Side:レーシャ
攻防は一進一退……攻めのアインと、カウンターのヴィヴィって所だね?
アインの実力は相当に凄いから、全ての技が『一撃必殺』って言っても良いと思うし、実際に生半可な人が喰らったら一撃必倒は間違いない。
でも、だからこそヴィヴィのカウンターもまた最大の威力を発揮できる。
カウンターって言うのは相手の攻撃が強ければ強いほどその破壊力を上昇させる訳で――ヴィヴィにはこの上ない必殺技になってるからね。
恐らくアインも其れを感じてるんだろうね……少しばかり攻め手の勢いがなくなってるから。
だけど、勢いを緩めた攻撃じゃヴィヴィには掠りもしないと思うよ?相手の攻撃を見切る事に関してはヴィヴィは最強レベルだからね。
「……覇ぁ!!!」
「!!……く!!」
と思ってたら、試合が動いた!?
常に鋭く切り込んでたアインに対して、ヴィヴィは障壁を展開してカウンターの機会を覗ってた――んだけど、此処でアインが打って出て来た!
其れはつまり、自分の全てをぶつけるって言う、格闘家の意思表示――!!
ギリギリでヴィヴィも躱したけど、もしも決まってたらヤバかったよ!?
其れなのに……
「流石ですねアインハルトさん……正直今のでやられたかと思いました。」
「実際決める心算だったのですが、よもや躱されてしまうとは……
貴女がカウンターを狙っている事は分かっていたので少しばかり『見』に回りましたが――此処からはそんなモノは無しです!」
「――!!はい、本気でやりましょう!!」
ヴィヴィもアインも笑ってるって言うんだから、本気でこの2人はバトルマニアなのかもしれない……そしてどちらも退く事だけは絶対ありえない!
互いに悔いのない様に、思いっきりやっちゃえ!
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow7
『Beautiful Burst Fighting』
Side:アインハルト
凄い…強い!!――1週間前とはまるで別人……此れだけで、彼女がどれほど私との再戦を心待ちにしていたかが良く分かります。
何よりもヴィヴィオさんはカウンターを決めるのが恐ろしく巧い……此れはもう天武の才と言っても罰は当たらないでしょう……実に見事です。
ですが私は負ける事は出来ません!
クラウスの手から零れ落ちてしまった幸せの片鱗だけでも、私の中に居る彼に知って欲しい……だからこの戦いは制させていただきます!!
「ハァァァッァァ!!」
「させません!!」
流石はヴィヴィオさん、とっさに私のボディブローを回避する為に私の動きをよく見極めて、受け流し式のガードから掌底を仕掛けるとは…!!
更に其処から鋭い後ろ回し蹴りに繋いでくるとは……実に見事な連続攻撃です、正直惚れ惚れしました。
ヴィヴィオさんの拳は重い…たった1週間のトレーニングの成果とはとても信じられません。
……ならば私も武闘家として其れに応えなくては礼を失してしまいます。寧ろ、応えずして覇王を継ぐ等は口が裂けても言うべきではない!!
とは言え、最大の一撃は大振り故に、カウンターの格好の的であるのもまた事実。
ならば、私の最大の一撃を当てる為に、此処は威力よりも手数を重視した乱打でヴィヴィオさんの体力を削っておく方がベスト!!
一撃必殺が信条の覇王流ですが、息も吐かせぬ乱打とて他の流派に引けは取りません。
覇王の高速拳打――受けきれますか、ヴィヴィオさん?
「!!――――フッ!!」
「!?」
躱した!?
自慢ではありませんが、此れまで私が襲撃した相手で、私の最速の拳を躱した方は居ません……其れこそノーヴェさんですらガードだったのに!
まさか、ヴィヴィオさんには私の拳が見えているとでも言うのですか!?
「覇ぁぁぁぁぁぁ!!!」
「――――!!!」
く……当たらない。
多少掠っては居るモノの、ガードをさせる事すら出来ない……私の攻撃は読まれている――!!
――タン……
「はぁ〜〜〜〜……物凄い拳の速さですねアインハルトさん――お爺ちゃんから教えて貰った『此れ』がなかったらと思うとぞっとします。」
「お爺様から……?」
「私のお爺ちゃんは今でこそ一線を退いてるんですけど、昔は可成りの腕前の武術家だったらしいんです。
で、前に会った時に私が格闘技をやるって事を聞いたら、『此れ』を教えてくれたんです。
ママの出身地である地球の日本における武術の防の奥義『見切り』――相手の攻撃の気配を読んで躱す、東洋武術の最高奥義です。」
――成程、其れがあの脅威的な回避の正体ですか。
堪能させて頂きました。
なのでその礼として、私も覇王流の知られざる『裏流』をお見せしましょう――此れを受けきれますか、ヴィヴィオさん……!
――――――
Side:ヴィヴィオ
アインハルトさんが構えを変えた。
此れまでのスタイルとは全く違う、ガードを高めに問った独特の構え――此れは蹴り主体のスタイルに移行したって事かな?
本気を出した時のノーヴェも似たような構えをしてたし――
「疾!!」
「!!」
は、速い!?
一足飛びで間合いを詰めての上段足刀蹴り――だけどモーションが大きいから、此れなら避けるのは難しく――
――ガスゥ!!
!?
避けた筈なのに、間髪入れずに回転踵落としが――!!
「貴女が私の攻撃の気配を読んで避けると言うのならば、私は貴女の回避を予測した攻撃をすればいい――そう言う事になりますね?」
「!!……見切りの真逆――言うなれば『必中』と言ったところですね其れ…!
さっきの私の説明だけで、見切りに対応する攻撃を考え付くなんて――やっぱり強いですねアインハルトさん♪」
「光栄です…が、正直な事を言うならば、貴女からの種明かしがなかったら今の一撃は無かったでしょう。
ですので、私も攻撃を当てる事が出来た種明かしをしました……そして此れにて漸くイーブン――此処からが本番ですよヴィヴィオさん!!」
望むところです!
私の見切とアインハルトさんの必中のどちらが上か……勝負です!!
――――――
No Side
ヴィヴィオとアインハルトの戦いは文字通りの熱戦になっていた。
至近距離での打ち合いは、其れこそ格闘技ファンならば見入ってしまう程に素晴らしいレベルだ。
蹴りと拳が交錯し、時にヴィヴィオが避けて高速カウンターを繰り出し、時にアインハルトが二段攻撃でヴィヴィオに鋭い蹴撃を喰らわせる。
そして此れだけの攻防をしているが故に、ヴィヴィオもアインハルトもすり傷や痣があちこちにだ。
女の子ならば何ともアレなのだが、武道に身を置く2人にとって、こんな事は些細な問題――どころか問題にもならないだろう。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「覇ぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」
全身全霊で打ち合う2人の少女の姿は、ある意味で一種の芸術とも言える『美しさ』があると言っても過言ではない。
だがこの激しい攻防も突如として終わりを迎える事となる。
「ハァァ!!」
「!!」
至近距離でのアインハルトの蹴り上げに、ギリギリで回避はしたもののヴィヴィオの動きは一瞬止まってしまった。
そして同時に其れはアインハルトの絶好の好機!
此れだけ激しい攻防の中に於いては、一瞬とは言え完全に動きが止まるのは命取りでしかない。
勝ちを確信し、蹴り足を勢い良く振りおろし、必殺の踵落としを狙ったアインハルト――だが、ヴィヴィオの才能はその上を行っていた。
――バッ!!
ヴィヴィオはとっさに身体を屈めると、まるでブレイクダンスのような動きで旋回し、アインハルトの意表を突く。
此れにはアインハルトも驚愕!
その過激でアクロバティックな動きに、今度はアインハルトの動きが一瞬だけ止まってしまったのだ。
なれば今度はヴィヴィオの好機だ!
地面に手を着いたまま倒立状態となり、そのまま腕のバネを最大限使い――
「天地逆転蹴!!」
蹴り抜き一閃!!
其れは見事にアインハルトの顎を捕らえた必殺の一撃!!並の格闘家は此れでKOされるのは間違いないだろう。
だがしかし、此度の相手は覇王である。
ガッツリとダメージを受けはしたが、アインハルトの意識は飛んでいない!故に――
「ぐ……あぁっぁあ!!――断空!!」
覇王流最大の一撃である断空をヴィヴィオに炸裂!!
攻撃直後のヴィヴィオに此れを回避する術はなく、見事なまでにクリーンヒット!!
同時に凄まじい土煙が発生!!
そしてその土煙が晴れた先では――大人モードが解除されて伸びてるヴィヴィオと、これまた大人モードが解除されて地面に座すアインハルト。
如何やら互いに全てを出し尽くしてしまったらしい。
――――――
Side:ノーヴェ
決まったな……ヴィヴィオもアインハルトも戦闘継続は不可能だが、意識を保ってる分アインハルトの優勢勝ちって所か?
ま、なんにせよ全力バトルは此れにて集結だ――立てるかアインハルト?
「だ、大丈夫――!?」
「じゃないかやっぱり。
ヴィヴィオの最後の蹴りは、見事なまでに顎に突き刺さってたからなぁ……其れを喰らって尚断空を打ちだして来たお前には驚きだけどな。」
だが、アレだけの一発を喰らったんだ、もうしばらく自由に動くのは難しいと思うぜ?
完璧に顎に決まった一撃は脳を揺らして、平衡感覚やら何やらを奪ってくからな……ま、少し休んでいけ。
「それで、如何だったヴィヴィオは?」
「……彼女が目を覚ましたら、改めて先日の無礼を詫びねばなりません。
たった1週間で、彼女は考えられない成長をして来た……私との再戦の為に……彼女の強さは本物です――更に今よりも伸びるでしょう。」
つ〜事はヴィヴィオへの評価が上方修正って事で構わないな?
「構いません……。
――改めましてヴィヴィオさん、アインハルト・ストラトスです………貴女の拳は届きました……此れから、宜しくお願いします。」
起きてる時に言ってやれよ?そっちの方がヴィヴィオは喜ぶぞ?
「……は、恥ずかしいから嫌です!!」
アレだけガンガン打ち合っといて何言ってんだか……ったく、中々難義な性格だな覇王様もさ。
けどまぁ、此れでお前も今からヴィヴィオ達と一緒に高みを目指す仲間だ――異論はないよな?
「はい――アインハルト・ストラトス、宜しくお願いします。」
こっちこそな♪
へっ、何とも面白い事になりそうだなコイツは?
ヴィヴィオもレーシャも、リオもコロナも、そしてアインハルトも鍛えりゃマダマダ幾らでも強くなるってもんだ――正直楽しみで仕方ない。
大魔導師と聖王と覇王が集うってある意味スゲェよな?
まぁ、取り敢えず此れから先、今まで以上に刺激的で『色鮮やかで鮮烈』な日々が待ってるのは間違いねぇだろうな。
To Be Continued… 
*登場カード補足
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