Side:ミカヤ


……此れは、思っていた以上に彼女は強いね?
剣と鞘の二刀流は同じだけれど、太刀筋の全てが私の抜刀剣術とは異なるから、何とも良い経験だ……他流剣術との試合は滅多にないから余計だ。
惜しむらくは、彼女の剣が護衛の剣に徹している事で、本来の鋭さを欠いてしまっているという事かな?――もしも彼女が本来の力をそのまま伸ばして
居たのならば、私でも勝つのは難しいだろうからね。

この短時間で4勝も出来たのは、彼女が護衛の剣であったが故なのは否めないさ……其れでも良い経験が出来た事は間違いないけれども。

そんな中で、彼女に通信が入り……如何やらここでお開きみたいだね?



「如何やらその様です、ミカヤ先生。」

「先生は止めて下さい……剣を交えた間柄なんですから。」

「……では、ミカヤさん、ありがとうございました。」



此方こそ。
打ち込めこそしましたが、致命傷を取る事は出来ませんでした……正に『護衛剣術』の本領と言ったところですね。



「お嬢様が連絡をくださって命拾いしました。
 あぁ、戻る前に服を修繕いたしましょう――こう見えても、服を直すのは得意なんです。」

「本当ですか?ありがとうございます。」

防護服ならば兎も角、普通の服を此処まで壊されてしまったら直すにもお金がかかるから、魔法的な事で直せるって言うのは有り難い事この上ない。
此れも、乙女執事の嗜みなのかもしれないけど……何だろう、如何言う訳か――割りとこう、失礼な事を思われてる気がするんだけれど何でだろう?

……あんまり深く考えない方が良さそうだね此れは。












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow80
『二つの道~Duel&Fight~』











Side:レーシャ


試練を超えて、予想外に新しいカードを手に入れて、其れとは別に待っていたお宝はまさかの練習用グローブ……此れは、最初っから師匠達によって
仕組まれていた試練だったって事ね……まぁ、試練は効果が有ったから良いけどね。

でもって、その後皆と合流した訳なんだけど、力のお宝が最新型の魔力負荷バンドで、技のお宝がチームジャージ……まぁ、お宝って言うのは間違っ
てない感じだわ。特にチームジャージはテンション上がるしね。

加えて驚いたのは、ジークとシャンテとイクスが此処に来てたって事だね。
如何やらジークはアイリンの道場のお客様だったみたいだけど、なんか手違いがあってこっちに来たッポイね……まぁ、現役最強のチャンピオン様が
来たって言うのは滅茶苦茶テンション上がるから無問題ですけれどね!!同行してくれたちびイクスはめっちゃ可愛いし!!

どうやって此処まで来たのかが疑問だったけど、どうにもリオのお爺ちゃんが案内してくれたみたいだね?己の身分を隠した上で。

総師範て言う肩書の割に、茶目っ気が有ると言うか何と言うか……好々爺って言うのは、こう言う人の事を言うんだろうねきっと。リンナさんとリオから
お叱りを受けたのは、まぁしょうがない事だけどさ。


でもまぁ、此処から始まった最終試練は、本気で為になったわ。
リンナさん、アイリン、そして総師範と稼津斗師匠との一本交代制の乱取り戦は、今までのトレーニングの中で行って来たスパーリングとは、全く違う手
応えを得る事が出来たからね……本気で良い経験だったよ。(稼津斗師匠の中国拳法使ったら、総師範が『何時の間に春光拳を?』って驚いてた。)

尤も、そのお蔭で全員ヘトヘトになった訳で――

「思いっきり動いた後の御飯は格別です!!景色も最高だし!!」

「本当に、絶景と言うべき景色ですね……と言うかレーシャさん、もう少しゆっくり食べた方が良いのではないでしょうか?」

「分かってるけど、思いっきり動いた後でお腹ペコペコなのよアイン!さっきのスパーリングの前に限界突破したせいで、体力は兎も角その他のエネル
 ギーが若干足りないし、何よりも、お母さんの料理とタメ張れるくらいに美味しいお弁当に箸が止まらないのよ!」

「食べた傍から、体力やら魔力が回復してるみたいだなお前は……ドンだけのエネルギー吸収の良さだってんだ?
 今の段階で此れだと、10年後は俺やアインスすら超越した弩チートキャラになるんじゃないかって思うんだが……その辺は如何思うよノーヴェ?」

「否定できねっすね旦那。」



ただいま御飯の真最中!
絶景ポイントでの美味しいお弁当って言うのは最高ね?こんなのは、学校の遠足でも体験した事が無いわ。此れだけでもルーフェンに来た価値がある
って思える位だからね。
其れと稼津斗師匠とノーヴェ、誰が弩チートキャラか!少なくとも、稼津斗師匠には言われたくねーです!未来永劫禁止カードの精霊にだけは!!



「其れはそうだろうが、そう思える位にお前は凄いんだよレーシャ。
 俺の知ってる奴に、お前と同い年のタイプの異なる天才が居るんだが、その2人と比べても、お前は勝るとも劣らない位に凄いからな色々と。
 無論、ヴィヴィオやアインハルトも凄いんだが……お前は持って生まれた才と周囲の環境に恵まれまくってるから、正直何処まで成長するのかマッタ
 ク予想が付かないんだ。」

「其れに関しては、先程の乱取りで私も凄まじいと感じましたわ。
 なにせ、私がどんな技を繰り出そうとも、2発目を繰り出した時には其れに対して其れなりの対応が出来ているのですから……其れはつまり、初撃を
 見ただけで、技の特性やら何やらを完全ではないとは言え見切って居る訳ですから、本気で凄いと思いますわよ?」



アイリンもそう言う?
まぁ、見切りに関しては格闘と言うよりも、デュエリストとしての観察眼が役に立ったって言う所かな?デュエリストたる者、どんな小さな事も見逃しては
ならないし、些細な事から逆境突破の糸口を掴むなんて言う事は日常茶飯事だからね。

でも、私だけじゃなくヴィヴィやアイン、其れにミウラもリオもコロナも凄いんだよ?
今はマダマダルーキー扱いだけど、1~2年の間には、全員がインターミドル常連組になって見せるからね?……そして私は、5年以内にインターミド
ルを制覇し、Dホイールの免許を取れるようになる6年後にはデュエルでお父さんを超える心算だから。



「インターミドル制覇は兎も角、デュエルで遊星を超えるってのは6年じゃ無理じゃないのか?……まだアクセルシンクロも体得してない訳だしな…?」

「其れでも超える。絶対超える!
 ミッドの今のデュエル界の世代交代は私から始めて見せる!!ぶっちゃけ、この蒼龍はその為に手に入れたんじゃないかって思ってるからね!!」

「其れは否定できないかもだね……」



寧ろ、デュエリストにとっては新たなカードの入手も、新たな戦術の閃きも、その全てが必然だからね――場合によっては、ドローカードですら創造しち
ゃう訳だからね……お父さんが正にその領域に居るからね。


ちょっと脱線しちゃったけど、何が言いたいのかって言うと、きっと私は誰にも負けたくないんだと思う。格闘でも、デュエルでもね。
格闘もデュエルも、最高のライバルと目標が有るからなのかもしれないけど――結局は、私が只単純に負けず嫌いなだけかも知れないんだけどさ。
きっと、頂点にまで上り詰めないと満足出来ないんだよね私って……ホント、欲深いよね。



「欲深くてえぇやん?寧ろ勝利欲がなかったら頂点は極められへんで?
 ウチかて、一番になりたいって思って頑張った結果、インターミドルのチャンピオンになった訳やし、レーちゃんのお父さんかてデュエルで頂点を極め
 たんはそんな単純な理由やったんやないかなぁ?」



かもね。
お父さんがライバルが居たから強くなれたって言うのは、よく口にしている事だから。――案外、その単純な理由こそが大事な事なのかもしれないわ。
何れにしても、格闘もデュエルも頂点を極めるって言う私の意思は変わらないわ!!



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で、道場に戻って来た訳なんだけど――此れ如何言う状況?



「どこかで見た事が有ると思ってたら、次元放送で放送されたデュエルの特番で出てたレーシャさんだったんだ!!
 僕もデュエルには興味が有ったからデッキを作ってたんだけど、春光拳の道場では其れを使う機会が無かった……此れはとっても幸運だよ!!!」



門下生の1人が、私に反応して詰め寄って来たよ此れ。
話しから察するに、次元放送で放映された私のデュエルを見て、デュエルに興味を持ってくれたって所かしら?――対戦相手は居なかった様だけど。

其れで用件は何?大体予想は出来てるけどさ。



「要件は只一つ……僕とデュエルしてください!!!」

「やっぱりそう来るか……OK、その挑戦は受けようじゃない?
 何よりも、デュエルを挑まれて其れを拒むなんて言うのは、デュエリストとして有り得ないからね……貴方の力を存分に見せて貰おう事にするわ!!
 時に貴方、名前は?」

「春光拳門下生、チュンリー・ザンです。」



チュンリーね……って、まさか貴方は女の子!?



「そうですけど……」

「まさかミウラ以上の僕っ娘が居るとは驚いたわ………まぁ、其れは其れだけどね。
 取り敢えず始めようかチュンリー?手加減はしないわよ?」

「本気で来てください……僕も本気で行きますから!!」



だよね……じゃあ、行こうか!!



「「デュエル!!」」


レーシャ:LP4000
チュンリー:LP4000




「先攻は貰います!僕のターン!!
 手札から魔法カード『魔族の進撃』を発動!ライフを1000ポイント払い、デッキか手札から悪魔族モンスターを2体まで特殊召喚する!!
 僕はこの効果で、デッキから2体の『デーモンの召喚』を特殊召喚する!」
チュンリー:LP4000→3000
デーモンの召喚:ATK2500(×2)


「更に、この2体のデーモンの召喚…レベル6モンスター2体でオーバーレイ!オーバーレイネットワークを構築!
 絶対の力を持つ悪魔が集う時、其処には絶対的な闇が現れる!!――エクシーズ召喚、『究極魔王-スカル・デーモン』!!」

『グガオォォォォォッォォォォォォォオォォオォ!!』
究極魔王-スカル・デーモン:ATK2500   ORU:2



行き成り攻撃力2500の上級エクシーズか……油断できる相手じゃあなさそうね。――尤も負ける心算は毛頭ないけどね!



「カードを1枚セットしてターンエンドです。」



私のターン!!
手札より、魔法カード『エンジェル・バトン』を発動!デッキからカードを2枚ドローして、その後手札を1枚捨てるわ。……此れは良いドローだわ。
自分フィールド上にモンスターが存在しない時、手札の『フォトン・スラッシャー』は特殊召喚出来る!



フォトン・スラッシャー:ATK2100



更にチューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚し、その効果で墓地の『チューニング・サポーター』を特殊召喚するわ!!!



ジャンク・シンクロン:ATK1300
チューニング・サポーター:DEF300



「レベル合計8!!……まさか!!」

「さて、如何かな?私はレベル4のフォトン・スラッシャーと、レベル1のチューニング・サポーターに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!!
 虚空に響く仲間の叫びが、新たな絆を紡ぎ出す――光射す道となれ!!シンクロ召喚、現れよ『幻獣神-蒼龍』!!

『ガァァァアァッァアッァアァァァァァァァァァァァァァァアッァァァァァァアァァァァァァァァ!!!』
幻獣神-蒼龍:ATK2500




貴女には悪いけれど、このデュエルで勝つのは私だ……手加減なしで行くから、精々付いてきなさいよ!!
予想外にデュエルになったけど、負ける心算は毛頭ないわ――私が目指すのは最強のデュエリストだら、こんな所でやられる事は出来ないからね!

さぁ、楽しいデュエルをしようじゃない!!

尤も、蒼龍の初陣だから、負ける心算は毛頭ないけどね♪











 To Be Continued… 








*登場カード補足




究極魔王-スカル・デーモン
ランク6    闇属性
悪魔族・エクシーズ/効果
レベル6の悪魔族モンスター×2
オーバーレイユニットを持ったこのカードは破壊されず、攻撃対象にもならない。
自分のターンのスタンバイフェイズ毎に、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除く。
このカードが戦闘、または相手のカード効果によって破壊された場合、墓地の悪魔族モンスター1体を選択して、自分フィールド上に特殊召喚する。
ATK2500    DEF1200



魔族の進撃
通常魔法
ライフを1000ポイント払って発動する。
自分のデッキ又は手札から、悪魔族モンスターを2体まで選択して、自分フィールド上に召喚条件を無視して特殊召喚する。
このカードを発動したターン、自分はバトルフェイズを行えず、罠カードの発動が出来ない。