Side:ミカヤ


さて、もう一度聞くけど、大人しくそれを返して貰えないかな?其れは、私の半身とも言える大切なモノなんだ。



「だから、嫌だって言ったでしょ?――返してほしければ、力尽くで奪い取ってみれば~~?ま、そう簡単に奪われる気は毛頭ないけどね~~~♪」

「ちょ、イェンさん!?だ、駄目ですよそんな事!!」

「だ~~いじょうぶ、ちょっと遊んだらちゃんと返すって。
 其れに、こんな凄そうなのを使う奴がどれ程の腕前かってのは興味あるし……ま、精々自分の武器でやられないようにしときなよ、黒髪の美人さん!」



あくまでも大人しく返す気はないか……ならば、少し痛い目を見て貰わないといけないかもしれないね?
剣士にとって、刀は己の魂と同義……それを、そんな風に無碍に扱われたとなったら、私だって黙っている事は出来ないんだ……少しばかり、覚悟を決
めて貰おうか?



「や~だよ!!ホイッとな!!」

「……抜刀剣士は刀を持たなければ弱いと思っているのなら、今この場でその認識を改めると良い!!」



――ガキィィィィ!!



「!!!……武器を持った手にカウンターの裏拳!?」

「その通り、そして此れで終わりだ!!」



――グシャァァアァッァァァァァァッァァ!!!!



仮にも武門を志す者が、礼を欠くと言うのはとても恥ずかしい事だよ?
ましてや、咎められて逆切れするなどもっての外だ……此処は少しばかりキツメのお仕置きが必要かも知れないね………さて、覚悟は出来てるかな?

先ずは『人の荷物を勝手に開けて、悪戯した分』からだ。












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow73
『剣士と問題児とEt cetera』









Side:レーシャ



レーシャ:LP2500
銀河眼の閃光龍:ATK3000
銀河眼の光子竜:ATK3000


コロナ:LP2600
メタル・ゴーレム サバーニャ:ATK3300
メタル・ゴーレム ゼクス:ATK2500




リンナさんのリクエストで、私とコロナのデュエルが行われた訳なんだけど、此れは予想外にコロナが強い……と言うか、相当に強いわ此れ。凄いよ!!
共にライフはほぼ同じで、そして上級モンスターを2体従えてる状態だからね。
でも、勝つのは私だよコロナ!!私のターン!!……よし、此れなら行けるわ。

先ずは光子竜の効果でサバーニャを除外し、其の後で閃光龍でゼクスを攻撃し、その瞬間にトラップカード『シンクロン・デストラクター』を発動すれば相
手に破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与えられるからね。

バトル!!
行くよコロナ、銀河眼の光子竜で、サバーニャに攻撃!『破滅のフォトンストリーム』!!



「攻撃…いま、攻撃って言ったよねレーシャ?」

「へ?」

「その攻撃を待っていたの!!
 トラップ発動『聖なるバリア-ミラーフォース』!!これで、レーシャのフィールド上の攻撃表示モンスターは全滅するよ!!!」



なにぃぃぃぃ!ミラーフォースだとぉぉぉぉぉぉ!?
今の今まで使って来なかったら温存してるとは思ってたけど、その切り札をよりにもよって私が決めに行こうとしたバトルで発動させるなんて、コロナのデ
ュエリストの勘は、デュエルを始めた頃と比べると相当に高くなってるわね?……でも、其れが良い!燃えて来たわ!



「此れでレーシャのモンスターは全滅だね?」

「やってくれるじゃないコロナ?此処でその切り札を的確に決めて来るとは思わなかった。でも、私のバトルフェイズは未だ終わってないわ!」

「え?でも、ミラーフォースでレーシャのモンスターは全滅しちゃったんだよ?」



確かに光子竜も閃光龍も、ミラーバリアに反射された攻撃で破壊され、私のフィールド上のモンスターは0。普通ならバトルフェイズ終了よね?
だけどそうは問屋が卸さないのよ!手札から、速攻魔法『ドラゴン復活の旋律』を発動!
ライフを800ポイント払い、自分の墓地からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する!深淵より蘇れ『銀河眼の閃光龍』!!


レーシャ:LP2500→1700



『グオォォォォォォォォォォ!』
銀河眼の閃光龍:ATK3000




「此処で、閃光龍が復活!?」

「ミラーフォースは、最強の攻撃反応型トラップだけど、其れで全滅させたからって安心しちゃダメだよコロナ?
 全滅させたと思ったら、相手がリビデを使って更なる追撃をしてくるなんて言う事は、割とよくある事なんだから。」

そして、これで終わりにするわ!トラップ発動『シンクロン・デストラクター』
私のシンクロモンスターが、相手モンスターを戦闘で破壊し墓地に送った場合、相手に破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与えるわ!!

「此れが本当のラストバトル!
 銀河眼の閃光龍で、メタル・ゴーレム ゼクスに攻撃!『滅びのシャイニングストリーィィィィィィィィィム』!!!」

『ゴアァァァアァァァァ!!』



――キュゴォォォォォォォォ……ドガシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!




「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
コロナ:LP2600→2100→0



へへ、燃えたろ?
今回も私の勝ちだねコロナ?可成り強くなったとは思うけど、日常的に最強のデュエリストであるお父さんとデュエルしてる私には、まだ勝てないわよ。



「大分強くなったと思ったんだけど、レーシャの成長具合はハンパじゃないよ!U-15でレーシャに勝てるデュエリストは居ないと思うよ、絶対に!」

「ま、魔法もデュエルも格闘も、チートクラスの先生が居るから、同年代に負ける気は全くねーですよ。自分でも、最近チートの道歩み始めたと思ってるし。

其れは其れとして、此れがデュエルなんだけど、満足していただけましたかリンナさん?



「いや、満足満足!初めて見たけど、ソリッドヴィジョンってのはスッゴいねぇ?
 立体映像の筈なのに、まるでそこに本当に存在してるみたいだったよ?特にレーシャちゃんのドラゴンの迫力はハンパじゃなかったよ!!勿論、コロ
 ナちゃんのゴーレムも迫力満点だったけどね!
 いや、いいものを見せて貰った!ミッドチルダで人気が沸騰するのも分かった気がするよ♪」



なら良かった♪
デュエルファンが増えるのは、私としても嬉しい事だからね。

さてと、予想外にデュエルをする事になったんだけど、荷物を下ろしたら次は春光拳の体験コースだったよ――



「あ゛ーーーーーーーーーーーーーーー!!!」



って、なに今の悲鳴!?余りの音量に山の鳥達が驚いて飛び去ってったみたいだけど!?



「むっ!?この声は!!」

「まさか、イェン!?」



ってリンナさんとリオの知り合いの悲鳴!?…何だろう、この悲鳴の発生源では、凄く怖い事が起きて良そうな気がするわ……ホント、何となくだけど。








――――――








Side:ミカヤ


其れから、人の物を汚した事、注意されて逆切れして喧嘩を吹っかけて来た事、他には何が有ったかな?
あ、其れから一緒にいた君もだよ?悪い事をしている友達を止めなかったというのは良くない。それは、見て見ぬフリをしたのと同じ事な訳だからね。



「あ、あの!お仕置きなら私もです、ミカヤさん!
 もとはと言えば、私が大切なお荷物を、ちゃんと仕舞っておかなかったからで……」

「いえ、悪いのは私とイェンです。」

「いや、タオもシュエも悪くないっす……お仕置きならアタシが……!」



おや?跳ねっ返りの悪ガキかと思ったら、此れは中々仲間を思いやる気持ちは持ってるみたいだね?自分が悪いと言う事は中々出来ないし……ふむ。



「イェン!!シュエーーーーー!!」

「「げぇ、リンナ師範代!?」」



おや?



「お前等また何か悪さしたな!?」

「ミカヤさん大丈夫ですか!?其れにタオも!!」


あ~……うん、今の所は私もタオちゃんも大丈夫だよ?



「ミカヤちゃん、何かスゲー音がしたんだけど……」



ノーヴェちゃん……いやなに、ちょっとね。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



「ホンットーに申し訳ない!!」

「「すいませんでしたーー!!」」



さて事情を話したら、案の定というか、リンナさんといたずらっ子2名からの謝罪が待ってた訳だけど、別にリンナさんが謝る事でもないでしょう。



「いや、コイツ等家の道場でもトップクラスの問題児でね?
 悪戯はするわ、しょっちゅう喧嘩はするわで正直困り果ててる訳なのよ……マッタク大して強くもないくせに……!」



成程、其れは確かに問題児だ。



「強くないは余計ッス。」

「此れから強くなるです。」

「うっせぇ、口答えすんなアホ共!!!」



此れは此れは、如何やら筋金入りの問題児の様だね。
だけどまぁ、悪戯もやんちゃも子供の内なら良いんじゃないかな?一杯叱られて、痛い目も見て、優しさや強さの意味を身体で学んでいけるのならばね。



「ミカヤちゃんの言う事にも一理あるが、だけど人に迷惑をかけるのは良くねーな?取り返しのつかない事になる事だってあるからな。
 今回の事だって、ミカヤちゃんがもう少し怒りっぽくて暴力的な人だったらどうなってたと思う?」

「まぁ、間違いなく五体満足では居られねぇだろうな。」



ふふ、其れは否定しないよ稼津斗先生。
とは言え、晴嵐もこうして無事に綺麗になった。タオちゃんも2人をかばってくれたし――残りの反省分はリンナ師範代がタップリ叱ってくれるだろうしね。

なら、私はもういいよ。君達を許した。



「おら、何か言う事有るだろ!!」

「「ありがとうございまッス!!」」



さっきも言ったが、やんちゃや悪戯は子供が色々学ぶには必要な事だから、頭ごなしに止めろとは言えないけれど、まぁ程々にね?
願わくば、今回の事を良い経験として、君達が今よりもっと成長する事を願うよ。








――――――







Side:レーシャ


「と、言う訳で改めて……イェン・ランカイ、春光拳門下生見習い!」

「シュエ・ローゼン、同じく見習い。」

「皆のお世話と案内をするよ~~♪」

「気安く気軽にタメ語でどうぞ~~。」



そんなこんなで、ミカヤンが許した事で一応の事態は収拾を見て、そんでもって騒ぎの発端である2人と改めてご対面~~。門下生見習いだったんだ。
先の一件でちょっと不安な部分はあるんだけど、自己紹介の時に取ってた構えを見る限り、門下生見習いでも基礎は確りしてるみたいね?そうじゃなか
ったら、春光拳独特の構えすらやる事は出来ないだろうからね……



「皆武道家なんでしょ?だったら、早速腕の見せ合いっこでもしようか?」

「あ、其れ賛成♪」

「良いですねぇ♪」

「お願いします!」



そんで、腕の見せ合いっことは、良い所をチョイスして来るじゃない?コロナとミウラは、やる気十分だしね?まぁ、私もだけど。
其れに、口にこそ出さなかったけどヴィヴィとアインもやる気は充分!リオは何時も通りだけどね。

だけど腕の見せ合いっこで、一発ブチかますってのも悪くないわ――稼津斗師匠から教わった技を自己流にアレンジした『レーシャ流格闘術』とでも言う
べき私の『武』を、披露してあげるとしましょうか!













 To Be Continued… 








*登場カード補足




ドラゴン復活の旋律
速攻魔法
ライフを800ポイント払って発動する。
自分の墓地から、ドラゴン族モンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。



シンクロン・デストラクター
通常罠
自分フィールド上に存在するシンクロモンスター1体が 相手フィールド上に存在するモンスターを戦闘によって破壊した時、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。