Side:レーシャ


ふぅ、ふぅ、ふぅ……よし、今日のロードワークは此れでお終い!
今日は準決勝だから、何時もよりは軽く済ませたつもりだけど――ハハ、やっぱりジャージの下は汗でびっしょりだね。短めとは言え3km走れば当然か。

でも、良い感じに身体は温まったし、全身が解れてるから、此れは良い効果あったよ。

「ただいま~~~!」

「おかえり~~~!」

「お疲れ様、今日は何時もよりも軽めに済ませたみたいだな?」



まぁ、試合当日だし、ロードワークで体力使っちゃったら本末転倒だから、其処は自分で調節するよお父さん。
何よりも、今日の準決勝を勝てば、都市大会への切符を手に出来るって言う、予選で一番大事な試合なんだから、最高のコンディションで挑まないとね♪



「確かに、その通りだな。」

「そう思って、朝ごはんも気合入れてみたで?
 もうすぐ用意できるから、シャワーで汗流して来や?サッパリしてから、朝ごはんにしよな♪」

「はい、了解です♪」

お母さんが気合を入れた朝ごはんって、期待するなって言うのが無理な話だよ。だって、お母さんのご飯は天下無敵だから。
ん~~~、考えれば考えるだけ、楽しみになって来たよ♪












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow70
『第一封印解放:光速の世界』









で、シャワーを浴びて食卓に付いた訳なんですけど、何で居るんですか稼津斗師匠?



「普段娘が世話になってるからって、はやてにお呼ばれされたんだよ。
 遊星も、『偶にはいいだろう』って言われたから、特に断る理由もなくてな……そんな訳で、朝食に同席させて貰ったって言う訳だ。」

「うん、凄く納得した。」

お母さんもお父さんも、そう言う事は普通にやりそうだからね。

其れは兎も角、今日の朝ごはんは、雑穀米、ワカメと豆腐となめこともやしの味噌汁、サバの一夜干し、納豆、いんげんの胡麻和えと自家製の漬物って言
う、栄養バランス抜群の、和食メニュー!!
しかも、サバと納豆っていう、私の大好物が2つとも食卓に上がるだなんて……其れだけで、幸せだよ!!


「「「「いただきます。」」」」

「「ま~~~~す♪」」



ん~~~~、美味しい!!ホントにお母さんの料理は天下無敵!!
スウィーツ対決だったら兎も角として、料理対決となったらなのはさんにだって余裕で勝てるよお母さんは!!……この漬物も、すっごく美味しいです!!



「そか?そう言って貰えると、作った甲斐も有るなぁ♪
 漬物も、沙羅さんにあれこれ聞いた甲斐が有ったわぁ~~~……やっぱり、主婦の先輩がいるって言うのは、大きな事やね。」

「母さん、漬物なんて作ってたんだな……料理は出来るとは思っていたが、自分で漬物を作るまで拘って居たとは思わなかった。
 其れとも、父さんが母さんの漬けた漬物が好きだったのか?或は、其れなら納得できるが……まぁ、美味いから問題はないか。」



漬物は、お婆ちゃん直伝だったんだ?
つまり、間接的にお婆ちゃんからもエネルギーを貰った訳で、此れだけの朝ごはんを食べたんだから、今日の準決勝はバッチリ勝たないとね!!

「お母さん、ご飯とお味噌汁おかわり!ご飯は大盛りで!!」

「はいな!たっぷり食べて、試合でハッスルしたってや!!」

「モチのロンです!!!」



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と言う訳で、インターミドル地区予選の準決勝。
ジークと番長とヴィクターは、問題なく決勝進出、つまりは都市本戦への切符を手にしたって言う事だわ。まぁ、残るべくして残ったって感じの面子だね。
フォビアのリザーバーとして出場したルールーも、多彩な技でかる~~く勝っちゃったからね。

で、現在はミウラの試合の真っ最中なんだけど……絶賛大苦戦中!!

相手のエリー選手が、シュータータイプで、近接型のミウラにとっては相性最悪の相手なんだけど、試合開始直後から、有効射程外から一方的に撃たれ
続けて、一方的にLPが削られてる。

インターバルで多少の回復は出来るかも知れないけど、其れでも此のままだとKOか、ポイントで判定負けは確実でしょうね……並の使い手なら。

だけどミウラのコーチをしてるのは、歴戦の騎士であるヴォルケンリッターの面々だから、凡百な結末にだけは成る筈がない。って言うか、成っちゃダメ!

だって……

「気合い入れなさいよミウラ!!
 私と、都市本戦で戦うんでしょ!!」




「勿論です!!負けません!!!」



つまりはそう言う事だからね。
余りの大声に、周囲が驚いてたけど、此れでミウラは盤石の筈。其れに、さっきのラウンドで、エリー選手のクセも見抜いただろうからね。


そして始まった最終ラウンドも、エリー選手が優位な状況だけど……ミウラの顔面に魔力弾がぶち当たった事が勝負の分かれ目になった。

確かに今の一撃は、攻撃した側から見れば、完全に顎を捉えていた様に見えるけど、実は着弾の寸前に、ミウラは自分から後ろに飛んでダメージを最小
限に留める。

でも逆に、今のが有効だと判断したエリー選手は、此処で決めるとばかりに高威力の魔力弾を放つためのタメを作った。作ってしまった。

魔力弾のエネルギーチャージなんて、精々1~3秒で終わるモノだけど、その僅かな時間が、ミウラにとっては最高の好機なんだよね~?



「はぁ!!!」

「!!!!!」




その僅かな時間で、一気に間合いを詰め、先ずは加速の勢いをプラスした右のダッシュボディブロー一閃!!
更に休まず、左腕で重爆ボディアッパー!!

そしてトドメは……



抜剣・流星!!



一撃必殺の抜剣一閃!!この一撃で、エリー選手のライフは0!!
猛ダッシュからのワンラッシュで勝利を手にするとか、ミウラの豪打は私の予想以上ね……此れは、戦うのが益々楽しみになって来たわ!!

でも、此れでミウラも都市本戦出場が確定した訳だから、此れは私も勝たないとだよね!!



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で、いよいよ私の試合。
相手は、豪打で知られる『ナオミ・ブリュースター』選手……一発でも喰らったら、即試合終了になりかねない、ミウラ以上の豪打の使い手……燃えるわ。
だったら、私はその豪打を超えて先に進むだけだよ。



「では、試合開始!!」



そして、試合開始……何だけど、如何したの?何で動かないの?
そんな無防備な姿を晒してたら――当てちゃうよ?手加減なしで。



――バキィィィィィィ!!!



こんな風にね。








――――――








Side:はやて


なに??一体何が起きたん?遊星は、何が起きたか分かるか!?



「いや、分からない。
 試合開始が告げられた次の瞬間に、相手が倒れていて、レーシャが拳を振り抜いた状態で居た……其れしか、分からなかったぞ?」

「遊星でもその程度か!!」

やったら、レーシャは一体ドンだけのスピードを出しとるんや!?



「……どうやら、蓋が開いたようだな。」

「稼津斗さん………蓋って?」

「レーシャは元々動体視力が良い。俺の本気の拳を、見切る事が出来る位にな。
 普通なら、其れで終わりなんだが、レーシャには類稀な才能が眠っていた――こと、スピードに関しては誰よりもな。
 レーシャは辿り着いたのさ、光速の世界にな。……蓋の空いたレーシャには、相手の動きなど止まって見えてるだろうな……ったく、末恐ろしいもんだ。」



つまりレーシャは、究極のスピードの世界に入門したって言う事か……やったら、尚の事負けられへんね……頑張れレーシャ!アンタならやれる筈や!
バッチリ決めて、都市本戦への切符を、此処で手にするんや!!








――――――








Side:レーシャ


おぉ~~!見える、相手の動きが良く見える!
幾らハードヒッターが相手とは言え、相手に攻撃させなければ一切の問題にならない……このまま逃げ続ければ勝てるかも知れないけど、其れは後味の
悪い試合になるから、此処は全力で行くだけだよ!!!

「ボディが、お留守だぜ!!」

「グハッ!!!」



アラガミ→コノキズ→ナナセのコンボを的確にブチかましてやったわ!!
まぁ、タフネスも相当だったみたいで、このコンボに耐えて反撃を試みて来たけど、其れも無駄。



――ちょん



「!!!」



モーション中の拳に触れて離脱。幾ら破壊力は有っても、そんな鈍い拳じゃ私を捉える事は出来ない。
寧ろ、当たらない攻撃を無駄打ちするだけ、スタミナを消耗して貴女の方が不利になっちゃうわよ~~?さて、如何する?



「!!!!」



うん、やっぱり驚くよね?だって、今の私は両腕をぶらりと垂らした『ノーガード状態』なんだから。
此れは、私にとっても相手にとっても一撃必殺の構え……下手に攻撃すればカウンターを取られるけど、カウンターのタイミングを間違えれば必死の陣な
訳だからね……さて、如何する?



「負けられない…負ける事は出来ない。
 確かに貴女のスピードは大したモノだけど……攻撃を受けるその瞬間だけは動きを止めざるをえない!!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉぉぉ!!」

「その答えは、間違いじゃないけど正解じゃないよ。
 悪いけど、貴女の動きじゃ、私を捉える事とは出来ない……だからこそ、これで終わりにする!!!」

「なに!?其れに、この力は!!!」



言ったでしょう、このターンで終わりにするって!!
タイプ・リバース108 オロチナギ……今の私の最大の攻撃を、目一杯喰らいやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!



ドガァァァァァァァァァッァァァァァァァァァン!!!



ナオミ:LP5000→0




『ししし、試合終了ーーー!!
 今大会のダークホース、レーシャがまたもトンでもない技能を見せつけての準決勝突破!!不動・Y・レーシャ、此の強さは本物だーーーーーーー!』




「へへ、燃えたろ?」

「あぁ、燃え尽きたよ……まさか、此処までのスピードを有してるとは思わなかった。完敗だ。
 だが、都市本戦に駒を進めてきた連中は、私の倍は強いのがゴロゴロしてる世界だから、精々潰されない様に注意しな……本戦も、頑張れよ。」

「うん!本戦でも、全力で飛ばしてくからね!!」

「大したモンだ……早々に負けてくれるなよ?
 お前が勝ち進む事で、私の敗北も報われるんだからな……せめて、本戦の1回戦は突破してくれよな。」



1回戦突破なんて勿論だよ。
私の目標は、本戦優勝以外にはあり得ないからね。――その思い、受け取ったわ!!



「活きの良い事だ、応援してるからな。」

「押忍!!」

都市本戦への切符は手にした訳だから、寧ろ此処からが本番だね。――私は絶対に勝つ!!
チーム・ナカジマ最後の1人として、大暴れしてあげようじゃない………都市本戦の開幕が待ち遠しいわ!!……その前に地方決勝があるんだけどね。

ま、決勝は温存の方向で行くのがベストかな?
都市本戦出場は決めた訳だし、余り手の内を曝すのも、良くないだろうからね。――でも、本戦の試合は、全て手加減なしの全力全壊で行く心算だよ!

其れ位じゃないと、天下は取れそうにないからね。

そう言えば、準決勝が終わった後は、リオの故郷に行く事になってたんだっけか?
何か、古い道場があるって事だから、此れは楽しみかな?……若しかしたら、古流武術から、自分の役に立つ事を見つけられるかも知れないからね♪








――――――







――同刻:ルーフェン南西地区 春光拳道場


No Side



リオの故郷である、この道場の一画……分かり易く言うならば厨房では、褐色肌の美人さんが、所謂中華鍋を振って料理の真っ最中。
恐らくは、道場の門下生の食事なのだろうが、パッと見5~7人前の炒飯を、特大の中華鍋で調理している辺り、この女性の腕力と料理技術が見て取れ
ると言っても過言ではなかろう。



「おうい、リンナよ?」

「ん?何爺ちゃん?」

「リオから連絡はあったかい?」

「さっきメールが来てたよ~~~♪人数も時間も決まったってさ。」

「ならば、歓迎の準備をしとかんとの~~。」



そんな女性と言葉を交わすのは、白髪白髭の老人。
相当な歳だろうが、腰は曲がらずにシャキッとしていて、柔和な表情の中にも、武道家としての厳しさを秘めている人物。



――達人と呼んでも過言ではない人物が、其処に居た。


レーシャ達のルーフェン訪問は、如何やら凄い事になりそうである……と言うか、間違いなくなるだろう。














 To Be Continued… 








*登場カード補足