Side:信長


ふむ……最高評議会とやらの戦力も、存外バカに出来るモノではないようだな?
高町なのはと比べれば雑兵に過ぎんが、戦う力を持たぬ一般人にとっては、ガジェットと最高評議会お抱えの魔導師と言うモノは、確かに脅威となる存在なのだろうが、
ワシ等が居るのならば、一概にそうとも言えまい。

高町なのはは、ワシに代わる時代の天下人だが、奴の配下や友達もまた、極めて高い力を有しているが故に、最高評議会の戦力など塵芥に等しいだろう。



「うおりゃぁぁぁぁ……これで燃え尽きろぉォォォ!!

『終わりにするぜ……!!』


「この星をアンタ等の好きにはさせへんで!!力の限りぶった切ったるわぁ!!!

『一刀両断だな大将!』


実際に、彼女の仲間達は、他の誰よりも輝かしい戦果を挙げているのだからな――まったく、戦国の世で、高町なのはと出会えたのならば、ワシの命運も変わっていた
のやも知れんな……いまさら言っても詮無い事だがな。
まぁ良い、ワシが後継者として認めたあやつの道は誰にも邪魔させぬ!!



「はい、なのはさんの道は誰にも邪魔させません!!……そうでしょう、兄様!」

「市か………無論だ!!」

寧ろ見せてやろうではないか、戦国最強の兄妹の力と言うモノを……さぁ、覚悟は出来ているか、高町なのはと言う天下人の覇道を阻まんとする阿呆共よ?
貴様等には一切の慈悲などない……我が爪牙、或は高町なのはの仲間達の手によって滅びるが良い…貴様等の魂は、ワシ等が冥底へと送ってくれるから覚悟せい!













魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~  夜天126
『夜天の炎星-高町なたね-』












Side:なたね


さぁ、掛かってきなさいN9999。貴女の全てを受けきった上で貴女を倒して教えて差し上げましょう、貴女では姉さんに勝つ事など100万年経っても不可能であると。
そもそもにして、貴女が姉さんに挑む事自体が、烏滸がましい事この上ない……身の程を弁えなさい、出来損ないの劣化コピー。



「調子こいてんじゃねぇぞコラァ!!
 だ~~れが劣化コピーだ!!今の私は、最高評議会の手によって、高町なのは以上の魔力を手にしたんだ……テメェ如きは、瞬殺できるんだよ、此のクソッタレが!」

「私を瞬殺とは、中々大きく出ましたね?
 ならば、その自信のほどを見せて頂くとしましょう――まぁ、結果は分かり切っているので、元より期待などはしていませんけれどね。」

「舐めんじゃねぇ!!ぶっ殺す!!」



吠えるだけでなく、やってみたら如何ですか?
腐っても姉さんのクローンだけあって、魔力その物は非常に高いのは分かります――その力を全開にすれば、私を倒す事位は出来るかも知れませんよ?多分ですが。
尤も、倒されるつもりは毛頭ありませんけれど。



「言われるまでもねぇ……死ねやオラァァァァ!!!」



――ドドドドドドドドドッドオドドドッドオドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!



此れはまた、中々に強力な魔力弾の乱舞射撃ですね?
誘導性は皆無ですが、魔力弾1発当たりの破壊力だけならば、姉さんのアクセルシューターをも凌駕するでしょう……ですが、どれだけ破壊力があろうとも、相手に当た
らなければ意味が有りません。

誘導性皆無の乱射射撃を避けるのには、難は有りませんからね。



「な、何で当たらねぇんだ!!当たれば終わりなのに!!……クソッ垂れがぁ!!!」

「全方位の絨毯爆撃射撃とは言えども、魔力弾に誘導性能が無ければ、避けるのは難しくありません……そんな事も分からなかったのですか?所詮はコピーですね。
 ……尤も、コピーと言うのならば、私とてこの身体其の物は、姉さんのクローンであるのは事実です。」

「な……テメェも高町なのはのクローンだと!?
 ……いや、其れなら逆に納得か……アイツなら、自我の芽生えたクローンを、テメェの妹として迎え入れる位の事はしちまいそうだからな……つまりそう言う事かよ?」



そうなりますね。
ですが、一つだけ言っておくと、私の自我は自然と芽生えた物ではなく、闇の書の構成素体であるマテリアル……シュテルの意思が、クローンの身体に宿ったものです。
故に、私は私以外の何者でもありません……私はシュテルであり高町なたね……姉さんの覇道、誰にも邪魔はさせません。



「は!蓋を開けてみりゃ、最初期のクローンに、良く分からねぇ魂が宿ったって事かよ……この出来損ないが!!
 テメェなんぞは、私の敵じゃねぇ……その差をバッチリ教えてやるよ!!」



教えて頂きましょうか……貴方に其れが出来るとは思いませんけれど。――時に、背後には少し注意した方が良いのではないかと思いますよ?



――ドガァァァァァァァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!



「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「……ふむ、腐っても姉さんのクローンらしく、防御力は中々に高いようですね。」

ティーガーⅠの88mm砲が直撃して、ほぼ無傷とは、呆れた耐久力です。姉さんどころか、ザフィーラにも匹敵する防御力であると上方修正をしておきましょう。
ですが、果たして次の一撃には耐えられますかね?



「次の攻撃だと?」

「はい、次の攻撃です。」



――ガァッデェェェエェェェム!!

――ドッバゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオォォォォォォォォォォォォン!!!!!




「べぎゃっぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「如何に頑丈とは言えども、マウスの主砲128mm……12.8cm砲のケンカキックを喰らったら、只では済まなないでしょう?破壊力だけなら、ブレイカー級ですので。」

砲撃音が某黒のカリスマっぽいのはネタであると同時に仕様なので突っ込みは無用ですよ。



「ってぇなコンチクショウ!!咄嗟にプロテクション張ったからよかったモノの、直撃してたらお陀仏だった……てか、なんつ~超兵器持ち出して来やがんだテメェ等は!
 こっちもガジェット使ってるから『質量兵器禁止』とか言う心算はねぇが、危うく死に掛けたじゃねぇか!!」

「其れが何か?此れは地球の命運をかけた、戦い……姉さんと信長公率いる地球連合軍と、最高評議会との全面戦争なのですから、使える物はなんだって使います。
 大体にして、貴女は私達の命を奪う心算で此処に居るのでしょう?
 ……であるにも拘らず、自分の命は奪われないと、奪われる覚悟も無しにこの場に現れたと言うのですか?――だとしたら、あまりにも思考が短絡で、甘く生温いとし
 か評する事は出来ません。
 其れ以前に、その様な考えの貴女に戦場に立つ資格も、武器を手にする資格もない……早急にこの場から立ち去る事を推奨いたします。」

「何だとぉ!?馬鹿にしてんのかテメェ!!!」



いえ、事実をありのままに言っているだけの事。
ルールのある試合や、模擬戦闘ならば非殺傷設定を使う事で肉体的ダメージをカットしますが、本当の戦闘に於いては非殺傷設定は解除され、文字通りの『命の奪い
合い』が行われるのです。
無論、其処で生き延びるのは大事な事ですが、戦う意思を持ち、相手の命を奪う心算で戦場に立つのならば、自らも命を奪われる覚悟を決めねばなりません。
ましてや、この様な乱戦ならば何処から流れ弾が飛んでくるか分かったモノではないので、全く予想外の攻撃で命を落とす事だって珍しくないでしょう――貴女には其れ
が全く無い。奪うだけの略奪者を気取っている貴女では、戦場では生き残れません。

姉さんの覇道を邪魔する障害かとも思いましたが、如何やら私が手を下すまでも無いようです。私や姉さんが手を下さずとも、貴女は何れ戦場で命を落とすでしょう。
貴女と戦おうなどと思った私が愚かでした。貴女の相手をするくらいならば、ガジェットや最高評議会お抱えの魔導師を殲滅して居た方が、遥かに有意義でしょうし、少し
はこの心も滾ると思いますので。

では失礼。精々これからも、身の程を弁えずに己より強い相手に挑んで負けるか、有象無象の三下を屠って悦に入るか、三流らしい生き方をなされば宜しいでしょう。



「な、舐めんじゃねぇぞテメェ!!!最初期のクローンのクセに、知った風な口ききやがって!!誰が三流だ、あぁ!?
 見せてやるよ、最高評議会に手を貸してやった事で得た、更なる力ってやつをな!!行くぞォォォォォォォォォ……ブラスター!!!



――轟!!!



ヤレヤレ、短気のヒステリーは手に負えませんね?大人しくして居れば、まだもう少しだけ生きていられたかもしれないと言うのに。
しかも今発動したのは、デバイスに搭載された自己強化システムである『ブラスター』……まさか、貴女が其れを使えると言うのは、正直少々予想外の事でした。

良いでしょう、覚悟も無いくせにあくまでも戦うと言うのならば、姉さんに変わってこの私が、貴女に夜天の裁きを下して差し上げます。
来なさい、姉さんの劣化コピーとも呼べない粗悪品。私の焼滅の力で、魂の欠片も残らない位に焼き尽くしてあげましょう。



「誰がテメェ如きにやられるか!!喰らいな、ディバインバスター!!!

「其れは此方のセリフです……ブラストファイヤー!!



――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッァァァァァァン!!!



私のブラストファイヤーと撃ち合いになって押し負けないとは、ブラスターを発動しただけの事はあるようですね?ですが、其れだけでは私に勝つ事は出来ません。
撃ち合いにだけ集中しているのは危険ですよ?



「なに!?……どわぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁ!!!ゆ、誘導弾だと!?何時の間に!?」

「砲撃魔法と射撃魔法の同時使用位できなくては、一流の魔導師とは呼べませんよ?
 ブラスターによる、能力の底上げは中々のモノですが、使い手が三流程度では、その力も充分に生かす事は出来ないでしょう……矢張り詰まりませんね。
 そして、後ろががら空きです。」

「な!?」


――ガシィ!!!


何時の間にとでも言いたそうですね?
敵方に教えてあげる義理は無いのですが、せめて冥土の土産に教えて差し上げましょう……とは言っても実に簡単な事です。
砲撃の撃ち合いが臨界点に達した時点で、パイロシューターを放ち、同時にフラッシュムーブを使って、貴女の背後に回った――只、其れだけの事。簡単な事です。
そして此れで終わりです……燃えなさい、クロスブレイザー!!



――ゴォォォォォォォオオォォォォォォォォォ!!



精々燃え尽きなさい。其れが貴女にお似合いの末路です。



「……舐めんなよオイ……」



――ギュル!!



おや?……此れはバインド?ふむ、死なずにいたと言う訳ですか……此れには正直驚きです。まさか、アレを耐えきるとは思いませんでした……褒めてあげましょう。



「ギリギリだけどな……だが、おかげで捕らえる事が出来た!!
 このバインドを砕く事は出来ねぇからな……攻守逆転だ!今度はテメェが、死ぬ番だ、最初期のクローン風情が!!……見せてやるよ、私の全力全壊をな!!!」



――キュゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!



「!!!」

此れは……まさか集束砲?
腐っても姉さんのコピー……魔力収束のレアスキルも受け継いでいたと言う訳ですか……マッタク持って、厄介な事であり、腹立たしい事ですね。



「これで終わりにしてやる……喰らいやがれ、スターライトブレイカー!!!



――グゴォォォォォォォォォォォォォォォォ……ドガバゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオォォォォォォン!!!!



「はぁ、はぁ……如何だ、此れが私の全力全壊だ!!
 粉々に吹き飛んじまっただろうからもう聞こえないだろうが、此れが私とお前の力の差なんだよ!!テメェは、私の敵じゃなかったんだよ最初っからな!!!
 ククク……ひはははっは……ヒャーッハッハッハッハッハッハッハ!!!」










言いたい事は其れだけですか?








「ハッハッハッハッハ………何だと?」

「この程度の温い集束砲で、私を葬る事が出来ると思っていたとは……随分と舐められたモノですね?」

「テメェ……!!そ、そんな嘘だろ!?
 如何してアレを喰らって殆ど無傷で居られるんだ!!スターライトブレイカーの破壊力は、都市一つを壊滅させる……ブラスターで強化されたアレを喰らって無事で済む
 筈がねぇ……有り得ねぇぞテメェ!!」



確かに今のブレイカーが、姉さんの放った物だったのならば私は戦闘不能に陥っていたでしょう。
ですが、貴女のブレイカーは確かに強力でしたが、見た目の凄さに反して中身が無い……故に、見た目の弩派手さに反して技の破壊力が低い。其れでも、並の魔導師
ならばKO出来る程度の威力は有りましたけれどね。

しかし乍ら、その程度の集束砲では私を倒す事など出来ません。
ですので教えて差し上げましょう、本当の集束砲が如何言うモノなのかと言う事を!!捕らえなさい、ルベライト!!



――バキィィィン!!!



「バインド!!」

「其れだけではない……義によって助太刀させて貰う……不動金縛り!



――ビシィィィィィ!!



此れは、信長公の部下である隼人が助太刀をしてくれるとは、嬉しい誤算ですね。
ともあれ、ルベライトと不動金縛りの二重の拘束をされた貴女に、この攻撃を避ける事は不可能です。

そして、冥土の土産にお目に懸けましょう……真のブラスターシステムと言うモノを!!行きますよ、ルシフェリオン!



『All right.(了解です。)』

ブラスターァァァァ……3ィィィィィィィィィィィィ!!!



――轟ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!



さて、覚悟は宜しいですね?これで終わりにします!!
走れ明星、全てを焼き消す炎と変われ!!!

「此れが私の全力全壊……全てを焼き尽くせ、真・ルシフェリオォォォォォォォォォォン………ブレイカァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!



――ゴォォォォオォォォォォォォォォォォオォォォォォォォォォォォォォォ!!!!



……これで終わりです。所詮は、この程度の相手でしたか。



「命を刈り取ったのだろうか?」

「この程度の輩は、命を奪うにも値しませんよ隼人。
 ですが、彼女の魂が廃人同然になったのは確実でしょう……死すら超えた焼滅の恐怖に当てられ、ご覧の通りに髪が白髪となってしまいましたからね。」

此れだけの恐怖を感じた後では、二度と戦う気にはならないでしょう。
よしんば戦おうとデバイスを手にしても、その瞬間に存在すら焼滅する攻撃の記憶が脳裏に蘇り、戦場に立つ事は出来ないでしょう…そうなるように攻撃しましたから。

何れにしても、彼女は此処でリタイアです。


ですが、倒すべき敵はまだ居ます……行きましょう、我等が勝利を掴むために。



「是非もない。……自分も、微力ながら力を貸そう。」

「そう謙遜する事も無いでしょう?……貴方は信長公の部下の中で一番の使い手なのですから。」

「有り難きお言葉、受け取っておこう。」



此方は、何が出て来ても大丈夫ですから、ゆりかごの方は任せましたよ姉さん、シグナム。――さっさとヴィヴィオを奪還し、黒幕を倒して、戻ってきてください。
必ず勝つと、信じていますから。








――――――








Side:なのは


ふぅ、ガジェットが邪魔してくれたけど、取り敢えずはゆりかごの内部に到着だね?
1000年前の超兵器って言う事だから、中ももっとこう、遺跡チックなのかと思ってたけど、中はアースラと遜色ないレベルの近代的な装いだね?……逆に言うなら、この
世界の技術レベルは1000年前から大して変わっていないって言う事になるのかもしれないけど…(汗)

まぁ、其れは良いとして、此の艦の何処かにヴィヴィオがいる筈だから、其れを見つけ出して奪還するの!!



「言われるまでも有りませんよなのは……其れに、ヴィヴィオの奪還だけでなく、最高評議会に引導を渡すのも私達の為すべき事でしょう?」

「アタシも、最大限力を貸すよ。其れが旦那の願いでもあるだろうからさ。」

「マイスターの敵は私の敵!!やってやるです!!」

「そっか……そうだよね!なら、準備は良いかな?」

「無論……ハァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」



――弩轟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!



うん、シグナムは調停者モード発動で、やる気充実!!――だったら私も全力全壊!!行くよグルム!!



「はいです!!ユニゾン……イン!!」



――キュゴォォォォォォォォォォオォォォォォォ!!



融合完了です!

「夜天の祝福……此処に在り、だね。」

さぁ、行こうかシグナム?
調停者としての力を解放した夜天の筆頭騎士と、ユニゾンによってその力を120%引き出した夜天の主の力…其れを脳味噌共の脳髄の芯にまで刻み込んでやるの!



「是非もなし……精々教えて差し上げましょう、最強の剣士と最強の魔導師が力を合わせたら最強だと言う事を。
 今は未だ融合はしないが、いざという時は頼むぞアギト。」

「オウ!連中に目に物見せてやろうぜ!!」



だね。
終焉はもう間もなくだよ最高評議会――精々今のうちにハイクを読む準備をしておくんだね!!

人である事を辞めて、100年以上も生き汚く生きて来たんだから、ソロソロ其れを終わらせる時だよ!――人生にピリオドを打つ覚悟は、出来てるよね?












 To Be Continued…