Side:アリサ
マッタク毎度毎度、ジュエルシードが発動する度に狙ったように現れてくれるわねこの忍者共は!
てか、アタシ等に戦闘させといて、封印したらジュエルシードの強奪ってせこいにも程があるわよ?…てか恥を知りなさいよこの馬鹿!!
「何と言われようと構わぬ…我等は我等の目的を果たすだけ!!」
「目的を果たすって心意気には感心するけど。ちょっとは手段を選べって言ってるのよアタシは!」
まぁ、アンタ等からすれば、目的を果たせば体裁等如何でも良いってところなんでしょうけど――だからって漁夫の利を得るような手段は認めないわ!
己の手を煩わせずに目的物を手に入れようなんて1000万年早いってのよ!
「って事は何か?俺達が目的物を手に入れるのは生きてる間にゃ無理ってか?」
「有体に言えばそういう事よ!」
「言いたい放題やなアリサちゃん…」
っさいわよはやて!
兎に角!誰が何と言おうとも、アンタ等にはこのジュエルシードは渡さないわよ?
何より、アタシの親友に絶対必要な物をみすみす渡すはずがないでしょ?必ずアタシ達が回収させてもらうわ!
……そう言えばアンタ等が介入したせいで、なのはとシグナムが両手を大怪我した事も有ったわよね?
思い出したらムカついて来たわ……おまけにあの時はジュエルシードまでかっさらって〜〜!!丁度いいわ、あの時の礼をたっぷりとしてやろうじゃない!
魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜 夜天23
『実力行使と心理戦なの!!』
Side:シグナム
来るとは予想していたが、矢張り現れたか忍者集団。
今しがたはやて嬢とバニングスが吠えた通り、我等はお前達にジュエルシードを渡す心算などさらさら無い。
海中に潜んでいた6つのジュエルシードのうち、2つは既に主なのはが封印した…よって残りは4つ…出来ればすぐに封印したいが…そうは行かないか。
連中がジュエルシードを集めている目的は不明だが、だからと言って我等も退く事は出来ん。
とは言っても如何したモノだろうな?
ジュエルシードに取り込まれた謎生物はあと4体もいる故に、先ずは其方の封印が先決だろうが、コイツ等が居るとなるとその相手もしなくてはならんが…
「シグナム達は、忍者さん達の相手をお願い!ジュエルシードは私達の方で何とかするから!」
「主なのは!…了解しました!
奴等の相手は、我等ヴォルケンリッターにお任せを。…ジュエルシード封印の邪魔はさせません!!」
主なのはの命を受けたとなれば、尚の事お前達にジュエルシードを渡してやる事は出来なくなった。
真に忠義を誓った主よりの命は、己が身命をとして成し遂げるが騎士の本分故な。
《シャマル、お前は主達のバックアップに回れ。ジュエルシードの封印が完了したら、即時クラールヴィントで回収を。》
《分かったわ…私達が目視出来ない場所から、伏兵が狙っている可能性も有るものね。》
そう言う事だ、其方は任せる。
「あれ?あの金髪美人さんはあっち行っちまうのかい?
まぁ、あんまし直接的な戦闘は得意には見えないが、此れで6対3だぜ?幾ら何でも1人で2人を相手にするのはキツイんじゃないの?」
確かに我等は基本は1対1の戦闘を得意とするが、生憎とベルカの騎士は1対多の戦闘でも遅れは取らん。
まして戦力比はたかが1:2……大した脅威にもなりはしない。
「流石は筆頭騎士様のシグナムね〜〜頼りになる上にカッコイイこと。でも、アタシ等を忘れんじゃないわよ?」
「ジュエルシード暴走体よりも、貴方達の方が面倒そうなので、此方に回して頂きました!此れで5対6です!」
「バニングスにアミティエ…こちらに来たのか?」
「クロノの提案よ。ジュエルシードと忍者…その相手をする戦力バランスを考えたって事らしいわ。」
成程――流石、あの若さで執務官と言う地位に居るだけあって、状況判断力は見事なモノだ。
ジュエルシードはあくまでも『封印』を最優先にしたメンバーを残し、『戦闘』にはバランス型の2人をと言う事か。
「でもって、此れで6対6だよ!!」
「む…アルフか…」
「遅ればせながら到着さ!フェイトとアリシアはジュエルシードの方に向かったよ♪」
自宅からだから、少しばかり時間が掛かったか?…まぁ、兎に角これで戦力差はなくなった訳か。
尤も、3対6の状況に於いても負ける気は毛頭なかったが、戦力比がなくなったのならば我等がお前達に後れを取る事は――
「出たわね、このおっぱい獣人!この間の借りを返してやるんだから!!」
「あん?…なんだぁ?性懲りもなくまた出て来たのかいちんちくりん娘?
何と言うか見れば見る程…いっそ同情しちゃうほどの残念ボディだねアンタは……もう開き直って豊胸手術でもした方が良いんじゃないか?」
「ムキー!!ホンットウにムカつくわね!!!」
……絶対にないな、少なくともアルフに挑発されて即刻沸騰してるアイツにだけは。
さて、お喋りは此処までだ――そろそろ始めようか?
「ヴォルケンリッターが筆頭騎士、烈火の将シグナム、参る!」
「忍びの隼人…推して参るぞ!」
――ガキィィン!!
私は隼人と、ヴィータは太刀の女性と、ザフィーラは筋肉達磨とか。
バニングスは槍使いと、アミティエは弓使い、アルフは…言うまでもなくアレとだな――ふむ、最良の組み合わせだ。
尤も、この戦闘の目的はコイツ等を倒す事ではない。
主達がジュエルシードを封印するまでの間、連中をジュエルシードに近付けなければ良いだけのこと……無論、倒してしまっても一切問題はないがな。
と言うか、事あるごとに入れられたお前達の横槍は正直に言って鬱陶しい事この上なかったのだ。
お前達が介入したせいで、主なのはが両の手に大怪我をした事も有ったからな………其れ等の事を、今この場で全て清算させてもらう!!
――――――
Side:なのは
「フェイトちゃん、アリシアちゃん!」
「ゴメンなのは、少し遅れた。」
「お母さんとリニスが、あの忍者達の本拠地調べてて、ジュエルシード発動を探知するのが、ちょ〜〜〜〜〜っとだけ遅くなっちゃって。」
ううん、全然大丈夫だよ。
6つの内、封印できたのは2つで、残る4つはこれからだから。
アレ?そう言えばアルフさんは?
「アルフにはシグナム達を手伝うように言って来た。」
「忍者は侮れない相手だからね〜〜。」
「まぁ、何はどうあれ、この局面での戦力増加はありがたいやろ?
シャマルもこっちのサポートに回ってくれたし、フェイトちゃんが居るならジュエルシードを封印する効率も上がるってもんや。」
そうだね。
このメンバーだと、ジュエルシードの封印が出来るのは私とはやてちゃんとフェイトちゃんだから。
そうなると、如何戦力を配分するのが良いかなぁ?
封印担当が私を含めて3人だから……うん、此れが一番!
「え〜っと…クロノ君とキリエさんとアリシアちゃんがメインアタッカーで、ジュエルシードの暴走体に攻撃して!
すずかちゃんとシャマルは、暴走体の動きを止める事を最優先に!」
「…的確な判断だな、君は指揮官に向いているのかもしれない。
実際、僕も同じ戦力配分を考えて居たからな……ならば封印は君達に任せる!反対にジュエルシードをアレから露出させるのは任せてくれ。」
うん、お願いねクロノ君、キリエさん、アリシアちゃん!!
「お任せ〜〜。さぁ、綺麗な花を咲かせましょ♪ラピッドトリガー、ファイアー!!」
「ブレイズカノン!!」
「フォトンランサー!!」
――ドガバァァン!!
うわぁ……凄いなぁ3人とも。
キリエさんの高速射撃に、クロノ君の正確無比の直射砲、アリシアちゃんの物量射撃…ジュエルシードの暴走体でも此れには耐えられない筈。
「少し大人しくしていてね?」
「絶対零度の拘束からは逃れられない…逃さない!」
シャマルとすずかちゃんもナイスタイミング!
此れなら絶対に動く事なんて出来ない!…キリエさん、大きいの一発お願いします!
「了解よ〜〜ん!
せぇぇっの!!スラッシュ・レイブ・インパクト!!S!R〜〜〜〜Iーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
――バシュバシュバシュゥゥゥ!!キィィィィン……ドッガァァァァァァァァァァァァン!!!!
「うっわ〜〜…弩派手な一発やなキリエさん…」
「けど、なのはの要求通り『大きな一発』である事は間違いないかも…」
なはは…確かに。
だけど此れでジュエルシードが露出したの!はやてちゃん、フェイトちゃん、4個纏めて封印するよ!
「うん!ハァァァ!フォトンスマッシャー!!」
『Photon Smasher.』
「撃ち抜け、クラウソラス!!」
『吹き飛ばすぜ大将!!』
「全力全壊、ディバイィィン…バスターァァァァァ!!!!」
『Divine Buster.』
――ドガバァァァァァァン!!
なんだか、レイジングハートのセリフにまたしても要らないルビが振られているような気がするの…まぁ、気のせいって事にしておいた方が良いね。
それに、私とはやてちゃんとフェイトちゃんのトリプル直射砲は効果抜群!4個のジュエルシードも纏めて封印できたから。
「シャマル!」
「は〜〜い!シャマル先生にお任せ!」
封印したジュエルシードを確保するには、シャマルのクラールヴィントが一番適してる。
私達が取に行くよりもずっと早いし――
――ガァァン!!
「「「!?」」」
「な、狙撃!?…ジュエルシードが2つ!!」
弾かれた!!……今のは、前に私とフェイトちゃんを襲った長距離狙撃と同じ……!姿は見えないから何処かに身を隠してるんだろうけど、何処に!?
街中なら兎も角、この海上には身を隠せる場所なんて何処にもないのに!!
「ハッハー!!俺様は最初から此処に居たぜ!最新鋭の光学ステルス纏って初めから此処に居たんだよ!!」
「!!誰や!!名を名乗らんかい!!」
「そういやそうだな?挨拶は大事だ、忍者の礼儀だ!古事記にだってそう記されてるからなぁ?」
そんなのは初耳なの……えっと、高町なのはです、貴方は…
「ドーモ、はじめましてタカマチ・ナノハ=サン!狙撃専門ステルス忍者、ヤマトです!」
「此れは此れはご丁寧にヤマト=サン。なのはちゃんの親友のヤガミ・ハヤテです!…ってアホかぁ!
なんぼ忍者やからってどっかで聞いたような自己紹介すんやなアホンダラ!!見てみ、クロノ君が事態に付いて行けずにフリーズしてもうたやないか!」
…其れに乗っかってるはやてちゃんも五十歩百歩だと思うの…
其れよりもジュエルシードは!
「4つの内2つは確保出来たわ…だけど残り2つは…!」
「仕方ないよシャマル…景色に完全に溶け込まれたら分からないもん…其れでも2つ確保出来たなら、合計で4つだから悪くないの。」
其れに姿が見えない相手を気配だけで察知するなんてのは土台無理な話なの…お父さんだって未だに完璧には出来ないって言ってたから。
「し、士郎さんでも完璧にできないんじゃ、シャマル先生にはマダマダ無理ね〜〜…」
「とは言え、何れは完璧に習得せねばならんがな…」
あ、シグナム、大丈夫だった?
「えぇ、戦闘に関しては……彼等も可成りの手練れですが、1対1の戦闘であるならば我等に負けはありません。
アミティエとバニングスとアルフも実によくやってくれました……特にバニングスは幼いながらも、相手の槍使いを常時圧倒していましたので。」
「槍は払うか突くかの二択攻撃だから読みやすいのよ!
恭也さんやシグナムの変幻自在な攻撃に比べたら、幾ら強力でも読んで回避するのなんて大した事じゃないわよ!!」
其れでも凄いと思うなぁアリサちゃん……まぁ、はやてちゃんとアリサちゃんは元々クロスレンジは得意だしね。
さてと、其れとは別に…
「その2つのジュエルシードを渡してほしいの…」
「其れは出来ぬ…寧ろ貴殿達の方こそ、其の4個のジュエルシードを渡してほしい。」
うん、私達も其れは出来ないの。
此れは危険なモノだから、封印した後で魔力を吸い取って無害な宝石にないとダメだから。
「!!魔力…内包する力を吸い取るってか?…待て待て嬢ちゃん、今までどれだけのジュエルシードの魔力とやらを吸い取ったんだ?」
「今までに9個…うち1個は只の宝石として海鳴の男の子…多分あの子にプレゼントしただろうから女の子が持ってるの。」
「と言う事は、力があるのは自分達と貴殿達が持つ合計6つのみ…ならば尚の事其れを貰わねばならくなった。
自分達が欲しているのは、魔力を内包したジュエルシードであるのだから。」
むぅ…だからって渡しませんよ?
「簡単に渡してもらえるとは思っておらぬ……其処で取引と行かぬか高町なのは殿。」
「取引…ですか?」
「左様……貴殿には此れが何に見える?」
?…何かの操作装置…リモコンですか?
「如何にも…此れはリモコンに他ならぬ――貴殿の実家と、貴殿の父君と母君が経営する喫茶店に仕掛けた爆弾を爆破するためのな。」
「「「「「「!!」」」」」」
な、家と翠屋に爆弾!!……そんな…
「無論、此れはブラフである可能性があるやもしれんが、ブラフと決め付けるには危険。
だが、このリモコンは起爆装置であると同時に解除装置でもある…貴殿らの持つ4個のジュエルシードとこの装置を交換すると言うのは如何か?」
「ふざけるな!此れが取引だと?…明らかに脅迫だろう!」
「てんめぇ…」
シグナム、ヴィータちゃん……確かに私達のジュエルシードを奪うための嘘かも知れない……だけど、もし本当だったら…!!
「…なのは、ジュエルシードを彼等に…」
「クロノ君!?」
「確かにジュエルシードの回収は大事だが、もし彼等の言う事が本当だとしたら、君の家族や不特定多数の人の命が危険に晒される事になる。」
《其れに、彼等には僕の極小バインドを服に張り付けさせてもらった。…その反応を追えば、彼等の本拠地だって割り出す事が出来る。》
クロノ君!
成程、よく考えたね……だけど、このままジュエルシードを渡すのは癪だなぁ…ん〜〜〜…そうだ!
《シャマル、魔力吸い取ったジュエルシードとこのジュエルシードを交換する事は出来る?》
《勿論!旅の鏡を使えば、アースラに保管されてる只の宝石と4つのジュエルシードを交換する事は可能よ?》
《それじゃあすぐに其れを!忍者さん達にばれないように!》
《ふふ、了解です♪なのはちゃんも中々の策士ね♪》
褒め言葉と受け取っておくよシャマル。
よし、此れで交換完了…後ろに回した手の中で交換したから忍者さん達は気付いてないの。
「…分かりました…この4つは貴方達に渡します…だからその装置を渡してください!私から家族を奪わないで!!」
「――!!……了解した、この装置は貴殿に渡す……蒼のボタンで解除が出来る。…目的の為とは言え、家族を人質にするのはやり過ぎだったか…」
それじゃあ、交換です…
「……ジュエルシード4個…確かに頂いた!然らばゴメン!!」
――ボウン
消えちゃった…だけど、今回は私達の優勢勝ちかな?ねぇ、シャマル?
「はい♪なのはちゃんの機転で、あの人達が持って行ったのは魔力を抜かれた只の宝石ですから♪」
「!…成程、シャマルの旅の鏡で、今回封印した4つと、アースラに保管されている抜け殻4つを入れ替えたと言う事ですか…お見事です主なのは。」
にゃはは…とっさに思い付いたんだけどね――巧く行って良かったの。
だけど、残り6つの内2つはあの人達に渡っちゃったから油断は禁物なの……クロノ君!
「あぁ…一度アースラに戻ろう。
エイミィもある程度の情報は掴んでいるはずだし、アリシアとフェイトが来たっていう事はプレシア女史が何か掴んだんだろう?
だとするなら、一度アースラに戻って状況を整理したうえで次にどう動くかを決めた方が良い。」
「せやな…封印したジュエルシードは此れも含めれば13個で、魔力が空っぽになったのは合計で9個で現在の手持ちは8個やね。
ちゅう事は魔力を内包しとるジュエルシードは忍者達が持って行った2つを含めて残り8…向こうが全部持ってる可能性もゼロやないな。
今回封印した4つから魔力を吸い取った後で、あの忍者達をどうするか決めた方が良いやろね。」
うん、私もそう思う……一度戻ろう、アースラに!
――――――
Side:信長
「…してやられたな隼人よ…」
「言い訳のしようもない……申し訳ありませんお頭…」
まぁ良い…お前の用意した仕掛けを超えてくるなど…高町なのはと言う少女、真に侮れぬ娘よ。
此方の作戦に乗ったふりをしながら、最終的に己のみが利を得る手段など、早々思いつくものではないからな。
「隼人よ、高町なのはと連絡を取る手段はあるか?」
「一応彼女の実家と、彼女の両親が営む店の住所位ならば…」
ならば、その何方かに『決闘申込状』を投げ込んで来てはくれぬか?
ジュエルシードを巡るこの戦い、最早首領同士の戦いで決着を付けるより他に収める術はなさそうなのでな…
「このワシが、第六天魔王たる織田信長が、高町なのはと一戦交える以外に決着の道はなかろう。」
何より、ワシが戦いたいのだ…高町なのはと言う娘と――若しかしたらその娘と仲間達は、ワシの覇道を継いでくれる者かも知れぬからな…
To Be Continued… 
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