Side:雪奈


レオナに案内されてライブハウスにやって来た訳なんだが、店に入る前からクソッタレの気配がプンプンするぜ――其れこそ、ゲロ以下の最低
の悪臭がな。
此処は、最低のマナーすら護れねぇ、アウトローになり損なったハンパモンのたまり場みてぇだな……ったく、この空気を吸ってるだけで反吐が
出るぜ。
だが、先ずはアタシ達だけで行くから銀ちゃん達は店の外で待機しててくれっかな?



「雪女の姐さんがそう仰るならそうしますが、最初から一緒じゃなくて良いんですかい?」

「レオナをイジメた連中みてぇのは、最初から大人数で押しかけっと本性現さねぇで、その場だけ取り繕って再犯を犯す可能性が高い。
 だからまずはアタシ達だけで乗り込んで、〆上げてからトドメに銀ちゃん達に来て貰う――徹底的にぶちのめされた後で、レオナのバックに居
 るのはアタシだけじゃなくてヤクザもだと知れば二度と馬鹿な事はしねぇだろ?」

何にしても、必要な時にはアタシから合図を出すから、その時は頼むぜ銀ちゃん。
其れと委員長、アンタ剣道の有段者なんだよな?



「その通りですが、其れが何か?」

「なら、此れもってけ。」

「ぼ、木刀!?一体何処から出したんです!?」

「アタシの背中は、四次元凶器入れだ。」

「ホントに、色々なモノが出てきますよねぇ……その内バズーカでも出てくるんじゃないでしょうか?」

「いや、流石に重火器は入れてねぇからな?」

まぁ、兎も角はクソッタレ共を〆に行くとすっか……雪女を怒らせると怖いって事を、其の身で分からせてやらぁ!!











ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode22
『ヤンキーとハバネロソース(激辛)』










っと、そうだ委員長、アンタはケンカに参加するよりも、マユとレオナの護衛の方を頼むぜ?そいつ等戦闘力期待できねぇから、誰かが護って
やらねぇとだしよ。
……マユに限っては、ポンコツの奇跡で店内の不良を2、3匹道連れにしちまうかもだけどよ。



「其れは、微妙に否定できませんね……恐るべきポンコツ能力ですからね西行寺さんは……」

「私固有のレアスキルですので。」

「褒めていません!!
 ですが、そうなると荒事になった場合、磯野崎組の皆さんを呼ばない限りは雪女さんが1人で戦う事になってしまいます……矢張り、私も参
 加した方が良いのではないでしょうか?」



普通ならそうなんだけどよ、委員長は剣道は出来てもケンカの仕方は知らねぇだろ?
ルールのある試合と、ルール無用のケンカは全然違うから、ケンカの素人はテメェの身を守る事を最優先にした方が良いんだわ――んで、そ
の場合、ケンカ慣れはしてないけどある程度の実力がある奴は、戦闘力皆無な奴の護衛を務めてくれってっとケンカする奴は安心出来るん
だ此れが。

「つー訳で頼む。
 こんな事を頼めるくらいにはアンタの事は信頼してんだ――悪友としてだけどな。」

「悪友と来ましたか……ですが、クラス委員長と学園一の不良でしたら、親友よりも悪友の方が合っているかもしれませんね。」

「えっと、先輩方?」

「ふむ、此れが対極に位置する者同士の不器用な友情と言うモノですか。」



マユ、其れは多分ちげーと思う。
さてと、店に入って……探すまでもなく見つけたぜギャル5人組――カラフルに染め上げられた頭に、ラメ入りの化粧をして、制服は改造しまく
りの連中がよ。
レオナ、あの5人組で間違いねぇな?



「は、はい。間違いないです。」

「よし……行くぜ。」



っと、こっちに気付いたみてぇだな?席を離れてこっちに来やがったぜ。



「アハハ、よく来たわねレオナ?ちゃんと50万持って来た?」

「持って来てないとか言ったら、どうなるか分かってるよねぇ?――アンタ、明日からこの街に居られなくなるよ~~?」

「私等も鬼じゃないから、出すもん出したら、このデータは丸っとこの場で消去してあげるからさぁ、さっさと出しなよ50万。」

「逆らう筈ないよね、レオナちゃ~ん?」

「そうそう、逆らったらどうなるか分かってるもんねぇ?」



……本当にクズだなコイツ等は。
オイ、テメェ等、随分と調子こいた事してるじゃねぇかあぁ?アタシが卒業して居なくなった事で、テメェ等が天下取った気にでもなってやがんの
か、おぉ?



「「「「「え?」」」」」

「久しぶりだな、ギャル5人組よぉ?っつーか、レオナのすぐ後ろに居たんだから気付けや、ウスノロの間抜け共が。」

「あああ、アンタは!!」

「日本人離れしたその容姿……其れでその言葉遣い!!」

「アンタ、雪女か!!」

「な、何でアンタがレオナと一緒に居るのよ!!」



あぁ?
自殺しようとしたコイツを助けてな……事情を聴いてみりゃ、テメェ等随分とコイツにヒデェ事したみてぇじゃねぇか?只のイジメじゃ飽き足らず
に、引ん剥いて写真撮って、其れをネタに金を要求するとか人の道に外れるにも程があんぜオイ。
でもって、アタシが助けなけりゃコイツは死んでた……そうなってたら、テメェ等如何する心算だったんだ?



「え~~?知らないそんなの。」

「自殺するとか、そいつの勝手でアタシ達関係ないし~?」

「レオナが居なくなったら、別の奴ターゲットにすれば良いだけって言うか。」

「って言うか、そいつに同情して来たの?アハハハハ、ちょー受けるんですけど~~?」

「其れで、雪女先輩はアタシ達を如何するんですか~?
 ぶっちゃけ、此処に居る人達ってアタシ達の仲間ですから、アタシ達に何かあったら店内の全員を敵に回す事になるんですけど~~?」

「そうかい、よ~く分かったぜ。」

テメェ等は本物の腐れ外道だってな。
更には、店内の不良共をアテにしてか……ケンカをする度胸もねぇハンパモンが粋がりやがって――少しでも、罪悪感を感じてたり、反省の
色が見られたら減刑してやる心算だったが、その気も失せた。
判決を言い渡すぜ……纏めてぶっ飛ばす!!



――バキィ!!!



判決と同時に、目の前にいたガングロ金髪に右ストレート一閃!!
気絶しない様に威力を抑えたが、其れでも5mは吹っ飛んで、不良共の方に吹っ飛ばされたから、戦闘開始の合図としちゃ上出来だ……今
ので、店内の不良共はアタシに気付いたみたいだからな。



「グ、よくもやったわね……歯が折れたじゃない!!」

「歯で済んで良かったと思えよビチグソビッチが。
 アタシが本気で殴ってたら、テメェは歯が折れるどころか頬骨が砕けて、下あごが粉々になってんぜ?――つーか、歯が折れた何てのは全
 然生温いんだよ。
 テメェ等がレオナにした事は、この比じゃねぇんだからな!!」

今のは、開戦の狼煙に過ぎねぇから本番は此処からだ……覚悟できてんだろうな、このクズ共!!
テメェ等は、アタシが一番嫌いな弱い者いじめを、其れも集団で行いやがった……絶対に許す事は出来ねぇんだよ!!



――バガァァァァァァン!!



「んな!?」

「テーブルが木端微塵に……!!」

「其れだけではありませんよ?」



――ガァァァァン!!



「ぼ、木刀で机をたたき割った!?」



アタシが拳でテーブルを砕いただけじゃなく、委員長も木刀でテーブルを砕いたか……まぁ、普通は拳や木刀じゃ砕く事の出来ねぇテーブルが
砕けとなりゃビビって然りだから、そう言う意味では良い仕事したぜ委員長。



「えい。えい。……残念、私では砕けないようです。」

「いや、砕けない方が普通だと思いますよマユ先輩……」



オメーは、ホントに場の空気を読まねぇなオイ!!
お前のポンコツ行動のせいで場の空気が死んだだろ!!――見ろ、ギャル共だけじゃなく、不良も完全に固まっちまってるじゃねぇかよ!!!



「時が止まったようですね?」

「物理的に止まった訳じゃねぇけどな。」

取り敢えず、ここからは乱闘になっから、お前とレオナは委員長の後に隠れてろ……此の喧嘩、弩派手なモノになりそうだからな。



「この……舐めるんじゃないわよ雪女!
 アンタが幾ら強くたって、この数を相手にする事は出来ないでしょう?……レオナに吹き込まれて来たんでしょうけど返り討ちにしてやるわ!」

「アンタをボコして、男共に輪姦させてやるから覚悟しなよ!!」

「ハッ、口だけは威勢が良いな……テメェはケンカも出来ねぇくせによぉ。」

だがなぁ、今のアタシは最高にブチ切れてるから、ぶっ殺されても文句は言うなよ――元はと言えば、アタシの逆鱗に触れる様な、クソッタレな
事をしたテメェ等が悪いんだからな。



――チャキ……



んでだ、金属バットとも思ったが、気が変わった。
テメェ等は金属バットで殴り倒すよりも、直接ぶっ飛ばしてやらねぇと気が済まねぇ……だから、本日の凶器は『メリケンサック』だ!!



「んな、そんなもんでビビると思ってんのか?
 って言うか、俺達のアイドルをブッ飛ばしたとか、覚悟できてんのか!!」

「るせぇな、クソ雑魚が。」



――ガスゥゥ!!

――グシャァァァァァァ!!!




アタシのやった事にキレた不良が掴みかかって来たが、そんなスローな攻撃を喰らうかよ――逆に顎を蹴り上げて、そんでもってダウンした所
で頭を踏みつけてやったぜ。
わりぃな、テメェ等みたいな馬鹿は嫌いじゃねぇんだが、今のアタシは最高にキレてんだ……だからよぉ、あんましドタマこさせっと、本気で死ぃ
見んぞ、おぉ?

其れでも構わねぇって奴は、かかってこいや……雪女の恐ろしさを骨の髄にまで叩き込んでやるからよぉ!!



「い、いい気になるんじゃないわ雪女!此れだけの数を相手に、勝てるはずがないんだから!!」

「み、みんなやっちゃってーーー!!」

「「「「「「「「「「おぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」×沢山



はっ、実力差を理解出来ねぇ三流が……なら、圧倒的な力の差ってモノをその身に刻んでやろうじゃねぇか!!
――委員長、マユとレオナを頼むぜ!!



「任されました、存分に暴れて下さい雪女さん!!」

「雪女さん……ギッタンギタンの9割殺しでお願いします。」



だから、真顔でそう言う事言うなってのマユ……冗談なら冗談らしいテンションで言ってくれ。流石のアタシも、お前に限っては冗談なのかマジ
なのか判断付かねぇからよ。

だが、マユが9割殺しをお望みならそうしてやるぜ……このクソギャル共は其れだけの事をし腐ったんだからな!!――最低でも、前歯を全部
失う位は覚悟しとけや。
二度とふざけた事が出来ねぇように、本物の不良の怖さって奴を、骨の髄にまで叩き込んでやるからな!!











 To Be Continued… 



キャラクター設定



ギャル5人組
・雪奈が通っていた中学校の3年生。
 玲緒奈をターゲットにして、様々ないじめを行い、現金まで要求して来たクズ集団――雪奈が在学中は大人しくしていたが、雪奈が卒業す
 ると同時に増長して行った模様。
 粋がってはいるが、群れて行動する事しか出来ない上に、ガチのケンカは仲間の不良任せなハンパモノであり、実際の戦闘力は皆無。