Side:レーシャ


春光拳ってどんな物だろうとは思ってたけど、思った以上に古来からの伝統武術って言うのは奥が深いね?って言うか、深い所じゃない感じがするよ!



「で、全身の力を使えば少しは拳打の威力がアップする。此れが現代格闘技で言う所の『型』――最も力を乗せやすい動きになる訳だ。
 ……ところが、アタシは人並み外れて非力だし、魔力も悲しい位にショボい。」

「コイツがドンだけ腕力を鍛えてみても、『力』だけじゃ、皆みたいな拳打を打つ事は到底不可能な訳よ?」

「其処で如何するか…」



――ドン!!!



実際の動きを交えながら説明してくれるから分かり易いしね――今のは、地面を蹴って加速したんじゃないよね?なんて言うか、力を地面に叩き付けて
るって言うか……アインの『断空』に近い、力の入れ方って感じかな?



「あ、其れ近い!確かにそんな感じだった!!」

「此れは……若しかしたら、覇王流と春光拳には何らなの関係が有るのかもしれませんね。」

「マジで?其れが本当だったら、歴史的な大発見の予感!!って言うか、春光拳の看板に此れでもかって言う位の箔が付く事間違いないと思うよ!!」



まぁ、可能性としては無くはないかもね。春光拳の歴史は、古代ベルカにまで至るらしいからね。
其れとヤッパリ『中国拳法』のイメージも強いかな?今の一撃って、稼津斗師匠が見せてくれた『勁』に似た感じがしたし……此れは色々学べそうだわ♪
春光拳の極意、会得できれば私の戦いの幅が広がりそうだしね♪












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow75
『Heimliche Karte』









Side:ノーヴェ



困った問題児かと思ったら、中々やりますねシェンちゃん?アレだけの知識を蓄えているって言うのは、素直に凄いんじゃないかと思いますよ。



「まぁ、知識が先走っちゃている感じは否めないんだけど、あの子達『勁』については、私が呆れる位にアホみたいな情熱で勉強してますから。」

「好きなんですね、春光拳が。」

「好きこそものの上手なれ……きっとあの子達は、マダマダ伸びるだろうな。」

「マダマダ弱っちくて、悪戯好きのアホ共だけど、でも潜在能力と伸びしろは、同輩の練習生の中では間違いなく一番だと思うからねあの2人は。
 鍛えれば、何処までも伸びるんじゃないかと思ってるよ。」



あはは……まぁ、問題児は手がかかる分、可愛いとも言うから、多分そうなんじゃないですか?間違いなく伸びますよ、シェンちゃんもイェンちゃんも。
其れこそ、ちゃんと鍛えてインターミドルに出てきたら、うちのチビ共の良いライバルになるかも知れませんからね……其れ位には、強いですよ。



「そう言って貰えると嬉しいかな。
 それで、あの……ノーヴェ先生、良かったら気軽な感じでね?教える立場同士、友達になれたら嬉しいし。」

「あ、そんな此方こそ!!」

「ふふ、それじゃあ『ノーヴェちゃん』だね?」

「うん『リンナちゃん』。」

「あ、良かったら御三方も~~♪」

「ありがとうございます。」

「気軽に呼び捨てて下さいね。」

「まぁ、好きに呼んでくれ。
 普通に稼津斗でもいいし、『カヅ』『カッちゃん』『稼津君』『稼津兄』『アニキ』『ボス』『チートバグ』『老師』とより取り見取りだからな、さぁドレにする!?」

「じゃあ、『稼津君』で♪」



でもって、ぶれねぇな旦那よ……いやまぁ、アンタにはいろいろ言うだけ無駄ってやつなんだろうが、伝統武術の師範代に、そんだけ気軽に接する事が
出来るのは、アンタ以外だと不動夫妻位しか居ねぇんじゃねぇかな?……此れもまた最強の証ってやつかも知れないけどよ。



「失礼しますリンナ師範代、少し宜しいでしょうか?」



えっと、この子はタオちゃんだったっけ?何やら紙きれ持って来たけど、なんだろう?師範代であるリンナちゃんに持って来たって事は、其れなりの物な
んだろうって言う事は想像が付くけど、何だい?



「此れは地図だね、其れも相当古い物だけど……ん?んん!?こここ、此れは!若しかして、いや若しかしなくても大変なモノかも知れないよ!?
 アタシは、此れをじーちゃんに見せて来る!!タオは、ヴィヴィちゃん達に伝えて来て!!」

「ちょちょちょ、ちょっと待ってリンナちゃん!!如何したってのさ!?」

「いやいや、如何にも此れは大発見みたいでね?午後から、探しモノに出掛ける事になるかも知れないって訳だよ♪ヴィヴィちゃん達にもそう伝えてねタオ?

「はい。」



探しモノ……ね?
まぁ、探しモノってのは集中力と洞察力を鍛える事も出来るから、チビ達にとってもプラスにゃなるか。アタシ自身も、その地図に何が書かれていたのか
少しばかり気になるからな。








――――――








Side:アインハルト


春光拳の勁……成程、此れを応用すれば『断空』の威力を大幅に底上げする事が出来ますね。
基本的な概念は、断空と似ていますが、断空が練り上げた魔力を使うのに対し、勁は己の肉体のバネを使う事に重点をおいていますから、その二つを
上手く合わせる事が出来れば、クラウス以上の『断空』が使えるように成るかも知れません。

古流武術と言うだけあって、春光拳からは学ぶ事も多いようです。



「って事は、勁を応用してやれば………てい!!!」


――バビュン!!


「いきなりトップスピードで動く事も可能な訳で、此れは攻防に於いて使えるわね――超速攻のラッシュと、突然目の前から消える緊急回避とかね。」



特にレーシャさんは、勁を自身のスピードに生かす術を考えている様ですからね。

して、そんな中で、タオさんが『外で探しモノ』と言う事を言って来たのですが、如何言う事でしょうか?
聞く限りでは、タオさんが書庫で見つけた地図が大事なモノで、リンナ師範代も手伝ってほしいとの事ですが……如何いたしますか、ヴィヴィオさん?



「良いんじゃないかと思いますよ、アインハルトさん。探しモノって何か気になりますし♪」

「宝探しって言うのは、存外燃える物だからね!」



……確かに、どのようなモノを探すのか、私も些か興味があります。其れに、未知なるものは体験しておいて損は無い筈です。己の糧になる筈ですし。
ならば、喜んでお手伝いさせて頂きます。

果たしてどのような『探しモノ』なのか、楽しみですね。








――――――








No Side


で、一行は只今ロビー(?)に絶賛集合中。


「あわただしく集まって貰ってスマンの~?
 さて、先程タオが見つけて来た、此の地図を見てくれるか?実は此れは、ルーフェン武術の先人が残した地図の様でな。」

「あ!其処の入り口が三つある洞窟って……」

「うむ、嘗て武術鍛錬場として使われていた『三岩窟』じゃの。」


そして、タオが見つけて来た地図の説明が行われていた。
如何にもこの古地図は、ルーフェン武術の先人が残したものであるらしく、更に地図の裏には透かし文字で『この洞窟の奥まで進んだ者には、ルーフェン
武術の極意を受け渡しちゃうよ(要約)』ってな事が書いてあったのだから、此れにはレーシャ達も大興奮である。

他にも洞窟の進み方やら何やらが書いてるところから、此の地図が価値のある物なのは間違いないだろう。


「ワシが確かめに行っても良いのじゃが、今日は如何しても外せぬ用事があっての……誰か、ワシの代わりに行っても良いと言う者が居てくれると良い
 のじゃが……」

「「「「「「「「「行きます!!」」」」」」」」」


レン・タンドラの言い回しはあからさまだが、純真無垢なヴィヴィオ達は是非もなく、自らが出向く意思を表示する。って言うか、この子達が此れだけの事
に反応しない筈がないのである。


「ホッホッホ、助かるの。
 今からなら、すぐに出れば日が暮れるまでには戻ってこれるじゃろ?弁当を用意して貰っているから……」

「はい、お弁当の用意が出来ましたよ~♪」

「猫たちも連れて、早速出掛けてくれると良かろうな。」

「「「「「「「はい!!」」」」」」」」


トントン拍子に話は進むが、無論この『探しモノ』の真相を組み取った者は存在している――そう、ユミナである。


「あの、コーチ、稼津斗師匠、リンナ師範代……此れって、その、アレですよね?」

「さて、何の事かな?」

「皆目見当が付かんな?」

「ねぇ?」


であっても、ユミナの問いに対してシラを切るのは、お約束であり、何か企んでいる者の常套手段と言えるだろう。ぶっちゃけ、この態度が肯定の意であ
るとも言えるのである。

とは言え、シラを切ったのはあくまでポーズであり、ノーヴェもリンナと稼津斗も、トラブルが無いように、つかず離れずでついて行くと言う事で、現場の引
率は、ミカヤとユミナに任せたいとの事だった。

無論、ユミナに断る理由などなく、即了承だ。どこかの謎ジャム製造主婦もびっくりの速攻了承である。



「助かるよ、ユミナちゃん。」

「ミウラとアインハルトがバリバリ信じてるからね~~~。」

「皆のピュアさがまぶしいです~~。」


ともあれ『探しモノ』に行く事は此れで決定である。――果たして、向かった先で何が待っているのかは、コーチ陣のみ知ると言ったところだろう。








――――――








Side:レーシャ


そんな訳で準備完了!!もしもの事も考えて、デッキとデュエルディスクは標準装備だよね♪
道案内はシェンとイェン……其れからタオがしてくれるみたいね。――タオは、総師範に何か言われて同行を決めたみたいだけど、さて何があったのか。

ともあれ、この探しモノにはワクワクだよ!
どんな結末が待ってるかは分からないけど、この探しモノで経験した事は、きっと私達にとってプラスになるだろうからね。



「タオ、皆~~、写真撮ろうぜ~?」

「出発前の記念写真。」

「お、良いねぇ?」

んでもって、出発前の記念写真撮影に。――其れを提案して来るとは、シェンもイェンも分かってるわね♪

撮影は……お願いしても良いかな、リラ?



『クリクリ~~~♪』

「と言う事で、リラが撮ってくれるって。」

「アインハルトさん、ユミナさん、一緒に撮りましょう!」

「ミカヤさんと、ナカジマコーチ、其れと稼津斗師匠も。」



そして、あっという間に全員集合の集合写真に。それじゃあ、行くよ~~?1+1は?


「「「「「「「「「「「「「に~~~~~~~!」」」」」」」」」」」」」


――パシャ!!



「お~~~、デキル子だね、その毛玉ちゃん?」

「レベルも攻守も最低レベルだけど、クリボーを舐めたら行けませんですよ?初代デュエルキング愛用のモンスターですから。」

「そりゃスゲェわ。」



ま、無事記念撮影も出来たから、そろそろ出発しましょうか?



「おう!それじゃあ、しゅっぱ~~~~~~~~~~~つ!!」

「「「「「「「「「「「「「お~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」」」」」」」」」」」」」



さあて、楽しい『探しモノ』の時間だね♪












 To Be Continued… 








*登場カード補足