Side:キリエ
「ブラストファイヤー!!」
「ヒートドライブ!!」
「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!熱血ーーーーーー!!!」
――ドンガラバッゴォォォォォォォォォオォォォォォォォォォォン!!
あっら~~ん……相変わらずアミタと、炎属性のなたねちゃんとアリサちゃんは熱いわね~~~?まぁ、炎属性が2人揃ってる訳だから熱いのは当然かもだけどね♪
にしても、次から次へと現れるガジェットは、面倒な事この上ないわ。
すこ~~し、手荒く扱ってやればすぐに壊れちゃうから、苦戦する事は無いんだけど、倒しても倒しても次から次へと現れるって……このままだと、こっちが先にスタミ
ナ切れ起こしちゃうんじゃな~い?
「その可能性は無しきも有らずですが、そんな時こそ気合と根性です!!
気合と根性が充実していれば、スタミナ切れを起こそうとも、気合と根性の力で戦う事が出来ますから!!大切なのはファイティングスピリット……闘魂です!!」
「闘魂……ね。」
闘魂と聞くと、何でか頭の中で『炎のファイター~INOKIボンバイエ~』がリフレクションするのよね~~~?……燃える闘魂の名は、伊達じゃないって言う所よね♪
でもまぁ、現実問題として、ゆりかごに突入したなのはちゃんとシグナムさんは、私達とは比べ物にならない程のきつい戦いをしてるだろうから、此処でアタシ達が根を
上げる事は出来ないわよね~~~?
だったら、全力でやってやろうじゃない!!
キリエに――引いてはなのはちゃんに刃向った事の愚かさ、その身をもって知って貰おうかしらね~~~?
MGB――マジで撃滅してブッ飛ばす……現世にサヨナラする準備だけは、しておきなさい?限界超えて、生きすぎちゃった脳味噌さん達!!
魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~ 夜天130
『夜天の主従vsゆりかごの聖王』
No Side
キリエ達が奮闘する市街地とは打って変わって、此のゆりかごの玉座には、何とも言えない、緊張した空気が流れていた。
「……ヴィヴィオ……」
「待っていろ直ぐに助けてやる。」
「…………」
対峙するは、夜天の主であるなのはと、夜天の守護騎士の筆頭騎士であるシグナム、そして最高評議会の手によって、現世に蘇った最強の聖王――ヴィヴィオ。
先の交戦から、聖王と化したヴィヴィオの戦闘能力は凄まじいモノがるだろう――ユニゾンしたなのはと、ユニゾンしたシグナムが何も出来なかったのだから。
ならば、諦める所だが、生憎と夜天の主と筆頭騎士の辞書に『諦める』などと言う言葉は無く、なのははドラゴンインストールを使い、シグナムは調停者モードのレベ
ル2を解放し、改めてヴィヴィオに挑む心算で居たのだ。
確かに聖王と化したヴィヴィオの力は凄まじいモノが有るが、ユニゾン+ドラゴンインストールのなのはと、ユニゾン+調停者レベル2のシグナムならば、その力に勝る
とも劣らない――いや、総合力では兎も角、特定の能力に関しては上回っているだろう。
「……参る!!」
その空気の中で、真っ先に仕掛けたのはシグナム。
一足飛びで間合いを詰めると同時に、超神速の居合でヴィヴィオを斬りつける――が、聖王の鎧に護られているヴィヴィオは、その必殺の居合を受け止め、逆にカウ
ンターをかまさんとする。
「そうはさせないよヴィヴィオ!!バスター!!!」
「!!!!」
――ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
がしかし、そのカウンターに合わせる形で放たれた、なのはの直射砲撃がヴィヴィオに炸裂し、シグナムへの必殺のカウンターを止める……言うなれば、カウンター
のカウンターとも言うべき一撃でだ。
事前に打ち合わせた訳ではないが、そうであっても、此れだけのコンビネーションが出来る、なのはとシグナムの信頼関係は、凄いと言うより他にはないだろう。
夜天の主と、守護騎士筆頭騎士の絆は、相当に強く堅いのである!!
「アクセルシューターバニシングシフト!!」
『徹底的に、やってやりましょう!あの金髪ロリを、己の兵器として使うなど言語道断!!
先ずは彼女を元に戻し、その上で腐り切った脳味噌共を、あの世に送って差し上げましょう!!……奴等には、地獄すら生温いでしょうけれどもね………!!!』
そのコンビネーションでヴィヴィオの出鼻を挫いたなのはは、其処から更に、ロックオン式の誘導弾を放って、ヴィヴィオを制圧せんとし――
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!龍牙一閃!!」
『喰らっとけ!!』
其処にシグナムが、レヴァンティンをヤマトフォームに換装しての、神速の居合を一閃!!
調停者のレベル2を解放した事で、レヴァンティンの刀身は、蒼い炎で構成されているが、それでも必殺の居合の破壊力と切れ味には凄まじいモノが有る――ともす
れば、物理的刃でなくなったが故に、威力が高まっているのかも知れない。
とするならば、此れを真面に喰らったら、只では済まず、最悪の場合は半年ほど病院のベッドと仲良くする運命なのだが……
「…………………」
聖王と化したヴィヴィオは無傷!
顔に、多少粉塵の汚れが付いてはいるモノの、それ以外では防護服に欠片ほどの傷もついていない――なのはとシグナムの攻撃を受けて、碌なダメージにならな
いとは、恐るべき防御力だろう。
「今のでダメージらしいダメージにならないとは……流石に厄介だね?」
「ですが、諦める気はないのでしょう?
聖王の鎧は、確かに最強の鎧ですが、しかし無敵ではない――必ずどこかに攻略法が有る筈ですから、其れは戦いの中で見つけるしかないでしょうなのは!」
「うん……今は、其れしかないねシグナム!!」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「覇ぁ!!」
――ガキィィィン!!
そして再び始まるバトル。
暴走状態とは言え、此れまでの交戦でクロスレンジ特化型でありながら、実はオールラウンダーのシグナムの方が厄介だと判断したらしく、執拗にシグナムに格闘戦
を仕掛けて行く。
其れに対しシグナムも、レヴァンティンをデュアルフォームの二刀流に換装して迎え撃つ。
徒手空拳を相手にする場合、基本形やヤマトフォームでは、より近い間合いでの戦いに対応できないからだが、同時に二刀流になれば手数も増え、ヴィヴィオの格
闘ラッシュにも対応できると考えたのだろう。
と言うか、ユニゾンして調停者レベル2を解放し、デュアルフォームで手数を増やして漸くクロスレンジ戦闘が互角なのである。恐るべき魔改造の聖王だ。
「目の前の相手に集中し過ぎるのは危険だよ!アクセルシューター・アサルトシフト!――行っけーーーー!!!」
『撃って撃って、また撃って……これぞまさにトリガーハッピー!最高にハイってやつだ!!』
しかしなのはの存在を忘れてはならない。
基本遠距離支援型のなのはは(管理局では『単体で戦える砲撃魔導師』として認識されているが。)、前衛であるシグナムが居る時にこそ、最大の力を発揮する事
が出来、今もヴィヴィオの背後を取り、宛らマシンガンの乱射宜しく誘導弾を叩き込んで見せた。
勿論、聖王の鎧を崩せる威力ではないが、ヴィヴィオの格闘ラッシュの腕を止めるには充分であり、
「レストリクトロック!!」
『大人しくしろやオラァ!』
――ガキィン!!
その隙を突いて、バインドで拘束しヴィヴィオの動きを封じる。
尤も、今のヴィヴィオならば、なのはのバインドであっても簡単に砕く事が出来るだろうが、例え1秒で有ろうとも確実に動きが止まれば、歴戦の騎士にとっては最大
の好機に他ならない。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……爆炎双龍刃!!」
――ズババババババババババババババババババババババババババ!!!
――ピシィ!
その好機を逃さず、シグナムは上下左右四択一瞬十六斬と言う、神技とも言うべき剣技でヴィヴィオを斬りつける。言わずもがな、非殺傷ではあるが。
しかし、如何に非殺傷設定とは言え、その攻撃があまりにも強力だった場合は、幾らかはダメージが肉体にフィードバックするモノであり、そうなれば如何に頑丈でも
多少のダメージにはなるだろう。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
だが、粉塵の中から現れたヴィヴィオは矢張り無傷。
粉塵の汚れは兎も角、矢張り防護服に僅かな綻びすら見えない。
「……矢張り、無傷………」
「……うぅん、無傷じゃないよ。」
だが、軽くため息を吐くシグナムに対し、なのはは無傷ではないと言って来た――其れは、果たして如何言う事なのだろうか?
「無傷ではないとは?」
「シグナムの攻撃を喰らった時、ヴィヴィオの防具服は、確かに一部が破損したのを見たんだよ。
……あくまでも推測だけど、聖王の鎧って言うのは脅威的な防御力の他に、破損を一瞬で修復する自己修復機能も付いているのかもしれないんじゃないかな?
此れなら、鎧の許容範囲を超えるダメージで破損しても即時修復が出来るし、そんな攻撃は乱発出来るモノじゃないから、事実上鎧を抜く事は出来ない。」
そう、シグナムの爆炎双龍刃を喰らったヴィヴィオの防具服は、一瞬確かに破損していたのだ。
其れを確りと見ていたなのはは、聖王の鎧は破壊できない代物ではないと推測したのだ――尤も、破壊その物の難易度が恐ろしく高いのは間違いないが。
「それでは――!!」
「でも、そうだとしたら、鎧の防御力と即時再生能力を司る筈の聖王の魔力は、どうやって回復しているんだろうね?」
「え?」
流石に攻略法が無いのではないかと言おうとしたシグナムだが、其れはまたもなのはの言葉によって遮られた。
「聖王の鎧の維持と再生の他に、聖王はゆりかごの機能全てを司っている――有限の魔力で、果たしてそんな事が可能なのかな?
無論、聖王オリヴィエが私の10倍以上の魔力量を持って居た可能性は否定できないけど、果たして今のヴィヴィオに其れだけの魔力が内包されているのかな?」
「それは……流石に少し、考えられませんね?
今のヴィヴィオは確かに強いが、我等との戦闘を行いながら、ゆりかごの運転と、聖王の鎧の機能をフルに使っているとしたら、あっという間に魔力が枯渇する筈。
――って、まさか!!……ヴィヴィオに外部から魔力か、それに準じるエネルギーを送り込んでいる者が居ると言う事ですか!?」
其処からは、あっという間に答えは導き出された。
確かに今のヴィヴィオは凄まじく強いが、普段のヴィヴィオならばこんな魔力運用をすれば、直ぐにガス欠を起こす筈――そうでないのならば、外部からエネルギーを
リアルタイムで補給している存在があってしかるべきなのだ。
「ま、言うまでも無く、其れは最高評議会の誰かなんだろうけどね。
でも、そう言う事なら、補給源を断てばヴィヴィオを止める事が出来るって言う事になるよ。」
「そうかも知れませんが……アレの相手をしながら、エリアサーチと言うのは………」
「うん、流石にキツイ。――だから、ね?」
「!!……了解しました!!」
絡繰が分かれば、攻略は簡単だが、ヴィヴィオの異常な強さが其れを阻害している……しかし、なのはには秘策があるらしく、意味ありげにシグナムにウィンクすると
、シグナムも其れで全てを察したのか、頷き戦闘態勢を取る。
だが――
「ぐ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「「ヴィヴィオ!!」」
此処に来て、ヴィヴィオの魔力が異常なまでに膨れ上がって来た。
恐らくは、業を煮やした最高評議会が、ヴィヴィオに過剰なまでのエネルギーを送り込んだのだろう――無論、こんな状態での長時間戦闘は不可能だろうが、短期決
戦を挑むのならば問題にならないだろう。
「がぁぁ!!!」
――バキィィィィ!!!
「きゃあああああああ!!!」
「なのは!!のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
其れを示すかのように、ヴィヴィオの姿が一瞬ぶれたかと思った瞬間に、なのはが吹き飛ばされ、次の瞬間にはシグナムが吹き飛ばされた。
「く……紫電……!!」
「うおぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「!!!」
あまりにも早い攻撃に対応する事が出来なかったが、ならば反撃をと思ったところで、其れよりも速くヴィヴィオが強襲!!
既に暴走状態であった所に、更なるエネルギーを注ぎ込まれた事で、ヴィヴィオの肉体は完全にリミッターが外れ、その力を120%引き出せる状態になっているが故
に、如何になのはやシグナムと言えども、その動きを捉える事が出来ないのだ。
其処からは正に一方的。
なのはとシグナムは反撃する事もままならず、一方的に、攻撃を受け無視できないダメージが身体に刻まれて行く……そして――
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
――バキィィィィィィィィィィィィィィ!!
――ガスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!
凄まじい破壊力を秘めた拳がシグナムを殴り飛ばし、同様の破壊力を秘めた蹴りが、なのはを吹き飛ばす!!
そして吹き飛ばされたなのはとシグナムは、壁にめり込み、ピクリとも動かない。
「ふはは……ふははははははは!!やったぞ!!我々の勝利だ!!
夜天の主は此処で息絶えた!!これでもう、我等の敵となるモノは居ない!!夜天の力さえなければ、地球の戦力などおそるるに足らないモノだからな!!!」
其れに歓喜したのは、別室で戦いを見ていた機械の身体を得た脳味噌。
己の欲望の成就の最大の障害である、夜天の主を葬る事が出来たのだから、此れは歓喜しても仕方ないだろう。
「クククク!!実に良い気分だ!100年ぶりに、スコッチで乾杯したいくらいだよ!夜天の書は、我等が管理し、守護騎士には最強の手駒になって貰うとしよう!!
我等こそが世界を――――……待て、何故筆頭騎士の姿が消えていないのだ?」
しかし、一通り笑ったところで異変に気付いた。其れは、シグナムが、未だに其処に存在していると言う事だ。
もしもなのはが絶命したのであれば、主を失った夜天の魔導書は再び封印状態となり、守護騎士だって全員が書の中で、新たな主が現れる時まで眠りに付く筈だ。
だが、そうはならず、シグナムは其処に存在している――其れはつまり……
『なのはお姉さま、シグナムお姉さま、見つけましたわーーーーー!!』
「ジャスト5分……ゆりかごのプロテクトの堅さを考えれば、上出来って言う所だね?」
「良くやった四菜。」
『お褒めに預かり光栄ですわーーーー!!!』
なのはは生きていると言う事に他ならない。
スカリエッティ家四女の四菜からの外部通信を受けたなのはは、ゆっくりと目を開けて床に降り立ち、シグナムもまた同様に床に降り立つ。
なのはの秘策、それはスカリエッティ達にゆりかご内部をサーチして貰う事だったのだ。
特に四菜は、スカリエッティ一家の中でもハッキングと解析の能力に長けており、やろうと思えばアメリカ国防総省のメインコンピュータにハッキングして、しかもバレな
いように、データを盗み出す事だって可能と豪語するする位なのだ。
そんな彼女にとっては、如何に強固であるとは言え、ゆりかごのプロテクトを突破するなど朝飯前であり、見事、ヴィヴィオにエネルギーを補給している脳味噌の居場
所を特定したのだ。
「外部からのエリアサーチ!!……オノレ、ずっと私を探していたと言う訳か!!
だが、此処はゆりかごの最深部……此処まで来られる人間など――!!」
逆に、焦ったのは脳味噌だが、すぐさま此処が最深部と言う事を思い出し、場所が割れた所で如何と言う事は無いと考えたらしい――だが、今戦っているのは誰で
あっただろうか?
「……まさか、壁抜き!?そ、そんな、馬鹿げた事が!!」
確かに、並の魔導師であったならば、場所が特定出来たところで、其処に辿り着くのは困難だろう。
だがしかし、今此処に居るのは天下無敵にして、史上最強の砲撃魔導師である高町なのは!最深部にまで、砲撃を届かせる事など、彼女には児戯に等しいのだ!
「レヴァンティン!!」
『Schlangebeissen.』
そしてなのはの意図を逸早く理解したシグナムは、レヴァンティンをシュランゲフォルムに換装し、そのチェーンエッジでヴィヴィオを即座に拘束!
バインドとは違い、圧倒的な強度を持ったアームドデバイスでの拘束となれば、如何にヴィヴィオと言えども、外す事は出来ないだろう。
『序に言うなら、ヴィヴィオちゃんの理性も、その腐れ脳味噌が抑制していたみたいですわ!!
そんな、生ゴミにも劣る脳味噌なんぞに情け容赦は不要!!全力全壊で、ブチかましちゃってくださいなのはお姉さま!!』
「言われなくてもその心算だよ……ブラスターァァァァァァ3!!!!」
――轟!!!!
その間に、なのははブラスターシステムの最高レベルである『ブラスター3』を発動し、その魔力を更に高める。――此処から放たれる砲撃の威力は言うまでもない。
『覚悟なさい、腐れ脳味噌が!』
――ガシャン!ガシャン!!ガシャン!!!
更にカートリッジを3発ロードし、桜色の魔力は、臨界点を突破!!
「ディバイィィィィィィィィィィィィン………バスタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
――キュゴォォォォォォォォォォォォォ……ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
圧倒的に高められた魔力で放たれた必殺のディバインバスターは、最早直射砲撃などと言うモノではなく、言うなれば前方に進んでいく広範囲攻撃とでも言うべき攻
撃範囲を持ってして、脳味噌の居る最深部に向かって突き進んでいく。
勿論其処までの道則には、何層もの壁やら何やらが存在しているが、それらを突き破りながらも、しかしバスターの威力は減衰する事なく目標に向かう。
「あ……あ……そんな馬鹿なぁ!!!!」
絶体絶命を悟った脳味噌は、最深部からの離脱を試みるが、転送ポートが起動する間もなく、バスターは最深部の天井を突き破って来る。
ならばと逃げようにも、圧倒的な面の制圧力を持った直射砲撃を前にした以上、動ける空間が限られている室内では、最早逃げ場などない。つまりチェックメイトだ。
「嫌だ……私は……死にたくないーーーーーーーーーーーー!!!!」
――ドガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
……その叫びが、脳味噌の断末魔だった。
持てる力の全てを注ぎ込んだ、なのはのディバインバスターの直撃を受けた最深部は、あらゆる設備が跡形もなく破壊され、其処には設備の残骸すら残っていない。
必殺の砲撃は、文字通り全てを消し去ったのだった――そう、機械の身体を得た脳味噌諸共だ。
ザフィーラが葬った脳味噌に続き、ゆりかごでもまた、不死の欲望に捕らわれた愚者には夜天の鉄槌が下ったのであった……
To Be Continued… 
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