Side:なのは
「新たな魔法ですか?」
「うん。
レイジングハートが言うには、私には『魔力集束』の才能があるんだって…だからそれを利用した新しい魔法を編み出せないかなぁって。」
折角ある才能なら、使わなきゃ損だと思うの。
レイジングハートもすっかり直ったし、いい機会だから、其れを生かせる魔法を考えてるんだけど…何か無いかな?
「そうねぇ…魔力集束が使えるって言うなら、『集束砲』が一番一般的な魔法になるかしら?」
「集束砲?」
「周囲の魔力を集めてぶっ放す――言ってみりゃ『元○玉』みてぇな一撃必殺の砲撃魔法だな。
だけど、威力は高い分放つまでには時間がかかるのが弱点なんだ…完全に無防備になるから集中攻撃されたらなのはでもヤバイかもしれねぇ…」
「無論、我等やはやて嬢が共に戦う場合は収束時の隙はフォローしますが、一対一の戦闘だと些か決めるのは難しいかもしれませんね。」
そうなんだ…折角新しい魔法が作れると思ったんだけどなあ…
あ、でも作っておくに越したことは無いよね?作っておけば使える場面で使う事は出来るから♪
「其れが良いでしょう。
其れに、その集束砲を開発する段階で、弱点を補うための何かを見つける事が出来るかもしれません…頑張りは無駄にはならない筈です。」
そうだよね♪
うん、頑張ってみるの!
魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~ 夜天18
『新たな勢力の出現』
「して、主なのは…今こうして我等と話しながら…」
――カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン!!
「其れだけ誘導射撃を正確かつ素早く制御出来ると言うのは正直凄まじい事だと思うのですが…」
ふえ?そうなの?
別に特別な事はしてないんだけどなぁ…制御の仕方は分かるし…其れにレイジングハートに言わせれば此れでも『95点』なんだよ?
「嘘だろ!?つーかテメェ厳し過ぎんだろレイジングハート!!
誘導弾をあれだけ制御できる奴なんざ、古代ベルカの騎士にだってそうそう居ねえ!!
其れなのに95点だと!?100点満点つけてもいいだろうがよ!!」
『甘いですよヴィータ!!Masterの才能に100点満点などと言う限界は存在しないんです!!
満点や完成など、其れはその先の道を閉ざす行為でしょう!!Masterの魔導の才は、其処で止まる程度のモノじゃないのですよ!!
と言うか、Masterのみならず、はやてもすずかもアリサも、フローリアン姉妹とテスタロッサ姉妹だって同じです!!
高みを目指している限り、その成長が止まることは無いんですよ絶対に!!目指すは次元世界最強の魔導師です!!』
ん~~~、レイジングハートの言う事にも一理あるかな?
お兄ちゃんも『完成とは更なる強さへの道を閉ざす事だ』って言ってたし…うん、それなら限界何て概念は捨てた方が良いね!
レイジングハート、MAXスピード!!
『All right Master.』
――轟!!ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
うん、良い精度――だけど誘導弾はあくまでも牽制のための攻撃…止めは別に、シグナム!!
「!!…お任せを!!」
――ドン!!…カキィィィン……コロン…
ナイスタイミングなのシグナム♪
高速射撃で浮かした空き缶に木刀で的確な一撃を入れてゴミ箱に打ち入れるとはお見事♪
「お褒めに預かり光栄です。
主なのはも大分魔法の使用が巧くなってきましたね?…今の誘導弾の最後のスピードは見切れませんでした。」
「シグナムでも完全な見切りが出来ないなら、大抵の人には見切る事は出来ないね。」
我ながら此れは凄いと思うの……やっぱりどれだけ強い力を持っていても、日々のトレーニングを怠っちゃだめだね。
毎日練習したから此処まで制御できるようになったんだし…勿論此処で止まる気はないけど!
「…主なのは、今の超高速誘導弾、私に放っていただいてもよろしいですか?」
「シグナム?」
「その高速誘導弾を叩き落とすのは動体視力と瞬発力の強化になると思いますので…」
成程…納得したの。
レイジングハート、もう1回行けるよね?
『勿論です。行きますよ!』
「ディバインシューター…シューーーート!」
――ヒュン!!
軌道はシグナムの周りをランダムに高速回転!
イキナリ弾道が変化するから見切るのは困難な筈だけど…
「………………其処!!!」
――カキィィン!!
一閃!見事な居合い切りなの!
軌道が変わるその瞬間、本当に一瞬だけシューターの動きが止まった所を見切って切り裂くなんて凄いよシグナム!!
「先程の最大速度程ではなかったので何とか…尤も、初見でしたら見切れないでしょうが。」
「だろうな…なぁなのは、アタシにも今の頼む。」
ふえ?別に良いけど、イキナリどうしたのヴィータちゃん?
「シグナムばっかりカッコいいのはなんか悔しい。
アタシだってアレくらい出来るんだからな!!寧ろただ見切るだけじゃなくて場外ホームランかましてやるぜ!!」
「おや?私の記憶が正しければ、過去に只の1度も私がお前に負けた事は無いと思うが?」
「其れは模擬戦とかの話だろ?こういう競技っぽいやつなら分からねーじゃねぇか!」
にゃははは、ホンの小さな対抗心?ヴィータちゃんはやっぱり可愛いなぁ♪
OK、分かった!ヴィータちゃんにも一発行くよ?…だけど速いから覚悟してね?
「おうよ!!」
其れじゃあ行くよ?ディバインシューター……シュート!!!
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・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
《そんで、其れを皮切りにはやても挑戦して、流れでザフィーラもやって、挙句には闇の書まで挑戦したってのね?》
《だから、今朝会った時なのはちゃん何処かお疲れだったんだ…》
《にゃははは…幾ら得意でも短い間隔で誘導弾の高速制御は流石に疲れるね…頭が。》
《え~~っと、ごめんななのはちゃん?》
《ゴメン…調子に乗っちまった。》
はやてちゃんもヴィータちゃんも良いってば。
確かに少し疲れたけど、良い訓練になったし、其れにシューターの精度と速度は可成り上がったからね♪
《《《《物凄いプラス思考。》》》》
《エッヘン♪》
因みに今は授業中だから、念話でね。
アレ?此れで授業もちゃんと聞いてるんだから、此れもある意味で並列思考の自然訓練?
「ではこの問1を高町さん、問2を月村さん。」
「「はい!」」
イキナリ指されてもちゃんと対応できるしね。
改めて考えると、日常生活がそのまま魔法の訓練になってる部分が結構多いかも。
まぁ、其れは其れでジュエルシードが発動した時により効率的に封印できるようになるし、戦闘でもより的確に動けるようになるからね。
特に私の場合、シグナム達に指示を出しながら戦う事が多くなるから並列思考力は高いに越したことはないもん。
取り敢えず、今はこの問題を……はい、出来ました!
「2人とも正解。よく勉強していますね♪」
お兄ちゃんとお姉ちゃんが勉強見てくれますから♪
シャマルも時々見てくれるし――シグナムが文系に強いのは意外だったけどね。
――――――
Side:???
アレが、第97管理外世界――地球か。
グレアム提督の出身地と聞いてたが、実際に目にするのは初めてだ――蒼くて綺麗な星だな。
だが、あそこにはジュエルシードがある…何としても確保しないと。
それから、グレアム提督が言っていた『現地の力のある魔導師』との協力体制も考えておかないといけないな。
とは言え、何の反応もない今は観測しながらの待機しかないんだが…
――ビーッ、ビーッ!!
「観測地点にて高濃度の魔力反応を感知!此れは……ジュエルシードです!!」
言った矢先に来たか!!
エイミィ、反応のあった地点に直ぐに僕を飛ばす事は出来るな?
「バッチリ!!座標も誤差1km以内で抑えられるよ!」
「管理外世界でその程度の転送誤差なら許容範囲内さ……それじゃあ即転送してくれ。」
「了解!!」
さて、面倒な事が起きてくれなければいいんだけどな…
――――――
Side:すずか
まさか、下校途中にジュエルシードが発動するなんて……可能性としては考えていたから慌てないで対処は出来るけどね。
直ぐ近くで発動したから、先発は下校途中の私達だね。
アミタさんとキリエさんはまだ学校終わらないだろうし、シグナムさん達も翠屋が忙しくて来る事は出来ないと思うから…
「うん、うん…大丈夫!皆居るから…シグナムはお仕事確りね?…うん、其れじゃあ後で。」
「シグナムさん達はやっぱり…」
「うん…仕方ないよ、今の時間帯は翠屋の夕方のラッシュ時間だから。
でも、このメンバーならきっと大丈夫…ジュエルシードだって簡単に封印できるよ。」
そうだね……それで、何で居るのユーノ君?
別に翠屋で待機してても良かったと思うんだけど…
「皆だけを危険にさらす事は出来ないよ…僕もサポート位ならできるしね。」
「いや、アンタのサポートよりシャマルの遠隔サポートの方が万倍強力で頼りになるわよ?」
「つーか、オメェ戦闘力皆無だから、居られても寧ろ邪魔だぜ?」
『身の程知らずの駄フェレットは翠屋で大人しくしていた方が良かったのでは?
シャマルのサポートがあり、更に此れだけの戦力があってしくじる筈がないでしょう?…出番欲しさに登場ですか…あざといですね。』
「僕の存在価値って何!?」
『私をMasterに、アロンダイトをはやてに届けるだけですよ…つまり貴方の役目などとうの昔に終わっていると言う事です。
ジュエルシードの封印やその他戦闘はMaster達に任せて、貴方はさっさと自らを飼育していた動物園に帰った方が良いのでは?』
「僕人間だからね!?」
『其れは初めて知りました。』
「幾ら何でも酷すぎる!?」
お約束だなぁ~~……でも、実際ユーノ君のサポートよりシャマルさんのサポートの方が優秀だから。
今発生してる封鎖結界もシャマルさんが発生させたものだし、この結界の中ならどれだけ力を使っても安心だから。
もうすぐジュエルシードの発動ポイント…見えた………うそ!!
『…ゴジラですわねさながら…』
「言い得て妙だねスノーホワイト……だけど確かにゴジラみたい…」
トカゲでも取り込んだのかな?
見た目は物凄く攻撃力が高そうだけど…如何しようかなのはちゃん?
「うん……私が誘導弾でアレの動きをある程度制限するから、はやてちゃんとヴィータちゃんは死角から近接攻撃を!
アリサちゃんはミドルレンジを維持しながらヒット&アウェイで相手の注意を引き付けて!
すずかちゃんは兎に角ジュエルシードが露出するまで、アレの攻撃を防ぎきって!!」
「了解やなのはちゃん!!」
「任せとけ…こんなゴジラ擬きなんざ叩きのめす!!」
「相変わらず的確な指示じゃない…任されたわ!」
うん!私も頑張るよ!
ふふ、なのはちゃんもすっかり『指揮官』が板に付いて来たね。
『ガァァァァァァァァァッァァ!!!』
――ドゴォォォォ!!
口から光線!!だけど其れは通さないから!…スノーホワイト!!
『やらせませんわよ!!』
氷の盾アイスミラー!!
此れで………だめ、此れじゃあ貫かれちゃう――だけど1枚で足りないなら数を増やせば!!
『その通りですわ!アイスミラー10枚掛けの…『ロングサーペント』ですわよ!!』
――ググググググググ…
10枚重ねだったら流石に!!…うん、防げた!!
「見事やすずかちゃん!!
うりゃあ、ゴジラ擬き~~!悪足掻きせんと大人しくジュエルシード曝さんかい!!!プロップシュレッダー!!」
『今の俺は最高に切れるぜ?』
「手間かけさせんじゃねえ!!ラケーテンハンマー!!!」
『叩きのめす!!』
――ズバァア!!ドッゴォォン!!!
す、凄いなぁはやてちゃんとヴィータちゃん!
でも今のでジュエルシードが露出した……アイスバインド!!今だよなのはちゃん!!
「うん!レイジングハート!」
『All right.Cannon Mode.』
「ジュエルシード…」
『Divine…』
「封印!!」
『Buster.』
――キィィン…ドゴォォッォォォォォォォォォォォォォン!!!
決まった、なのはちゃんの必殺技♪…うん、封印できたみたいだね。
後は此れを回収すれば…
「そのジュエルシード、貰い受けようか?」
「ちぃ、予想してたが出やがったか忍者共!!」
…やっぱり来ちゃった…!
出来れば来る前に終わらせたかったけど、そうそう巧くは行かないね……だけど、ジュエルシードは渡しません。
「そうだよ、横取りは良くない!!」
「其れを封印したのはなのは達…貴方達が横取りする権利も道理もないよ…」
フェイトちゃんとアリシアちゃん!来てくれたんだ。
「ゴメンね~~~、所用で『時の庭園』に居たから来るのが遅くなっちゃった。」
「遅刻分の働きはするから。」
「にゃはは…気にしなくていいよ、ある意味で良いタイミングだったからね。」
うん、良いタイミング。
戦闘は避けられそうにないから、此処での増援はありがたいよ?
「ジュエルシードは渡しませんよ?」
「け…ガキだらけってのが気に入らねぇが…そんなら力ずくで奪うだけだぜ!!覚悟しろよ嬢ちゃん達よぉ!!」
やっぱり避けられない…それなら!!
「ジュエルシードは渡さない!!はぁぁぁぁ!!!」
「おぉぉぉぉ!!!」
フェイトちゃんと隼人さん!!
――ガキィィン!!!
え?…攻撃が止められた?
「全員動くな、この場所での戦闘行為は危険すぎる。
…時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンだ、全員武器を捨てて大人しくしてくれ!!」
時空管理局って、プレシアさんが言ってた!!
どうしてその組織の人がこんな所に居るんだろう?
だけど、この人は強い…フェイトちゃんと隼人さんの攻撃を1人で止めるくらいだから…
此処に来て私達とも隼人さん達とも違う第3勢力の登場……ジュエルシードを巡る案件は、結構複雑になるみたいだね…
To Be Continued… 
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