Side:なのは


 ――ユサユサ…


 ん……もう、朝?あふ…おはよう闇の書。


 「♪」――スリスリ

 「にゃはは、起こしてくれてありがとう。貴女にも意思はあるんだね♪」

 「〜〜♪」


 ハードカバーの本が宙に浮いて動いてるなんて不思議な感じだけど、なんか嫌な感じはしないの。
 何て言うのかな、とっても優しい感じがするって言うか…兎に角不思議な感じなの。

 「今日は皆の服を買いに行くんだけど、どんなのが良いかな?」

 「〜〜!!〜〜〜♪」


 私が選んだものならシグナム達は喜んで着るって?
 う〜〜ん、出来れば皆の好みの物が良いんだけどなぁ〜…


 「…?……!!」

 「どうせ服の事なんて分らないから選んであげて下さい?…うん、分った。」

 「♪」


 あれ?そう言えばなんで普通に闇の書と意思の疎通が出来てるんだろう?……まぁいっか♪










 魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜  夜天3
 『誰が為に服は買う?』










 さてと、ヴィータちゃんはやてちゃん起きて、朝だよ?


 「あふ…なんやもう朝?ん〜〜〜よう寝たわ〜〜…おはよ、なのはちゃん♪」

 「あう〜〜…はよぉ〜〜なのは〜〜はやて〜〜…」


 …ヴィータちゃんはまだ寝ぼけてる?
 はやてちゃん!


 「了解や!せ〜〜の!!」


 ――ビロ〜〜〜ン


 「いらい…」

 「良く伸びるなぁヴィータのほっぺ…」

 「ソレでも全然効果無いの…」

 取り合えず顔洗ってきて?
 ちゃんと目は覚まさないとダメだよ?


 「お〜〜〜…」



 「…なんちゅうか、大凡騎士とは思えん目覚めやね。」

 「だね〜…でも可愛いよね?」

 「そら当然やろ!寝ぼけ眼に寝癖つき幼女…可愛いに決まってるやん!!」


 やっぱり分る?
 あのヴィータちゃんは萌なの!この上なく萌なの!!異論は一切認めないの!!

 って、朝から妙なテンションは自重だね。
 先ずは着替えないとだね。


 「やな、ほな車椅子を…「なのは起きてるーーー!?」――どぅおわ!ノックぐらいせいやアリサちゃん!!」

 「あの、ゴメンねなのはちゃん、はやてちゃん?」


 ううん、大丈夫だよ。
 2人とも良く眠れた?


 「当然よ、高町家は来客用の寝具もバッチリよね、家のベッドより寝心地良いわマジで。」

 「よ〜く眠れたよ♪」


 それなら良かったの。

 アリサちゃんとすずかちゃんは、昨日そのまま家にお泊りしたの。
 だから今日のお買い物も一緒に行く予定。

 大勢で出かけるのは楽しいね♪


 「ソレは良いんだけど、シグナム達は何を着させて外出させる気?
  桃子さんや美由希さんの服じゃ入らないわよ?流石にあのインナー姿で行かせる訳じゃないでしょ?」

 「うん、シグナム達には翠屋の店員服で行ってもらおうかなって思ってるの。エプロン無しなら普通の服だし。
  ヴィータちゃんは私かはやてちゃんの服で大丈夫だしね。」

 「ザフィーラは犬形態で付いてくれば全く問題無しやしな。」

 「ザフィーラさんは狼だよはやてちゃん?」


 なはは…はやてちゃん犬飼うのが夢だったから仕方ないかも。


 「なのは、はやて、顔洗ってきた!あ、アリサとすずかもおはよー!」

 「はよ〜、朝から元気ねアンタは。」

 「いや、アリサちゃんがそれ言うんかい?」

 「ふふ、おはようヴィータちゃん。」


 すっかり目が覚めたね。
 んっと…よし、着替え終り!朝ごはんにしようか?






 と言う訳でリビングに……何だけど…うん、予想はしてたよ?
 シグナムの性格とお兄ちゃんの性格を考えれば何時もの朝錬で模擬戦するんじゃないかとは思ったの。

 だけど、だけどねぇ……

 「どこの世界にそんなボロボロになるまで模擬戦をする人が居るのかなぁ?かなぁ?」

 「す、スミマセン。軽い手合わせの心算だったのですが、恭也殿が余りにも手強いのでつい…」

 「魔法ってのを使わなくても相当に強かったからつい手加減を忘れて…」

 「だから言ったのに…シグナムも恭也君もやりすぎよ?」


 シャマルの言う通りなの。
 模擬戦は良いけどやりすぎはダメ!


 「はい、気をつけます…」

 「…善処しよう。」


 何となく不安なの…言うだけ無駄かなぁ?
 シャマル、傷治りそう?


 「此れくらいなら全然平気よ、回復や補助が私の本領ですもの♪」

 「お願いね?お出掛けするのにそんな傷あったら大変だもん。」

 「は〜い、シャマル先生にお任せあれ♪」


 先生…なんかピッタリかも。

 あ、そうだ、今日のお買い物お兄ちゃんも一緒に来てくれるかなぁ?


 「俺も?予定は無いから別に構わないが……なんでだ?」

 「ザフィーラの服。
  女の子の感覚だけで男の人の服を選ぶのは如何かと思うの。」

 「我が主よ、私は平時は狼の姿で居れば服は必要無いのでは?」


 ダメ、ザフィーラも家族だから基本は人間状態で居てほしいの。
 そうなるとやっぱりお洋服は必要だもん。


 「そう言うものですか…」

 「そう言うもんよ…諦めなさい、なのはは決めたらガンとして譲らないから。」

 「うむ…此度の主は意志が強固であると言う事か…」


 褒められてる……んだよね此れは?
 で、ダメかなお兄ちゃん?


 「いや、俺のセンスで良いなら付き合うさ。
  ソレに、大事な妹の頼みを無碍にするのも気が引けるしな?」

 「うん、ありがとうお兄ちゃん♪」

 それじゃあ朝ご飯食べて一休みしたら出発だね♪








 ――――――








 Side:すずか


 「やっぱりシグナムにはクール系の方が良いかなぁ?」

 「シャマルには落ち着いた感じ+可愛いが合いそうやね♪」

 「ヴィータはこんな感じのが似合うんじゃない?」

 「あ、其れカッコイイ!!」


 と言うわけで、只今服屋さんでお買い物中♪
 なのはちゃんもはやてちゃんもアリサちゃんも皆真剣、勿論私だって真剣だよ?

 シグナムさん、こんなのは如何ですか?


 「あぁ、悪くないな。動きを邪魔する事も無さそうだ。」

 「ん〜〜…でもパンツルックだけじゃ物足りないかな?やっぱりスカートも…タイトスカートなら行けるかな?」

 「その辺は美由希殿にお任せしますが…」


 美由希さんも楽しそう。
 私達のほうは多分良いと思うけど……恭也さんは大変そう…


 「…既製品だとザフィーラのサイズに合うのは此れだけか……Gパン3本とシャツ5枚…仕方ないか…」


 ザフィーラさん大きいから。(汗)
 当のザフィーラさんも狼形態で店の外で待ってるから意見聞けないのも…

 けど、ザフィーラさんは服に拘るタイプには見えないから多分大丈夫じゃないかな?


 「なのは、なのは!アタシ此れが良い!」

 「『のろいうさぎ』のプリントシャツ?良いよ、ヴィータちゃんが選んだんだもん♪」

 「やったーーー♪」


 ヴィータちゃん嬉しそう。
 のろいうさぎの魅力が分るなんて中々だね。


 「やなぁ、可愛いのと怖いの紙一重やからね。」

 「其れが意外と人気なのよねアレ。」


 でも良く似合ってるかも。




 此れで大体選び終えたかな…清算して、うん、お買い物終り。
 良いお洋服が買えたね?


 「うん!すずかちゃんとアリサちゃんも手伝ってくれてありがとう♪」

 「良いわよ、アタシ等がやりたかっただけだから。」

 「私も楽しかったから。」

 其れに大勢でお買い物なんて久しぶりだから楽しめたよ?
 一番楽しんでたのははやてちゃんと美由希さんかもしれないけど。


 「「否定はしない!」」

 「やっぱり…ノリノリだったの…」

 「あはは…」

 でも良いよねこう言うの♪
 お買い物終ったら一端家に帰らないとだけど……「ま、待ってーーー!!返してーーー!!」…え?


 「へへ、バッグは貰うぜオバサンよぉ!!」

 「ぼさっとしてる方が悪いんだぜ?ひゃっはーー!!」


 引ったくり!!
 捕まえなきゃ!!


 「任せろ!!」


 恭也さん?


 「あぁ、んだテメェ!!」

 「問答無用!!おぉぉりゃぁぁ!!!」


 ――ドバァァン!!


 背負い投げ!!凄い、完璧に決まっちゃった…あ、でももう1人…!!


 「恭ちゃんちょっと失礼!!」


 ――タンッ…ガスゥゥゥ!!!


 「「「「シャイニング・ウィザード!?」」」」


 美由希さんも凄い…恭也さんを踏み台にしてアレを決めるなんて…


 「シャイニング・ウィザードは相手の片膝を踏み台にする技に非ず。
  踏み台に出来る物は何でも使用して放つのが真髄よ♪」

 「お見事です、美由希殿。」

 「美由希スゲー…」

 「あぁ、中々良い技だったな。」


 皆も感心してる。
 取り敢えず取り押さえてお巡りさんに通報を…


 「舐めんなオラァ!!」


 !!もう1人!!標的はなのはちゃん!!
 なのはちゃん!!


 ――ゴスゥ!!


 「ごへ!?」

 「え?」

 襲い掛かった人の方が苦しんでる?
 襲ってきた男の人のお腹……アレは、闇の書!!
 若しかしてなのはちゃんを護ろうとして自動的に動いた…?


 真相は分らないけど、此れであの人も暫く動けない…


 「の野郎!!舐めんな!!」

 「悪いが主なのはには指1本たりとも触れさせはせん。
  それ以前に、我等が主はお前のような薄汚い輩が触れて良い御方ではない…身の程をわきまえろ。」

 「シグナムさん…」

 「間一髪ね…」


 更にシグナムさんが腕をひねり上げて…此れでもう大丈夫かな?



 「いや〜ありがとうね〜…助かったよお嬢ちゃん達…全く人様の物を盗むなんてトンでもない連中だよ。」

 「あぁ言う輩は少なくないので気をつけてください。なんなら家まで送りましょうか?」

 「いんや、ソレは大丈夫、気をつけて帰るさ。」

 「なら良いんですが…お気をつけて。」

 「はいはい、ありがとうね。」


 取り敢えず大事になる前に解決で…良いよね。
 なのはちゃんの家族は、本当に皆凄い人達だね。


 「時々『本当に人間なのか』って思う事があるの…」

 「やる事なす事超人的やからなぁ…」

 「でも其れが逆に頼りになるよね。」

 「うん、そう……だね♪」


 家族が頼りになるって良い事だよなのはちゃん、はやてちゃん。
 頼りになる人が居るから全力で色々出来るから。


 「「そうだね。」やな。」





 程なくお巡りさんが来て、引ったくり犯はそのまま御用。
 後には何時もの商店街の雰囲気が戻ってきた、凄いなぁ皆。

 「ん?」

 「…………」


 猫?何時からいたんだろう?…如何したの?


 「……にゃ〜お…」

 「あん、ネコ〜〜!」


 逃げちゃった…そういえばあんまり見ない猫だったけど…誰かがペットして飼ってるのかな?
 綺麗な感じがしたから飼い猫だと思うけど…



 それにしても…あの猫は何時の間に居たのかなぁ?………








 ――――――








 Side:???


 此れはもう決まりだな、書の主は『高町なのは』…なんで…如何してあんなに良い子が…!
 あんな子を氷漬けにするなんて…アタシには出来ない……!

 でも、だけど…!

 「やるしか無いのか?…アリア、アンタならこんな時如何する…」


 兎に角暫くは静観するか。
 あの子が自分の欲望の為に、闇の書の蒐集を行うことは無いだろうしね…


 同時に静観中に考えないといけないね……あの子を氷漬けにしないで闇の書を封じる方法を…




 果たしてそんなモンがあるかどうかは、サッパリ分らないけどね…













  To Be Continued…