Side:スバル
さてと、取り敢えずミッドチルダに到着だね。確か、お父さんが迎えに来てくれることになってたんだけど――
「おぉ、来たかお前等。待ってたぜ?
こうして直接会うのは、随分と久しぶりだが全員元気そうで安心したぜ――其れに、最後に会った時と比べると、随分とでかくなったじゃねぇかよ?」
「最後に直接会ったのって、アタシとノーヴェが6年生の時なんだよお父さん?
其れから3年も経って、今やアタシも高校生なんだから、そりゃ大きくなるっての。」
「ガッハッハ、そりゃ違いねぇや!
まぁ、此処まで立派に育ったのもクイントが頑張った結果だから、俺は男親として、アイツに感謝しねぇといけねぇやな。」
「そうっすよ?パパりんは、ママりんに感謝すべきっす!」
「おうよ、分かってるぜウェンディ。」
「して父上、此度我等姉妹を此方に呼び寄せたのは、いかなる理由が有っての事なのでしょうか?」
そう、チンク姉の言うように、其れを聞きたかったんだよ。
何となく、私達姉妹の力が必要なんだなって事は分かったんだけど、何で必要なのかが分からないからね……分からないから、ティアも連れて来ちゃたんだけどね♪
「笑顔で言うなや……てか、ソイツはスバルのダチだったか?……初めまして、ゲンヤ・ナカジマだ。」
「あ、ティアナ・ランスターです。宜しくお願いします。」
「ご丁寧にどうも。
まぁ、挨拶は此れ位にして、お前さん達をこっちに呼んだのは他でもねぇ……お前さん達の力を『管理局の改革』の為に貸してほしいのさ。」
「「「「「「「管理局の改革?」」」」」」」
「管理局に巣食ってる、腐敗の温床を駆逐して、管理局をあるべき姿に戻そうって言う計画だ。
流石に表だって部隊編成をする訳にゃいかねぇから、民間協力者で通用する連中で、部隊を組織する事になるんだが、其れにお前達を迎えたい――頼めるか?」
そんな、大きな計画が!?
だけど、答えは決まってるよお父さん……是非もなく、私達6人も、そしてティアも、そのお願いは受け入れるよ!
魔法少女リリカルなのは~夜天のなのは~ 夜天108
『カウンターテロ組織:機動六課』
「良いのか?」
「良いも悪いもねぇよ親父。
その腐敗の温床ってのは、前に言ってた『最高評議会』ってのなんだろ?……だったら、ぶっ潰して当然だぜ!そいつ等の話は、聞いただけでムカついたからな。」
「腐敗の温床を野放しして置いたら、取り返しのつかない事になるから、其れを駆逐するのは悪い事じゃないと思う。」
つまり、そう言う事だよお父さん!
良いも悪いもない……って言うか、此処に来た時点で、私達の気持ちは決まってるし固まってる――だから、大丈夫だよ!!
「そうかい……本当に頼もしくなったもんだぜ。
なら、場所を移すぜ?この計画に乗ってくれた、他のメンバーと顔合わせしとかないとだからな。」
「他にもメンバーが?……いえ、居て然るべきだけれど。
そのメンバーって言うのは、一体誰なんですか、父さん?」
「ん?ん~~~~~……まぁ、ソイツは会ってのお楽しみって事にしときな。
だが、少なくともお前等の知らない奴じゃねぇって事だけは、言っといてやるよ――寧ろ、ガキの頃からよく知ってたって言う位の相手だからな、お仲間様はよぉ!」
アタシ達が子供の頃から知ってるって……本気で誰?皆目見当が付かないって言う感じだよ。
だけど、其れが逆にあった時の楽しみになるのかも………一体誰なんだろう?ドキドキもワクワクも、止まらない感じがする……楽しみだなぁ♪
――――――
Side:なのは
さてと、最高評議会に弩派手に宣戦布告をしたわけで、此処からは向こうの出方次第だね。
贅沢な事を言うなら、無血終戦て行きたい所だけど、其れは多分叶わない事だろうから、何時戦闘が起きても良い様に、日々のトレーニングは欠かせない感じなの。
「アクセルシューター!」
「スティンガー!!」
現在進行会で、クロノ君と模擬戦の真っ最中だしね。
って言うか、流石に強いなぁクロノ君?ヴォルケンリッターの面々には、流石に劣るけど、純粋な魔導師としては相当に上のランク……オーバーSは間違いないよ。
何よりも、私とこうして撃ち合う事の出来る魔導師なんて、早々居ないと思うからね……
「ブレイズカノン!」
「ディバイィィィィン……バスターァァァァァァァァァァ!!」
――キュイイィィィィィィン……ドゴォォォォォォォォン!!
砲撃も、僅かに私の方が圧したとは言え、圧しきる事は出来ずに、相殺状態となって粉塵が舞う……こうなると、如何に相手の気配を感じ取れるかが重要になる。
視界が利かない場所では、相手の気配を探って場所を特定するしかないからね……うん、見つけた!!
「其処!」
「其処だ!!」
――チャキ……!
だけど、如何やらクロノ君も私の気配を探ってたみたいだね?
私の首元にはデュランダルの先端が、そしてクロノ君の首元には私のレイジングハートが向けられているからね――此れは、引き分けかなクロノ君?
「いや、此れは僕の負けだな。
このまま互いに砲撃を打つだけの状態と言うのならば、引き分けと言えるかも知れないが、レイジングハートの先端とは別に、8つのブラスタービットと、12個もの魔
力弾が僕を狙っている……どちらに利があるかなど、火を見るよりも明らかだ。」
「粉塵が舞った時に、咄嗟に展開したんだけどね。」
「その咄嗟の判断力が、何よりも重要なんだ。実際の現場では、其れが明暗を分ける事が多いからな。
8年間も実戦から離れていて、腕が鈍って居ないかと思ったが、鈍るどころか前よりも格段に鋭く強くなって居る――流石は、夜天の主と言った所だ。」
実戦からは離れていても、鍛錬を怠った事は無いし、グランツ博士も私達の成長に応じて、デバイスの方を強化改造してくれてるから、此れ位は普通だよクロノ君。
其れに、私が夜天の主である以上、きっと戦いと無縁でいられるとは思って居なかったからね。
「成程。
そして其れは君だけでなく、守護騎士達も同様みたいだな?」
「其れは勿論♪」
「おぉぉぉぉぉぉ………燃えろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「うらぁ!打っ飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
――バガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!
――ドゴォォォォォォォォォォォォン!!
「「きゃぁぁぁぁぁぁーーーー!!」」
今も、シグナムとヴィータが、アリアさんとロッテさんを、琴月とラケーテンで吹き飛ばしたからね。
ヴォルケンリッターの皆も、8年前とは比べ物にならない程に強くなってるよ?特に守護騎士の将であるシグナムと、突撃隊長のヴィータは、其れが顕著なんだよ。
勿論他の皆も凄く強くなってる。
ズィルバとナハトヴァールは総合力が底上げされてるし、シャマルは結界と治癒の能力が強化され、ザフィーラの防御力は数多の刃も矢も防ぎきる。其れだけじゃなく
グルムの融合能力は私達全員と平均融合率99%って言う驚異的な融合率を誇るし、はやての剣術はお兄ちゃんとお姉ちゃんの折り紙付き。なたねの砲撃に至って
は、炎属性の追加もあって、相手によっては私の砲撃以上に効果を発揮するからね?
「其れは何とも……いや、だからこそ頼りになる。
此れからの戦いには君達の力は必要不可欠だと思って、此方に来てもらったんだが、如何やら僕の勘も割と捨てた物じゃないらしいな。」
「寧ろ、バッチリだった?」
「マッタク持ってその通りだ。」
なら、その期待には応えないとだね。
「うおーい、邪魔するぜ、クロノの旦那!」
「ナカジマ三佐?」
ほえ?あの人は、確かゲンヤ・ナカジマさんだよね?
8年前のあの時に、真っ先に私を擁護してくれた人で、スバル達のお父さんで管理局の局員……そんな人が、如何して此処にいるんだろう?
「頼まれてた件だがな、思い切って俺の娘達を連れて来たぜ?
マダマダガキなのは否めねぇが、実力の方は折り紙付きだ。其れこそ、コイツ等だけでも、並の管理局員で構成された部隊なら対等以上に戦えるからな!」
「其れは……ですが、宜しいのですか?」
「構いやしねぇよ。コイツ等も、既に覚悟は決めてるからな。」
!!……スバル達もこっちに来てたの!?それも、新たな戦力として……正気ですかゲンヤさん!!!
「お?誰かと思えばなのは嬢ちゃんじゃねぇか!!
クイントはちょくちょく会ってたみたいだが、俺はこうして会うのは……実に8年ぶりか?随分とでかくなったし、それにトンでもねぇ美人さんになったじゃねぇかよ?」
「ありがとうございます。……じゃなくって、スバル達を反最高評議会のメンバーに加えるって、本気なんですか!?」
「至って本気だ。
コイツ等には其れだけの力が有るし、意志も有る……そりゃ、お前さん達の実力差が月と鼈ってのは分かってるが、だからって娘達の意思を無碍には出来ねぇ。
何よりもこいつ等は、俺が姉妹全員をこっちに呼んだ理由を話した時に、全員が二つ返事で了承しやがったからな……ったく、我が娘乍らトンでもねぇ馬鹿だぜ。」
そうは言いながらも、顔が笑ってますよゲンヤさん。――心配はしても、信じてるって言う複雑な男親の心の現れなのかも知れないけどね。
だけど、スバル達は本当に其れで良いの?
追加戦力って言うのは、有り難い事だけど、此方に来たら此れまでの競技とは違う、本当の戦いをしなくちゃならないんだよ?
其れこそ、時と場合によっては、相手の命を刈り取る選択をしないとならない……そんな、茨の道に足を踏み入れるって言うの?後で後悔しても遅い……其れでも…
「アタシはやりますよなのはさん!
うぅん、アタシだけじゃない、ギン姉とチンク姉、ディー姉にノーヴェとウェンディ、其れにティアだって同じ気持ちですから!!!」
「管理局の腐敗の温床……ブチ砕いてやるぜ!!」
「私達は、確かにマダマダ未熟な部分が有るかも知れませんけど、ゲンヤさんの話を聞いて力になりたいって思ったのは嘘じゃないんです。
だから、私達も一緒に戦わせてください、なのはさん!」
「少なくとも足手纏いにはならねぇッス!頑張るッス!!」
「此れが私達の意思……絶対に退きませんよ?」
だろうね……貴女達の瞳からは、物凄く強い『意思の力』を見る事が出来たからね。
だったら、断る理由は無いよ?貴女達の気持ちは、仮初なんかじゃない本物なんだから、その気持ちを無碍にする事なんて出来ないの!!
大歓迎だよスバル、皆!!
「ありがとうございます!!」
「来た甲斐が有ったって感じね。」
此処に新たな戦力を得て、反最高評議会のメンバーは大幅に強化されたのは間違いないの!それこそ、この面子なら誰に喧嘩売っても勝てると思うからね!!
でも、此処まで大所帯となると、流石に『反最高評議会部隊』じゃ、部隊名が長いよね?
もっとシンプルで、分かり易い名前が良いと思うんだけど、如何かな?
「異論はありませんが、思いつきません――なのはには何が妙案が有るので?」
「妙案って言うか、これしかないって言う部隊名を思いついたんだよ――反最高評議会のメンバーが一堂に会したこの部隊は『機動六課』で如何かな?
此れなら、相手の目を欺く事も出来るからね。」
「異論なし!」
「良い感じやな~~~?正にピッタリって感じやないの姉やん?――寧ろ、これ以外にはないって感じやで!!」
そうかな?なんて言うか、自然と部隊名が頭に浮かんで来たんだけど、如何やら大当たりみたいで良かったの。スバル達も、部隊名は此れで良いかな?
「異論無しです!」
「此れ以外にはないっすよ!!」
「機動六課……互換も良いし、此れで良いんじゃないっすかね?」
それじゃあ、改めて――夜天の主の名の下に、今此処に『機動六課』の存在を是とする!!
此れだけの人材が集まったこの部隊は、絶対に砕けないし、砕く心算なんて無い!!――何よりも、スバル達の覚悟と意思を無駄にする心算はないからね!
これ以上は、もう何も言わないよ……改めて、此れから宜しくね♪
「「「「「「おーーーーー!!」」」」」」
「一瞬で、新規メンバーを纏め上げるとは、流石ですねなのは。――心の底から、貴女の生来のカリスマ性には頭が下がりますよ。」
「自分では、其れを意識してる心算は無いんだけどねぇ?」
「ならば、貴方は生まれ持ってのリーダー気質だと言う事でしょう姉さん……貴女は、生まれながらにして人の上に立つ資質を備えているのではないのでしょうか?
そして、そのカリスマ性に惹かれる形で、姉さんの下には人が集まるのでしょう……姉さんは、人としての魅力にあふれているんですよ。」
そうなのかな?自分では分からないんだけどね。
でも、若しそうだとしたら、尚の事頑張らないとなの!!其処まで慕われてるなら、それ相応の実力が伴ってないと、説得力はない所か、説得力の欠片もないモン!
夜天の主として、そして機動六課の設立人として、もっともっと精進しないとだね!
――――――
Side:スカリエッティ
「ドクター、クロノ・ハラオウン提督が、高町なのはと仲間達をミッドに連れて来て、更にはナカジマ三佐の娘達をも巻き込んで、反最高評議会の組織とも言える『機動
六課』なる私設部隊を新設したようですが……」
「今は此方から動く時じゃないから、引き続きその動向を注視しておいてくれるかい?
其れに並行して、最高評議会の動きも忘れずにチェックしておいてくれたまえ……どんな情報であっても、其れが何処で如何役に立つかは分からないからね。」
「其れは分かるけどよぉ……俺は一体何時になったら暴れる事が出来るんだ?
こう言っちゃなんだが、いい加減大暴れしたくて仕方ねぇんだけど……まだ大人しくしてなくちゃならねぇのかよ!!」
ふふふ、気持ちは分かるがもう少しだけ我慢しておいてくれたまえ、三月。
そう遠くない日に、最高評議会は高町なのは達に対して攻撃を行うだろう……彼女達が負けるとは思えないが、そん時には好きなだけ暴れると良い。其れも、出来る
だけ、派手に!寧ろ弩派手にやってくれて構わない。
私達の存在を、認めさせる必要もあるからね。
「弩派手にか……よーし、燃えて来た!!!
その時が来たら、思い切りブチかましてやらぁ!!最高評議会だか、最高大幹部だか知らねぇが、スカリエッティ家特攻隊長『トーレ・ザ・インパルス』から、逃げられ
ると思うなよ?纏めて、狩ってやらぁ!!」
うんうん、やる気があるのは良い事だ。
ともあれ、冗談抜きで、表舞台に姿を現す事を考えておいた方が良いかもしれないな?……そっちの方が、色々とメリットも多いだろうからね。
To Be Continued… 
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