Side:レーシャ


えっと、今のは一体何だったんだろう?
リオのお爺ちゃん……レイ・タンドラ老師の後ろに見えた謎の景色は?もう見えなくなっちゃったけど、アレは幻覚なんかじゃないと思うんだよね、絶対に。



「……空と海と草原を見せるとは、コイツは予想以上の使い手みたいだなあの爺さんは。
 今は力を抑えてるが、その力を解放したその時は、通常状態の俺と互角か、或はそれ以上かも知れない……本物の達人だぜ、あの爺さんはよ――」

「通常状態とは言え、稼津斗師匠と互角とか、其れ絶対人間じゃない!!」

「リオは実は人外生物の孫だったって言う説が!?」

「……総師範が何者であるかなど、些細な問題です。大事なのは、総師範が真の武人であると言う事に尽きるのではないでしょうか?」

「「其れは確かに。」」


老師の強さは、未熟な私でも良く分かるからね。
其れこそ、お母さんと老師が本気で戦ったら、10回中9回は老師が勝つと思うな。お父さんと老師でも、10回中8回は老師が勝つんじゃないかと思うし。



「ただいま、じ~ちゃん!!」

「おお、此れは少し重くなったかの?」

「成長期だもん~~♪」

「そうかそうか、ホッホッホ♪」



だけど、リオと触れ合う姿を見てると、只の孫バカのお爺ちゃんにしか見えないから不思議だわ。
能ある鷹は爪を隠すって言うけど、老師はその典型なのかも知れないわね――だけど、其れだけの人が師範を務めてる道場ってのは、凄く楽しみだわ!












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow72
『初日から、色々起こるようです』









Side:ノーヴェ


さてと、チビ共は長旅の疲れを癒す為に、割り当てられた部屋に移動しちまったか。ま、そうなるだろうと思ってはいたけどよ。
えと……改めて、御無沙汰しています総師範。



「おぉ、ノーヴェ師範、リオが世話になっとるの♪」

「と、トンでもないです!アタシはアタシに出来る事をやってるだけで、世話をしてるなんてレベルじゃないですよ!
 それに、リオを含め、チビ共が強くなるのを見るのが、アタシの密かな楽しみでもありますから、アタシに出来る範囲の事でサポートしてるだけですよ。」

……で、こっちが引率を手伝って貰ってる――



「聖王教会シスターのディードです。」

「教会騎士団執事のオットーです。」

「ミカヤ・シェベルと申します。ミッドチルダで、抜刀居合術を学んでいます。」

「聖王教会雑用兼居候の氷薙稼津斗だ。ノーヴェと共に、アイツ等のコーチを務めさせて貰ってる。」

「……旦那、その自己紹介は如何かと思う。」

「事実のみを、最大限的確かつ簡潔に言おうとしたらこんな事になっちまったって所だな。――だがしかし、俺は一切嘘は言ってないぞ?」



うん、其れは分かってる。でもって、言った事が全て間違いない事実であるって事も。てか、旦那は不必要な嘘は吐かねぇからな。



「リオの祖父の、レイ・タンドラじゃよ。春光拳の師範をやっとる。
 まぁ、あんまり畏まらずに、気軽に『じ~ちゃん』とでも呼んでおくれ♪」

「「「「いえいえいえいえ!!」」」」

「応、宜しくな爺さん。」

「って、旦那はフランク過ぎるだろオイ!」

「ホッホッホ、構わんよ。
 武門に身を置く者は、礼節も大切じゃが、だからと言って常時気を張っていたのでは疲れてしまうからの。本当に必要な時に礼を忘れなければ、普段は
 其処まで気にする事もない事じゃて。」

「至言だな。」



なんか、ある意味で意気投合してねぇかな、総師範と旦那?
まぁ、総師範も旦那もトンでもねぇレベルの、超達人だから、達人同士通じるモンてのがあるのかも知れねぇけどな。

ともあれ、滞在期間中はお世話になります!!



「ホッホッホ、まぁ、春光拳やルーフェン武術を、良く見て行くとよい。
 近代武術とは異なる古流武術、其れに触れると言う事は、あの子達だけでなく、指導者である君達にとっても、必ず役に立つ事じゃろうからな。」

「はい、勿論その心算です。」

チビ達だけじゃなく、アタシにとっても、このルーフェンツアーで学ぶ事は多いって思ってますから。








――――――








Side:レーシャ


は~~~~、外観も凄かったけど、中に入ってみるとこれまた凄いわ。
建物の装飾も凄かったけど、内装もまた可也凝ってる。何年か前に、お母さんの故郷に行った時に泊まった横浜の中華街にあるホテルみたいな感じね。
……尤も、こっちの方が遥かに装飾が細かいけどね。

にしても、さっき老師の後ろに見えた景色って何だったんだろうね?ヴィヴィ達にも見えたんでしょ?



「うん、見えた!」

「私もです。」

「僕にも見えました。」

「そう言えば、さっきそんな事言ってたけど……どんな景色が見えたの?」



とってもきれいな空と風、其れと海かな?他にもあったかもしれないけど、強烈に印象に残ってるのはその辺だね。
コロナと、ユミナ委員長にも見えたよね?



「うん。」

「それと、何かふわっと温かかった。」

「そっかーーー。
 そう言う景色が見えたのは、皆が優しい良い子だからだね。」



えっと、如何言う事ですかリンナさん?



「さてね?でもまぁ、滞在中に分かると思うよ?なぁ、リオ。」

「うん、直ぐに分かると思う♪」



そうなの?……なんだか気になるけど、分かるって言うなら其れを信じましょうかね。
で、そんな話をしてる間に、私等が泊まる部屋に到着した訳だけど……何此れ、凄く豪華!!それこそ三ツ星ホテルのロイヤルスウィートだって顔負け!
ソファーもベッドも、その他調度品も、私が見たって一級品だって分かるからね……ルールーが見たら、闘志燃やしそうだわ。



「ホテルアルピーノが、また増設されちゃうかもね……」

「ルールーが見たら絶対に増設するでしょうね。アレも趣味だって言ってたし。趣味のレベル越えてると思うけど。

「ちょっと驚かせちゃった?でも、気に入ってくれたみたいで良かったよ。」



確かに驚いたけど、此れだけ凄い部屋は、確かに気に入ったのは間違いないですよリンナさん。寧ろ、こんな凄い部屋を用意して貰って恐縮ですってば。
で、何かありましたかリンナさん?



「ん~とね、リオから聞いたんだけど、レーシャちゃんとコロナちゃんはデュエリストってやつでもあるんだよね?
 こんな事言ったらオカシイかもしれないけど、リオからミッドではデュエルモンスターズって言うゲームが流行してるって聞いて、しかもそれは凄く迫力の
 あるモノだって聞いて、ちょっとばかり興味が湧いてね。
 デュエルって言うのがどんな物なのか、一度この目で見てみたいと思ってたんだよ~~。
 それで、お願いなんだけど、若し良ければデュエルって言うのを見せて貰っても良いかな?リオが送ってくれた写真だけじゃ、今一分からないからさ。」



OK、此処でまさかのリンナさんからのデュエル観戦申し込みが来たよ。
てか、リオが教えてたんかい!!まぁ、良いけどね――デュエルファンが増えるってのは、良い事だと思うし。

だけど、コロナはデッキとデュエルディスク持って来てるの?私は持って来てるけど。



「当然持って来てます!
 デュエリストたる者、如何なる時でもデュエルが出来るようにしておかないとだからね――そうでしょ、レーシャ?」

「さっすが、分かってるじゃんコロナ?
 デュエリストとは常在戦場!!故に、デュエルディスクと己のデッキは常に肌身離さず持って居るべしってね!!」

おかげで、リンナさんが御所望の『生デュエル』を見せる事が出来るわ――まぁ、ルーフェンにまで来てデュエルをするとは、幾ら何でも思わなかったけど。
でも、やる以上は手加減しないわよコロナ!!



「勿論、手加減は不要。だけど、楽しいデュエルにしようね?」

「異論はないわコロナ。初観戦のデュエルが楽しくなかったら、デュエルに興味は持てないからね。」

そんじゃあまぁ、始めようか?
ホビーショップT&Hのトップ2であるアタシとコロナのデュエルを!!!―――このデュエル、絶対に負けられない!!行くわよコロナ!!



「うん!全力でやろう!」

「勿論!!」


「「デュエル!!」」


レーシャ:LP4000
コロナ:LP4000




さぁて、リンナさんには、デュエルの面白さって言うモノを、た~~~っぷりと感じて貰おうかな?
でも、やる以上は手加減しないからねコロナ?このデュエル、勝つのは私だ!!行くよ、私のターン!!!








――――――








Side:ミカヤ



ふむ、総師範といろいろ話をしたが、春光拳は何時でも他流試合に応じてくれるらしいから、滞在期間中に機会が有ればお願いしたい所だね。
それで、君も春光拳の拳士なのかな、タオちゃん?



「いえ、私なんかは全然。
 私の場合は、食事作りとかお掃除とかでおいて貰ってる家事要員ですから……」

「そうなんだ……」

話しの最中に、私の荷物が此方に届いたって事で、其れを取りに行くために、知らせてきた子――タオちゃんと一緒に私の荷物『晴嵐』の下に向かってる
訳だけど……この子は拳士じゃないんだね。

纏うオーラが只者ではなかったから、春光拳の拳士かと思ったんだけれど、如何やら外れだったみたいだ。
年齢はヴィヴィちゃん達と変わらない感じだけど、身体の方は其れなりに出来てるから拳士だと思ったんだけど、如何やら外れてしまったみたいだね。

だけど、この子は良い物を持ってるから、本格的に鍛えたら、レーシャちゃん達も負けないかもしれないね。



「あはは……買い被り過ぎですよミカヤさん。……さて、お荷物は此方に――って、イェンさん!?シュエさん!?
 だ、駄目ですよ!其れは此方のお客様の!!!」

「へ?そうだったん?」

「アタシは止めたからね~~?」

「あ、ずりぃぞシュエ!!お前も見たいって言ってたじゃん!!」

「知らな~~い。」



で、晴嵐をがある部屋に来た訳なんだけど、此れは一体如何言う事かな?
晴嵐が勝手に箱から出されて、しかも晴嵐も箱も、油と手垢に塗れてると来た………言いたい事は色々あるけれど、何れにしても、その刀は私の物なん
だ――返して貰えるかな?



「…………………………」



……何か考えているようだね――先ず間違いなく、碌な事じゃないだろうけれど。



「仮に、アタシが『嫌だね』つったら、どーすんの?」

「そうなったらその時は、私もそれ相応の対応をするだけの事さ。」

「ふ~~ん?なら敢えて言うよ『嫌だね』!!」



そうか……願わくば大人しく返してほしかったのだけれど、其方がそう来ると言うのならば仕方ない――なら、此処は少しキツメのお仕置きの時間だな。

剣士の魂である刀を穢してくれた代償を払って貰うよ?他ならない君の身でね。














 To Be Continued… 








*登場カード補足