Side:雪奈


ったく、アタシに喧嘩売るのは悪かねぇが、せめてテメェの実力ってモンを考えてから喧嘩売ってこいや。
つっても、今回ばかりはフルボッコにされちまったのも仕方ねえだろうな――アタシにケンカを売った筈が、運悪く銀ちゃんが率いる磯野崎組
の一団と、千鶴ちゃん率いる暴走族とエンカウントしちまったからな。

最強のヤンキーと、最強の暴走族のヘッドと、最強のヤクザの若頭率いる一団を相手にしたら、その辺の雑魚不良は相手じゃねえっての。
さて、最後に言いたい事は有るか?



「ひ、ひでぶ。」

「よく言った。大人しく死んどけ。」

馬鹿の頭を踏み抜いたアタシは悪くねぇ。
一応生きてるし、この手の馬鹿は殺しても死なねぇから多少過激な事をしたところで問題ないからな。

お疲れさん銀ちゃん、千鶴ちゃん。助かったぜ。



「雪女の姐さんを助けなかったら磯野崎組の名折れ……何よりも、雪女の姐さんは若い衆のアイドル的存在なんで、助けてナンボですよ。」

「ダチ公を助けるのに理由はねぇよ。
 其れに、久々にユキちゃんと一緒に喧嘩したかったからな。」

「そう言われちゃ何も言えねぇな。」

ある意味で、アタシはダチに恵まれてんだろうな――だがまあ、幾ら売られた喧嘩とは言えこの大人数で大立ち回りしたのはヤバかった。
マッポに通報されたみたいで、撒くのに苦労したからな……今更ながらに、スクーター魔改造しといて良かったぜ。










ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode36
『不良とおかずラー油とごま油』










ってな事が昨日あった訳よ。



「其れは、凄いですねぇ?
 その大立ち回りに立ち会う事が出来なかったのが残念でなりません。因みに、昨日の凶器は何だったのか教えて欲しい物です。」

「超強力、一撃必殺鉄パイプ。」

「貴女何処のハガー市長ですか、雪女さん。
 と言うか、売られた喧嘩とは言え、ヤクザと暴走族と一緒になって殲滅したと言うのは流石に拙いでしょう?明らかに貴女の方が過剰戦力
 だったんじゃありませんか?」

「そう思うか委員長?」

アメェよオイ。
銀ちゃんの方の援軍は5人、千鶴ちゃんの方は30人だけど、アタシに喧嘩売って来た馬鹿共は、アタシがこれまでにぶっ潰したレディースと
か不良グループの残党共でよ、その数は余裕で50人超えてたんだぜ?
相手の方が数が多い以上、過剰戦力って事はねぇだろ?



「……1人で100人を相手に出来るくせに何言ってるんですか貴女は?」

「何を言ってるのか……誰が如何聞いても日本語です、委員長さん。」

「「少し黙ってろ(黙ってて下さい)ポンコツ娘!」」

「変な所で息があってますねぇ……流石は、力を合わせたら最強と言われるだけはあります。青き眼の白い龍もビックリです、驚きです。」



……この野郎、益々ポンコツ具合が進行してんじゃねぇかオイ?
まぁ、其れはアタシが言った所で治るもんじゃねぇからな……まぁ、アタシが何を言いたいのかって言うと、千鶴ちゃん率いる暴走族が、アタ
シを誘うために放課後の学校に現れるかも知れねぇから、そん時は間違っても生活指導とかに通報しねぇでくれって事だ。



「話が飛躍し過ぎです!
 大体にして、其れが貴女の友人か、お礼参りに来た生徒かなんて見分けがつかないでしょう?」

「大丈夫だ、見た目で直ぐに分かる。
 千鶴ちゃんは、少しウェーブの掛かった肩甲骨辺りまでの髪で、左目を髪で隠して、下は紫のロングスカートで、胸にはサラシを巻いて、そ
 の上から背中に『覇裏華炎』って赤文字の入った白い特服着てるから一発で分かるぜ。」

「何ですか、その時代遅れのスケ番は!?」

「知らねぇ、千鶴ちゃんの拘りらしい。」

しかしまぁ、学校では最近、此の3人でつるむのが普通になっちまったな?
2年になったばかりの頃からは考えられねぇよな……あの頃は、委員長はアタシの事を不良だって言うだけで敵視してたからな。



「……何ですか?」

「いや、委員長も変わったなぁって。」

「そうですね、ハッキリって初期の頃とは完全に別人です。別人28号です。」

「鉄人28号のノリで言わないで下さい西行寺さん。
 まぁ、私も色々思う所があったんですよ――此れまで、不良=悪と決めつけていましたが、雪女さんは不良であっても悪ではないと、メユさ
 んを助けたと言う話が本当だと知った時にそう思っただけです。
 そして実際に付き合ってみると、雪女さんは不良でも人が悪い訳では無いと思いましたので……心底からの悪人ならば嫌悪しますが、貴
 女の様な方なら、逆に好感を覚えますよ。」

「此れは予想外の高評価。」

まぁ、アタシも杓子定規な委員長ってのを嫌ってたから、其れに関してはどっこいどっこいって所だな。――まぁ、だからと言ってアタシは在学
中は不良やめる気ねぇけどな。
何よりも、不良を始めた以上、二十歳までは其れを貫かねぇと格好がつかねぇからよ。



「つまりは二十歳までは不良をやり続けると、そう言う事ですね雪女さん?……その覚悟に、全力で拍手~~。パチパチパチ。」

「マユ、お前が其れをやると、馬鹿にしてるのか素なのか、判断に迷うぜ。」

「普通に凄いと思ってるのですが?」

「だと思ったぜこの野郎!!」

「失礼な、野郎ではありません。」



んな事は如何でも良いんだよこのポンコツ!!
まったく毎度毎度……でも、そう思いながらも、マユとの縁を切らねぇってのは、アタシ自身がマユと一緒に居る事を心地いいって思ってるの
かもな。
ま、確かにコイツの緩さには、思わず笑みがこぼれちまうからな……ポンコツも、何とかできるレベルのが多いからよ。
本気でダチに恵まれてるぜアタシはよ。



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んで放課後なんだが、マユとメユと3ケツしてる所で千鶴ちゃんと会うとは思ってなかったんだが、メユが昨日共闘した銀ちゃんが所属する
ヤクザ組織の一人娘だって事を知ったら、速攻で千鶴ちゃんはメユと仲良くなったみたいだな。

そんで、親睦を深める為にラーメン屋に来たんが……千鶴ちゃんよ、其れは流石にヤバくねぇか?スープ真っ赤だぜ?



「此れ位は大した事ねぇってユキちゃん!
 アタシは、これ以上の辛さを知ってるからね。」

「さよか、無理だけはするなよ。」

千鶴ちゃんは、何かが振り切れたみたいで獄辛のチャレンジメニューに行っちまったが、アタシ達は普通に頼もうなうん。

因みに、アタシのオーダーは博多とんこつの大盛りとギョーザ、マユが元祖醤油ラーメンのメンマ大盛りで、メユが濃厚味噌とんこつに味玉と
チャーシューを追加したオーダーってな。

んでもって、ラーメンを食った後は、夜のゲーセンで思い切り盛り上がったぜ!――こんなのも、偶には良いってもんだと、そう実感したぜ!








 To Be Continued… 



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