Side:なのは
「被害状況だけを言うのならば、全壊したのは六課本部だけだが……負傷者は2名で、更に誘拐された者が1名――ハッキリ言って楽観できる結果ではないな。
シャマルとザフィーラの負傷については、なのはが管理者権限を行使して、守護騎士の破損を治せば大丈夫だろうが、連れ去られたヴィヴィオを取り戻す事は簡単じゃ
ないだろう――如何して連中が、ヴィヴィオを攫ったのかは分からないけれどね。」
確かに簡単じゃないかもしれないけど、ヴィヴィオは必ず取り戻すよクロノ君。――私は、あの子のママだからね。
加えて言うなら、最高評議会がヴィヴィオを攫った理由なんて言うモノは、些細な事じゃないかな?……大事なのは、連中が本格的に私達に牙を剥いて、敵対の意を示
したって言う事だと思うの。
加えて言うなら、攫った理由は些細な事でも、ヴィヴィオを攫ったって言う事実は、連中を撃滅するには充分な理由になるからね。
自分で言うのもなんだけど、夜天の主となった時に、私は覚悟を決めてるんだ――味方には厚情で有れ、されど敵対者には容赦をするなってね。
「その考えには僕も賛同しよう。
味方を護るのは当然だが、敵に情け容赦は必要ない――下手に情けを掛けたら、此方の寝首を掻かれかねないからな。」
「でしょ?――それに、ヴィヴィオが攫われたって言っても、最高評議会を全部ぶちのめせばヴィヴィオを取り戻す事は出来るんだから、ちまちま考える必要はないの!」
「力に力を……と言う事ですねなのは?」
その通りだよシグナム。
大体にして、今回はタイミングが悪すぎたせいで負けちゃったけど、次はそうは行かないからね?……生き汚い脳味噌共に、私が直々に引導を渡してやる心算だよ!!
埃をかぶった骨董品が、何時までものさばってたら世界は成長できないからね。
「連中への引導を渡す役……是非とも私にもやらせてください。
奴等は斬るべき相手だと常々思っていましたので、この際ですからレヴァンティンの錆にしてくれましょう――我が刃は、今までにない位に血に飢えている様ですので。」
其れは願っても無い事だよシグナム。
なら、最高評議会の脳味噌達には、夜天の主と筆頭騎士で、断罪の刃を振り下ろす事にしようか?……何れにしても、最高評議会は自ら破滅への道を選択したって言う
事だけは、間違いないと思うよ。
魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~ 夜天124
『Anfang der letzten Szene』
其れは其れとして、最高評議会の方は、此れからどんな事をしてくる事が予想できるかなクロノ君?
「完全に予想するのは難しいが……そうだな、一番に考えられるのはミッドチルダの永久支配権を得ようとする事だな。適当な犯罪を自ら発生させて、其れを鎮圧する自
作自演で、市民の支持を得ると言うモノだ。
そしてもう一つは、君達の故郷である地球に全軍を持ってして戦いを仕掛ける可能性だな。」
「……やっぱり、その可能性は十二分にあるんだね?」
大体予想はしていたんだけど……実際にあるって言うのを聞くと、流石に笑えないね――例えそれが負けない戦いであったとしてもね。
「管理外世界であるにも拘らず、高い魔導技術を有し、更には一級のロストロギアである『夜天の魔導書』の主が存在している世界――最高評議会がそれらを理由に戦
争を吹っかけるにはもってこいの相手と言えるからな……その選択は、愚の骨頂とも言えるけれどね。」
まぁ地球に手を出すって言うなら、其れは何としても迎撃するけどね。――自分の故郷が破壊されるって言うのは、果てしなく嫌な気分だから見過ごす事は出来ないの!
寧ろ、最高評議会なんて返り討ちにしてやるの!!いっそ消し炭すら残さない位のレベルでね!!
「頼もしいな?――やはり君達だけは、絶対に敵に回したくないモノだ。
首尾よく六課本部を破壊したようだが、最高評議会は藪をつついて蛇を――否、ドラゴンを出してしまったようだな。しかもそのドラゴンは、最強の仲間を従えてると来た
上に、大事なモノを奪われて激昂している訳だから、火傷では済まない痛手を覚悟して貰わないといけないらしい。」
「火傷どころか、存在その物を抹消して然りだろう。
夜天の王たる高町なのは、そして第六天魔王たるワシ……織田上之介信長に、愚かにも喧嘩を吹っかけて来たのだからな?」
其の通りですね信長さん。
夜天の主、第六天魔王、そして管理局の若き提督……喧嘩を売った相手が悪すぎたって言う事を教えてあげるの……その身に直接、全力全壊で叩き込んでやるの!!
「っしゃー!喧嘩上等だオラァ!!
火事と喧嘩は江戸の華!セクレタリーズの斬り込み隊長、トーレ・ザ・インパルス……燃えて来たぜぇ!!!七緒もやる気はあるだろ?」
「……」(コクリ)
「今回はやられたけど、最高評議会のアホさ加減には呆れてまうな?
なのは姉やんに喧嘩売るとか、ホンマに自殺志願者かって思ってまうで?――姉やんの逆鱗触れたら、良くてピンクがトラウマ、悪ければ生涯寝たきりやからな!!」
「大人しく、生命維持を続けていれば長生きできたでしょうに……己の強欲で身を亡ぼすとは、笑えない末路ですね。」
逆に言うなら、生き汚い脳味噌には相応しい末路とも言えるけどね。
可能なら、今直ぐにでも脳味噌を叩きのめしてヴィヴィオを救い出したいんだけど……場所が分からないからね?――さて、如何してモノだろうね。
――ヴォン
ん?此れは……次元通信?
それも、ミッドだけじゃなくて、あらゆる次元世界に……それこそ地球にだって届くレベルの次元通信!?――通信主は……最高評議会!?一体何をする心算なの?
『ミッドチルダの諸君、いかがお過ごしかな?……少し前に、意見公聴の会場と機動六課の本部がテロリストの襲撃を受けたが、其れは我々最高評議会が鎮圧したから
安心してほしい。
だが、この世界を真の平和に導くには、第97管理外世界を管理局の管理世界としなければならないだろう――現在管理外世界であるにも拘らず、其処には高度な魔
導技術が存在し、強力な力を秘めた魔導師や騎士達が多数存在しているのだからね。
故に、我等最高評議会は、このたび第97管理外世界、通称『地球』に総攻撃をかけることを決定した!この危険な管理外世界を、我等の力で制圧し、支配して管理世
界として、ミッドチルダの脅威を取り除く!
そして、その切り札となるのが此れだ!!。』
――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
随分と好き勝手な事言ってくれちゃって……本気で非殺傷設定解除で、スターライト・ブレイカーをブチかましてやりたい気分なの――大体にして、意見公聴会場の襲撃も
六課への襲撃も、貴方達がやった事だって言うのに、ふざけるなだよ!!
しかも、何やら凄そうなものまで出して――
「!!……馬鹿な……アレは!!」
「シグナム?」
如何したの、そんなに驚いて……そんなに驚く姿は似合わないんだけど、何かあった?
「何かあったどころではありませんよなのは!
連中が呼び出したアレは、戦乱期のベルカに於いて、最強にして最悪の決戦兵器と謳われた、無差別大量破壊兵器『ゆりかご』です!!
しかもあれは、只の決戦兵器ではなく、コックピットである玉座に座した聖王の命をエネルギーに、聖王の命が尽きるまで破壊活動を行う、狂気の最終兵器――それが
この時代で起動するなど、悪夢としか言いようが有りません。」
「其れは確かに最悪の兵器だね……完全に人の命を、駒として考えて居なかったら使う事は出来ないの。
其れほどのモノを再現するなんて……最高評議会の技術レベルは侮れないけれど――ゆりかごの玉座に座する『聖王』は一体誰のかな?」
「……非常に申し上げにくいのですが、其れは恐らくヴィヴィオでしょう。
翠と紅のオッドアイと、ハニーブロンドの髪は聖王家の血筋の証ですからね――故に、ゆりかごの鍵として攫われた可能性は非常に高いでしょう。」
やっぱりね……本気で怒りがこみあげて来るの。
地球に総攻撃をかけて、力で抑え込んで無理矢理管理世界にするって言う事だけでも業腹モノなのに、挙げ句の果てには最強最悪の決戦兵器を動かす為だけにヴィヴ
ィオを攫っただなんて、絶対に許せない!!
まして、そのヴィヴィオの命を削ってゆりかごとか言うのを起動するなんて絶対にダメなの!認めねーの!大体にして、此の適度じゃ、夜天の主は怯まないからね!!
とは言っても、地球が攻撃される事は間違いなさそうだから、一度地球に戻ってすずかちゃん達と話し合った方が良さそうだね?
恐らくは、地球での弩派手な決戦は避けられないだろうからね――クロノ君、地球と転送ポートを開いて貰っても良いかな?
「君ならそう来ると思っていたから、既に準備は出来ているよ。
今回の事は、僕達だけで如何にか出来る事じゃない――君の仲間達の力は絶対に必要になるだろうからね?何よりも、ミッドチルダの未来の為にも最高評議会の愚行
を見過ごす訳には行かないからな。
だから此処からは、僕も提督ではなく、一魔導師として戦わせて貰うさ――せめて、君達の役に立てるようにね。」
クロノ君………其れだけでも充分だよ!
此れはもう、絶対に勝たないとだね!!って言うか、勝たないとヴィヴィオは取り戻せない訳だから!!
「えぇ、必ず勝ちましょうなのは。
此れだけでも充分な戦力ですが、地球に残して来たバニングス達の力を加えれば我等の戦力は更に倍化する故に、相手が誰だろうとも二度目の敗北は有り得ない。」
だからこそ負けないって事でしょシグナム?――大丈夫、言われなくても分かってるから。
取り敢えず言える事は……最高評議会は、その首洗って待っていやがれなの。夜天の主と、夜天の守護騎士の将が直々にその首を狩りに参上してやるからね!!!
此れまで行った所業と、ヴィヴィオを攫った事への代償を、不足なしで払って貰うから、精々覚悟しておくと言いの!!手加減なんてしないから!!
――――――
Side:アリサ
さて、今起きた事をありのままに話すわ。
行き成り光学モニターが現れて、訳の分からない事を喚きたてたと思ったら、次の瞬間には、アタシのベッドに凄い数の人達がなだれ込んで来たわ……それこそ、一個小
隊が作れるんじゃないかって言う位にね。
何を言ってるのか分からないかもしれないけど、強制転移とか大量展開とか、そんなちゃちな言葉じゃ済まない、本気の脅威を感じたわ!!!
「大分久しぶりだけど、行き成りのポルナレフ乙だねアリサ。」
「言い訳はしないし後悔もしていないけど、敢えて言うわ――一度でいいからやってみたかったのよこのネタは!!」
「OK、やってみたかったんならしゃーないわ!!」
と、言う訳で、私の部屋にはなのは達が絶賛集合中!!
何でも、適当に転移先を設定したから此処になったって、ドレだけのミラクルだって言うのよ!いっそ本気で尊敬しても、きっと罰は当たらないって言いきれるわ!!
「至言だな、バニングス。
我等が主たるなのはの選択に偶然は無く、全てが必然だ――故に、我等が此処に転移したのも必然と言う事だ。……実際にそうだからな。」
「確かに必然だね……アリサとすずか、そしてアミタさんとキリエさんの力は絶対に借りたいからね。
率直に言うよアリサちゃん……多分、最高評議会の次元放送は聞いたと思うけど、私達はアレを許す心算は無い……だから、最高評議会を止める為の仲間を必要とし
てるんだよ……無理にとは言わないけど、力を貸してくれないかな?」
最高評議会……行き成り空中に光学ディスプレイを作り出して、好き勝手ほざいてくれたクソオヤジの事ね?
確かにアレは果てしなくムカついたわね~~~?なのは達をまるで絶対悪みたいに言いながら、自分達が絶対正義みたいに言いつつ、地球を簡単に落とせるとか思って
る辺りに、ふざけるなって思ったわ!!
アレを打っ倒す為なら、頼まれなくたって力を貸すわよなのは!
私だけじゃなく、すずかも、アミタとキリエも力を貸してくれるのは間違いないわよ?――この地球は、此処に生きる私達のモノなんだから、最高評議会だろうとなんだろう
と、其れを好きにはさせないわ!!
喜んで協力するわなのは!!
「アリサ……ありがとう!!」
「な~~に、水臭い事言ってんのよ?
アタシ達は親友でしょ?――だったら此れ位は当然の事よ!」
だから、最高評議会とやらに見せつけてやろうじゃない?……夜天の主と、その仲間達が本気を出したらドレだけ凄まじく、そして圧倒的な力を持って居るのかって言う事
を、骨の髄まで……髄の奥にまで刻み込んでやるわ!!
其れ以前に、親友に手を出されて黙ってられる程、アタシは気が長くないからね?――なのはに手を出した代償も、纏めて払って貰うわ!!
地球を舐めんなよ、最高評議会!!纏めて返り討ちにしてやるから、精々覚悟しておきなさい!!
――――――
Side:シグナム
ふぅ……あれから、月村とフローリアン姉妹、更には信長軍の面々も集って、一時収拾がつかなくなりそうな事態に陥ったが、なのはと信長殿の一喝で事態は収拾したの
だから、結果オーライか。
尤も、役割はちゃんと決められな。
シンプルな布陣だが、私となのはがゆりかごに突入してヴィヴィオの奪還と、敵黒幕の撃破を担い、他のメンバーは海鳴の防衛と言ったところだな。――故にしくじりは許
されないな。
「シグナム?」
「なのは?」
物思いにふけっていたが故に気付けないとは、私もマダマダだが――如何なされたのですか?
作戦の決行は明日ですから、今晩は良く休んだ方が良いのではないですか?……寝不足は、作戦に差し支えますよ?
「其れは、其のままお返しするよシグナム。
気持ちが昂ってる訳じゃないんだけど、何て言うか寝る気にならないんだよ……詳しく言うなら、魔力が滾って寝る事が出来ないんだ――こんな感覚は初めてだよ。」
「……それは、私もですよなのは。
騎士として幾多の死線を潜って来たと思っていたのですが……今回の事は、其れをも上回る事態の様ですからね……魔力が漲ってしまっても仕方のない事ですよ。」
ですが、心配は不必要ですなのは。
我等守護騎士は当然として、貴女の友達も、貴女の為に戦う覚悟を決めています!!だからきっと――否、絶対に大丈夫です!!
「其れはとっても頼もしいけど、まだ少しだけ足りないかも。」
「ならば、その足りない分は、私から補ってくださいなのは。」
「うん……そうするよシグナム…。」
――ちゅ
忘れないで下さいなのは……たとえどんな事が有ろうとも、私の魂は貴女と一心同体――私は常に貴女と共に在ると言う事を忘れないで下さい。
「シグナム………?」
「此れが私の魂の誓いですなのは。……我が魂は、永遠に貴女のしもべですからね。
例えこの身が朽ちようとも、永遠にお慕い申し上げます――Mein bester Master NANOHA.(我が最高の主、なのはよ。)」
「うん、そうだね?……Ich erwarte es der Kommandant des aufgebrachten Feuers.(頼りにしてるよ、烈火の将。)」
お任せ下さいなのは……ヴォルケンリッターの筆頭騎士の力を、知らしめて見せましょう!!そして、我等が本気を出したらドレだけの力を有しているのかと言う事もな!
さぁ、終焉のカウントダウンが始まったぞ最高評議会?
このカウントダウンを止められるモノならば止めてみるがいい!――我等は絶対に負けん!!貴様等を叩きのめして、地球を護り、ヴィヴィオを取り戻すからな!!
精々首を洗って待っていろ――生に執着した愚者の首は、私が直々に切り落としてくれる!!それが、貴様等の末路だ、最高評議会の脳味噌よ!!!
To Be Continued… 
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