だ危険が有るとかじゃないから皆落ち着いてね!?
 ソレとお母さんも嬉しそうに言わないで!
 て言うかヴィータちゃんは、あの子が危険じゃないって知ってるでしょ!!


 「いや、此処はアタシも合わせた方が良いかなーって。」

 「そんな変な所で合わせなくても良いんだよ?」

 「芸人的にはオールオッケーやけどな〜〜♪」


 ソレもちょっと違うような気がするよはやてちゃん。
 え〜と…それじゃあOKって事で。
 明日の帰りに動物病院に寄って引き取ってくるね♪


 「で、シグナムは何か悩み事?」

 ちょっと思い詰めてるって言うか考え込んでるような顔してたよ?


 「あ、いえ……其のフェレットとやらは今朝の夢と関係が有るのではと思いまして…」

 「確かにマッタク無関係とは思えないね……」

 もし関係が有るとしたら、あの男の子が戦ってた『何か』は本当に存在してるかもしれないの…
 あんなのが出てきたら……流石にちょっと無理かなぁ…


 「大丈夫だって!何が出てこようとアタシが叩きのめしてやるって!」

 「必要ならば我等も戦いますよ。主を護るのが、騎士の本分ですので。」

 「うん、その時はお願いね。」

 本当は皆を戦わせたりはしたくないけど、魔法的な何かが起こった場合は対応できるのはシグナム達だけだから。
 ――いざと言う時は宜しくね?


 「了解です、主なのは。」








 ――――――








 Side:シグナム


 「待てよ……なんだよソレ!なのはが死ぬって…そんなの!!」

 「だが事実なのだ…このままでは、主なのはは闇の書の浸食を受けて命を…」

 我等が主は勘も鋭い、さっきは巧く誤魔化せたが…何時までも誤魔化しきれるものではない。
 早急に手を打たねばならんのだが……


 「助けなきゃ…なのはを助けなきゃ!!」

 「うむ…如何する、シグナム?」

 「道は――1つしかない。」

 闇の書を完成させ、真の主としての覚醒がなれば、主への侵食は止まる。
 だが……本当に其れで良いのか?

 主との約束を反故にするなど、騎士としての誇りに…



 いや………騎士の誇りなど、あの優しい主の命と比べたら取るに足らないものだ。

 申し訳ありません、主なのは。
 貴女を救い、護る為に私は――我等は貴女との誓いを……


 《聞こえますか……僕の声が…聞こえますか…?聞こえたら…力を…貸してください…》

 「「「「!!!」」」」


 此れは…夕刻に聞こえた念話!!
 いや、それ以上に此れは――シャマル!!


 「えぇ、大きな魔力波を感知したわ。」

 「場所は声の主が居ると言う場所からだな?」


 だろうな。
 となると次は…


 《シグナム、今の声聞こえたよね?》

 《さっき話したフェレットからや!!》


 矢張り主なのはとはやて嬢も気付かれたか。
 しかし、短期間の間に念話を習得するとは、中々の魔導の才があるようだ。

 《はい、我等も全員が聞きました。…確認するまでも無いと思いますが、如何致しますか?》

 《当然、助けに行くよ!》


 矢張りな。
 主なのはとはやて嬢が、今のを聞いて放って置く筈が無い。

 恐らくは友人の2人とフローリアン姉妹も来るだろうな。


 ふぅ――闇の書の蒐集に関しては又後でだ。
 今は主と供に行くぞ!

 「ザフィーラ、お前は主とはやて嬢を運んでくれ!」

 「心得た。」


 先ずは、目の前の厄介事を片付ける!
 全ては其れが済んでからだな。








 ――――――








 Side:なのは


 「凄い!ザフィーラ速い!!」

 「いや〜〜ん、おっきな動物の背に乗って走る…夢が叶ったわ〜〜♪」


 良かったねはやてちゃん♪
 ザフィーラは大丈夫?2人で乗って重くない?


 「此れ位ならばマッタク平気です…ですがソロソロ現場に到着しますので気を引き締めておいて下さい。」

 「「うん!!」」

 
 ……見えた!『槇原動物病院』!
 ってアレ?

 「アミタさんにキリエさん!?」

 「アリサちゃんとすずかちゃんまで!
…そか、皆も声を聞いたんやな?」

 「そー言う事。ほっとけないじゃない?」


 だね。
 フェレット君は無事だと良いけど…


 「病院の周囲に隔離結界が発生しています…シャマル。」

 「任せて。結界の一部を解除したから其処から入り込めるわ。」


 流石はシャマル!
 サポートの腕は超一流だね……それじゃあ突撃!!


 「…うそ、何これ…」

 「病院が滅茶苦茶…!!」

 「マジかよ…結界内の破損は外には影響はねぇが此れは幾らなんでも…」


 酷すぎる…もし現実世界だったら…!!


 ――バガァァン!!


 「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」

 「ガァァァァァァァ…!!!」


 アレは、夢に出てきたモンスター!
 本当に存在してた……やな予感が当たっちゃったなぁ。

 「シグナム!ヴィータちゃん!!」

 「お任せを!」

 「おうよ!ぶっ叩いて黙らせる!!」

 「おっと、私達も忘れちゃダメよ〜〜ん?」

 「お父さんの研究成果、披露する時ですね!」


 アミタさんとキリエさん?
 博士の研究成果って……若しかして魔法が!!


 「その通りです!行きますよ!!」

 「せ〜〜の!!」

 「「リライズアップ!!」」


 ――キィィィン…


 !!アミタさんとキリエさんの服が変わった!!
 それに其の武器は…


 「防護服とデバイスです。
  前に騎士さん達から採らせてもらったデータを基に、お父さんが作り上げたんです。」

 「相変わらず凄い人ですね、グランツ博士…」


 本当に凄すぎなの。
 けど此れなら…スイマセン、アミタさんとキリエさんもお願いします!!


 「任せてください!」

 「ちゃっちゃとやって終らせよう〜〜CYO!」


 うん、戦闘は取り敢えず。
 フェレットの子は何処だろう?シャマル、見つかった?


 「え〜と…見つけ…った!!」

 「うわぁ!?」


 あ、旅の鏡で『お取り寄せ』。
 大丈夫、フェレット君!!


 「貴女達は…来てくれたんですね…」

 「救難信号キャッチしたら当然やん。怪我は…大丈夫そうやな。」


 うん、無事でよかった。
 安心して、あのモンスターはシグナム達が対処してるから。


 「あの4人の人達が?」

 「そうよ〜?しかもそのうち2人は闇の書の最強騎士よ!負ける筈が無いわ!」

 「えぇ!?闇の書って…なんかトンでもない単語を聞いた気がするけど…でもアレじゃダメだ。
  アレは、只攻撃するだけじゃ倒せない…ジュエルシードは封印しなきゃダメなんだ。」


 封印て……具体的に如何すれば良いの!?


 「貴女達にも魔力がある…僕が持ってる2つのデバイスを貴女達の内2人が使えれば或いは。
  この2つは僕には使いこなせなかったんだけど、君達なら…」


 此れは、あの赤い宝石と蒼い宝石?
 此れがデバイスなんだ…


 「なんやシンプルな……此れをドナイすればえぇの?」

 「起動の呪文とかが必要なのかな?」

 『『……Set up.』』


 え?


 ――カッ!!


 ふえぇぇ!?な、何行き成り!?
 私が赤、はやてちゃんが蒼をてに取ったら光が……って服が変わってる!?


 「ちょっと、レイジングハートもアロンダイトも何してるの!?」

 『黙ってください駄フェレット。この方ならば私を完璧に使いこす事が出来ます…起動の呪文など不要ですよ不要。
  初めましてお嬢さん、インテリジェントデバイス『魔導師の杖』レイジングハートです。』



 はぁ、初めまして…なの。


 『もう少し俺達を使いこなして欲しかったぜユーノ。まぁ、おかげで俺を使いこなせる嬢ちゃんと会えたがな。
  人格搭載型アームドデバイスのアロンダイトだ。宜しく頼むぜ?』


 「はぁ?…ご丁寧にどうも……てかなんやねんこの超展開。
  此れはつまりアレか?其のフェレット君には使いこなせなかったデバイスが、私となのはちゃんが触れた瞬間完全起動。
  で、私となのはちゃんがデバイスの持ち主に選ばれた……って事やろか?」

 「そうだと思うな…凄いね2人とも。」


 凄いって言うか何ていうか…
 あ、私は高町なのは。皆は『なのは』って呼んでくれるの。
 でも、私が持ち主で良いのレイジングハート?


 「アロンダイトも私が持ち主――マスターってのでえぇの?」

 『勿論です、なのは…いえ、Masterと呼ばせていただきますね。
  そちらの2人も見事な魔力を持っていますが、残念ながら私達との相性は余り良くないようですので…』

 『俺達みたいなオンリーワンのデバイスは、扱える奴が限られてくるんだ。
  要するに大将となのは嬢ちゃん以外には俺達は使いこなせねぇのさ。』


 成程……うん、解った!
 宜しくね、レイジングハート!


 『All right.My Master.』

 「アロンダイトも宜しくしてな?」

 『おうよ!!』


 そうと決まれば早速封印!
 レイジングハート、私はどんな魔法が使えるの?


 『Masterには射撃と砲撃の才能が有ります…私は其れに特化したデバイスですので。
  反対にアロンダイトはクロスレンジ戦闘を得意とするアームドですので…はやてが前衛、Masterが後衛というスタイルが良いかと。』


 「OK!はやてちゃん!!」

 「任せとき!行くで、アロンダイト!」

 『おうよ!!行くぜ大将!!』


 はやてちゃんがシグナム達と一緒に露払いをしてくれたところに、強烈な一発を叩き込んで封印だね。
 しかもフェレット君…ユーノ君の話だとアロンダイトも封印の力は有るから、より効果的な攻撃が出来るはず!


 あ、シグナム達が驚いてる…にゃはは、当然だよね。
 ザフィーラ、このまま背中を失礼するね?


 「構いません……む、主には指一本触れさせぬ!!」


 流れ弾…!見事なのザフィーラ。



 「とりゃぁぁ!!一刀両断や!!」

 紫電…一閃!!!

 「ぶぅぅち抜けけぇぇぇぇぇ!!!」

 「「ファイネストカノン!!」」


 うん、皆も見事な連携!
 波状攻撃で…見えた宝石、アレがジュエルシード!


 「主なのは、今です!!」

 うん、 レイジングハート!


 『All right.Sealing mode.Standby, ready.Set up.』

 「封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード!!
  全力全開!ジュエルシード、シリアル21――封印!!」

 『Sealing. receipt number XXI.』


 いっけぇぇぇぇぇぇ!!!



 ――ドォォォォォン!!!!…シュゥゥゥ…



 「ななななな、こんな魔力砲、見た事ない…」

 「流石はなのはちゃん♪私達の主様ね♪」

 「魔法?魔砲よねアレは最早…」

 「凄いなぁ…」


 いや、自分でもこんな凄いのが放てるなんて驚きなの。
 取り敢えず封印できたのかな?


 『お見事ですMaster。ジュエルシードは見事に封印できました。
  回収して下さい、私自身に収納して保管しますので。』



 了解…ん?どうしたのヴィータちゃん?


 「あのさ、収納する前にちょっと闇の書かして?」

 「闇の書を?」

 良いけど…如何するの?


 「…………」

 「ヴィータちゃん…?」

 「…闇の書、蒐集。」

 「え?」

 ちょっと待って!何で闇の書の蒐集を!!
 蒐集はしないって約束だったよね?其れなのになんで……


 「ゴメンなのは…けど、コイツは純粋な魔力の結晶なんだ…どうしても蒐集したいんだ…しなきゃダメなんだ!!
  他の誰かには絶対に迷惑はかけねぇ!!だから蒐集するのを許してくれなのは!」

 「迷惑は掛けないって…でもなんで!!」

 「闇の書を完成させないと…完成させないと、なのはが死んじまうんだよ!!
  そんな事は…なのはが死んじゃうなんて絶対ヤダ!!」


 え?……私が、死ぬ?
 闇の書を完成させないと、私は…死んじゃう?……ど、如何言う事なの…?













  To Be Continued…