Side:なのは


夏休みも残すところ1週間――今年の夏休みは、ヴォルケンリッターの皆が一緒に居たせいか、今までよりも賑やかで楽しかったの♪

夏だからこそのイベントも皆とバッチリこなしたし、夏休みの宿題だって抜かりなし!何時2学期が始まっても大丈夫♪


「そやな……せやけど、なのはちゃんの言うように、今年は例年以上に充実した夏休みを過ごしたんやないかな私等?」

「まぁ言えてるわね……何となく、例年以上に突っ込み所が多かった気がしなくもないんだけどね……」

「あはは………だけど、本当に今年の夏休みは色々あったよね?
 なのはちゃんも魔法を使えば歩く事が出来るから、去年までは見てるだけだった『昆虫採集』みたいなものも今年は一緒に出来たし♪」


うん!其れが今年は一番うれしかったかな?
去年までは見てるだけだった事が、今年は皆と一緒に楽しむ事が出来たんだもん♪

此れも闇の書とレイジングハートのおかげだね――ありがとう、2人とも♪


『♪』

『いえ、マスターの為ならばアレくらいどうと言う事はありません……寧ろMasterが皆と一緒に楽しめていない事の方が辛い気持ちになりますよ。
 貴女が心から楽しめたのなら私も闇の書も本望です。貴女の為ならば私達はどんな事も出来ますよ。……駄フェレットからの通信をシャットアウトしたりね。



ほえ?レイジングハートが最後の方に何か言ったような……小声だったし独り言かなぁ?…だったらあまり聞かない方が良いね。



だけど、今年の夏休みは本当に色々あったなぁ……そう、例えば――












魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜  夜天36
『Summer Event Digest!!』











No Side


では、此れより今年の夏休みのイベントを幾つか掻い摘んでダイジェストでお送りしていくとしよう――と言うかダイジェストじゃないと無理だ!!
全部詳細を伝えていたら、夏休みだけで結構な話数を使ってしまうので容赦していただきたい!!

え?メタ発言をするな?キングクリムゾンしないで全部詳細にやれ?………其れは幾ら何でも無理ってものだ!
だって、空白期をダラダラ長くやって『次』に影響が出たら其れこそ問題であるからな……故に重ねて言うが、ダイジェストで御勘弁願いたいのだ!!

だが、伝えるべき事は確り伝えるのでバッチリ付いて来ていただきたい!!

では行こうか!!!!





・自由研究は自由なモノ


夏休みの宿題を、僅か3日で済ませたなのは達だが、其れはあくまでテキストやプリントの事、幾つかは一朝一夕で出来ないモノがあるのだ。


その一つが『自由研究』。
ある意味で小学生が最も頭を悩ませる宿題と言っても過言ではない――課題が与えられてない故に研究題材から探さねばならないのだ。

尤も、なのは達の周りには研究対象になりそうなモノには事欠かないので、題材に困る事だけはなかった。


「すずかちゃんはネコを研究題材にしたんだ?」

「うん、猫なら家に沢山居るし、1匹1匹見た目も性格も違うから、其れを纏めてみたら面白いと思って♪
 観察してみると、同種の猫よりも似たような模様の猫の方が性格が似通ってたりして――観察してるだけでも飽きなかったかな♪」

「すずかの家は海鳴でも有名な『猫屋敷』ですもんね〜〜〜。
 因みにアタシは、海鳴と他の市町村では夏祭や花火大会の出店にどんな差があるのか調べてみたわ!意外に違いがあって面白あったわね。」

すずかとアリサは中々独特な自由研究を行ったらしい……と言うかアリサの行動力が凄まじいが。

「私はタマモの行動観察日記だね♪」

「アタシは朝顔とヒマワリの成長記録だな。」

で、なのはとヴィータは結構普通……とは言っても観察ノートはグレードの高いカラーイラストも入っていて小学生の自由研究としてはレベルが高い。
そして残るはやては…

「私は此れや!!!」

「「「「!??」」」」

全員驚愕!その内容は……


『夫婦は何時まで新婚状態で居られるのか!?』


意味が分からない!と言うか此れは夏休みの自由研究なのだろうか?大体誰をメインに観察したのかまる分かりなのが何ともアレである。
内容は良く分からないが、兎に角インパクトだけは凄まじかった。








・工作ってのも人によって差が出るな


自由研究同様に一朝一夕とは行かないのがこれまた自由工作である。
特にこう言った事に経験がないヴィータは悪戦苦闘!何とかなのはやアリサの助言を貰い紙粘土で『ゴジラの貯金箱』を作る事にしたらしい。

工作でははやては真面にジャムの空き瓶を利用した風鈴を作成し、すずかとアリサは共同作成で海鳴公園のジオラマ。


「…ん〜〜〜…ちょっと博士の所に行ってくるね?」

そんな中なのはがイキナリグランツ研究所へ行くと言い、当然はやて達は何事かと思い其れを問う。

「なのはちゃん、何で博士の所に行くんや?」

「博士の所じゃないと、私が作ろうとしてる物は大凡作る事が出来ないからだよはやてちゃん!!」

「はぁ!?アンタ一体何を作る心算よ!?」

「宇宙用のマルチパワードスーツだよアリサちゃん!!その名もいんふぃn………」

「なのはそれはヤベェ!!!」

「それ以上はアウトだよなのはちゃん〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

危険なデッドゾーンを突破しないと見えない世界って言う物があるんだよ、ヴィータちゃん、すずかちゃん!!!

「もっともらしい事言うなや〜〜〜〜!兎に角それはアッカーーーーーン!!!!」

そして既に工作ではないと思う……思いたい――闇の書の主である高町なのはの考えは時に宇宙の彼方までぶっ飛ぶ事が有るらしい。(謎)








・昆虫採集で昆虫でないのを捕まえる奴が偶にいる


市街地は割と発展している海鳴も、郊外には自然が多く残っている――小学生の昆虫採集には持って来いの場所もある。
今年はなのはもレイジングハートを簡易機動(バリアジャケット未展開で魔法のみの行使)して、昆虫採集を行っている。

一応不測の事態に備えて恭也とシグナムが引率と言う形で一緒に来ているが。


そして全くの偶然だが、魔法に触れそれからトレーニングを積んできた事が意外にも昆虫採集に大きく役立っている。
カブトムシやクワガタの動きをモノの見事に見切り、素晴らしいまでの大量ゲットである!とは言っても持って帰れない分はリリースだが。
兎に角虫を取る手応えを楽しんでいた――のだが……


「なぁ、なのは……アレも虫なのか?…人の筈なのに妙に虫っぽい感じを受けるんだけどさ……」

ヴィータが指差した方向には……

「うひょひょひょひょひょ!俺はラーバモスを召喚!!!」

何か居た!!どっから湧いたのか何か居た!!分かり易く言えば、おかっぱ頭の『蟲野郎』が居た!!!てか何で居たんだろうね!?
して、この蟲野郎が居ると言う事は……


――ゴゴゴゴゴゴゴゴ……


「速攻魔法狂戦士の魂(バーサーカーソウル)・侍』狂戦士の魂(バーサーカーソウル)・騎士』を発動!!
 此れによりお兄ちゃんとシグナムは、私がドローしたモンスターカードの数だけ追加攻撃する事が出来る!!!!」

ハイお約束!!!そして、恭也とシグナムの同時連続攻撃なんて鬼だね♪

そして、この後筆舌に尽くしがたい地獄の連続攻撃が行われた事は言うまでもない……止める者は誰も居なかったがな!!!








・河原でキャンプと言えば、矢張り釣りです


河原でのキャンプ――アウトドアも夏のイベントとしてはよくあるモノだろう。
郊外にある河原でのキャンプも高町家の毎年恒例イベントの一つであり、士郎と恭也がテント張りなどで大活躍するイベントだ。

さらに今年はザフィーラが居るおかげで、例年以上に力仕事が捗ったのは言うまでもない。

そして河原でキャンプとくれば、魚釣りもお約束!!釣りたての川魚を焚火で塩焼きにすると何とも言えない美味しさなのだ。


「「……………」」

その釣りを行っているのはシグナムと恭也。明鏡止水の気持ちで、次々と釣り上げている。
だが、それ以上に凄いのがザフィーラだ。

「でりゃ!!ぬおぉりやあ!!!うおぉぉぉぉぉぉ……づえりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

何と川に入って、素手で魚を捕獲!!
裂帛の気合が込められた叫び声が響く度に、1匹、また1匹と魚が河原で待つなのは達の許に飛んでくるのだからお見事である。

其れに負けじと恭也とシグナムも……

「此れは……!!」

「大物だ!!!」

4倍体か?と思うくらいに大きなアユやヤマメを釣り上げていた――果たして海鳴の渓流はどんな環境であるのか大いに謎である。








・夏の夕暮れ夕涼み


少し風流に、夏の夕暮れの夕涼みと言うのも乙なモノである。
此れも毎年恒例となって居るのだが、月村家での夕涼みも中々に『夏の涼感』を感じさせてくれる貴重なイベントである。

まぁ、恭也だけは忍に抱き付かれているので果たして涼めているかどうか疑問は残るが……まぁ、嫌な訳ではないようなので放置していいのだろう。

「此れは此れで良いモノですね……陽が沈み、夜の帳が下りるまでの僅かな時間の涼を楽しむ……素晴らしいと思います。」

「でしょ?此れも日本人の知恵ってね♪」

騎士達も夕涼みを楽しんでいるらしい。


「へ〜〜〜…塩を掛けるとスイカが甘く……其れじゃあ早速!!」


――ドバッ!!


「……塩の中蓋が〜〜〜〜〜〜!!!」

「し、塩の西瓜が出来ましたね……」

「此れも一種のお約束〜〜〜〜?KIO〜〜〜〜〜〜♪」


そして、シャマルがキッチリとお約束をかましてくれた……スイカに塩をかけるだけでもクッキングデストロイが発揮されるとは恐るべしだ。








・ラジオ体操!!


「くか〜〜〜〜………地球に激突しそうだった巨大隕石をナノハちゃんがブレイカーで破砕して世界は平和に〜〜〜……」

「アレは絶対に寝てるわよね…?」

「でも、ちゃんと体操が出来てる…?」

「って言うか、夢の中で私は一体何をしてるんだろう……?」


もう何も言うまい。








――――――








Side:なのは


「……思い返してみると、此れって充実した夏休みって言うよりも『カオスな夏休み』よねどっちかって言えば…」

「でも、充実してたのも事実だし……楽しかったから良かったって言う事にしておこうよ?」


にゃはは……確かにちょ〜〜〜〜っとカオスだったかもね。
だけど、それでも今年の夏休みが何時も以上に楽しかったのは間違いないと思うんだ……きっと、こんな夏休みを送ったのは私達だけだと思うの♪


それに、こんなに凄い夏休みを過ごせたんだから、2学期もきっと楽しい事が有ると思うんだ♪


「せやなぁ……夏休みを楽しめんと、1年で1番長い2学期を乗り切るんは、ちょぉ難しいかも知れへんよね〜〜。
 夏休みでテンション上げて、2学期に挑む!此れは基本やからな!!!
 なんや、其れ踏まえたら私等2学期も無敵なんと違う?海聖の五聖王は2学期も快進撃バリバリや♪」


だよね♪


それじゃあ、はやてちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん、ヴィータちゃん………2学期も全力全開で張りきって行こうね!!!!


「「「「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」」」」





そして瞬く間に1週間が過ぎ、2学期が始まった。








だけど、この時は私を含めて誰も気付いていなかった………A'sの扉は既に開かれていたって事に。


そして、私自身が闇の書の真の宿命と宿業に本当の意味で向き合う事になるなんて事は――誰も、想像すらしていなかったの……













 To Be Continued…