Side:ヴィヴィオ


予想通りと言うか何と言うか、デュエルはレーシャの完全勝利に終わった……だから今度は私の番!
認識レベルの差で、今回はアインハルトさんをがっかりさせちゃったけど、今度は私も全力の模擬戦を想定してるから、きっと大丈夫!!

だけど、だからと言ってトレーニングを軽めにするかと言われれば其れは否!


稼津斗さん曰く、私もレーシャもリオもコロナも含めて『成長速度と吸収速度がハンパ無いから、やればやるだけ身になる』って事だからね!!


「フッ!ハッ!!セイっ!!でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

なので、今日も今日とて、晩御飯の後に『仮想アインハルトさん』を想定してのシャドースパーリング!

この間のスパーリングで、アインハルトさんの基本的な動きは覚えたから、其れに多少の肉付けをすればアインハルトさんの本気に近い筈。


だけど――!!


「!!!!!」

その『仮想のアインハルトさん』の本気モードにすら、私は敵わない………これじゃあ、再戦してもアインハルトさんを落胆させるだけだよ……

私はアインハルトさんに応えたいと同時に、私の拳を見て貰いたい……だけど此れじゃあ其れは無理……如何すればいいんだろう………











遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow6
『再戦、其れは全力全壊で!』











「頑張るねヴィヴィオ、一息入れない?」

「ママ………」

振り返ると其処には、誰よりも大好きななのはママの姿……あっちゃ〜〜〜、根を詰めすぎて心配させちゃったかな?……ちょっと反省だね。
だけど、一息入れようかと思ってたのは事実だし、その辺を汲み取るのは流石はママだね♪


「ヴィヴィオが頑張ってるのは知ってたから、少しばかりの疲労回復をと思って、今日のおやつはチョコムースとキャラメルミルクで〜す♪」

「此れは!!」

ママのチョコムースとキャラメルミルクは天下一品!!
甘いモノに限定すれば、ママの此れはお婆ちゃんの其れを凌駕してると思う……それ以外のスウィーツはお婆ちゃんが圧勝なんだけどね?

だけど、仮想敵相手のスパーリングを続けて来た私にとって、この甘味は正に珠玉の差し入れ……あぁ、溶ける……


「ヴィヴィオ……某有名RPGの有名雑魚敵と遜色ない位に溶けかけてるよ?」

「ハッ!?私はスライムじゃありません!!」

私の思考を完全に溶かすとは、ママのスウィーツ恐るべし…と言うかママのチョコムースとキャラメルミルク恐るべしです…勝てる気がしない!
んん……あのねママ……今度のアインハルトさんトン再戦で私は如何すればいいのかな?

アインハルトさんをがっかりさせるような事だけはしたくないけど、私も全力を出さないと失礼に当たる……

「アインハルトさんとそれを通じて『親友兼好敵手』って言う関係になれたら其れは其れで良いんだけど……今の私じゃアインハルトさんは―」

「難しく考える事は無いよヴィヴィオ?」


へ?


「ヴィヴィオは、そのアインハルトちゃんと『良い関係を気付きたい』と、そう思ってるんだよね?
 だったら難しい事は無い……その想いをヴィヴィオの拳に、蹴りに乗せて叩き込めばいいだけ――其れだけでも伝わるモノは意外に多いよ?」


そ、そうなの?


「私の体験談だけどね。
 実を言うと、フェイトちゃんと初めて会った時は、お互いがお互いを『ジュエルシードを狙う障害物』って思ってて大バトルだったんだよ?
 程なくお互いに誤解は解けて、そのまま協力体制を敷いてジュエルシード事件を解決したんだけど……思い切りぶつかる事は大事な事なの。
 だから、ヴィヴィオも恐れずに自分の気持ちを拳に乗せてアインハルトちゃんに打ち込んであげれば良い……其処からがきっと始まりだから。」


ママ……何とも染み入るその言葉!!…流石はママだね!!


「全力全壊でぶつかれば必ず相手と分かりあう事が出来る!!だから頑張ってねヴィヴィオ!!」

「うん!ちゃんとアインハルトさんとO・HA・NA・SHIして来るね!!」

「ぜ、全力全開とお話しだよね!?少し発音がオカシイと思うのは私の気のせいだよね!?」


うふふ……気のせいだよフェイトママ。
大丈夫……私はなのはママから習った事を駆使してアインハルトさんとの再戦に臨むだけだから……素敵だよね全力全壊って……


「なのは〜〜!ヴィヴィオにどんな教育してるの!?」

「へ?分かりあいたい相手が居るなら、面倒な事は考えずに全力でぶつかり合うのが一番だって教えただけだよ?」

「其れはある意味で絶対間違ってる!?って言うか『高町式肉体言語術』をヴィヴィオに継承させないで!!
 今だから言うけど、なのはとの初バトルの時、辛うじて勝つには勝ったけど、あまりの全力さに暫く桜色がトラウマだったよ私は!?」

「大丈夫、ヴィヴィオの魔力光は虹色だから♪」

「そう言う問題じゃないよね!?」



なのはママとフェイトママは仲良いな〜〜♪いっそこのまま結婚しちぇばいいのに……ミッドは同性婚認めてる訳だしさ?


「よし、やっぱり結婚しようなのは!!」

「うん、良い感じに混乱してるみたいだから少しだけ頭冷やそうかフェイトちゃん♪」


フェイトママに死亡フラグが立ちました……って言うかフェイトママは何処までが本気で何処からが冗談でギャグでネタなのか分かり辛いよ……



ふぅ、取り敢えずななのはママの心遣いのおかげで疲れは吹き飛んだよ♪
今度の土曜日のアインハルトさんとの再戦にむけて、もう一頑張りだね!








――――――








Side:アインハルト


あれから1週間が経ち、ヴィヴィオさんとの再戦の日がやって来た。
前回は私と彼女の認識レベルに差があったが故に、彼女の本気の本気を見る事は出来なかったけれど、今回は――


「アインハルト・ストラトス、参上しました。」

「待っていましたよ、アインハルトさん!!」


間違いない……目の前の彼女――ヴィヴィオさんはこの1週間で、私と戦う事を想定したトレーニングをして来たに違いない…先週とは違う…!


「さ〜てと、面倒なあれやこれやは無しにして、ルールは至ってシンプルだ。
 判定なしの時間無制限一本勝負で、KOまたは相手のギブアップで試合終了、どっちが勝っても恨みっこなし!……良いな?」

「勿論!!」

「異論はありません……全力で戦えるのならば……」


「なら行くぜ!!」


武装形態!!


「行くよ、クリス!!」


――カッ!!


私だけじゃなく、ヴィヴィオさんも戦闘用の大人形態になるのですね?
……こうして大人の姿となると、余計に似ていますね『彼女』に……髪型と服装こそ違えど、大人になったヴィヴィオさんの容姿は間違いなく――


「試合は始まっていますよアインハルトさん!!」

「!!!!」

しまった…!
余計な思考のせいで対処が……ですがこの程度ならば如何と言う事はありません!!


「っと…ノーヴェ直伝の足技には自身があったんですけど見切られちゃいましたか?」


ギリギリです……もしもその蹴りがコンマ5秒早かったら、私はKOされていた事でしょう……何とも見事な力量ですねヴィヴィオさん……!!
ですが、私とて簡単に負ける訳には行かないんです!!


「覇ぁぁぁぁあ!!」

「……」


――フッ



消えた!?……そんな馬鹿な――!!



――バガァァァアァァァッァアン!!



「……外しちゃいましたか……」

「一瞬の判断で離脱した自分をほめたいものですね……」

背後から感じた強烈な闘気に反応して回避したから良かったものの、もしそれが出来て入なかったら完全にやられていました……!!
しかも今の動きは、完全に私の動きを見切った上での事――前回のスパーリングだけで見切ったと言うのですか!?


「自慢じゃないけど、私は物凄く『覚える事』が得意なんです。
 全然全力じゃなかったけど、其れでも先週のスパーリングで基本的な動きは覚える事が出来ました……なので其れを発展させれば此れ位!」


!!あの僅かなスパーリングで、ヴィヴィオさんは私の格闘のクセを見抜いたと言うのですか!?
だとしたら脅威である事は極まりない…!!

実戦経験とトレーニング日数の差で、私の方に分があると思っていましたが、ヴィヴィオさんの学習能力を考えるとその差はないに等しい…!!
現実に今だって攻め込まれているのは私の方――何とか捌いてはいるけれど……このまま手数で攻められたらジリ貧は確定…!!



如何やら認識を改めざるを得ないようですね……ヴィヴィオさん、貴女は強い。
貴女は只の『オリヴィエのクローン』ではない……『高町ヴィヴィオ』と言う個人でしたね……其れを失念してしまうとは……


――ガキィィィン!!


「はぁ、はぁ……見事です、ヴィヴィオさん……改めて先週の非礼を詫びます――貴女は強い。
 其れこそ私が此れまで襲撃して来たどの格闘家よりも強く、そしてまだまだ強くなる事が出来ると思います……そして私も!!
 ですから、改めてお願い申し上げます……ヴィヴィオさん、一槍お願いします!」

「勿論ですよアインハルトさん!!互いに今できる全力を尽くしましょう!!」


喜んで――
貴女はオリヴィエそのものではない……けれども最も近い存在であるのは間違いない。
ならばこそ私は、本気でぶつかってみたい――その先に見える物も有るでしょうからね……アインハルト・ストラトス、改めて参ります!!








――――――








Side:レーシャ


模擬戦……模擬戦だよね此れ?
互いに手抜きはしないって事だけど、最大限ぶっちゃけてお母さんとなのはさんが『普通レベル』で模擬戦してるのと同レベルだよ此れ!?
アイン(私的アインハルトさんの愛称)もヴィヴィも全力過ぎだって!!……おぉう、ヴィヴィの一撃で地面が抉れた……


此れはもう『全力全開』じゃなくて、なのはさん直伝の『全力全壊』だよね!?
どっちが勝っても、この場は半壊するんじゃなかろうか?……いざと言う時には全ての『ギャラクシーアイズ』を呼び出して止めないとね…


まぁ、其れは其れとして、頑張ってねヴィヴィ!
貴女が本気を出せば、その想いは絶対にアインに伝わると思うから……だから後悔のない様に思いっきりぶちかましちゃえ!!



「覇ぁぁぁぁぁ!!アクセルシューター!!

「覇ぁぁぁぁぁ……空破断!!


ヴィヴィの射撃に対して、アインも拳圧を飛ばして応戦……此れってもしかして格闘技ファンだったら見逃せない戦いになってるんじゃない!?



私の主観だけど、恐らく実力的にはアインがタッチの差でヴィヴィを上回るだろうけど、だけど総合的な力は略互角の筈。
となると勝負の分かれ目は、アイン必殺の一撃が炸裂するか、或は其れに対してのヴィヴィの完璧なカウンターが決まるかの二者一択……!!


何方が相手の動きを見切れたか――其れが結果に直結するのは間違いない……だからこそ頑張れヴィヴィ!!

貴女の思いを全て拳に乗せて、手加減不要の一発を打ちかませばいい!!――其れこそ手加減なしの全力全壊を!!




勝負は多分一瞬………頑張れヴィヴィ!!














 To Be Continued… 








*登場カード補足