Side:雪奈
さてと、一度家に戻って私服に着替えた(マユは、アタシの家にお泊りする事も少なくないから、その時の為に何着か着る物を置いてあるからマッ
タク問題は無かったな。)
で、アタシのスクーターに3ケツなんだが……お前其処で大丈夫かメユ?
「大丈夫だよ、雪女のお姉ちゃん。
何て言うか、此処は落ち着ける感じがするから。」
「さよか。」
まさか、アタシの膝の上とは予想外だったぜ……マユが来てたら邪魔な事この上ねぇが、小学生のメユなら大して邪魔にならねぇから此れもまた
有なのかもな。
「其れは良いのですが、何やらパトカーが追いかけてきてるみたいですよ雪女さん?」
「あぁ?マッポなんざ撒いてナンボだぜ!!」
高々パトカー程度でアタシを如何にか出来ると思ってんのか?……だとしたら脳天がハッピーだとしか言いようがねぇよ。
――ま、マッポなんざさっさと撒いて、今日は思い切り羽を伸ばすとしようじゃねぇか!!――まぁ、楽しませて貰う事にするぜ。
ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode3
『Mission:遊園地を満喫しろ』
パトカーが入って来られないような狭い路地ばっかり選んで走ってたら、何時の間にかパトカー撒いてたが、其れは其れで良いとするか。
で、スクーターの3ケツで辿り着いたのは、広告よりもかなりでっかい遊園地……ジェットコースターは、可成りのレベルだろうねコイツは――つー
か入場口付近まで客の絶叫が聞こえるって、ドンだけだオイ。
まぁ良いか。取り敢えず1日フリーパスを大人1枚と子供1枚と。
「ほいよメユ。」
「わぁ、ありがとう雪女のお姉ちゃん!」
「雪女さん、私の分は?」
「マユ、オメーは高校生なんだから自分で出そうね?」
「残念、この流れで行けば出して貰えると思ったのですが、早々世の中甘くはないようですね……」
いや、今の流れで如何して出して貰えるって思考になるんだか不思議だわ……ったく、時々こう言うふざけた思考をしてくれんだよなぁマユは?
しかも本人は狙ってやってるんじゃなくて天然だから性質が悪い事この上ねぇわ。
さてと、中に入った訳だが、平日なのに親子連れが多いな?
メユの学校が創立記念日で休みだから、その影響だろうな――メユも本当だったら親御さんと来てる筈だったんだけどさ。
「んで、最初は何に乗る?
入り口で貰った簡易マップによると、此の遊園地はジェットコースター系だけで4個くらいあるみたいだけどよ?」
「えっとね……やっぱりこの園一番の目玉である『限界突破爆裂マッハコースターHell or Heaven』で!!」
「最大落差666m、最大傾斜角65度、最大速度は95km……設計した人は、一体何を目指していたのか激しく気になる所ですね此れは?」
「日本一のジェットコースター目指したんだろ。」
なら、先ずはそいつで行くか。
行列は出来てるが、ジェットコースターは一度に乗れる人数もそこそこ多いからあんまし待たずに済みそうだからな――っと、メユは逸れない様に
アタシと手繋いどこうな。
「うん。」
「では私は、人ごみに紛れてしまわない様に雪女さんと腕でも組みましょうか。」
「組まん。」
「では、組まずに腕にしがみつきましょう。」
「歩きにくいだろ!と、言いたい所だがお前が逸れると見知らぬ誰かに迷惑をかけかねんから、あんましべったりくっ付かない様にするなら許可し
てやる。」
「はぁ、ありがとうございます。」
小学生の手を引いてる大凡日本人には見えない外見の奴に、そいつの腕に引っ付いてる黒目黒髪の無表情少女……どんな3人組に人の目には
映るんだかな。
んで、待つ事10分ちょっとで順番が来たか。
お?このコースターは1輌3人乗りなのか……此れなら全員一緒に座る事が出来る上に、如何やら一番前みたいだ。此れは、運が良かったぜ!
「運が良いのでしょうか?」
「良いだろ?ジェットコースターなんてのは先頭に乗ってナンボだぜ?」
「そうだよマユお姉ちゃん!
ジェットコースターの先頭は基本!それも、凄いやつほど先頭に乗らないとだよ!」
「基本ですか……では、基本に忠実に行くと致しましょう。」
分かってるのか分かってねぇのかよく分からんが、兎に角発進だな。
おぉ、此れはのぼりだけで結構ヤバい感じがするな……666mってのは考えてみりゃ、某スカイツリーよりも高い訳で其処から一気に急降下って
のは相当なもんだな?
「いやぁ、上るだけでも結構かかるものですね?」
「まぁ、666mもありゃな。」
「でも、そろそろ一番上みたいだよ?」
――ガタン
あぁ、到達したみてぇだな。
一瞬止まった其の後は……
――キュゴォォォォォォォ!!
「のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「きゃーーーーーーーー♪」
「わーーーーーーー。」
一気に急降下!!
最大傾斜65度って、此れはもう殆ど垂直落下だろ!!しかも666mの高さから身体から身体に感じるGがハンパねぇ!!下手したら、失神する
奴も出てくんじゃねぇのかオイ!!
更に其処から連続ループにスパイラル、からの急上昇と急降下の連続に横倒し大回転!!
そして逆さまになった状態でのバックストレートから半回転してゴールに到着……コイツは想像以上の大迫力だったなマユ、メユ!!
「はい、此れならば他の乗り物やイベントも楽しむ事が出来るかも知れません。」
「ジャンジャン回ろう!!」
「オウよ、言われなくてもその心算だぜ!!」
ガンガン行くぜガンガン!!
【極寒の館】
マユが行ってみたいって言うから来てみたんだが……さっみぃ!!何だこりゃ!!
ナンボ極寒つっても程がアンだろオイ!!
「パンフレットによるとま、マイナス30度だって……ゆ、雪女のお姉ちゃんでも寒いんだ……」
「雪女ってのは渾名であって、寒さに強い訳じゃねぇんだよ。」
「困りましたね、眉毛が凍りました。」
オイィィィィ!?
こんなヤバいのはさっさと出て次行くぞ次!!……ったく、なんでこんなモン作りやがったのか果てしなく謎だぜ。
【ホラーハウス】
メユのリクエストで入ったホラーハウスは、順路が無くて洋館風の施設内をフリー移動出来るんだが、それがかえって怖さを演出してるかもな。
出てくるのはお化けのロボットじゃなくて、ゾンビやモンスターに扮したスタッフだからタイミングがずれて出てくる事も無いし。
「でもよぉ、此れは流石にヤバくね?」
「えぇ、食べてますね確実に……まぁ、食べてるふりでしょうが。」
「あの、こっち向いたよ?」
『がぁ……ゴワァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
おっしゃ、逃げるぞ。
奇声あげながら襲ってくる奴ってのは案外強いって相場が決まってんだ――否、アタシなら勝てるけど、客がスタッフを怪我させたとか笑えねぇし、
其れが委員長に知られたら何を言われるか分からねぇからな。
「残念、雪女さんが元祖ケンカキックでゾンビを倒す所が見れるかと思ったのですが。」
「あ、其れはちょっと見たかったかも。」
「何に期待してんだオメェ等はよ……」
【ゲームコーナー】
此処はアタシの希望だな。
取り敢えず、小学生のガキンチョ相手に、格ゲーで大人気ないコンボ喰らわせてた自称ゲーマーと思われる輩に乱入してフルボッコにしてやった。
対戦でのハメと待ちは駄目だと言うルールすら護れない奴に容赦はねぇからな。
んで、其の後はユーフォーキャッチャーで遊んでるんだが……
「マユお姉ちゃんすごーい!」
「コイツ、ユーフォーキャッチャーだけは天才的に巧いんだよなぁ。」
マユが無双状態。
500円6回でやって、6回全部景品ゲットってドンだけだよ……しかもこれで3機目――お菓子にフィギュアにヌイグルミ……お菓子は食えば良い
から兎も角として、ヌイグルミとフィギュアはお前の部屋に飾り切れんのか?
「いえ、フィギュアは雪女さんに、ヌイグルミはメユさんへのプレゼントです。
このフィギュアは、確か雪女さんの好きなゲームのキャラだったと思うので――メユさんは、何となく犬とか猫とか好きなんじゃないかと。」
「まぁ、確かに此れはアタシの好きなゲームのキャラだけどな――ってか、見事にアタシの好きなキャラばかり取ってくれてたな。」
「動物は好きだよ♪ありがとう、マユお姉ちゃん。」
「いえいえ。」
其の後は、シューティングとか対戦型レースゲームで遊んだんだが、メユの奴がガンコンのシューティングが滅茶巧い事に驚きだったぜ。
【昼食:園内のハンバーガーショップ】
本日の昼飯はハンバーガーって事で、アタシは海老カツバーガーのセットを飲み物とポテトをLサイズで。飲み物はコーラな。
メユはてりやきバーガーのセットを飲み物はMでポテトはSサイズ、飲み物はメロンソーダ――で、マユはイカ墨バーガー……バンズにもパテにもイ
カ墨を練り込んだ真っ黒なハンバーガーで、セットのポテトを海苔塩で味付けしたブラックポテトにして飲み物はアイスコーヒーと、見事なまでに真っ
黒なメニュー!
味は問題ないだろうが、相変わらず変な頼み方するなおい。
「此の黒さに可能性を感じませんか?」
「微塵も感じねぇよ!!」
「お口の中が真っ黒になりそうです。」
マッタクだ……腹黒くなっても知らねぇからな!!
んで午後は、施設内にあるカラオケで目一杯歌って楽しんだ。
そう言えばマユの歌を聞くのは初めてだったが、コイツ意外と歌巧いんだな――まぁ、歌ってた曲が全部演歌って言う、女子高生とは思えないチョ
イスだったがな。
メユは、アニメとか特撮の歌が多かったが、此れもまた滅茶苦茶巧かった……ちびっ子のど自慢で優勝できるかもだぜ。
そして、閉園時間まで遊びに遊んで、晩飯にラーメン屋に寄ってラーメン食べて……席に備え付けの薬味の葱を、マユは目一杯乗せてラーメン食っ
てんだか葱食ってんだか分からなかったけどな。
まぁ、メユはラーメン好きだったみたいだから喜んでもらえて良かったぜ。
んで、ラーメン屋を出たらもう7時半だ……メユ、送ってくから家教えてくれ。
「えっとね、3丁目のコンビニの所を右に曲がって、2個目の信号を左に行って、其処から200mくらい直進してくれれば私の家だよ。」
「了解だ。」
ってな訳で、その通りに走って着いたのは、何だか滅茶苦茶デカいお屋敷!?
しかもなんか門の前に、黒服来たオッサンが居るし……若しかして、メユは物凄く良い所のお嬢様だったりするのか?――取り敢えずついたぞ?
「えへへ、ありがとう雪女のお姉ちゃん♪たっだいまーーー!!!」
「お、お嬢ーーー!お帰りなさいませ!!
行き成りいなくなっちまうから親分も奥様も慌ててましたぜ!!」
「だって、お父さんもお母さんも、私との約束破ってお仕事なんだもん……今日は1日遊園地で、このお姉ちゃん達と遊んでたの。」
「そうだったんすか……でもまぁ、親分と奥様の事を恨まないでやってくだせぇお嬢。
丁度お嬢の学区に、まぁ其処も家のシマなんすけど、其処に筋を通さないで勝手に店を出した他所のモンが出て来まして、其れがまたガラの悪い
連中でして、そんな奴等がうろついてたらお嬢とそのお友達に危害が加わるかも知れねぇって事で、緊急に相手方と話を付ける事になっちまった
んすよ……全てはお嬢の為なんです。」
……おい、シマとか親分とかなんか不穏な単語が聞こえたんだが……メユ、お前の親父さんて何やってる人なんだ?
「おっと、アンタ達がお嬢と遊んでくれた人か。
俺は、関東指定暴力団『磯辺崎組』の幹部の一人だ……お嬢と遊んでくれてありがとうよ。」
「オウよ、此れ位はな。」
って、ちょっと待て、関東指定暴力団って言ったか?
って事は何……メユってば、つまりはヤクザの娘って事かよ!!……お前、凄い奴だったんだなメユ――まさか、ヤクザの娘だとは思わなかった。
「あ、良かったら上がって行ってよ!
昨日、お姉ちゃん達に助けられたって事を話したら、お父さんもお母さんも一度会いたいって言ってたから♪」
「マジかオイ……」
「ヤクザの知り合いが出来るフラグが建ちました……流石は雪女さんですね。」
何が流石なのか良く分からねぇが、取り敢えず不良なんか目じゃない位のアウトローと知り合いにはなれるかもな……ったくメユがヤクザの娘とは
思いもしなかったぜ――マッタク持って、人は見かけによらねぇな。
To Be Continued… 
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