Side:なのは
まさか発作が起きて検査入院だなんて……病院でクリスマスなんて言うのは少し落ち込みそうだけど……
「其れでな?お頭は何と野球が大好きになってな……シーズン中は、中継を見ながら晩酌していたくらいだ。」
「天下の織田信長さんが、野球好き……歴史研究家が知ったらびっくり仰天ですね!?
……因みに贔屓のチームってあるんですか?あるとしたら其れは何処のチームですか!?」
「お頭の贔屓は、セでは阪神、パでは西部……虎と獅子が贔屓のご様子成り。」
どっちもネコ科の猛獣ですね。
と、こんな感じで信長さんの配下である隼人さん達が、私の護衛を兼ねて居てくれるからそんなに落ち込んでない……寧ろ話相手が居て楽しいかも♪
信長さんの意外な側面を聞くのは楽しいし、私もシグナム達の事や私自身の事を話すのは楽しいからね。
「なら良かったぜ――なのはちゃんを退屈させない事も俺等の仕事だからな?」
「しかし……なのは様の話も興味が付きませんが、シャマル様が料理が全くダメと言うのは意外でした……」
「つーか、バターと小麦粉と砂糖を混ぜ合わせて焼くだけの菓子を作ろうとして、謎の新生物を生み出すたぁどうなってやがる?
あのパツキンの姉ちゃんは、暗黒の錬金術でも身に付けてんじゃねぇだろうな?」
其れはないと思います――と、自信を持って言えないのが悲しいですよシャマルのクッキングタクティクスは……
お母さんが指導したのに、改善するどころか寧ろ悪化するなんて、此れはもう絶対に向上は望めないし、矯正は不可能レベルなの……アレはダメだよ!
人は見かけによらないとは言うけど、シャマルはある意味でその典型かもしれないね……
魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜 夜天48
『Saint night Prelude Battle!』
Side:はやて
あっと言う間に時は過ぎ去り、何時の間にやらクリスマスイブの12月24日!
本日の翠屋の厨房は宛ら戦場の如くやな?
クリスマスイブって言う事で、来客は何時もより多い上に、クリスマスケーキ購入目的の客の多い事多い事……ケーキの生産が間に合わん位や。
まぁ、其れでも滞りなく店内を回転させとるんは流石は桃子さんと言ったところやね……シグナム達が尽力しとるのも大きいけどな?
でもってもう1つの理由は私等や。
今日はなのはちゃんの病室でイブを祝う事になってるんやけど、そのクリスマスケーキを作るのは私とアリサちゃんとすずかちゃんの役目や!
設計図は出来てるし、ケーキの作り方は桃子さんから習ってるからそんなに難しい事は無いんやけど……
「何やねん3段重ねのデラックスショートケーキ・クリスマススペシャルバージョンて!!
取り敢えず土台のスポンジは大・中・小の3つを焼き上げたけど、此れから先のデコレーションはドンだけ!?設計した奴出てこいや〜〜〜〜!!!」
「言っちゃ悪いけど、このケーキの設計図を作ったのはアンタだからねはやて?」
「変更は聞かないって言ってたから、このまま設計図通りに作るしかないよ……」
私が元凶やった〜〜〜〜〜!?
うぅ、ドラ○もんが居るんやったら、タイムマシンで過去に戻って安易な提案した自分自身をシバキ倒してやりたい気分や……まさか此処までとはなぁ…
「だけど、私達が頑張ればなのはも喜んでくれるよね?」
「あったりまえよフェイト♪
なのははあの性格だから、私達が心を込めて作れば例え見た目は不出来でも、その奥底に在る物を感じ取ってくれるわ!!だからガンバよ!!!」
おぉっと、良い事言うなぁテスタロッサ姉妹は♪
確かに四の五の考えるよりも、先ずはやってなんぼ――入院中のなのはちゃんを楽しませたる事が第一やね。
となれば此処から全力で飛ばすで!!!
1段目にサンドするのはイチゴで、2段目は色合い的にはブルーベリーやろか?3段目は桃子さん特製のシロップ漬けの杏子やね♪
クリームを塗って……さて、飾りつけやけどクリスマスやから砂糖菓子やメレンゲのサンタやトナカイは外せへんとして……他に何かあるか〜〜?
「そうね?……一番上には、私達のデバイスをデフォルメしたメレンゲ菓子とかどうよ?
此れならそんなに成形は難しくないし、少し変わった感じがしていいんじゃないかしら?」
「OK!その案貰いやアリサちゃん!!」
下段にはカットしたフルーツ、中断には砂糖菓子とメレンゲ菓子、最上段にアリサちゃん提案のメレンゲ菓子を加えて…で、ロウソクを立てて完成や!
なのはちゃんは喜んでくれるかなぁ?喜んでくれるといいなぁ♪
「ねぇねぇ、はやて……」
「ん?ドナイしたのヴィータ?」
「これ……作ってみたんだけど……」
板チョコ?……ホワイトチョコで何か書いたんやろうけど――此れはまた……
『メリークリスマス。早く元気になってねなのは。
ヴォルケンリッター一同』
ホンマにヴィータは良い子やななぁ?
「だってなのはには一日でも早く元気になって欲しいからさ……」
「せやなぁ……ほな、此れはケーキの最上段に飾ろか?
此れを見たらなのはちゃん嬉しくなって、若しかしたら其れだけで元気になって検査入院終了!なんて事になるかも知れへんからね♪」
さてと準備は万端!後は夕暮れを待つだけや♪
病院でのパーティには石田先生も参加する言うてるし、此れは予想外に盛り上がるかも知れへんなぁ♪
まぁ、アミタさんとキリエさん、其れと博士が何やら事情があって参加出来へんのは残念やけど、其れは其れとして楽しまなアカンよね♪
なのはちゃんの為にも最高の聖夜のイブを演出してみせるで♪
――――――
Side:グランツ
で、出来た……夜天の魔導書の不具合を完全に治す為のワクチンプログラムが……!!
書が完成した後にこのプラグラムをインストールすれば、夜天の魔導書のバグは全て綺麗サッパリ無くなる……此れでなのは君も大丈夫なはずだ。
だけど流石に1週間での合計睡眠時間が3時間て言うのは堪えたなぁ……サポートしてくれた所員の皆やアミタとキリエには大感謝だねマッタク。
或は、彼が協力者としていたのならばもっと時間を短縮できたのかもしれないけど、此ればっかりはどうしようもないか……
そう言えば、大学を卒業してから連絡を取っていないけど、君は一体今、何処で何をしているのかなジェイル?
折角思い出した序でに、今度連絡を取ってみるか…
「パパ〜〜、いい加減研究室から出てきなさいって!今日はイブ、そんな日にまで研究に没頭する事ないんじゃないの〜〜〜?」
「折角ですからイブのパーティを楽しみませんかお父さん?
所員の方々も待ってますし、私とキリエで腕によりをかけてご馳走を作ったので、一息入れる意味でも如何でしょうか?」
あれ?クリスマスイブって今日だっけ!?
あっちゃ〜〜〜〜……すっかり忘れてたよ……若しかしてアミタとキリエにはパーティのお誘いとか来てたのかな?
「せ〜〜か〜〜い。
はやてちゃんからお誘いがあったんだけど、パパが此れだから『事情がある』って事で丁重にお断り申し上げたわよ〜〜〜ん?」
「うっわ〜〜〜……何と言うか凄く申し訳ない……ゴメンね2人とも?」
「何を仰いますか!
確かになのはさん達とのイブパーティには心躍りましたが、この研究所の皆と共に聖夜を過ごすと言うのも良いじゃないですか♪」
そう言って貰えると救われるなぁ〜〜……ホントに僕は良い娘を持った者だよ――無論職員にも恵まれているけれどね。
まぁ、折角だから参加しようかな?丁度プログラムも完成した事だしね。
「プログラムって…夜天の魔導書用のワクチンプログラム?
其れが完成したって事は……なのはちゃんと夜天の魔導書は大丈夫!?正常起動のS・J・K〜〜〜〜!!!」
「此れを作る為にお父さんは……ですが、此れが出来たのならば多少の無理にも目はつむります!!」
かな〜〜り頑張ったからね僕も。
まぁ、其れだけに効果の方は保証するよ?此れを夜天の魔導書に打ち込めばそれで全てが万事解決さ。
だけど……其の筈なのに、如何にも消えてくれないこの嫌な予感は一体何なんだろう?
まるで『聖夜に最大の危機が訪れる』とでも言わんとするようなこの嫌な気配は……願わくば僕の思い過ごしで有って欲しんだけどねぇ………
――――――
Side:なのは
はぁ〜〜〜〜……病院でのイブって言う事で、正直な事を言うと少しばかり気が滅入ってたんだけど、そんなのは一瞬で吹き飛んじゃったよ。
はやてちゃん達が丹精込めて作ったクリスマスケーキに、その頂に添えられたヴォルケンリッター皆からのメッセージ……凄く嬉しかった。
石田先生もパーティには参加してくれたから、思った以上に盛り上がったし、お姉ちゃんがカラオケマイク持って来てくれたから娯楽もあったからね♪
だけど、楽しい時間ほど早く過ぎるとは良く言った物で、時計を見れば午後10時………少しはしゃぎ過ぎたかな?
ヴォルケンリッターの皆と、信長さんの配下の人達を除いて、皆が家に帰った――まぁ、明日も色々あるだろうからね……
シグナム達も帰って良いよ?
隼人さん達が護衛はやってくれるから、何時までも此処に居る理由は無いでしょ?
「確かにその通りなのですが……如何にも嫌な予感がするのです――故に此処を離れる訳には行きません。」
「その美人さんの言う通りだぜなのはちゃん――どうにも嫌な予感がするんだよなぁ?
それこそトンでもない――取り返しのつかない事態が起きそうな予感が……って、怖がらせちまったかい?……ま、何が起きても何とかなるさ♪」
なるでしょうねこの戦力なら。
だけどシグナムが嫌な予感って言うのは見過ごせないかなぁ?
歴戦の騎士たるシグナムは、ヴォルケンリッターの中でも特にそう言った事に敏感だし――単なる気のせいで片付ける事は出来ないからね。
――ヴォン……
「「「「「「「「「「「「!!!!?」」」」」」」」」」」」」
此れは……封鎖結界!!!
「のヤロォ……仕掛けてきやがった!!」
「仕掛けて来たって――まさか!!!」
「恐らくは十中八九、嘗て襲撃して来た輩とみて間違いないでしょう……よもや聖夜に襲撃を掛けて来るとは余りにも不敬が過ぎます……
……何れにしても捨て置く事は上策ではない……如何なされますか主なのは?」
聞くまでもないよね?
ヴォルケンリッターは各自散開!敵を発見し次第、此れを撃破せよ!!
隼人さん達は――申し訳ありませんが私の護衛をお願いできますか?
流石に今の状態でレイジングハートを起動したとしても真面な戦闘は出来ないと思うので――
「まっかせなさい!!君の事は私達が護ってあげるわ♪」
「貴殿を護るが我等の任――ならば、その務めを果たさずしてお頭と会わせる顔もない……」
お願いします!!――シグナム!!
「御意に……守護騎士よ、我等が主に仇なす愚者に騎士の鉄槌を振り下ろせ!!
我等ヴォルケンリッター、我等が主『高町なのは』の為に、いざ戦場に降り立たん………故に戦い抜け!!死んでも生きて帰るの意思を忘れるな!
我等が力は、全て我が主の元にあり……ヴォルケンリッター烈火の将、シグナム――参る!!!」
「鉄槌の騎士ヴィータ……なのはに手を出す奴は問答無用でノシイカにしてやるぜ!!」
「なのはちゃんへの蛮行は許さない……リンカーコアを摘出されたい患者さんは来なさい?」
「我等守護騎士……全ては我等が主なのはの為に!!」
ザフィーラ……だから任せる事が出来るんだよ――お願いね皆!!
「「「「Jawohl.Meister Nanoha!!」」」」
シグナム達が打って出たなら此れはもう大丈夫だね。
お願い皆――負けないで!!そして無事に戻って来て、また私達と一緒に楽しい日々を過ごさなきゃ……私は信じてるからね皆の事!!
――――――
Side:シグナム
予想はしていたが、矢張り襲撃犯はお前達だったか――我等を模した中身なし騎士達よ。
多少はこの間よりも強くなったようだが、あの日から更なる鍛錬を継いだ我等の敵ではないだろうが――如何攻める、シャマル?
「あら?難しい事が必要かしら?
個人能力は当然の事として、総合力でも私達の方が遥かに上――退く理由は何一つ見当たらない――其れ所か退く事何て有り得ないでしょう?」
確かに撤退と言う選択肢は有り得ないし、退く理由は一切ないな。
それどころか、主なのはが楽しみにしておられたクリスマスイブに襲撃を仕掛けて来るなど万死に値する所業だ――!!!
「ヴォルケンリッターが将、シグナムの名に於いて再度命じる!
守護騎士よ、我等が主の平穏を乱す愚者に群雲の鉄槌を振りおろし、此れを撃滅せよ!!何が何でも、此処は絶対に護りきる!!!」
「言われるまでもねぇ……折角のイブを穢した奴に手加減なんて必要ないぜ!!」
「身の程知らず――とは言わないけれど、喧嘩を売る相手を間違えたわね?」
「我等の使命は主を御守りする事……その任を果たさずして守護獣の名は名乗れぬ!!」
そう来なくてはな――
「ちょお待って〜〜〜!!!」
「アタシ等を置いて行くな〜〜〜〜!!」
「私達も協力します!!」
「友達の為に………私とアリシアも……!!」
「手伝うよ〜〜〜!!
それに〜〜、戦力は多い方が良い!!……でしょ?」
はやて嬢にバニングスに月村……其れにテスタロッサ姉妹まで!!――此れは嬉しい誤算だ!!
我等に加えて此れだけの戦力が終結すれば、仕掛けてきた連中とて塵芥――或は其れ以下にしかなり得んだろう――戦闘力に関してはな。
寧ろ負ける理由が見当たらない――このまま勢いに任せて一気に押し切ってくれる!!
我等が主には指一本触れさせぬ……!!
我は守護騎士……何があろうとも貴女を御守りしますよ、主なのは。
さぁ、来い――意思なき人形達よ!
……我が紅蓮の炎で地に帰るが良い!!覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ……焼き尽くせ飛竜一閃!!!!
――ドガァァァァアァァァン!!!
絶対に通してなるモノか……!!
我等が力は主の為に!!――そして生きて主の元に帰る為にも、手加減一切不要――我がレヴァンティンの錆としてくれるぞ襲撃者共!!!!
To Be Continued… 
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