Side:アリサ
まさかの襲撃だったけど、ぶっちゃけ言うとアタシ達の敵じゃなかったわね。其れこそ、ウォーミングアップ位にしかならなかった位だわ。
グランツ博士が言うには、現れた魔導師は全員がオーバーAランクで、ガジェットもAAランク相当の力が有ったって事だったけど、生憎とアタシ等は全員がオーバーSの力
を有してるから、オーバーA位じゃ相手にならない訳よ。
ご理解いただけたかしら、間抜けな襲撃者さん?
「全員がオーバーSだと!?……そんな馬鹿な!!
オーバーSの魔導師など、ミッドチルダに於いても100人に1人居るか居ないかだと言うのに、其れほどの力の持ち主がこうも集っているとは、大凡信じられん……!」
「ですが事実です――そして、彼方達が私達に何も出来なかったと言う事も。」
「こんな事言ったらアレだけど、戦いの世界は弱肉強食のJNK――強い者だけが生き、弱い者は淘汰される運命なのよ~~?
其れとも、自分達は負ける筈がないとでも思ってた?……だとしたら、余りにも甘すぎるわね~~~。」
「戦いに於いて大事な事は、勝利をもぎ取る信念を持ちつつ、敗北の可能性も考慮しておく事です。
最悪の事態を常に考慮しておけば、その事態が起きた時に最も適切な対応が出来る訳ですからね……其れすらなかったのだと言うならば、呆れて物が言えません。」
つまりはそう言う事なのよ。
もっと言ってやるなら、ミッドに渡ったなのはとシグナムは、アタシ達の10倍は強いわ!!下手に手を出したら、火傷じゃ済まない痛手を被るから、精々覚悟しないよね。
でもまぁ、先ずは……アンタ達の知ってる事を包み隠さず、全て話して貰おうじゃない!!言っとくけど拒否権は無いからね!!
魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~ 夜天117
『バーニング・ブラッド!!』
Side:フェイト
海鳴での襲撃は余裕で撃退して、そして最高評議会の魔導師数名とガジェット数機を捕獲するに至って、現在進行形で『時の庭園』でお母さんの取り調べが続いてる。
続いてるんだけど、其れは一体何なのお母さん?
「其れって、何かしら?」
「その服!!」
「あぁ、此れ?……現役時代に使っていたバリアジャケットよ。
そしてこの鞭は、デバイスの一形態だから気にしなくて良いわ……こっちの方が、取り調べは捗るしね。」
何て言うか半信半疑な部分はあるけど、確かにお母さんが本気を出せば捕らえた相手から重要な情報を得る位は簡単だろうから、この役は適任かもしれないね。
「さて、其れじゃあキリキリ吐いて貰おうかしら?……彼方達は管理局の最高評議会のメンバーで間違いわね?」
「ふん、答える義務なんざねぇな」
「ふぅん?其処でそんな態度をとるのね?……だったら、此方としても其れ相応の対応をさせてもらうだけの事……身体に聞かせて貰うとするわ!!」
――パァン!!
って、一切の躊躇なく鞭を振るったよお母さん!!
しかも、最初の1発のみならず其処から腕を大きく使い、逆に手首周りは軽快な動きで鞭を返して、此れは文字通りの百叩きの刑以外の何物でもないよ!?如何に最高
評議会傘下のメンバーとは言え、ちょっとだけ同情しちゃう位に攻撃が激しいです!裂破音がしまくりですから!!
って言うかお母さんノリノリ過ぎだと思うんだけど、其れを言ったら後が怖いから、今は言わないでおこう。其れがきっと正解だよね。
「さて、此れでも言う気にならないかしら?」
「……………」(白目、泡吹き失神&失禁。口から魂が半分抜けてる。)
「言う気以前に、失神してる。って言うか、何か抜けちゃいけない物が口から半分抜けてる気がするよお母さん。」
「……あら?此れはちょっとやり過ぎちゃったかしら?」
「此れをちょっとと言いきっちゃうって……さ、流石は嘗て『次元世界最強の魔導師』『黒き無双の魔女』とか呼ばれてただけの事はあるわ……」
「ある意味では、なのはちゃんと違った形のZZK、全力全壊ね~~~♪」
「……まぁ良いわ。
其れじゃあ今度は貴方に問おうかしらね?彼方達の所属と、そして最高評議会の目的に付いて、知ってる事を全て話して貰おうかしら?……話してくれるわよねぇ?」
――グシャァ!
「ひぃ!?」
うわ……気絶しちゃった魔導師の頭を踏みつけて、別の魔導師に問うとか、此れじゃあどっちが悪だか分からないよお母さん……しかも、其れが凄く絵になってるしね。
でもその効果は抜群だったみたいだね?
捕らえた魔導師の口から語られた数々は、私達にも、そしてミッドに居るなのは達にとっても、有益な情報だった事は間違いなさそうだよ。
なのはに直接伝えても良いけど、此処は先ずはクロノに伝えておくべきかな?提督になったクロノがこの情報を知れば、きっと的確に動いてくれるだろうからね。
其れは其れとして、このボロボロの魔導師は如何するの?
「リニス、今度の生ごみの日に出しておいて。」
「生ごみ……否定はしませんけれど、果たして海鳴のゴミ収集車が回収してくれますかね?」
「……確かに回収はしてくれそうにないわね?私だって回収したくないし。
だったら仕方ないわ、御岳山でも蔵王岳でも桜島でも、適当な活火山の火口に放り込んできてくれればそれで構わないわ。溶岩なら骨も残らぬ完全焼却でしょうし。」
いやいやいや、其れは普通にダメだよ!?って言うか殺人だよ、犯罪だよ!!
地球人じゃないから地球の法の外の存在かも知れないけど、まだ生きてる人間を簡単に殺すのは良くないよ!?戦場なら兎も角、彼等は言うなれば捕虜なんだから!
「そう言う事なら仕方ないわね……精々フェイトの優しさに感謝しなさい。」
め、目が笑ってないよお母さん……何て言うか凄く怖い感じだよ。
……何となく、お母さんの二つ名には、実力以外の物があったのだって言う事は理解したよ……此れは、どんな二つ名が付いたってオカシクない感じだからね。
だけど、最高評議会の計画は絶対に見過ごす事は出来ない!!……だけど、何があってもなのはの事は殺らせない!!――其れが、私の誓いだから!!
――――――
Side:クロノ
「成程……其れが最高評議会の思惑と言う訳か……正直言って反吐がでるな。」
『私も腸が煮えくり返ると思ったからね……』
普段は物静かなフェイトが此処まで言うとは、矢張り僕だけじゃなくて最高評議会のやり方に疑問や怒りを持ってる者は少なくないようだが……しかし、此れは、完全に
僕の能力を超えている事態だ
フェイトから送られてきたデータを解析した結果。分かったのは相手がなのはに対して黒い感情を持って居ると言う事だろうな。
夜天の書の主と言う事は、其れだけでなのはから『普通に生きる権利』を剥奪してしまうモノだが、同時にその力を利用する輩が居るのも、また事実だからな……それの
筆頭が管理局最高評議会だと言うのは、流石に笑う事も出来ないけれどね。
最高評議会はなのはをどんな手段を持ってしても己の傘下に組み込みたいらしいな……尤も、其れは有り得ない事だけれどね。
なのはは誰かの『正義』に流される事なく、己の信じた道を進んでいるからな――騎士達も同様にだ。
故に、彼女は外部からの薄っぺらな正義には動かされないからな……此れは、最高評議会が慌てふためく様が目に浮かぶようだ……まぁ、謀略の代償と思うと良いさ。
そして、プレシア女史が聞き出してくれたこの証言は、相当な証拠性が認められるから、裁判になった際の証拠として提出する事も出来るからな。
今は未だ、此れをなのはに見せる事は出来ないが、それでも僕達にとっては貴重過ぎる情報だ。
これ等の情報を精査し、そして此れから如何動くべきなのかの参考資料とさせて貰うさ――勿論、君達の力無くしては出来ない事ではあるけどな。
――――――
Side:なのは
病院に搬送された子は、まだ目を覚まさない。
怪我そのものは大きくなかったって事だから、多分大丈夫だと思うんだけど、こうして目を覚まさない状況って言うのは、日常である事ではないから、流石に驚きなの!
其れに、何て言うか、この子からは目が離せない……一緒にいてあげようと思ってしまうからね。
「それも、貴女の優しさが成せる業でしょう?
少なくとも私は、貴女の優しさは其のまま強さであると思って居ますよ?……貴女は誰よりも優しい、故に誰よりも強い――それが、我等が主『高町なのは』でしょう?」
「優しいかどうかは別として、夜天の主に相応しい人に成れるようにとは頑張ってるよ。」
そして、外敵から己と仲間を護る事くらいは出来るようにね……うん、頑張ってるよ!!
「その意気です。と言うか、貴女の進む道に現れた障害は、我等守護騎士が粉砕しますので、恐れる事なく前に進んで下さい。貴女には常に前を見ていてほしいので。」
「うん、分かったよシグナム――私は前だけ見て進むよ。そっちの方が性に合ってるしね。」
尤も、其れもまた彼方達って言う守護騎士が居ればこそ選択できる道なんだけどね……其れを踏まえると、私って滅茶苦茶恵まれた環境に居るよね……割と本気で。
「んん………」
!……と、此れは保護した子が目を覚ましそうだね?
適切な処置がされて、点滴も打ってるから命に別状はなかったけど、まさかこんなに早く目を覚ますとは思ってなかったの……ある意味で凄いチートボディだよ此れ!!
「……此処……何処?」
「――目が覚めたかな?」
「!?」(ビクゥ!!)
えっと、私達は少なくとも貴女の敵じゃないから落ち着いてね?
此処は、ミッドチルダにある病院の病室で、貴女は此処に搬送されてきたの……どう?何処か身体がおかしい所とかは無いかな?
「えっと、大丈夫……」
なはは……気持ちは分かるけど、あんまり警戒されると流石に落ち込むかな――だけど、私とシグナムは貴女の敵じゃない、此れだけは信じて欲しいの。
「敵じゃない?酷い事はしない?」
「しない。其れは我が魂と刃に誓おう。」
「良かった~~~♪」
如何やら信じて貰えたみたいだね……此れなら大丈夫そうだね。きっと、あの子とも仲良くなれる気がするからね。
取り敢えず、病室を出て飲み物でも買ってくるよ。
「あ、お供いたしますよなのは。」
「うん、頼むよシグナム。」
やっぱりシグナムは来てくれたね……まぁ聞きたい事も有ったから好都合だけどね。
――自販機で飲み物購入中
さてと、私はミルクティー、シグナムは微糖の珈琲で、あの子には甘めのカフェオレだね。尤も、持ってく前に自販機会議だけどね
「それで、シグナムはあの子を見て、何を驚いてたのかな?」
「貴女にはバレていましたか、隠していたつもりだったのですが。
ですが、此れは貴女には伝えておくべきなのかもしれません――真なる夜天の主である貴女にはね。」
「シグナム?」
「私が驚いたのは、あの子の目です。
保護したその時はそれどころじゃなかったので詳しい確認はしていなかったのですが、今日目を覚ましたあの子の目を見て、私は全身が総毛立ってしまいましたよ。
あの子のあの目――紅色と翡翠色のオッドアイは、古代ベルカ時代の王族にのみ現れる特徴なモノですから。」
「!!!」
という事は、あの子は古代ベルカの王族の血を引いているって事だよね?だけど、ベルカ王族は『覇王』以外は、戦死したりなんだりで詳細が残ってないから、その特徴
を身に宿してるのには気になるけど、でもだったら尚の事あの子は護らないとだよね!!
「えぇ、そうですね。弱きを護る事こそが我等の務めですから。」
「だよね♪」
何れにしても、あの子は誰かが保護しないとだから、いっその事、私が身元引受人になっても良いかもね?あの子とは、何というか巧くやって行けるような気がするし。
シグナムも良いよね?
「異論無しです。」
なら決まりだね♪
何て言うか、あの子が孤児院送りなんて言うにのは嫌だったらね――シグナムに同意して貰えてよかったよ。
でも、この子が只の子供じゃないって言う事はあの時の状況から間違いないし、箱の中身も未だ謎だからね……マダマダ、気は抜けない感じだよ!
兎にも角にも、今私に出来る事を最大限するだけなの!!
その積み重ねが、何時の時か大きな力になるだろうからね!!
To Be Continued… 
|