Side:雪奈


起業セミナーを終えたのち、アタシは全力全壊で勉強中だ……生半可な気持ちで起業する事は出来ねぇから、先ずは確りと勉強して基
礎固めをしないと、起業は出来ねぇから全力でやってやんぜ!!
元々ガキの頃やってた塾とかのおかげで勉強は出来るが、起業に必要なのは学校で習う知識じゃなくて、社会に出てから必要な知識と
かだからな……法的な事とか、資金援助の事とかバッチリ勉強しねぇとな!



「その心意気は素晴らしいですね。パチパチパチ~~~。」

「マユ……テメェはもう少し、人をイラつかせない祝福は出来ねぇのかオイ!!!」

「すみません、感情の起伏が少ない上に、表情にもほぼ出る事がないので、口で言わないと何となくしっくりこないんです私の場合。
 あまりにも表情が変わらないので、小学校の時には『無表情の仮面を付けている』とか言われましたねぇ……後日、本当に無表情の仮
 面を付けて登校し、同じような事を言った生徒の前で仮面を外して見せたら悲鳴上げてましたけど。」

「いや、何さりげなく子供心にトラウマ植え付けてんだお前……」

「其れから夏休みの時に、此の顔で淡々と怪談話を披露したら皆泣き出してしまいましたねぇ……」



いや、小学校の時からホントに何やってんのお前?
つーかよ、ぽや~っとしてっけど、お前も勉強するんだからな?……言ったよな、アタシとお前で起業して会社起こすんだって。



「えぇ、分かってますよ。なので先ずは、ネットで色々と役に立ちそうな本を中古で大量に購入してみました。」

「『初めての起業』『資金援助のマル秘法』『ズバリ、当たる業種の見分け方』……確かに役に立ちそうではあるけどよ、何かお前はやる
 事がびみょ~~~にずれてんだよなぁ……」

「えっへん。」

「いや、褒めてねぇから。」

取り敢えず、出来る所から手を付けて行くか。










ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode48
『不良と醤油とマヨネーズ』










起業セミナーに参加して、起業の為に学校の勉強とは別に起業に必要な勉強をバッチリして、最近はすっかり不良業は鳴りを潜めて…



「あぁん、此の雪女こと早乙女雪奈と!」

「特攻女帝こと千堂千鶴に喧嘩売ったのは間違いだったなぁオイ?」



なんて事は無く、絶賛千鶴ちゃんの族チームと共に、最近ここらに出没してるDQNな当り屋集団を撃滅中――コイツ等、可成り危ない運
転で当たりに来ておきながら、当てた相手を集団で囲んで修理代を請求するって言うクズ軍団なんだが、今回ばかりは絡んだ相手が悪
かったな……だって、今回ターゲットにしちまったのは千鶴ちゃんの姉貴だったんだから。
千鶴ちゃんの姉貴は、千鶴ちゃんよりも10個上でデザイナーの仕事をしてるんだが……実は千鶴ちゃんは可成りのお姉ちゃんっ子だか
ら、その現場を見てブチ切れたのなんのって……偶然現場に居合わせたアタシも参加させて貰ったが、怒りマックスの千鶴ちゃんにはア
タシも勝てる気がしねぇわ。(汗)



「よりにもよってお姉ちゃんをターゲットにしやがって……しかも、テメェさっき可成り強めにお姉ちゃんの手を掴んでたよな?
 もしもお姉ちゃんが怪我したら如何してくれんだオイ?手の怪我ってのは繊細さが求められるデザイナーにとっては致命傷になり兼ね
 ねぇんだぞオイ……お姉ちゃんの手はな、テメェの脳ミソ入ってねぇドタマの9億倍は大事なもんなんだよ!!」



――バッキィィィィィ!!



うわぁ……愛用の木刀で力任せのジャンピング兜割、分かり易く言うなら龍槌閃。あ、喰らったDQN完全に伸びてるわ……一切反応は
無いけど息はしてるみたいだから、只の屍ではないようだ。
うん、族のヘッドの姉貴に手を出したのが運の尽きだったな……これに懲りたら、二度と馬鹿な事はしない事だな!!

「喰らえや、タワーブリッジ!!!」

「みぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



直ぐ近くに居た2mくらいありそうな大男を取っ捕まえて、英国超人の必殺技!!……因みにアタシはロビンマスクよりも、少し不良なケ
ビンマスクの方が好きだ。
そして最後の一人は……行くぜ千鶴ちゃん!!



「おうよ!必殺!!」

「クロスボンバー!!マスク狩りじゃー!!」

「ひでぶ!!」



アタシと千鶴ちゃんのサンドイッチラリアット『クロスボンバー』でKO!……ネプチューンマンもカッコイイよなうん。



「お姉ちゃん、大丈夫だったか!!」

「う、うん。チヅのおかげで助かったけど……チヅ、凄い人達とお友達なんだねぇ……お姉ちゃん、ちょっと驚きだよ。」

「あはは……まぁ、見た目はアレだけどドイツもコイツも良い奴なんだ。
 特に、ユキちゃんはアタシのチームの奴じゃないんだけど、アタシの最高のダチなんだ!中坊の頃にアタシと本気で喧嘩して痛み分けし
 て以来の大親友なんだよ。」

「そうなの?初めまして、千鶴の姉の千景です。妹が何時もお世話になってます。」

「あ~~……ども、早乙女雪奈っす。千鶴ちゃんとは何時も仲良くさせて貰って貰ってます。」

千鶴ちゃん姉貴、千景さんは綺麗な黒髪のロングヘアーと、デザイナーらしい少し派手さのある格好をしてる人だったが、人間的には良
い人っぽいな。
まぁ、千鶴ちゃんの姉貴が悪い人な筈がねぇか……前に、両親と一緒に千鶴ちゃんの親父さんがやってる寿司屋に行った事があったけ
ど、大将である千鶴ちゃんの親父さんも、女将さんである千鶴ちゃんのお袋さんもめっちゃいい人だったからな。



「ユキちゃんは腕っ節が強いだけじゃなくて頭だって良いんだよお姉ちゃん!それにさ、卒業後は就職や進学じゃなくて、起業して会社を
 起こす心算なんだ!」

「オイコラ、ばらすなよ千鶴ちゃん……恥ずかしいじゃねぇか。」

「起業?……其れは凄いわね。
 具体的にはどんな会社を興そうと思ってるの?」



此処で千鶴ちゃんがアタシが起業しようとしてるって事をバラしてくれたんだが、千景さんが意外と喰いついて来たなぁ?
どんな会社って言われると、まだ構想段階なんすけど、ネットショップで服とかアクセサリーとか売る会社をやろうかなって――でも、それ
だけじゃ既に色んな会社があるんで、ヤクザなスーツとか不良なジャケットとか特攻服なんかを扱う『アウトローファッション』部門ってのを
作ろうと思ってんすよ。
来れ、結構行けるんじゃないかと思ってんですよね。



「アウトローファッション……其れは確かに面白そうだね。
 アメリカでバイカーのファッションが売れるみたいに、日本でも不良や暴走族のファッションも案外行けるかも知れないわ――特に最近
 はコスプレ文化が躍進した事で、そう言った衣装は需要があるみたいだしね。」

「あ、そうなんすか?」

アタシとしては、アウトローファッションをしてみたいって奴等をターゲットにしてたんだが、コスプレイヤーってのは盲点だったぜ……確か
に、アニメや漫画のキャラの中にはアウトローな奴等も沢山いるから、そのコスプレの為にアウトローファッションを購入する奴が居てもオ
カシクないわな。
あざっス千景さん、良いアドバイスになりました!!



「其れは良かったわ……其れで、物は相談なんけど、私の事雇ってみない雪奈ちゃん?」

「はい?」

此処でまさかの爆弾投下……いや、なんで貴女を雇うって言う話になるんすか千景さん!?……まだアタシは起業する事すら出来てな
いんすよ!?



「君の起業しようって言う思いに惹かれたわ。
 高校生で、その思い切った決断は見事としか言いようがないわ……それこそ、一念発起して全くのゼロから独学で勉強して寿司屋を作
 っちゃったお爺様と同じ位見事よ。
 其れに、チヅのお友達の夢なら応援したくなっちゃうじゃない?……私も一枚噛ませてくれる?
 こう言ったら何だけど、映画で使う衣装なんかのデザインもやってるから、アウトローファッションのデザイン位はお手の物よ♪」

「マジっすか!!」

なら、お願いしますだぜ……まさか、此処で最初のスタッフが獲得できるとは思ってなかったぜ……だけど、DQN共を撃滅した相手をまっ
たく恐れないって、千鶴ちゃんの姉貴は肝が据わってんな?



「アタシのお姉ちゃんだからな。」

「……凄く納得したぜ。」

取り敢えず、期せずしてスタッフが確保できたのは嬉しいこった……マユと委員長にLINEで連絡しとくか。
そう言えば千鶴ちゃんよぉ、アンタ実家の寿司屋継ぐんだろ?……美人女将が切り盛りする寿司屋ってのは良いと思うんだけど、其れっ
て絶対に店の跡取りが必要になるから、千鶴ちゃん旦那貰わないとだよな?
相手いるの?



「じ、実はだな……親父の下で修業してる将太朗さんがアタシのハートにダイレクトアタックなんだよ……顔立ちはV6の岡田君によく似て
 るんだけど、何よりも寿司に対する情熱がハンパねぇ!
 親父に怒鳴られても『ありがとうございます!』って言って、自分を高めようとするその姿勢に完全に惚れた!!アタシが店を継いだら
 その時に告白する心算だ!!!」

「おうよ、頑張れ千鶴ちゃん!!!」

しかしまぁ、世の中分からんもんだな……喧嘩したらデザイナーゲットしましたって事になったからな。
だが、デザイナーをゲットしたからこそアタシの起業に失敗は許されねぇ……絶対成功させてやるぜ!!




因みに……




「メユ、此れ如何言う状況?」

「雪女のお姉ちゃんが起業するみたいだって事を言ったら、お父さんが突如として彼方此方に電話をかけてお金を集めてるみたい……そ
 のお金で雪女のお姉ちゃんに資金提供するって。」

「マジかオイ!!」

まさかメユの実家から資金援助が出るとは予想外だったが、此れだけの事をして貰ったら絶対に失敗は出来ねぇ――いや、絶対に成功
させて、アタシ達を支援した人達に『支援してよかった』と思って貰わねぇとだからな!!



「ファイトだよ、雪女のお姉ちゃん!!」

「おうよ、分かってるぜメユ!!お前に約束するぜ、アタシは絶対に起業して成功してやるってな!!」

「うん、約束だよ!!」



指きりげんまん、嘘ついたら針1000本飲ます!ってな。
流石に針を1000本飲むのは痛いだろうから、この約束は絶対に守らねぇとな……ガキとの約束すら守る事が出来ねぇってのは最低の
大人の証だからな!
まだまだスタートしたばかりだけど、ゴール目指してかっ飛ばして行くか!!!










 To Be Continued… 



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