Side:雪奈


色々有ったが、アタシと委員長は無事に3年生に進級できたぜ――まぁ、マユの奴は追試を突破してのギリギリ進級だが、アタシと委員長
でみっちりと教え込んだ甲斐もあって追試突破できたから無問題ってな。

んで、春休みの間に何が有ったかと言うと……



・銀ちゃんに頼まれて敵対組織員との抗争に参加して全員撃滅!
・千鶴ちゃんに誘われて、暴走族同士の抗争に参加して、金属バットで全員滅殺!殺してねぇけどな。
・その辺で屯して、パンピーに迷惑かけてるハンパモンに鉄拳制裁!
・フラっと入った店に何故か地下室があって、其処で行われてる賭け格闘技に飛び入り参加で、ぼろ儲け。



……碌な事してねぇなオイ。最後のは明らかにヤバいよな?
マユの追試よりもこっちの方が大問題だぜウン。
だけど、高校生活最後の1年もこんな感じなんだろうなきっと。
にしても今年も山ちゃんはこの学校に残ったのは良いとして、今年もアタシのクラスの担任。そして、アタシとマユと委員長が同じクラスに
なったってのは絶対に偶然じゃねぇ。
学園長の爺さんが、学校を守る為に纏めたなこりゃ。……そんな訳で委員長、学校を守る為に全力を尽くそうぜ?



「言われなくとも、その心算ですよ雪女さん。」

「だよな……マユは、歩く大量破壊兵器と言っても過言じゃねぇポンコツっぷりを発揮してくれっからな……」

「お褒めに預かり……「だから褒めてねぇっての!!」……そうですか、残念です。」

「残念なら、其れらしい表情で言えってんだマッタク。」

取り敢えず、最高学年としての1年、スタートだな!!










ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode37
『不良と牡蠣油と甜面醤(中華風)』










ってな訳で新学期なんだが……初日から行き成りサボりだ。っつーか、始業式の日から授業なんぞ、かったるくてやってられっかってん
だスットコドッコイが。
どうせ今日は半日授業だし、新学年の最初の授業なんぞ、クラス替えも有った事で自己紹介って相場が決まってるからサボった所でマッ
タク問題ねぇんだよな。
ぶっちゃけ、この学校でアタシの事知らねぇ奴なんぞいねぇと思うし。
まぁ、3日後の入学式で入って来る、新1年の連中には入学式で確りと名前を覚えて貰うってのは悪くねぇかもだ――委員長は、新生徒
会長でもあるから後で頼んでみっか。
学園最強の不良が、入学式で新1年生に挨拶かますなんてのは、全国的に見ても珍しいだろうからな。



「そうですね、とても珍しいと思います……だけど、新学期初日からサボるとは良い度胸ですね雪女さん?」

「ゲッ!なんで居るし委員長!」

「次の時間が理科だから連れに来たんです!
 貴女が居ないと、学校が吹き飛ぶでしょう?西行寺さんのポンコツは、私1人で手に負えるレベルではないんですから!!」

「いや、つっても今日授業初日だぜ?流石に初日から実験ってのはねぇだろ?」

「雪女さんお忘れですか?
 3年の理科担当は、学校一のマッドサイエンティスト、『どうしてコイツに教員免許を公布した』と言われている、アノ古座気博士(こざきひ
 ろし)先生なんですよ?」

「そういやそうだったな、すっかり忘れてたぜ。」

確かにあのトチ狂ったマッドサイエンティストなら、授業初日からいきなり実験とかやり兼ねねぇ……つーかよ、何であの野郎学校の先生
になれたんだ?
試験は突破しても、教育実習で合格貰えるとは思えねぇんだけどよ?



「そう思っている人は少なくないみたいですね。
 なので、まことしやかに『実は教育実習は合格していないのに、文科省のデータをハッキングして書き換えた』と言う噂が囁かれている
 んですよ。」

「其れよぉ、噂じゃなくて実は真実なんじゃね?」

「奇遇ですね、私もそう思います。」

「だよなぁ……」

何でそんな奴がこの学校にとも思うが、人事異動で飛ばされただけなんだよなぁ多分……まさかとは思うが、余りにもアレなんで、定期的
に全国転々とさせられてるとかじゃねぇよな?
って、そんな事は如何でも良い……OK、そう言う事なら速攻で戻んぞ委員長。
あの野郎の授業って事は、初日でも行き成り理科室だな?



「はい、第1理科室です。」

「ちぃ、実験する気満々かよ!」

第1理科室は座学よりも実験を目的に作られた教室だからな……こりゃ、速攻で行かねぇとヤバい事になんぞ!!




――で、全力で走ったんだが、始業のチャイムはなっちまった。(廊下は走ってはいけません?知るか、緊急事態だ。)
其れでも、第1理科室に辿り着いて扉を開けて……



「其れではまずは、ガスバーナーに火を点けるとしようか?西行寺君、私がバーナーのコックを全開にするので、マッチで火を点けて…」

「何やってんだテメーは!!」



――ドガァァァァァァァァァァン!!!



入り口からマッドサイエンティスト目掛けて一足飛びから、机を踏み台にしてのシャイニングウィザード一閃!!
慌ててたから手加減できなかったからだが、おもっくそ吹っ飛んだなぁ?……あ、眼鏡割れてら――テメェでやっといて言うのもオカシイ
けど、生きてっかコザッキー?



「誰が、悪魔族の壊れたマッドサイエンティストですか!と言うか、行き成り何をしますか早乙女君!!」

「るせぇ、テメェこそ何してやがんだ!
 マユに火を点けさせるとか、テメェはこの学校をフッ飛ばす気かオイ!!アルコールランプなら未だしも、ガスバーナーに点火させようモ
 ンなら、間違いなくガス爆発起こして校舎が崩壊すんぞ!!」

「そうですよ古座気先生!冗談抜きで、西行寺さんのポンコツっぷりはヤバいのです!!」

「そんな、学校が吹っ飛ぶだなんて大袈裟な……」



テメェはマユのポンコツの凄まじさを知らねぇから言えんだよ――ってか、一昨年の体育祭見てねぇだろ?大玉転がしで、大玉が来賓席
にダイレクトアタックかましたんだぞ!
だがあんなもんは序の口だ!マユのポンコツはな、調理実習で味噌汁を作れば何故かピナツボ火山の様に噴火し、炒め物やれば鍋が
火を噴き、体育では跳び箱にタックルかます、鉄棒から落ちる、マット運動で1人パイルドライバーを決める、理科の実験では爆発する筈
のない化合実験で何故な小規模の爆発が発生すんだぞ!!



「因みに、今年で目出度く正月のお御籤が10連続で大凶となりました。」

「うぅむ、其れ程のポンコツ力ならば、確かに彼女に火を点けさせると言うのは危険だったかもしれないが、そのポンコツ力と、投入率が1
 %にも満たない大凶を10年連続で引き当てるその運命力には実に興味をそそられる!
 如何だろう西行寺君、報酬を払うので君の事を徹底的に調べさせてはくれないだろうか?君の細胞から遺伝子まで、徹底的に調べて
 みたい欲求に駆られてしまったのだよ!!」

「んな欲求なんぞ、犬に食わせちまえ!!」

喰らえ、元祖ケンカキック!からの、ぶっこ抜き垂直落下DDT!!そしてトドメのキャメルクラッチ真打!!!
通常のキャメルクラッチとは違って、相手の両腕を自分の膝に引っ掛けて自由を封じた上で絞め上げる拷問技……取り敢えず、此れで逝
っとけ!!



――ボキ!!



「ぺポ!」

「おーし、征伐完了。」

「お見事、流石は雪女さんです。
 してこの後は如何しましょう?キャメルクラッチで仕留めたので、此のままラーメンにしましょうか?」

「いや、しねぇからなマユ?
 つーか、そんな事をしちまったらメユがラーメン嫌いになっちまうかもだ……折角メユにはアタシの行きつけの博多豚骨の店を知って貰
 ったってのに、ラーメン嫌いになったら元も子もねぇっての。」

「其れは確かに其の通りですね。……で、どうかしましたか委員長さん?」

「学校を吹き飛ばしかねない事をしようと至挙げ句に、西行寺さんを己の欲望を満たす為のモルモットにしようとした古座気先生を完全KO
 したのは兎も角として、スカートでケンカキックをするならスパッツを履いた方が良いと思いますよ雪女さん?
 その、バッチリ見えてしまいましたので。」



んだよ、そんなこと気にしてたのか委員長?
アタシ的には見えようが見えまいが大した問題じゃねぇから大丈夫だ――つーか、素っ裸を見られたんなら兎も角、下着見られた程度は
如何って事ねぇっての。
大事な所を曝さないように着けてるのが下着なんだから、其れを見られて恥ずかしいって思う方が変だろ絶対に。
そもそもにして、パンツとブラジャーの組み合わせはビキニの水着と大差ねぇと思うんだけど、其処は如何よ?



「確かに其れは雪女さんの言う通りですねぇ?」

「変な所で同意しないで下さい西行寺さん!!」



……委員長的にはやっぱアウトか。
取り敢えず此のマッドサイエンティストは戦闘不能になったから授業終わりで良いよな?ってか、半日授業の最後だろ此れ?
てかよ、如何する此のマッドサイエンティスト?



「私としては、東京ゴミ処理施設、通称『夢の島』に放棄するのが良いのではないかと思うのですが如何でしょう?」

「「あそこに埋めれば完全犯罪成立だと思うけど、其れは流石にヤバい。」」

「そうですか、残念です。」



いや、残念以上にコザッキー死んでねぇから。一応は生きてるからな。
んで、結局コザッキーは病院送りになって、顎関節の亜脱臼と、首のむち打ち症と、胸椎と腰椎の圧迫骨折って診断が下されて、1クール
は病院のベッドだとさ。
明らかに原因はアタシだが、取り敢えず養生しろよコザッキー。



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んでもって放課後――つっても、半日授業だから昼だけどな。
メユも始業式の日から半日授業だったから、そっちに寄って、メユを回収してからハンバーガーショップでランチってな。
お前の分はアタシが払ってやるから遠慮しないで頼めよメユ?



「えっと、それじゃあ……和風唐揚げバーガーのセットを。飲み物はヨーグルトシェイクでお願いします。」

「コイツと一緒の会計で、アタシはスパイシー海老カツバーガーのセット。ドリンクとポテトはLサイズで、ドリンクはコーラで宜しく。
 で、其れとは別に単品で和風フィッシュバーガーと、メキシカンタコスドッグ、其れからチキンナゲットの15ピースを頼むぜ。」

「チキンナゲット15個も食べるの!?」

「いんや、5個ずつシェアしようと思ってな。」

なんで、ソースはバーベキューとマスタードと照り焼きマヨネーズを1個ずつで宜しく!!



「では、私も会計を同じで……」

「マユ、テメェは自分で払えよ高校生なんだから。」

「おや、奢ってはくれないのですか?」

「逆に聞くが何で奢って貰えると思ったし。」

「はて、何故でしょう?」



テメェでも分からんのかい、この救いようのないポンコツが!!冗談抜きで、一度どっかの整備屋に見て貰った方が良いんじゃねぇの?
ぶっちゃけ、お前のポンコツは冗談抜きで世界を破滅に導きかねねぇぞオイ!!



「ポンコツで滅びた世界……神秘的ですね。」

「微塵も神秘性を感じねぇよアホたれ!!」

ったく、相変わらずだなマユは……こりゃ、高校生活最後の1年も苦労しそうだぜ。冗談なしのマジでな。



「えっと、頑張って雪女のお姉ちゃん。」

「メユ……良い子だなお前。
 お前のエールがあれば、アタシはどんな困難だって乗り越えられる気がするぜ。」

ま、何にしても高校生活最後の1年だ――思い切り楽しまないとだぜ!!










 To Be Continued… 



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