Side:シグナム
静かなる夜天の空と、其れに対比するように存在している、無数の剣が付き刺さった孤独なる丘……なのはの心象風景を具現化した世界の有様が此れか。
尤も、此れは感覚で会得した疑似固有結界故に、オリジナルの性質を多分に受け継いでいる感が有るのは否めないが――其れでも、この結界内でなのはが無敵
であるのは間違いないだろう。
「こ、此れは!!」
「ようこそ『私の世界』に。」
そして、剣の丘に座すなのはは、正にこの世界の支配者其の物だ。――其れでこそ、我等の主として相応しいと思いますがね。
だが、なのはがこの固有結界を発動した以上は、誰が相手であっても負ける事など有り得ん――つまり、既に勝負は決していると言う事だ最高評議会の脳味噌!!
既にヴィヴィオは奪還した故に、手加減など微塵も必要ないのでな……我がレヴァンティンの錆びとしてくれる!!
「なのは……」
「うん、行こうシグナム!!
此れがラストターン!!私が……私達が終わりにするの!!!」
「Jawohl.Meister NANOHA!(お任せ下さい。主なのは!)」
塵は塵に、灰は灰に………消えて貰うぞ、最高評議会!!
100年を超えて生きて来たのだ……そろそろ世代交代の時期に来ているのだから、大人しく引退してもらおうか?……まぁ、強制的に引退して貰う心算だがな!!
魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~ 夜天132
『Sacred Force~全力全壊~』
Side:なのは
さてと、文字通りのラストバトル……闇の書の闇と比べれば大した事ないかも知れないけど、最後の脳味噌が切り札として来た辺り、あの巨大生物は可成りの力を
持って居ると見て間違いないの。
さて、如何したモノかな?
「悩む事なんて無いやろ?
闇の書の闇の時みたいに、全員で攻撃して、アレのプロテクトを全部ぶっ壊して、そんでもって、私と姉やんとフェイトちゃんでトリプルブレイカーかませば其れで終
いやろ?何も難しい事はあらへんて!」
「私達ならやれる……此れだけの仲間が居て、仕損じる事なんて有り得ないよ。」
はやて、フェイト……確かにその通りだね!
相手が何であろうとも、私は常に全力全壊!!――最高評議会の最後の脳味噌をブチ砕くのも、私の使命だからね?……なら、手加減抜きで全力でやるだけ!!
何よりも、此処は私の世界だから、仕損じる事は出来ないからね……夜天の主の力を見せてやるの!!
――ズボッ
この夜天の丘に刺さっている剣は、其れが全て私の武器であると同時に、戦場を駆け抜けた者達の墓標でもある。
だから、この景色に貴方を加えてあげるよ最高評議会――歴史に名を残す人物って言うのは、往々にして死後にその名を残すモノだからね?……此の剣の丘に名
もなき刀として加えてあげるよ。
さぁ、始めようか?――剣の丘での、最終決戦て言うモノを!!――そして、これで終わりにするよ最高評議会!!!……精々祈るんだね!!
「行くよ、皆!!」
「「「「「「「Jawohl.(了解。)」」」」」」」
「任せなさいっての!!」
「此の焼滅の力、その身をもって知って頂きましょう。」
「なのはちゃんの思い、そしてみんなの思い、ブチかましてやりましょ?―――全力全壊で行くわよ~~~ン!!」
「取り敢えず、気合と根性が有れば何とかなりますから、手加減抜きです!!」
うん、頼りにしてるよ!!勿論、スバル達や、この場に集まった全ての人達もね♪
――――――
No Side
異形の怪物と化した最高評議会の最後の一人と、なのは率いる夜天の軍勢との戦いは、最初から弩派手なモノとなっていた。
先ず異形の怪物と化した評議会(以下、最高評議会の闇と表記)が、巨獣の口から強力な魔力砲撃を放ち、それをなのはがバスターで相殺し、なたねがブラストファ
イヤーで追撃する。
カウンター気味に突き刺さった炎熱砲に、一瞬揺らぐも、評議会の闇は其の巨躯に見合った頑丈さを備えているらしく、すぐさま体勢を立て直して今度は全身の触手
から、四方八方あらゆる方面に向かって魔力弾の乱れ撃ち!
まぁ、其れを簡単に喰らってやるなのは達ではないが、国防軍近代兵器ではそうは行かない。
兵器であるが故に、その大きさから被弾面が大きく、また魔導師と比べたら全然小回りが利かない為に、攻撃を回避する事が出来ずに、略壊滅状態に陥ったのだ。
「――っ!大丈夫ですか、皆さん!!?」
「く……申し訳ありません高町教官……全機行動不能!ですが、軽傷の者はいますが、重傷者及び、死者は0でありますからご安心を!
我々の事は心配せずに、其れにトドメを刺してしまってください!!」
「……うん、了解。
だけど安全の為に、シャマルが展開した防御結界の中に入っていて。シャマルの結界なら、アレの攻撃で破られる事は無いから。」
其れでも死者は0。
それどころか、自分達の事は気にせずに評議会の闇を倒してくれと言うあたり、中々高町式指導を受けた国防軍の兵士は、分かっているようだ。
そして、そう言われたらなのはだってやるしかない。
「ヴィータ、アリサ、弩派手なのを一発お願い!!」
「オウよ、任せとけなのは!!
派手なのを一発、ブチかます!!轟天爆砕!!」
『Explosion.』
「言わずもがなよ!派手に燃やすわよ、フレイムアイズ!!」
『終わりにするぜ!』
「ギガントシュラーク!!!」
「クリムゾンスターロード!!」
そのなのはの『お願い』を聞いたヴィータとアリサが、己の最強奥義での一撃を評議会の闇にブチかます!
ギガントフォルムでのアイゼンの一撃と、フレイムアイズの発火能力を最大解放した炎の攻撃は凄まじく、触手が数本消し飛び、そして焼き斬られる結果となった。
「オノレ……だが、この程度は……無駄無駄無駄!効かぬわ!!」
だが評議会の闇は、すぐさま失った触手を再生し、攻撃を仕掛けて来る――マッタク呆れた執念である。
「再生か……だったら、再生できなくなるまでぶっ壊しゃ問題ねぇ!!」
其れを見ても怯む事なく、今度はナカジマ姉妹が突撃!
スバルとノーヴェとギンガが格闘戦を駆使して、評議会の闇の巨体に攻撃し、ディエチがイノーメスカノンで撃ち抜き、ウェンディが撹乱し、チンクがランブルデトネイタ
ーで攻撃!
流石、姉妹だけあって連携は見事である。
「皆やるわね~~~……だったら、私達もやっちゃいましょうかアミタ?」
「えぇ、やりましょうキリエ!全力全壊です!」
「全力全壊ZZK……良いわね!其れじゃあ行きましょうか?
せぇえの!スラッシュ・レイブ・インパクト!!S・R・Iーーーーーーーーーー!!!」
「無限の欲望の連鎖、今此処で断ち切ります!
エンド・オブ・デスティニー!!シュートォォォォ……エンドォ!!!」
其処に更に今度は、フローリアン姉妹の息の合ったコンビネーションが炸裂!!
その破壊力はいうまでも無く強力で、巨獣の角を折り、牙を砕いてみせたのだから――フローリアン姉妹の魔導師としての実力も、中々バカに出来ないモノなのだ。
「ぐわぁぁあぁ!!……貴様等!!」
「此れが現実だ、お前はその程度なんだよ。」
「我等が主に牙を剥いた事を後悔するが良い。」
激昂する評議会の闇に、冷徹に言い放つのはズィルバとナハトヴァールの双子姉妹。
嘗て、闇の書であった頃の事を思い起こさせる、評議会の闇の姿に思う所は多いのだろう――その身の周りには、既に膨大なまでの魔力が渦巻いているのだから。
「刃持って血に染めよ、穿てブラッディダガー!!」
「彼方より来たれ宿り木の枝、銀月の槍となりて撃ち貫け!石化の槍、ミストルティン!!」
放たれた魔力刃と、石化の槍は、評議会の闇を貫き、的確にダメージを与えて行く。
特に、ミストルティンが突き刺さった場所は、其処から石化して、評議会の闇を石に変えて行く――マッタク持って、夜天の魔導書には恐ろしい魔法が有ったモノだ。
「ぐがぁぁあぁ……舐めるな!!」
それでも、石化部分を無理矢理再生して来た評議会の闇だが、その程度の事では夜天の軍勢は止まらない!
「雷光一閃!」
『Jet Zamber.』
「往生際が悪いよ!!喰らえ、サンダーレイジ!!」
フェイトとアリシアの一撃が評議会の闇を打ち据え、地面に叩き落す!
稀代の大魔導師の遺伝子を受け継いだ、雷光姉妹は、その力を如何なく発揮し、評議会の闇にダメージを与えて見せたのだ――正に最強姉妹と言った所だろう。
「貴様は此処でお終いだ!紫電一閃!!」
加えて、其れに呼応する形で、今度はシグナムが一閃!
其れもレヴァンティンではなく、この固有結界内に存在している刀剣の中の一つ『菊一文字』を引き抜いての一撃!――歴史に名を残す名刀での一撃は効果抜群!
「おぉぉぉぉぉぉ………燃え尽きろ!!」
更に大蛇薙をブチかまし、評議会の闇を火達磨に!!
烈火の将の二つ名の通り、炎に関しては、シグナムの右に出る者は居ないと言っても過言ではないだろう――実際、アリサですら、シグナムには敵わないのだから。
そして此れだけではまだまだ終わらない!!
「行くよ、スノーホワイト……」
『無論ですわすずか……全てを凍らせましょう!』
「全てを凍らせて!」
『Freeze!』
火達磨となった評議会の闇に向かって、今度はすずかが絶対零度の魔法を炸裂!
炎ですら凍らせる氷結魔法の威力は凄まじく、火達磨となった評議会の闇は、今度は一転、身動きすら出来ない氷のオブジェと化してしまった……すずか恐るべし。
それでも、頭の部分は凍り付かせていない事を考えると、すずかは『中々良い性格』をしているようだ。
「ぐが!!クソクソォ!!こんな氷など……此れだけの事でェ!!」
そして、すずかの氷結は強力であり、すずか自身をして『私の氷はミサイルランチャーでも砕けない』と言う程だ――故に、異形の怪物と化した評議会の闇であっても
この氷結から抜け出すのは容易ではないのだ。
同時に、動きが制限されたと言うのは、フィナーレが近いと言う事だ。
「今です、なのは!!」
「やっちまえ!!」
「うん、行くよレイジングハート!」
『やってしまいましょうMaster…奴等には、死あるのみです。』
シグナム達のからの言葉を受けるように、なのはは夜天の空で魔力を収束していた。
しかも只魔力を収束するだけではなく、固有結界内に現れた無数の刀剣類をも魔力として収束すると言う、ある意味では反則技とも言える方法で絶大な魔力を、集
めて行く……正に、文字通りの全力全壊だ。
「結界内の力をも収束しただとぉ!?……そんな、そんな馬鹿げた事が!!!」
「出来る筈がない?……だけど残念ながら、其れが出来るんだよ私はね。
其れ以前に、この固有結界は私の世界――此れが発動した時点で、貴方の負けは確定していたんだよ、最高評議会!!――さぁ、覚悟は出来ているよね?」
『精々祈りなさい。貴方に出来るのは其れだけです。』
「此れが私の限界突破の全力全壊!!」
『Starlight Unlimited Breaker.』
「スターライトアンリミテッドォォォォォォ……ブレイカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
――キュゴォォォォォォォォォォォォォォォォ……ドガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
圧倒的な魔力を収束して放たれた集束砲撃は、評議会の闇が張ったバリアを『バリア何それ美味しいの?』と言わんばかりに簡単に貫通し、其の巨躯を飲み込む。
「そんな、そんな馬鹿なぁぁぁあぁぁぁぁぁぁアぁ!!!!」
その砲撃に呑まれた評議会の闇の身体は破壊され、桜色の砲撃の中に消え去った。――つまりは、此処に戦いは決着したのであった。
――――――
Side:なのは
はぁ、はぁ……流石に1日の間に集束砲2発は堪えるけど、これで終焉は間違いないね。……しつこく、評議会の成れの果ての頭部だけは残ったみたいだけどね。
「ぐが……私は、まだ!!」
「そんな状態になっても未だ生きようとする執念は大したモノだと思うけど、生憎ともうあなたの生きる世界は無いんだよ――大人しく、自然の摂理に身を任せていれ
ば、こんな事にはならなかったんだからね……言っても理解できないだろうけどね。」
これ以上、貴方が生きている意味は無いから、此処で終わりにしよう?――ザフィーラ!!
「御意に………これで終わりだ!!」
「な!止め……!!!」
「聞く耳持たん!!」
――ギギ……ミシィ……グシャァァァァァァアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
一撃粉滅……せめて、夜天の守護騎士にトドメを刺された事を誇りに思うが良いの。――兎に角、これで、全てが終わったって言う所だね?……お疲れ様なの!!
「貴女こそ、お疲れ様でしたなのは……」
「にゃはは……結構限界突破だったからね。」
でも、これで本当に全てが終わったよ――最高評議会が無くなれば、管理局が地球を管理世界にするって言う意見は完全に消えるだろうし、最高評議会って言う
派閥もまた無くなるだろうからね。
この戦いは、私達の勝ちなの!!――夜天の使命、果たして見せたよ!!
To Be Continued… 
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