Side:雪奈


さてと、このアタシの前でカツアゲなんて下らねぇ事をし腐ってくれたが、それ相応の覚悟は出来てるんだろうなテメェ等?……あぁ、出来てなく
ても全く問題はないぜ?
メユから許可を貰った以上、テメェ等は叩きのめすだけだからな。

「でだ、此れから叩きのめされるってのに、何だってアタシの事をカメラで撮ってんだ?」

「天下無敵の不良である雪女のメイド服とか超レアだから残しておいた方が良いかなと思って。」

「……その根性は、撮り得ず評価してやるが、お前等絶対アホだな。
 さてお嬢様、コイツ等は叩きのめす事が決まっていますが、如何様に叩きのめすのがいいでしょう?リクエストがあれば是非仰ってください。」

「え~っと……其れじゃあ、メイドさんが装備できる最強の武器でやっちゃって♪」

「畏まりました。」

不良が装備できる最強の武器は金属バットだが、メイドが装備できる最強の武器ってーと……コイツかな?



――ジャキィィィィィン!!



メイドが装備できる最強の武器、その名はモップ!!
覚悟は良いなクソッタレ共、徹底的にお掃除してやるぜ!!










ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode28
『不良と砂糖醤油(江戸前濃厚タイプ)』











っつー分けで、カツアゲかましてた馬鹿共の掃除が始まった訳だが、いやぁ、分かってた事だけどマッタク持ってアタシの敵じゃねぇわ。幾らアタ
シがモップを武器にしてるとは言え、一方的過ぎんだろ此れは?
オイオイ、此れじゃあ只の弱い者苛めになっちまうぜ?……素手じゃ駄目みたいだから、武器使うなら使っても良いぞ?
アタシはモップを武器にしてる訳だから、テメェ等が素手ってのもハンデがあり過ぎるからな。



「そんな都合よく武器なんて持ってる訳ねぇだろ!!っつーか、そもそもにしてそのモップは何処から取り出した訳よ!!?」

「背中の凶器入れだけど?」

「いや、其れ絶対オカシイ!!
 明らかに服の中に忍び込ます事が出来る大きさ超えてるだろ!アンタの背中は何か、青色猫型ロボットの不思議なポケットか!!」

「さぁ?自分でも分からん。
 だがしかしだ、確実に言える事はお嬢様がリクエストした武器だったら何だって出せると言う事だ――其れこそ、矢でも鉄砲でも火炎放射器
 でも、趣味復活の自爆オチ野郎でも!!」

「いや、最後のは流石に無理だろ!?」

「って言うか、最後のは武器や凶器の類か!?」



お~~、見事な突込みだな。
さてと、コイツ等をこのままシバキ倒すのは簡単だが、カツアゲされてた兄ちゃん、コイツ等の事如何して欲しい?顔面崩壊か?其れとも肩外す
して使用不能にする?
其れともお嬢様の家に電話かけて、とっても怖ーい人達にお仕置きして貰う?



「あ、あのその辺にしてあげてください……その、僕も暴力を振るわれた訳じゃないし、未だお金も取られてないから。」

「まぁ、そうなる前にアタシが割って入ったからな。
 だけどよ、自分の方からぶつかっといて因縁つけて金せびるとか、人として最低すぎんだろコイツ等は……特に腕が折れたとか抜かしてた奴
 には、本当に腕が折れる痛みってのを教えてやった方が良いと思うんだわ。
 一度徹底的に痛い目を見れば、二度と同じ事をしようとは思わねぇだろうし……同じ事をしたらしたで、またアタシが叩きのめすだけだけど。」

「あの、本当に良いんです。
 只、二度とこんな事をしないと約束してくれれば……」

「約束、ね。」

確かにカツアゲ自体は未遂に終わったし、被害者が此れで手打ちにするって言うんならそうするのがベターなんだろうが、こう言う手合いは此
処で見逃したら確実にほとぼりが冷めた頃に同じ事し腐るからな……此処は、最強のカードを切っておくか。

おいテメェ等、これ以上はボコらねぇ、此処までにしておいてやるよ――だが、此の程度で終いにしてやる代わりに、全員携帯かスマホ貸せ。



「は?何でそんなモノを……」

「四の五の言わずに出せって言ってんだよ。本気で腕折られたくはねぇだろ?
 ……ま、拒否するならしても良いぜ?――そんときゃ、アタシの温情を無視したと判断して、暫く病院で過ごすようになって貰うだけだから。」

「「「「「どうぞ、お納めください。」」」」」



ちょいと殺気込めて睨んでやったら、アッサリ差し出しやがったか……ったく、コイツ等は群れる事しか出来ない根性なしのファッションヤンキー
確定だな。
本物の不良なら、舐められたと思って殴りかかって来る所だからな。
さてと……取り敢えず名前と住所をアタシのスマホに転送して、更にアタシのスマホでカツアゲ野郎共の顔を写真に収めてと……

「お嬢様、旦那様にお願いして、彼等を磯野崎組のブラックリストに追加する事は可能でしょうか?」

「うん、多分大丈夫だと思う。
 お父さんとしても、善良な人に迷惑をかけるチンピラとか不良は見過ごせる相手じゃないから、この人達をブラックリストに追加する事は出来る
 と思うよ。」

「では、彼等はブラックリストに追加と言う事で。」

そう言う訳で、テメェ等は関東最強のヤクザである磯野崎組のブラックリストに追加される事になったからその心算で居ろよ?
ブラックリストに追加されたテメェ等の行動には、常時磯野崎組の黒服連中が目を光らせてる事になるから、今回みたいなふざけた事しやがっ
たら、即座におっかねぇお兄さん達がテメェ等をシバキに来るからな?
磯野崎組の黒服の皆さんは、若頭の銀ちゃんはアタシと同レベル以上で、その他の連中もアタシの10分の9位の強さはあるからな……其れを
脳ミソに確りと叩き込んどけよ?
今度ふざけた事をしたその時は、残りの人生をマグロ漁船で過ごす事になると思いやがれ、分かったか!!



「「「「「は、はい。」」」」」

「声がちいせぇ!!!」

「「「「「はい!!!」」」」」



おーし、それで良い。
最強のヤクザに監視されてるとなったら、下手な事は出来ねぇだろうからな――分かったら、さっさとこの場から去れ、はい帰った帰った!



「「「「「はい、さいならっす!!!」」」」」



おし、邪魔な奴は居なくなったなと。
ある意味で平和的……平和的?まぁ、平和的って事にしとくか。取り敢えず終わったが、アンタも此れで良かったか?



「うん、僕は此れで良いよ。」

「はぁ、徹底的にボコさずに許してやるとか、アンタもお人好しだな……そのお人好しを生かして、謂れのない罪を被せられた人を救う弁護士と
 かになったらどうだ?
 結構行けるんじゃないかと思うぜ?」

「アハハ……実は、こう見えて東大の法学部なんだよね僕。夢は、本当に困ってる人を依頼料なんて取らないで助けてあげられる弁護士さ。」

「うわ、其れスッゴクカッコイイ!!」

「お嬢様、私もそう思います。」

いや、冗談抜きでカッコいいジャン其れ?
今の世の中には、売名目的でメディアに出てるタレント弁護士が多いから、アンタみたいな志を持った人が弁護士を目指すってのはスッゴク良
いと思うぜ。

「そうですね……彼が無事に弁護士になれたら、磯野崎組と契約を結んでもらうと言うのは如何でしょうかお嬢様?」

「あは、其れはとっても名案だね♪」

「天下の磯野崎組の弁護士か……其れも良いかも知れないね。
 何にしても、助けてくれてありがとう――このお礼は……そうだね、僕が弁護士になれたら、君達に困った事があった場合、全力で力を貸すっ
 て事で良いかな?」



アンタも律儀だな兄ちゃん……OK、それで良いぜ。
なら、アタシ等の名を知って貰わねぇとな――アタシは雪奈、早乙女雪奈、通称雪女だ。



「私は、磯野崎愛雪って言うの。」

「雪奈さんに愛雪さんだね、よし登録完了だ。
 僕は、近野吾郎丸って言うんだ。」



『ごろうまる』と言う名前を聞いて、有名ラグビー選手を思い浮かべたアタシは絶対に悪くないな、うん。
でもまあ、個性的な名前だから覚えたぜ――まぁ、頑張れよゴローちゃん。アンタのその志が有れば、きっと日本一の弁護士になれるだろうか
らな。

さてと、この件は此れで良しと。
んで、帰る途中で銀ちゃん達に会ったんで、抗争がどうなったのかを聞いたんだが、まさか銀ちゃん達が何かする前に、メユが持ち前のポンコ
ツを発動して、相手の親分をKOするとか、幾ら何でも有り得ねぇだろ流石に。
お前のポンコツは何か?この世の因果律をも無視した力を発揮するってのか?



「はて、如何なのでしょう?
 其れを解明する為にも、FBIのXファイル科に……」

「モルダーもスカリーも来ないからな?」

「では、ドゲット捜査官とモニカ捜査官で。」

「モルダーとスカリーの後任を知ってるお前に驚きだわ。」(因みにドゲット捜査官を演じてるのは、ターミネーター2でT-1000型ターミネーターを
 演じた役者さんだ。)

でもまぁ、お前のポンコツが役に立ったって言うんなら良かったぜ――銀ちゃんもお疲れさん。



「マユ嬢ちゃんのポンコツのおかげで俺等はあんまり苦労しなかったんすけどね。
 ――取り敢えず、マユ嬢ちゃんの事は、雪女の姐さんとは別の意味で敵に回したくねぇ相手だと思いましたよ。」

「銀ちゃん、そう思うのは間違いじゃないぜ。」

マユのポンコツ力は冗談抜きでハンパないからな……アイツを下手に敵に回したら、ポンコツ力で何が起きるか分かったもんじゃねぇからな。
マユのポンコツ力は本気でヤバい事この上ないぜ。



「えっへん。」

「今回は、褒めてるのかそうじゃないのか微妙な所だけどな。」

取り敢えず、家に帰ろうぜ?
源一郎さんと汐さんも待ちわびてるだろうからな。



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んで、帰宅と同時に、アタシは台所に入って、汐さんの指示を受け乍ら、今夜のメニューを調理開始して、ホワイトソースハンバーグを作ったぜ。
料理もまたメイドの仕事だから一切の手抜きをしないでやった結果、メユから『レストランで食べるハンバーグよりも美味しかった』との評価を貰
った訳だが、そう言って貰えるなら頑張って作った甲斐があったってもんだぜ。
自腹で買った、ジャンボマッシュルームをバターソテーにした付け合わせも好評だったからな。


で、食事の後は風呂なんだが、此れもメユの希望で一緒に入る事になったぜ……まぁ、メイドなら此れ位の事は普通にするだろうから問題なく
一緒に入ったけどな。
……入浴後のドライヤーは少しだけ手間取ったけどよ。
そんでもって、風呂が終われば後は寝るだけだ。

「お嬢様、寝つきに、何か本でも朗読しましょうか?」

「ううん、良いよ。
 其れよりも、私が眠るまで手を握って貰っていいかな?雪女さんの手、温かくて好きなんだ♪」

「お嬢様が其れを望むのならば仰せのままに。」

雪女って言われるアタシの手が温かいとか、矛盾も良い所だが、メユが好きだって言うのなら、其れは其れで悪い気はしねぇな――数分後に、
メユは夢の世界に旅立っちまったからな。

なら、アタシもそろそろ寝るか……メユが確りとアタシの手を握ってる以上、アタシは椅子で寝るしかないんだけどよ。――まぁ、翌日の朝、手を
繋いで寝てるアタシとメユの姿が汐さんのスマホに記録されるとは思ってなかったけどよ。

だがしかし、偶にならメユの専属メイドになるのも悪くない――そう思える経験だったのは確かだ……マッタク持って、良い経験だったぜ。









 To Be Continued… 



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