Side:なのは


 うん…此処は?
 確か、あの本が…行き成り動いて、それで4人の人が出てきて…


 「おはようございます、我が主…」

 「へ?」

 だ、誰?


 「お初お目にかかります…私は、この夜天の魔導書の管制融合騎です。
  貴女は此度、正式に夜天の魔導書の主となられました。
  4人の騎士と魔導書は、貴女の知恵と力となり御身に尽くさせていただきます。」


 銀髪で紅い目のお姉さん…凄く綺麗なんだけど、何だろう…とても寂しそうなの…


 「お伝えしたい事は星の数ほども有るのですが、この微睡みの時が終われば、貴女は私が伝えた事の殆どを忘れてしまわれるでしょう…」

 「そう、なんですか?と、言うかなんか不思議な感じです。
  貴女とは初めて会った筈なのに、初めて会ったような気がしないです…」

 「ソレは、この動かぬ本の姿ではありますが、貴女が御幼少の頃より共に過ごさせていただきました。」


 成程、納得なの。……あ、アレ?


 「どうやら、微睡みの時が終わるようです。
  もう、会うこと叶わないかも知れません――ですが1つだけ…あの優しい騎士達は此れまで望まぬ戦いを続けてきました。
  どうか、あの子達に優しくしてあげてください……そして何よりも、貴女自身が幸福でありますように…」

 「あ、待って!待って下さい!!」

 待って、未だ消えないで…!!










 魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜  夜天2
 『守護騎士ヴォルケンリッター』










 !!!
 ……あ、れ?此処は…私の部屋?


 「目ぇ覚めたか、なのはちゃん?」

 「気分は如何よ?」

 「頭痛かったりしない?大丈夫?」


 はやてちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん……うん、大丈夫。
 心配かけてごめんね?


 「本当に吃驚したわよ……行き成り知らない人がなのはとはやてちゃん達連れて現れるんだもん。」

 「はやてちゃん達が一緒じゃなかったら、その場で彼女達を取り押さえていただろうな…」


 お姉ちゃんとお兄ちゃんも…心配かけてゴメンナサイ。


 「良いよ無事なら♪」

 「ソレよりも問題は…」

 「うん…」

 ベッドの傍で跪いてるお姉さん達…やっぱり夢じゃなかったんだ。
 あの、顔を上げて下さい。


 「ハッ!」

 「あ、あのそんなに畏まらないで下さい!えと…」

 「ヴォルケンリッターが将、シグナムです。お見知りおきを、我等が主よ。」

 「へえ!?」

 あ、主って…私が!?そ、そんなちょっと行き成りすぎるの!
 大体なんで私が、主なんですか!?


 「ソレについてはこれから説明してもらうさ、父さん達も交えてな。
  先に聞いておきたかったんだが、彼女達がなのはが目覚めてからというモンでな…」

 「ホンマ、この2人はなのはちゃんに付きっ切りやったで?」


 そうなんだ…あ、そう言えばあと2人居ますよね?
 犬耳生やしたお兄さんと赤毛の女の子!!


 「犬耳とは……んん、あの2人ならば御両親の方の護衛に。
  まぁ、この世界は平和なようですので不要かもしれませんが、一応。」

 「そうですか。」

 「まぁ、良いじゃないなのは。
  先ずは色々分からない事聞いちゃいましょ?アタシとすずかも聞かせてもらうから!」

 「良いかな、なのはちゃん?」


 勿論良いよ?
 皆一緒にアレを体験したんだもん、聞かない方がありえないの。


 「そらそうや♪ほなリビング行こか?」

 「うん、じゃあお願いねはやてちゃん♪」

 「任せとき♪」


 家の中で私の車椅子押してくれるのははやてちゃんの役目。
 何て言うか安心できるの……家の中では。

 外だとなんでアリサちゃんと一緒にフルスロットルなのかなぁ?


 「「血が騒ぐ!」んや!!」

 「…安全運転でお願いなの。」

 「「善処はする!!」」


 あのねぇ……まぁ、此れも信頼してるが故に出来る事なんだけどね。
 さて、リビング到着…?……アレ?


 「…ヴィータ、お前何をしている?護衛は如何した?」

 「っせーな、ちゃんとやってたよ。護衛のご褒美貰ってただけだ。」


 赤毛の子が口の周りにクリーム付けてシュークリームをむしゃむしゃと…
 ほら、口の周りに付いてるよ?慌てて食べるのは良くないの。


 「あぁ…スマねぇ…じゃなくてスミマセン…」

 「いいよ、畏まらなくて♪……貴女のお名前は?」

 「…ヴォルケンリッター『鉄槌の騎士』ヴィータ…」


 ヴィータちゃん……あは、鉄槌の騎士ってなんか強そうだね?カッコイイ♪
 私は高町なのは、宜しくねヴィータちゃん♪


 「お、おう…」


 ふふ、なんか可愛い。
 ソレとお父さん、お母さん心配かけてゴメンナサイ…


 「いや、まぁ気絶しているだけと言う事だったからね、大丈夫だとは思ったさ。」

 「ソレに、この人達も悪い人じゃないでしょうから♪」

 「…それでえぇの?流石は桃子さんと士郎さんや…」

 「お父さんとお母さんだしね。」

 「父さんと母さんだからな…」

 「満場一致か!!」

 「でも納得♪」


 にゃはは、だよねぇ。
 あれ?もう1人のお兄さんは?


 「私は此方に。」

 「「「「犬?」」」」

 「いえ、私は狼です…失礼して………お分かりいただけましたか?」


 犬…もとい、狼さんが変身してさっきのお兄さんに!
 成程、正真正銘の狼男なの…


 「…あの、そろそろ本題に入っても宜しいでしょうか?」

 「あ、ゴメンナサイ……うん、説明とかお願いします。」

 きっと皆色々知りたいと思いますから…私を含めて。


 「分りました…では…」








 ――――――








 Side:シグナム


 「…成程、此れは遠いベルカって言う時代の魔導書で、名前は『闇の書』。
  シグナム達はその守護騎士で、私がその主と…」

 「なんちゅう超展開やねん…」

 「でも、凄いねなのはちゃん、大いなる魔導書の主だって。」

 「此れで高町家のチート度合いが又増したわね…」


 えぇと…まぁ、そうです。
 此れまでに夢を介して覚醒の予兆などが有ったと思うのですが?


 「有ったと言われれば有ったような、無いと言われれば無いような感じなの。
  けど、分ってる事は1つだけ有るの……私は書の主として皆の面倒を見なきゃダメだよね♪」

 「主なのは!?」

 何と…此れまでそんな事を言った書の主は居なかった。
 歴代の主全てが我等を只の戦闘プログラムとして見て居なかったと言うのに、彼女は私達を人間として扱おうとしているのか?


 「そやなぁ、一気に4人も増えるんや、色々考えなアカンやろ?」

 「部屋は空き部屋を活用するとして、揃えるものは色々有るだろうな。」

 「取り敢えずヴィータちゃんはなのはとはやてちゃんの部屋で良いでしょ?」

 「増築とかならウチの会社のそっちの方のスタッフを格安で回しても良いわよ?」

 「大家族で楽しそうだね♪」

 「賑やかになりそうだね〜桃子さん。」

 「そうですね士郎さん。でも楽しくて良いじゃないですか♪」


 いや、主なのはの関係者全員が、か…
 ん?如何したヴィータ。


 「いや、なんつーか今までの奴と違うなって。
  アイツになら、アタシ等の力を貸してやっても良いかなって、そう思ったんだ。
  アイツだけじゃない、アイツの家族も友達も良い奴ばっかだ……今回は運が良かったのかな?」


 かも知れん。
 本より我等は守護騎士として、主に仕えるが使命。

 まぁ、それでもより良い主であって欲しいとは思うがな。


 「まぁ、皆が暮らすに必要な家と食べ物は有るからなぁ?」

 「後はお洋服!流石にそのアンダーウェアのままじゃダメだと思うの。」

 「は?あの、主なのは?」

 「ヴィータちゃんは私とはやてちゃんのお下がりを着れるかも知れないけど、シグナムとシャマルは服が無いもん。
  ザフィーラもお父さんとお兄ちゃんの服は着れないと思うし……多分腕が入らないの。」

 「推定腕周り60cmは有るわよね?」

 「強そうだねザフィーラさん。」


 あの、態々服を用意せずとも、騎士甲冑をデザインしていただければ己の魔力で作りますが?


 「「「「却下。」」」」

 「「「「何故に?」」」」

 「だって、私は皆を戦わせたりしないから。
  必要なら勿論甲冑のデザインはするけど、日常生活の服は又別なの!」


 そう言う物なのですか!?
 いえ、主がソレで良いのならば良いのですが…


 「なら決まりやな♪
  今日はもう日が暮れてもうたから明日やな、幸い明日は土曜日で学校は休みやからね。」

 「午前中から買い物なの♪」


 …了解しました。

 では改めて、誓いを……我等闇の書の守護騎士『ヴォルケンリッター』。
 我等は我等の力の全てを持って、主と主の家族と友人を護りましょう。


 「うん、頼りにしてるよ皆♪」

 「おう!任せとけ!なのは達に手を出す奴等が居たら、全部アタシのアイゼンの頑固な汚れにしてやるぜ!」

 「ほっほ〜〜?ヴィータは頼もしいなぁ?此れはなのはちゃんも安心や♪」


 ヴィータお前!!…いや、主なのはの性格を考えれば咎める事は無いか。

 此度の主は決して威張らない。
 そして我等を消耗品と見る事も無いようだ……あぁ、間違いなく此れまでで最高の主だ。

 そうは思わないか、シャマル、ザフィーラ?


 「そうね…主様――なのはちゃんにも、家族とお友達にも邪気を感じないわ。」

 「永き時を経て、我等は漸く真に仕えるべき主に辿り着いたのかもしれん。」


 そうだな…我等は漸くか…
 ふ、ならば我が身はなのはの剣となる。

 例え騎士にあるまじき無様を曝しても、主なのはを護りきる!
 騎士の誇りと我が剣にかけて誓おう!!


 「シグナム?…どうかした?」

 「あ…いえ、何でもありません。気持ちを新たにしただけです。」

 「そうなの?」


 そうです。
 ふふ、本当に不思議な人だ……此れほどまでに魅力的な主は矢張り居なかったか。



 我等の新たな主、高町なのは……此れから宜しくお願いします!


 「こちらこそ、宜しくお願いします♪」

 「まぁ、宜しくなぁ?」


 はい!


 此れだけの主に仕える事が出来るとは騎士冥利に尽きるな。


 どんな事が起ころうと、御身は必ず御守りいたします、我が主なのは!













  To Be Continued…