Side:ヴィヴィオ
はぁ、はぁ……一撃当てるって言う事なんて簡単だって思ってたけど、全然簡単じゃないよ――アイリンさんの実力が予想以上だったって言うのを加味
したとしてもね。
でも、だからって諦めるかと問われたら其れは絶対に否!!途中で投げ出しちゃったら、其処で終わりになって其処から先に進む事は出来ないし、何
よりも、ママに追いつく事なんて出来る筈がない!!――だから、諦めない!!
「てやぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」
「!?」
その思いが通じたのか、先ずはミウラさんが、防御されたとは言えアイリンさんに一撃を叩き込んで試練をクリア!……ミウラさんの一撃は、防御したと
しても大ダメージが免れない程の剛撃だからね。
だったら、私も負けてられない!!
「せい!!」
「甘いですわ!!」
ラッシュの中に、緩急をつけた打撃をちりばめて、相手の注意力を散漫にして………其処ぉ!!!
――ビシィィィ!!!……パカリ
「此れは……靴が割られては、一撃入ったと言わざるを得ませんわね……お見事、技の試練クリアですわよ。」
「「やったーー!!」」
「……尤も、彼女の方は、まだクリアには時間がかかるようですけれどね。」
って、そうだ!レーシャには、私達とは違う相手が来てたんだった!!
見た目は滅茶苦茶怖かったし、感じた力もハンパじゃなかったけど……だけどレーシャならきっと大丈夫!絶対に何とかなるって信じてるから。
だから、全員で試練をクリアしようね!!
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow79
『Whereabouts of the way』
Side:レーシャ
正直な事を言うなら、稼津斗師匠とのスパーリングは半端じゃないわこれ……体力と魔力が限界に来てるだけに余計なのかも知れないけど、其れに
したって、ギリギリ状態での戦いはガチでキツイって。
インターミドル本戦では、こんな事が有るって言う事のかもしれないけど、幾ら何でも厳しすぎない!?
残りの体力と魔力をフル稼働して、何とか凌いでたけど、其れもそろそろ限界ッポイ……だけど、限界を迎えて膝を折ったら私の道は其処で終わりにな
っちゃうから、自分からは倒れたくない!!
「そろそろ限界か……まぁ良くやったって所だろうな。
地力の底上げは出来たから、インターミドルの本戦でも勝つ事は出来るだろう――だから、そろそろこれで終わりにしようか?」
「終わり……?」
終わりって何?……この戦いが終わりになるって言うの?――だとしたら冗談じゃない!!
この極限状態で、漸く何かを掴みかけてるって言うのに、此処で終わりされて堪るもんですか!!――って言うか、終わりになんてさせないっての!
私は、まだ戦える―――!!
――轟!!!
「!?――此れは、この気迫は……この極限状態で、遂に辿り着いたか!!」
でやぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
――ガガガガガガガガガガ……ドガバァァァァァァアァァァァァァァァァァァァァァン!!!
「!?」
な、なに今のは?
指一本動かせない位に疲労していた筈なのに、身体が自然と反応して稼津斗師匠を攻撃した――?だとしたらトンでもない事なのは間違いなさそう。
でも、それ以上に此の疲労感……此れは一体……
「……お見事。」
「師匠?今のは一体……」
「其れがお前に一番足りなかったものだ。」
へ?如何言う事?此れが私に足りなかったモノだって、そんな事言われても分からないんだけど……もっとこう、分かり易く説明プリーズです師匠。
「限界ってのは、ある意味でのリミッターだが、逆を言うなら限界を超えた先にこそ本当の力があると言う事にもなる訳だ。
だがしかし、限界を超えるってのは簡単なモノじゃない――其れこそ絶体絶命の極限状態から絞り出した『必死の力』がなければ超える事など不可
能と言えるだろうさ。
お前の場合は、その必死の力が足りてなかったんだ。勝負は常に真剣勝負だったがな。」
「言われてみれば……そうかも。」
思えば、予選でも苦戦した相手ってジャクリーン・ルスカだけで、あとは殆ど余裕で勝って来たから、全力ではあったけど必死では無かったかもね?
唯一苦戦したジャクリーン戦も、2ラウンド目には攻略法見つけて其処からはずっと私のターンだったから、必死にはなってなかったような気がするし。
「だろう?――現実に、今の極限状態から放たれた乱舞攻撃は、俺でも全てを捌き切る事が出来ない物だった……胴着が破けたからな。
それと、攻撃直後は凄い疲労感に襲われたかもしれないが、今は如何だ?まだ体に疲労感を感じているか?」
「ん?んん!?……ない!!さっきまでの疲労感がまるでない!
それどころか、体力も魔力も回復してる!!それこそ、此れまでの試合でのインターバルでの回復なんて比べ物にならないレベルで回復してる!」
「其れも、必死の力の賜物だな。限界を超えた事で、身体も其れに反応して疲労回復の為の機能をフル回転させたってところさ。
しかしまぁ、本気で天才ってのは恐ろしいモンだ――正直な事を言うなら、今回の試練で限界突破の糸口を掴む事が出来れば僥倖位に考えて居た
んだが、まさか此処で越えて見せるとは、末恐ろしいモンだ……褒め言葉だがな。」
まぁ、其れも師匠が最高だったからかもしれないけどね。
でもそうか……此れが限界を超えた感覚か――この感覚は忘れちゃダメね!!この極限状態での力を自在に引き出す事が出来るようになれば、ど
んな相手に対しても互角以上の戦いが出来るだろうからね。
「そう言う事だ。そして試練突破おめでとうレーシャ。試練突破の祝福として、極限状態で開眼したさっきの技に名を送らせてくれ。
型が無く、しかし無限の型を有する、極限状態で放たれる無双の乱舞攻撃――文字通りの最終決戦奥義、その名は『無式』!!」
「最終決戦奥義“無式”……いいね、その技名いただきだよ稼津斗師匠!」
流石にきつかったけど、この試練で得た物は大きいわ!
この試練で得た、必死の力と、最終決戦奥義“無式”を持ってして、インターミドル本戦でも大暴れしてやろうじゃない!!精々暴れさせてもらうわ!!
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で、只今試練終了後のお疲れ会って所だね~~……疲れた体に、甘い物は身に染みるわ本気で。お母さんの手作りお菓子には劣るけど美味しいし。
てか、ヴィヴィとミウラは、最後の最後まで乱入者が師匠だって事には気付いてなかったのね……いや、確かに見た目は余りにも違うからだけどね?
「それにしても、思った以上に皆さんやりますわね?……特に格闘系の家柄と言う訳ではないのですよね?」
そんでもって、お茶しながら雑談中。
アイリンは、私等が予想以上に出来た事に疑問が有ったみたいだけど、生憎と私はお母さんが管理局の特務佐官で、お父さんはミッドのデュエルチャ
ンピオンで、格闘の師匠は天然チートバグで、そもそも私自身がプレシア・テスタロッサって言う超チートキャラのコピーだから此れ位はね?
もっと言うなら、ヴィヴィはオリヴィエの遺伝子を継いでる上に、お母さんが『あの』なのはさんだからねぇ……ミウラは分からないけどさ。
「あ、僕は実家がレストランやってるんですけど、山の中に店があるんで、毎日食材やら何やらを運んで山道を往復してるんですよ。
そのせいで、人並み以上にスタミナはあるのかもしれません。」
「日常的にトレーニングしてたって事ね……ある意味で恐ろしいわ其れ。」
意図的に鍛えた訳じゃないから、恐らくはバランスよく全身の筋肉が『鋼鉄の頑丈さとゴムのしなやかさ』を有してる状態になってるでしょうからね。
でも、其れが苦にならないて言うのは、トコトン格闘にのめり込んでる証拠よね?
かくいう私も、格闘を始めてからは、練習試合もトレーニングも楽しくて仕方ないって言う所だけどね――強くなってる事が実感できる訳だしさ。
きっと此れが、私達の武の道なんだと思うよ。
「かも知れませんわね――その道を、如何か極めて下さいな。」
「「「勿論!!」」」
始めた以上は半端な事は出来ないから、トコトンまでやってやろうじゃないの!!
『グルルルルルルルル……』
『グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……』
って、如何したの光子竜と閃光龍?――壁の向こうに何かある気がする?強い力を感じたって……アレか。
「ねぇ、この紋章の先って何かあるの?」
「え?否どうだろう……聞いた事ないけど――って言うか、その紋章の先って何かあるのかな?普通に壁画じゃないの其れって?」
かも知れないけど、閃光龍と光子竜が何かを感じ取った以上は何かがあると思うんだよね?
それに、壁画に見えるかも知れないけど――
「喰らえ!!」
――バキィィィィィィ!!!
ブッ飛ばしたら、意外と簡単に壁が崩れて奥の部屋が顕わになったからね。――でも、この空間は一体なに?何となく不思議な感じがするんだけど、
それ以上に異様なのが、其処に描かれた壁画だわ。
恐らくはルーフェンの歴史やら何やらに登場する幻獣を描いたモノなんだろうけど……なんだろう、妙にこの壁画に引き付けられた感じがするわ。
其れこそ、会うべくして会ったと思ってしまう位に――其れほどに、この壁画に惹かれたのは間違いない。
だからかな?気が付けば、私は其の壁画に触れていた。本当に、自分でも思って居なかったのに。
でも、其れが如何やらトリガーだったみたい。
――カッ!!!
私が触れた直後に壁画が発光し、閃光が収まったその時には、私の手に1枚のカードが存在していた。
其のカードは『幻獣神 蒼龍』――レベル8のドラゴン族のシンクロモンスターのカード!まさか、こんな事が起きるなんて予想外にも程があるっての!
「こんな場所が有ったってだけでも驚きなのに、壁画がカードになるとか有り得ないだろ普通に!!
其れとも何か!?この壁画は元々カードで、自分を使う事が出来る人を待ってたとでも言うのか!?……だとしたら、レーシャは凄すぎだろマジで。」
「ルーフェンの幻獣に選ばれし者――確かに凄いですわね。」
何だかとんでもない事をしたっぽいけど、新しい仲間が出来るって言う事に関しては一切問題ないわ!!
試練を超えた先に、まさかこんな事が待ってるとは思わなかったけど、此れは私にとっても嬉しい誤算て言う所かな?――全然予想してなかったしね。
でも、新しい仲間が出来るって言うのは嬉しい事だから、宜しくお願いね蒼龍!!
『グルルルルルルルル……』
新たな仲間を得た事だし――予選の決勝もサクッと勝って、インターミドル本戦に向かって驀進一択ね!
レーシャ・Y・不動と、チームナカジマの名を、全世界に知らしめてやろうじゃない?――言うなれば、此処からが私のやるべき事って言う所だろうね!
まぁ、誰が相手でも関係ない――対峙した相手は全て倒すだけの事だけどさ!――私は負けないよ……絶対にね!!
――――――
Side:ジーク
えっと、えぇんかなこないなもん借りてもーて?
「いいじゃん?折角の旅行だから現地に馴染んだ方が良いでしょ?」
「其れは、確かにその通りなんやけど~~~」
「イクスの分も用意しておいてよかったよね~~。」
うん、確かに着替えたイクス様はめっちゃ可愛いのは否定せんけど――少なくともウチは、拳法着の方が良かったんやないかなぁ?
「そんな事ないって!似合ってるよチャンピオン♪」
「そう言って貰えるだけ救いやなぁ~~~」
まぁ、この衣装そのものは悪くないから堪能するとしよかな?――その上で、ルーフェン武術の極意に迫る事が出来たら僥倖やから、精々頑張ろか♪
ハルにゃんやヴィヴィちゃんやレーちゃんが挑んでくるまでは、ウチはチャンピオンで居なあかん――其れが、あの子達に対する礼儀やと思うからな。
To Be Continued… 
*登場カード補足
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