Side:雪奈
朝起きたら、滅茶苦茶身体がだるかった……其れだけなら兎も角、なんか熱っぽい上にフラ付いて頭も痛い……流石に、オカシイってんで熱
を計ってみたら39.4度……此れは完全に風邪ひいたな。
まさか、サボりじゃなくて学校を休む事になるとは思わなかったぜ……
「ユキちゃん、大丈夫?
何なら私達、会社をお休みするけど……」
「あ~~……インフルエンザとかじゃなくて只の風邪っぽいから其処まで心配しなくて良いぜお袋。
只の風邪なら、薬飲んで一日寝てりゃ大概の場合は全快すっから、アタシの事は気にしないで仕事に行ってくれ……ってか、高校生にもなっ
て、風邪引いて両親の仕事休ませたとか馬鹿臭いにも程が有っからよ。」
「大丈夫だと言うのなら、僕達は其れを信じるけど、無理だけはしないでくれよユキ?」
おうよ、無理だけはしないって約束するぜ親父。
まぁ、取り敢えずアタシがするべき事は、担任の山ちゃんと、クラス委員の委員長に今日は風邪で休むって事を連絡する事だ――普通は直接
電話しないとなんだが、メールアドレスが分かってるからメールで送れるのが楽で良いぜ。
マユとメユにも送らなきゃなんだが……山ちゃんと委員長にメールを送った所で限界が来たぜ――思った以上にダメージ受けてるみたいだな
アタシは。
こりゃ、今日は家で大人しく寝てるのが吉だろうな。
ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode24
『不良と流行性感冒(つまり風邪である)』
Side:真雪
今日は雪女さんの原チャリでの出迎えが無かったので、仕方なく歩いて来たのですが……教室内にも雪女さんの姿が見えませんねぇ?
委員長さん、何か知りませんか?
「西行寺さん、貴女の所にはメールが来てないのですか?
雪女さんは、如何やら風邪を引いたようで今日は欠席するらしいです――彼女は、サボる時には理由を付けずに堂々とサボるので、態々風
邪を引いたと言うのならば、逆に仮病と言う事は無いでしょうから。」
「はぁ、風邪ですか。」
天下無敵の雪女さんも、風邪のウィルスには勝てなかったと言う事なのでしょうか?……雪女さんは、風邪のウィルスどころか、最強最悪の殺
人ウィルスであっても相手の方が逃げ出す人だと思ってたんですが。
「微妙に否定はできないけれど、西行寺さんは雪女さんの事を何だと思ってるのかしら?」
「そうですねぇ?
明らかに女子高生の戦闘能力を限界突破した強さを持ってる、若しかしたら某戦闘民族の血を引いてる可能性のある正義の不良女子高生
でしょうか?
多分ですが、雪女さんならば登下校中の小学生の列に車が突っ込んできても、小学生の列の前に躍り出て、突っ込んできた車を殴り飛ばす
事位は出来ると思います。」
「其れは、流石に無理じゃないかしら?」
「素手では無理でも、金属バットを使用すれば行けるんじゃないかと思ってます。」
「前にお礼参りに来た連中を相手にした時や、この間のライブハウスでの大立ち回りを考えると、素手では無理でも凶器使えばと言うのには微
妙に納得してしまうわ。」
納得するでしょう?
ですが、其れだけ強い雪女さんが風邪を引いたと言うのは相当な事でしょうし、其れで欠席ともなれば可成り症状は重いでしょうねぇ……帰り
にお見舞いに行ってみるとしますか。メユさんも誘って。
「西行寺さん、私も一緒に行っていいでしょうか?」
「はい、大丈夫だとは思いますが……委員長さんが行くとは意外ですね?」
「磯野崎組のお嬢さんが一緒だとは言っても、貴女は何をしでかすか分からないでしょう?
何時もなら雪女さんがフォローをする所だけど、その雪女さんがダウンしてたのでは貴女のフォローは私位しか出来ないでしょうに……そもそ
もにして、お見舞いに行って雪女さんの家が潰れたとか洒落にもならないでしょうに。」
其れは確かに洒落にもなりませんねぇ?
そうなってしまっては困るので、御同行お願いします委員長さん。
「お願いされなくてもします。
と言うか、よりにもよって体育と家庭科のある日に雪女さんが欠席とは……今日1日は、私も気が休まりそうにありませんね。」
「其れは大変ですね。」
「主に貴女のせいですからね!!」
「其れ程でもありません。」
「褒めていません!!
マッタク、貴女と普通に付き合う事の出来る雪女さんを少し、否心の底から尊敬しても罰は当たらないんじゃないかと思ってきましたよ。」
罰が当たるどころか、お賽銭入れて柏手打っても良いかもです。雪女さんは色々と凄いので。――取り敢えず、本日の授業を無事に終わらせ
る事を目標にしておきましょう。
――――――
Side:雪奈
……アフ、目が覚めたが、ドンだけ寝てたんだ?時間は、午後4:30か。
親父とお袋が出掛けたのが7時で、薬飲んで寝たのが9時ぐらいだったから7時間以上寝てた訳か……寝てる間に随分と汗を掻いたみたいで
シャツもパンツもグッショリだ。
まぁ、こんだけの汗を掻いたおかげで大分熱は下がった感じだけどな……取り敢えず気持ちわりぃから着替えっか。
着替えたのは洗濯しとくのが良いんだろうけど、未だ其れが出来るまでには回復してねぇからお袋に任せるしかねぇな……それでも、こうして
動けるようになったんだから、だいぶ回復したモンだぜ。
――ピンポーン
って、誰か来やがった。
親父もお袋もいねぇからアタシが対応するしかねぇんだが……まぁ、寝間着のハーフパンツとTシャツ姿だが、パジャマ姿じゃねぇから出ても問
題はねぇか。
はいはい、今開けるぜ――って、マユにメユに委員長?如何したんだよ一体?
「これはアレです、所謂お見舞いと言うやつでしょうか?」
「お見舞い其の物だよマユお姉ちゃん……」
「どんな時でもぶれないわね、西行寺さんは。」
「いえいえ、そんなに褒めないで下さい。」
褒めてねぇと思うけどな。
でも、見舞いに来てくれたってんなら上がれよ……生憎と、動けるまでには回復したとは言え、まだまだ本調子じゃねぇから大したモテナシも出
来ねぇけどさ。
「気にしないで下さい雪女さん。私達が好きで来ただけですから。
其れと、此れはお見舞いの品です。」
「食べやすいプリンとゼリー、其れから栄養ドリンクをいっぱい買って来たから、此れで元気になってね雪女のお姉ちゃん♪」
その心遣いには感謝するけど、コイツは一体何だ?
見舞いの品の中に紛れ込んでた『元気100倍!赤マムシ粉末配合の元気の出るゼリー』ってのは!!確実に劇物だろ此れは!!!
「あ、其れ私からです。」
「やっぱりテメェかマユ!!」
アタシの事を気遣ってのチョイスだと思うんだが、何だってこんな劇物選ぶんだテメェは!!メユや委員長のように、当たり障りのないモノを選
ぶって選択肢はねぇのか!!
てか、ホントにとことんポンコツだなテメェは!!!
「私の感覚は、人とは違うようですので。」
「だろうな……」
其れがマユだからよ。
だけど風邪引いてるせいなのか、今日に限ってはマユの態度が癪に障るぜ……ってか、こっちが苦しんでるってのに、涼しい顔でお決まりの
ボケかましやがって。
あぁ、クソ滅茶苦茶腹立って来たぜ!!
おいマユ!!
「はい、何でしょう?」
――グイ!!
――チュ
「?」
「ぷは……ハハハハ、此れでぜってーにうつったからな!テメーも苦しみやがれ!!」
あ~~、自分でも何言ってのか、何をしたのか分からなくなって来たぜ……だいぶ回復してきたとは言え、今のアタシだとここらが限界って事
なんだろうな。
そんな事を考えながら、視界の端で唇を押さえてるマユの姿を捉え、そのまま意識を手放したのだった。
――――――
Side:真雪
熱に浮かされての行動であったのでしょうが、まさかこう来るとは思っていませんでした――其れよりも、本当に熱が出たらどうしてくれるんで
すか雪女さん。
「な、なんか凄い物を見ちゃった気がする。」
「気がするじゃなくて事実よ……まさか、こう来るとは予想外だったわ。
大丈夫かしら、西行寺さん?」
「何とか大丈夫です。」
恐らく雪女さんは覚えていないでしょうけれど……ですが、こうなるとは思いませんでした――マッタク持って予想外のお見舞いになってしまい
ました。
しかし、これで風邪を引かなかったのですから、私は思いのほか丈夫であったのかもしれませんね。
因みに、雪女さんは翌日全快して普通に迎えに来てくれましたが、昨日自分が何をしたのかは全く覚えていませんでしたので、委員長さんに
如何したモノかと相談した所『敢えて言う必要はない』との事でした。
覚えていないのなら、教えて差し上げるのが優しさだと思うのですけどねぇ……
To Be Continued… 
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