Side:レーシャ
準決勝を勝ち抜いて数日後、場所はミッドの中央次元港。
この場に集まってるのは、私をはじめとしたチームナカジマの面々と、ミウラ、ミカヤさん、ノーヴェとオットーとディード、そんでもって稼津斗師匠。
何処に行くのかと問われれば、行先はリオの故郷であるルーフェン。
聞いた話だと、ルーフェンは長い歴史と独特の文化を持った土地で、魔導も武術も、ミッドともベルカとも違うって事だから、今回のツアーで確りと勉強した
い所ではあるわね……得るモノが有るのは間違いないし。
「今から楽しみだね?」
「ヴィヴィもそう思う?……私もだよ。」
未知の武道には、ドレだけの強さが有るのか、其れはとっても興味のある事だからね。
いっその事、それら全てを吸収して、私の武に生かす事が出来れば、私の武道は更なる高みに上る事が出来るだろうからね……盗める所は盗んで損は
ないはずだよ――
だからこそ、このツアーはワクワクで一杯なの。
私の知らない武の世界が、ドレだけ広がっているのかと言う事にね!!!――取り敢えず、先ずは現地に到着してからだね。
ルーフェン……どんな場所なのか、想像すら出来ないよ……此れは、実際に見ないとだからね。
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow71
『ルーフェンヘ、いざ行かん!』
そんなこんなで、列車に揺られる事3時間、漸く目的地のルーフェンに到着~~!!
リオの実家の最寄り駅で降りたんだけど、此の駅舎も地方都市の物とは思えないわね……高層ビルこそないけれど駅舎は良い作りだし芸術性も高い。
それでいて、自然のままの風景も残ってる訳だから、此れはある意味で、人と自然の共生関係の極みかもだね。
ミッドでは見る事の出来ない草花も多いから、ミウラなんかは大喜びだし、私としても少しリフレッシュしたかったから、そう言う意味では良いんだけど……
ねぇ、ミウラ。後ろ後ろ。
写真撮影で気付かなかったんだろうけど、何かでっかいのが迫ってきてるよ背後から……
「へ?」
『グルルルルルルルルルルル!!』
でもって現れたのは、史上最大にして最強のネコ科の大型哺乳類の虎!!
ヤバいって!!幾らミウラが頑丈だって言っても、体重250キロもある虎の突進を受けたら命は無い!!!こうなったら力尽くで事態を収拾しないと!!
「ふ、ふえぇぇぇぇぇ?」
『~~~~♪』(ゴロゴロゴロゴロ)
って、アレ?
襲われると思ったら、ミウラが滅茶苦茶懐かれてる?襲うどころか、喉ならしてすり寄ってるみたいだからね……若しかしなくても、凄く安全な生き物!?
此れは、ある意味で凄い驚きだよ。
「こ~ら、シャオ!ダメだろ、お客さんにジャレついちゃ!」
……どちら様でしょうか、此の褐色肌の美人さんは?何かリボン付けた虎連れてるんですけど、若しかしてこの子の飼い主とかかな?
『ニャア♪』
「ちょっと待って、今『ニャア』って鳴いたよこの子!?」
「あ、すみません!その子ウチで飼ってる猫なんです!!」
「猫!?いや、如何見ても此れは『虎』だろう絶対に……あ、でも虎にしては小さいか?だが、絶対に猫ではないだろこの大きさは。
山猫にしたってデカすぎる。ヨーロピアンオオヤマネコよりも、さらに二回りはデカいからな此れは……猫の定義とは一体何なのか本気で悩むぞ……」
うん、稼津斗師匠に同意だわ此れ。
兎に角、虎か猫かはこの際置いておくとして、リオのペット(?)って言うのは間違いなさそうね。ミウラにジャレついてたのが『シャオ』で、後から現れたリ
ボン付の子が『メイメイ』って名前みたい。
少なくとも、リオにメッチャ懐いてる事だけは間違いなさそうだわ。
「ごめんね~?人懐っこい子だから、心配はいらないよ~。」
あ、そうだ。この人は誰?リオの知り合いの人?
「あ、皆さん紹介しますね。
あたしの従姉妹で春光拳の師範代。」
「リンナ・タンドラです♪」
「「「「「「「「「「こんにちは!」」」」」」」」」」
リオの従姉妹だったんだ。
言われてみれば、どことなく顔も似てる気がするし、何よりも口から覗く八重歯がそっくりだわ。リオもリンナさんも、チャームポイントは八重歯ね絶対に。
「皆、荷物多くて大変でしょ?この子達が運んでくれるから、背中の鞍に乗せちゃって。」
「あ、荷物運びの為の鞍だったんだ此れって……」
「そうなんです~♪
って、其れよりもシャオ、ミウラさんにゴメンナサイは?」
『ニャウ…』
「あぁ、そんな気にしないで下さい。
シャオだって、リオさんの匂いがしたから嬉しかったんですよね?」
『ニャア♪』
あはは、ミウラとシャオも大丈夫みたいね。
其れじゃあ改めて、リオの実家の春光拳道場に向かって、レッツゴー!!
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で、其れから山道を彼是10分ほど。
稼津斗師匠以外の全員の荷物を背負ってるのに、シャオもメイメイも全然平気で山道を歩いてる……ルーフェンの猫は、人一人乗せて山道を駆ける位、
余裕って事だったけど、其れもあながち嘘じゃ無いかも。
「ねぇ、お兄さんの荷物は本当にこの子達に任せなくて大丈夫なの?」
「大丈夫だ……と言うか、俺の荷物は幾らその猫達でも運びきれないぞ。
このシャツは特注で、重量が50kgあるんだが、滞在中の換え分を詰め込んで来たもんだから総重量が200kg越えてるからな……流石に無理だろ?」
「あ、そりゃ無理だ。……其れを平然と担いでるお兄さんも凄いと思うけどね?」
「日常的に、150kgの錘を付けて動いてるから此れ位はな。」
……うん、何も聞かなかった事にしよう。
って言うか、最近お父さんが何か作ってるみたいだけど、まさか稼津斗師匠用の『より薄くて重いシャツ』の開発とかじゃないよねぇ?……あり得ないと言
いきれない辺りに、一抹の不安を感じるわ。
「さぁ、見えて来たよーー!」
お、山道の先から光が!!此れは、開けた場所に出るッポイね。
結構登って来たから、此れは良い景色が拝めそう――じゃあ、其処には私が一番乗り!!
「あ、レーシャズルい!!」
「私だって、一番乗りしたいです!」
「ぼ、僕も!!」
「早い者勝ちよ!一番乗りしたいなら、私を抜いてみなさい!!あ、稼津斗師匠は参加しちゃダメね、絶対勝つから♪」
「いや、幾ら何でも子供の競争に参加する気はねぇ……って、ネギや小太郎とは割とガチでやり合ってたから否定できねぇか……」
だからね♪
でもまぁ、スピードだけだったら絶対に負けない自信があるから、ヴィヴィでもミウラでもぶっちぎり!!――はい、一番乗りーーー!!
って、これは!!
「じゃーん!アレが我が家、春光拳道場だよ!!」
「凄い、広~~~い!!」
うん、コロナの言うように、トンでもない広さじゃない此れ?
其れこそ、管理局の訓練場なんか比較にならない程の広さじゃない!!まさか、此処まで大きな道場だとは思わなかった……凄いんだねリオの実家。
「今丁度、道場生達が訓練してるね。」
「ほんとです!」
「ふむ……胴着の意匠と、全体的な動きから、春光拳は地球の中国拳法に近い武術であるようだな……中々に興味深いモンだ。」
言われてみれば確かに中国拳法に似てるかも知れないわ。
お母さんがDVDで見てた、ジャッキー・チェンやブルース・リーの映画でも、似たような動きを見た事が有るからね。
でも道場が見えて来たって言う事は、もうそろそろ到着だね?リオの実家の春光拳道場、何が待ってるかワクワクでドキドキだよ!其れが止まらない!
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そして、更に歩くこと15分、道場に到着!
道場とは銘打ってるけど、道場その物が小規模な街になってるって感じだね。――なんだろう、昔お母さん達と行った『横浜の中華街』を思い出すわ。
「さ、この奥でじーちゃんが待ってるから。」
でもって、いよいよリオのお爺ちゃんとご対面……何だけど、ミカ姉とディードは少し緊張してない?
「其れは緊張もするさ。
春光拳道場の師範である、レイ・タンドラ老師と言えば……」
「ルーフェン武術界で5人も居ない『拳仙』の1人なのですから。」
「お若い頃から、拳法試合は勿論、ありとあらゆる異種武術戦でも無双無敗!伝説の武術家なんだよ~~~?」
「成程……差し詰め、稼津斗師匠の様な御方であると……」
「いや、俺と同じじゃないだろう?
俺は無双無敗じゃない。少なくとも人間だった頃には、暗殺拳法の達人の爺さんに負けまくったからな……多分、200敗はしてるとおもうな絶対に。」
「その爺さんは本当に人間なのか旦那?普通に考えてあり得ねぇ……ドンだけだよその爺さん。
ゴホン!其れは其れとして、お前は本当にそう言う有名人を知らねーよな、アインハルト?」
「べ、ベルカ以外の事には、あまり興味が無かったモノですから。」
って、リオのお爺ちゃんて凄い人だったんだ!?
其れを知らないって言うのは如何にもアインらしいけどね。(私も人の事は言えないけどさ。)
でもま、その辺は此れからは大丈夫でしょ?ユミナ委員長が、アインの専属マネージャーになりそうな勢いだからさ♪本人も満更じゃないみたいだしね。
「あ、爺ちゃん居た居た!!」
「爺ちゃーん!!」
と、此処で到着か。
朱色の門の先に居る白髪の御爺さんが、リオのお爺ちゃんにして春光拳道場の師範……恐らくは、次元世界最強クラスの武道の達人!!!
きっと、凄い闘気を纏ってるに違いないわ――
「おぉ、リオ。」
――ザァァァァァァァァァァァ
と思ってたんだけど、此方を振り返ったリオのお爺ちゃんからは、一切の闘気を感じる事が出来なかった。
それどころか、その背後に、そよ風に凪ぐ草原と、青い空と、それ以上に蒼い海って言う景色が見えた。幻視だと思うけど、間違いなく見えたハッキリと!
此れは……一体何だったんだろう……?
To Be Continued… 
*登場カード補足
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