Side:金髪の少女
ジュエルシードの発動を確認したから来てみれば、既に封印がされていた。
やったのは、あの黒い魔導師の子と、氷結の魔導師の子だね。
それだけならそのまま帰って、母さんに結果を報告するだけだったんだけど、ジュエルシードを横取りしようとする人が現れたんなら見過ごせない。
だから、私もアリシアも自然と体が動いてた。
襲撃者と、彼女達の間に割り入って、攻撃を防いでいた。
この子達は、きっと邪な目的でジュエルシードを封印してるんじゃない。
だったら、その邪魔はしちゃいけない。
協力関係を築きたいくらいだもの。
でも、後から現われた人達は正直見過ごせない。
力ずくでジュエルシードを奪おうなんて、如何贔屓目に見たって碌な者じゃないのは私にも分る。
同時にこの人達がトンでもない実力者だってこともね。
「アリシア、油断禁物かも。」
「分ってるって、大丈夫だよ、フェイト。」
うん、それじゃあ行こう、アリシア。
この人達を取り敢えずは退けないと!
魔法少女リリカルなのは〜夜天のなのは〜 夜天11
『その勢力分布は?』
Side:なのは
私とすずかちゃんを助けてくれた、金色の子…凄いなあ…。
すずかちゃんの動体視力でも捕らえられなかった相手と互角に渡り合ってる…凄い速さだね。
「うん…ソレに戦闘技術も私達とは比べ物にならないほど高い…あの子強いよ…」
「そうだね…きっと魔導師としては、私達よりも強いと思うの。」
何時かは越えることも出来るかもしれないけど、今は断然あの子達の方が上だよね。
そう言えばお兄ちゃんの方は大丈夫かな?
「テメェ、ちょこまかと動き回りやがって…真正面から来ねぇか!!」
「お前みたいな筋肉達磨に真正面からの力勝負を挑む馬鹿が居るか。力比べなど、全力で拒否するぞ!!」
「ンだと、コラァ!!」
うん、大丈夫そうだね。
お兄ちゃんは、相手のスタイルに合わせないで、自分の土俵に上げるの得意だもん。
此れならお兄ちゃんに負けはない。
さてと、私達は如何しようかすずかちゃん?
助けてもらって、見てるだけって言うのは良くないよね?
「うん!今の私達に出来る事をする!」
「だよね!」
ソレにすずかちゃん、そろそろ『見えて』きたでしょ?
「うん、大分あの速さに慣れてきた。ハッキリとは捕らえられないけど、少なくとも見えてる。」
ソレなら充分なの。
あの忍者さんの動きを!!
「任せてなのはちゃん。スノーホワイト!」
『良い気迫ですわ、参りますわよすずか!』
「凍りつけ…ダイヤモンドダスト!」
「!!く、自分のスピードを見切ったか…!」
効果は絶大だね!
無数の氷の弾は避けるのは至難の業…だけど、それだけに気をとられてると…レイジングハート!
『All right.取り敢えずMasterに牙を剥いた報いとしてフルボッコにしてやりましょう。』(怒)
「取り敢えず非殺傷でね?」
『……分っています。……後悔しなさい!Divine Buster.!!!!』
あの、なんか要らないルビが振ってあるような気がするの…
でも、制限された動きじゃ私のディバインバスターは避けきれないの!
「たった数分で自分の動きについてくるとは末恐ろしい…く…!!」
――ボンッ!!
消えた!?…此れは変わり身の術…流石は忍者。
だけど!
「見えてたよ。」
「此れで詰み!!」
「!!!」
「フォトンスマッシャー!!」
「ライトニングショット!!」
――ドガァァァァン!!
うん、あの金髪の子達が見事にやってくれた!
即興だけど良いコンビネーションだったね。
「そうだね…君達の攻撃が彼に焦りを生じさせたみたいだから。」
「非殺傷だから大丈夫だろうけど、私とフェイトの一発をあの至近距離から喰らったら撃墜は間違いなし♪」
ソレは凄いね。
お兄ちゃんの方もそろそろ…
「この野郎!いい加減捕まりやがれ!」
「断ると言ってるだろう!マッタク……だが、筋肉を鍛えすぎたな、お前の動きは見切った!」
「なにぃ!?舐めんなコラァ!!!」
「パワーは凄いが直線的…分厚い筋肉に打撃は効果が薄いが…其処はピンポイントで顎を狙う!!」
――パシィィ!!
顎を掠めた掌打…此れは決まったね。
「野郎舐めてんのか!そんな温い攻撃で俺を…………な、足に力が入らねぇだと!?」
「打撃のダメージは小さいだろうが、脳が揺れるように打ち込んだ…2、3分はマトモに動く事は出来ん。」
「野郎…」
お見事、流石はお兄ちゃん。
さてと、おっきなお兄さんは此れで戦闘不能だし、忍者のお兄さんも多分戦闘不能。
…お話聞かせてもらおうかな?…なんでこんな事をしたのかな?かな?(黒笑顔)
「…おう、色男…この嬢ちゃんはテメェの妹か?」
「そうだが?」
「家でどんな教育してやがる!大体10歳くらいだろうが、その歳の嬢ちゃんが何だってこんな凄みを出せるってんだ!」
「ソレは主に母親からの遺伝とだけ言っておく。」
「どんだけだテメェ等のお袋は!?」
取り敢えず高町家最強の人だよお母さんは。
ソレは兎も角、何が目的?何でジュエルシードを集めてるの?
「ソレには答えられぬ…自分も富嶽もこの場は此れまでのようだ…退かせてもらう。」
「テメ、隼人!何勝手なこと言ってやがる!やられたまま終れってか!!?」
「自分達の目的はジュエルシードの確保であって彼女達の撃破ではない。
自分も貴殿も、今この場での戦闘行為は最早不可能…此処は一端退き、出直すが上策。」
「ち…わ〜〜ったよ、今は退いてやらぁ!」
!!転移…逃がさないの!!
「では御免!!」
――シュン…
消えた…追う事も出来ない速さだったの…
一体何物だったんだろうあの人達は…此れはジュエルシード集めも一筋縄では行かないかも。
「あ、そうだ!助けてくれてありがとう!」
「いいよ、君達が悪意を持ってジュエルシードを集めている訳じゃないのは見て分ったからね。
それに、客観的に見れば君達が封印したソレを横取りする方に非があると思うよ。」
それでも、ありがとうなの。
貴女達が割って入ってくれなかったらきっとやられてたから。
「それじゃあ、その感謝ありがたく貰っておきましょう♪」
「ちょ、アリシア!?」
「こう言う時は素直に感謝を貰っておく方がマナーだよフェイト♪」
そう言う事なの。
あの、名前教えてくれるかな?私はなのは…高町なのはって言うの。
「私は月村すずか。」
「アリシアだよ。アリシア・テスタロッサ、宜しくね♪ほら、フェイトも。」
「あ、フェイト…フェイト・テスタロッサです。」
フェイトちゃんとアリシアちゃんだね?
出来ればもっとお話したいんだけど…
「ソレは私達もだけど、ちょっと無理。
今有った事はお母さんに報告しないといけないから…まぁ、貴女達とは協力関係築けそうだけど。」
「そうなると良いね。
私となのはちゃんも…うぅん、此処には居ないはやてちゃんとアリサちゃん、ヴィータちゃん達だって貴女達とは友達になれると思うから。」
うん、私もそう思う。
今は此れでバイバイだけど、今度会った時はゆっくりお話しようね、フェイトちゃん、アリシアちゃん。
「うん、その時は…ゴメンね、今度はもっとちゃんと君達と話が出来ることを祈ってる。じゃあね、なのは、すずか。」
「バイバ〜〜イ、まったね〜〜♪」
――シュゥゥン…
行っちゃった…でも、凄い子達だったね。
きっと魔導師としては私達よりもずっと上だよ!
「そうだね…でも、私達も何時かは…!」
「うん、何時かは!!」
それに『闇の書の主』が弱かったらカッコウが付かないもん!
此れは帰ったら出来る範囲で特訓だね!
「うん!更に上を目指して!」
だね!
ん?そう言えば、フェイトちゃんとアリシアちゃんて多分姉妹だよね?
2人とも互いに名前で呼んでたけど、どっちがお姉ちゃん?
背はフェイトちゃんの方が高かったけど…
「どっちかなぁ?意外とアリシアちゃんがお姉さんだったりして。」
「ありえるかもね。」
まぁ、その辺は次に会ったら聞けば良いの。
ジュエルシードも確保したし…戻ろうか♪
「うん。お茶会の続きだね♪」
で、戻ったらヴィータちゃんが特攻寸前で、ユーノ君がネコさん達に揉みくちゃにされてたのは…お約束だよね?
――――――
Side:アリシア
と言う訳、少なくともなのはとすずかとその仲間達とは協力できると思うよ?
「ソレは間違いなさそうね……問題はもう1つの勢力。
魔導の力を持たなくとも魔導師と対等に渡り合える存在ね……と言うか存在してたのねジャパニーズニンジャって…」
「ソレには私もフェイトも吃驚したよ〜〜。」
「本当に居たんだね…ニンジャ…」
実力も結構凄かったし。
ぶっちゃけなのはとすずかが居なかったら泥仕合確定だったかも…
てか、あの短時間でニンジャの動きを見れるようになった2人に驚きだけどね〜〜。
「鍛えれば相当な魔導師になりそうねその子達も。
……分ったわ、拠点を海鳴に移しましょう、そっちの方が動きやすいし、その子達とも連絡が取り易いでしょう?
リニス、海鳴で直ぐに落とせそうな物件は何かあるかしら?」
「ちょっと待って下さい……ありましたよ、海鳴駅の近くの分譲マンション。
空き部屋も多いですし、我が家の財産なら一括購入も出来る優良物件ですね。
部屋も南向きで日当たりも良いですし、申し分ないと思います。」
「じゃあ、ソレの一番良い部屋を。」
「了解です♪」
あれ〜〜…海鳴に住むの?
まぁ、悪くないかもだけど、普通分譲マンションの一等室を一括購入とかはしないからね?
此れもお母さんとリニスだから出来る事なのかなぁ?
「だろうね。少なくともアタシにゃ無理だよ。
ま、アタシの場合は必要ならフェイトとアリシアを戦場で護ってやれるけどね。」
「ソレは頼りにしてるよアルフ。」
「おうとも、任せなって!」
アルフも宜しくね。
さてと、海鳴に移住したら、取り敢えずなのは達に正式に協力関係打診しないとね。
それから他の仲間の人達に挨拶もしないと…
ん〜〜〜…やること一杯有りそうだけど、だけどだからこそやる気になってきた!!
ジュエルシードは絶対全部集めるから!
邪魔する奴は蹴散らすからね!!
――――――
Side:???
むぅ…ソレほどの使い手の少女達とは…
「申し訳ありません、彼女達の力を侮りすぎました…全ては自分の失策です。」
「俺もあの色男を甘く見すぎた…申し訳も立たねぇ…」
「良い…失敗は付き物だ…次に同じ徹を踏まねば良い。」
それにしてもそれほどの使い手が居るとはな…此れはワシの考えの浅さが原因か…
とは言えこの宝玉を諦める事は出来ぬ…
戦国の世では叶わなかった天下統一の我が覇道。
本当ならば本能寺で絶えていたこの命…摩訶不思議な光に包まれこの地に逃れたならば、嘗ての覇道は成さねば…
そして、愛する妻と、天下統一の為に利用してしまった我が妹を再びこの手に…
その為に必要なのだ、かの宝玉は…なんとしても集めてくれ。
「御意に…自分の命は既に主君の物…必ずや。」
「今度は遅れはとらねぇ…絶対分捕ってやらぁ!!」
頼むぞ…。
アレをすべて手に入れ、そしてこの世に我が理想を布くのは我が望みであり野望だ。
この腑抜けてしまった日ノ本を建て直すのはこのワシだ。
そう、この第六天魔王の『織田信長』が、この国をあるべき道へと導かねばならぬのだ…
To Be Continued… 
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