Side:ノーヴェ


チビ達は、春光拳の門下生見習いと一緒に体験コースの方に行って、ミカヤちゃんは書庫の方に行って、残ったアタシ等は、チビ達を見守れる場所でお
茶って事になった。

見守るとは言っても、体験コースの道場の外で、モニター展開してみてるだけだけどな。
てか、旦那は行かないのかよ?性格的に、行くと思ってたんだけど……ちょっと意外だぜ?



「俺が行ったら、体験コースも何も意味がなくなるだろうが。
 自慢する訳じゃないが、俺が本気を出したら、あの爺さん以外の道場の面子は、5分も有れば全員の意識を刈り取る事が出来るんだ……そんなふざ
 けたバグキャラが、あそこに行って良い筈がないだろ?」

「あ~~、其れは確かに納得だな。」

強過ぎるってのも時には考えもんなんだな……アタシにゃ、一生分からない悩みかも知れないけどさ。



「はい、お茶とお茶菓子だよ。それと、お兄さんにはこっちね。」

「ん?」

「其れって…酒か?」

「リオから稼津斗師匠はお酒が好きだって聞いてたからね。
 ルーフェンの独特なお酒だから、口に合うかどうかは分からないけど、良かったら試してみてよ?苦手だったら、残しちゃっても全然かまわないから♪」

「いや大丈夫だ。俺に嫌いな酒は無いからな。」



だろうな。旦那なら、どんな酒でもOKだろうよ。瓶からラッパ飲みしてるのは、もう突っ込み不要だよな。――だが、言わせてくれ、チートも大概にしろと!
本気でこの人に勝てるのって、不動夫妻位しか居ないんじゃねぇかな……多分、他には居ねぇよなぁ……

ま、取り敢えずはチビ達が何をやるのかを見させて貰うとしますか。












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow74
『此れがルーキーの実力也』









Side:レーシャ



先ずは腕の見せ合いって事になって、動きやすい服に着替えるって事になったんだけど……うん、此れは確かに悪くないわね?
動きやすさが重視されてるにも拘らず、デザイン的にも悪くない――ともすれば、普段のお洒落着として使えるレベルだから可也良い物なのは確実ね。

加えて、デザインその物が、お母さんの故郷で言う所のチャイナドレスにそっくりだったから、案外すんなり受け入れる事が出来たのかもね。
ともあれ、着替え終わった訳だから、行きましょうか!



「「「「初等科4人組、一番乗り~~~!!!」」」」

「ヴィヴィお嬢も、コロナお嬢も可愛いな~~♪」

「リオお嬢と、レーシャお嬢もね。」



其れは如何も♪
ヤッパリ、可愛いとか似合うとか、プラス方向の評価を貰うって言うのは嬉しい事だよ。多少の、お世辞やら何やらが入っているとしてもね。



「中等科チームも終わりました~~~。」

「成程、確かに動きやすいですね。」



あ、ミウラとアインも終わったんだ?――うん、アインもミウラも良く似合ってると思うよ?
特にアインは、古流格闘技の格闘家だから、私達よりもこう言う感じの衣装は似合ってるかもしれないわね――って言うか、実際超似合ってる訳だし!

っと、時にユミナ委員長は?



「あの~~~~~~……」

「ん?」

「何で私だけ、こう言うタイプなんでしょう?」

「「「「「ユミナさん、セクシーーーー!!」」」」」

「おぉ……」



最後の登場したのはユミナ委員長!私達とは違って、機能性よりもファッション性重視のデザインで、皆で言った通り凄くセクシーなデザイン。ブラマジガ
ールの衣装並みに、布面積少ないし。
しかしまぁ、何だってこんなデザインの物を?



「格闘家じゃないなら、こ~~~~んな風に足を上げる事もしないっしょ?」

「そっちの方が可愛いよ~~。」

「だからって~~~~///」



成程そう言う事か。
でも、確かに布面積は少ないかもしれないけど、良く似合ってると思うよ委員長?アインもそう思うでしょ?



「はい。とてもよく似合って居ます。素敵ですよ、ユミナさん。」

『にゃあ。』

「そ、そう言って貰えると~~~~。」



うん、似合ってるから問題ないって。
……で、リンナさん曰く『問題児』コンビが、何やら小声で話してるわね?詳細は聞こえないけど、何か企んでる?さっきの今で悪戯って事もないだろうけ
ど――若しかして、ビシッとカッコ良く決めて汚名返上を狙ってる?或は、自分達の凄さをアピールしようとか考えてるのかな?

まぁ、春光拳ならそっちの方が上だけど、今からやる腕の見せ合いではそうは行かないと思うよ~~?




「さてと、其れじゃあ早速基本の打撃から行こうか?先ずは、この袋をドーーーーーーンと殴ってみよう!」

「イェン先生がお手本ね。」



てなわけで始まりました春光拳体験コース。先ずは基本の打撃編&腕の見せ合いね。



「はいやぁぁぁ!!!」



――ドシン!!



でもって、イェンの一撃。……リンナさんが『大して強くもない』って言ってたけど、今の拳打は中々良い感じじゃないかしら?
踏み込みのタイミング、体重の乗せ方、拳打のスピード、そしてそれらが総合されて生み出される威力……全てにおいて、及第点は取れてると思うわ。
ハッキリ言って、リンナさんの評価から実力を低めに見てたけど、此れは大幅な上方修正が必要ね。



「それじゃあ、皆も先ずは思い切り叩いてみようか?」



だけど、此処からは私達のターン!
師匠に無限チートのバグキャラが居ると、如何言う事になるかをお目に掛けるわ。



「じゃあ、私から~~~!」

「コロナ頑張って!!」

「せぇぇの……破!!」



――ズドォォォォォォォォン!!



「「……へ?」」



あ、驚いてる驚いてる。って言うか驚くのも当然よね~~?
コロナは私等の中で、見た目からも一番非力だって言うのが分かるのに、そんな子が此のヘビーバッグを揺らす程の拳打を披露して見せた訳だから。
だけど、驚くのはマダマダこれからよ?



「二番、ヴィヴィオ!」



二番手のヴィヴィは、軽くステップ踏んでから、高速の細かい拳打の連発で、これまたヘビーバッグを揺らす。
ヴィヴィの打撃は、本来カウンターで放ってこそ最大の威力を発揮するんだけど、単発で使った場合でもそれなりの威力を有してるからね…流石だわ。



「三番リオ!!」



で、此処からはパワーファイターが3人連続!
先ずは、リオが平拳の一撃でヘビーバッグをカチあげ、



「覇王流、アインハルト・ストラトス――参ります!」



続いてアインが、戻ってきたヘビーバッグを、掌打で更に跳ね上げ、



「ミウラさん、お願いします!」

「はい!!!」



ミウラの重い蹴りが、又してもヘビーバッグを蹴り返す!!インターミドルルーキーの中でもトップ3のパワーファイターの打撃が続くと、ヤッパリ迫力が違
うわ。――さてと、其れじゃあ行きますか!



「ラスト、レーシャさんお願いします!!」

「任されたわよミウラ!!!」




――バシュン!!!



「「消えた!?」」

「おぉぉぉぉぉぉぉぉ……喰らいやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「「と思ったら、現れた!?」」



――ドガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!……ずぼ。



あ……ヘビーバッグの革、突き抜けちゃた。――よいしょっと!



――ザザァ……



ありゃりゃ、中から砂が出てきちゃったよ……ゴメン、やり過ぎて鍛錬器具壊しちゃった。



「いやいや、此れ位は直ぐに修理できるから問題ないけど、今のどうやったの!?一瞬で消えて、気が付いたら袋に拳が突き刺さってたんだけど!?」

「ん?ん~~とね、私って雷の魔力変換資質があるから其れを利用したの。
 踏み込む前に足の筋肉に微弱電流を流して活性化させて、踏み込みの瞬間に全身に電気を流して神経を極限まで活性化させて爆発的な加速を産み
 出した訳よ。
 で、その加速に身を任せて、後はヘビーバッグに拳をブチかませばそれでOK。
 師匠曰く、拳打の基本威力は体重×握力×スピードって事で、私は握力と体重が低めだけど、他を圧倒するスピードがあるからこの破壊力な訳よ。」

まぁ、此れは未だ未完成だけどね。
だけど、此れは必ず完成させてみせる――少なくとも、本戦で貴女と戦うまでには完成させてみせるわよ、ミウラ?



「其れは……楽しみです。
 今のでも充分凄かったのに、此れが未完成だなんて……完成したらどれだけの物になるのか、とっても楽しみですよレーシャさん!!!」

「なら、その期待に応えられる技に仕上げないとね。」

其れは其れとして、驚いてくれましたか御二人さん?



「うん、驚いた。みんな凄いね。」

「皆、強い。」



まぁ、ミウラ以外は先生に、やろうと思えば太陽系破壊出来るエネルギー波を撃てるような未来永劫禁止カードなチートバグが居ますんで、此れ位は寧
ろ当然て言うか、つまりそんな感じな訳。

因みにミウラは、稼津斗師匠に師事はしてないけど、試合ではミカヤンに勝った事だってあるんだよ?



「うそぉん!?」

「なんか、スミマセンっした!!」



あはは、如何やら思惑通りには行かなかったみたいだけど、春光拳に関しては、2人の方が絶対的に上なわけだから、体験コースでの春光拳の講義に
は期待してるわ。

さっきの拳打を見る限りだと、リンナさんの評価は、2人に対する期待の裏返しと思えるからね。



「あのさ、時に君達の師匠が、あの袋を殴ったらどうなるかな?」

「「「「「木っ端微塵に粉砕されて、二度と使用できなくなる。」」」」」

「あぁ……アインスさんも『稼津斗は規格外だ』って言ってたから、否定できないかも………」

「……御見逸れしました。」



……何だろう、意図せずに稼津斗師匠のチートっぷりを世界に拡散してるような気がするわ――まぁ、事実だから拡散した所で何の問題もないけどね♪








――――――








Side:ミカヤ


此れはまた…凄い本の山だね?
規模が違うとはいえ、まるで管理局の無限書庫に来たような感覚を覚えるね……此れだけの本があるなら、私の望むモノも有りそうだから、此れは私に
取っては『宝の山』って言う所だよ。



「可也古い本から、最新の本まで色々ありますよ~~?
 此処の整理も、私のお仕事の一つなんです――それで、ミカヤ先生は、どんな本をご希望でしょうか?」

「そうだね………先ずは春光拳の剣術や歴史について知りたいかな?」

「では、見やすい教練書とか伝統剣術についての書物を用意しますね♪
 え~~~~と、此れと此れと……あ、『武林録』の剣の章も有った方が良いですね?其れからこっちと、これも良いかもしれません。此れは必須です。」



あの、そんなに急がなくて良いからねタオちゃん?って言うか、安全第一でやってくれた方が良いかな。



「大丈夫です~~よいしょ!!……あ!!!」



――ぐらぁぁぁ……ドシーン!!バサバサァ!!!



「きゃあ!!!」

「タオちゃん!!」


言わんこっちゃない
大丈夫だったかいタオちゃん?見事な反射神経で、本を落とさなかったのは凄かったけど……右腕に3冊抱えて、頭で4冊キャッチして、左手で7冊確保
して、左のつま先で1冊キープしたって言うのは凄いと思うけど、



「あはは~~~……大切な本を落とす訳には行きませんので~~~……」



成程ね……ん?



――フワリ……



タオちゃんの転倒に少し遅れて落ちて来た1枚の紙きれ……本の間にでも挟まっていたんだろうけど、此れは何だろう?…見た所地図みたいだけど…
分かるかい、タオちゃん?



「この付近の地図みたいですけど、相当に古いものですね……リンナ師範代に聞けば、何か分かるかも知れませんが……」



ふむ……謎の古地図とは、なんともミステリアスだけれど、此れは何かありそうな気がするね?
若しかしたらこの古地図は、此処にある度の本よりも物凄いお宝なのかも知れない……此れは、何やら期せずして面白い事になって来たみたいだね。












 To Be Continued… 








*登場カード補足