Side:ヴィヴィオ


そんな……まさか、そんな事が有るなんて、思ってもみなかった……



「アタシもそんな感じだよヴィヴィオ……セインは悪戯はするけど、絶対に嘘はつかないから、アレは多分本当の事だと思うよ…」

「だよね。」

アインハルトさんとの試合の翌日、只今私とスバルさんは、聖王教会に向かって猛ダッシュの真っ最中!!
でも、此れは仕方ないと思うよ?……だって、セインから『イクスが目を覚ましたかもしれない』って言う連絡を貰った訳だからね……じっとなんかして居ら
れないよ!していられるはずがないの!!!

イクスヴァリア……古代ベルカの王族の1人で、マリアージュ事件の時の、ある意味では最大の被害者の女の子。
マリアージュ事件の際には、少しだけお話しできたけど、其れを最後にイクスは、何時覚めるとも知れない眠りについてしまった……そう思ってた。

だけど、そのイクスが目を覚ましたなんて言うのは、絶対に見過ごせない事だよ。

だから、全速力で行かないとね!


――本能で分かるんだ……私とイクスは、会うべきだって言う事がね♪



「其れについては同意!
 アタシの魂も、イクスに会って来いって叫んでるからね!」



なら、その熱い思いを胸に聖王教会に乗り込むとしましょう!!――きっと、素敵な出会いが待っていると思うからね♪











遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow64
『冥王の覚醒~Re Start~』









Side:レーシャ


セインから『イクスが目を覚ました』って連絡が入ったから、遊陽とシュタームを連れて聖王教会に来てみれば、ヴィヴィとスバルの姿が見える……若しか
しなくてもイクスに会いに此処に来たんだよね?

スバルもヴィヴィも、マリアージュ事件の時にイクスと話をしたらしくて、何時も眠ったままのイクスの事を気にかけてたから。

「おーい、ヴィヴィー!スバルーーー!!」

「あ、レーシャ!!」

「レーシャにもセインから連絡が来たの?」



正確には、お母さんに連絡が入ったんだけど、生憎特務二佐と技術部顧問は狙ったかのようなタイミングで激務が入ってて、代わりに私が弟達を引き連
れて来たって訳。

ま、立ち話もなんだし、さっさと行っちゃおうよ?
本当にイクスが目覚めたって言うなら、ちゃんと挨拶もしときたいからね。



「だよね♪」



――バァン!!



って、言うが早いか広間に続く扉を開けた!?……より正確な言い方をするなら、ぶち破った!?
いや、扉は砕く物じゃないと思うんだけど……何て言うか、多分突っ込んだところで全力でスルーされるのは間違いない気がするわ。

其れは兎も角として、

「セイン!!」

「「イクスが目覚めたって本当!?」」

「ん?……よぉ、来たか。」



アレ?何してるの稼津斗師匠?



「見て分かれ、教会のお仕事のお手伝いだ。
 住所はお前の所だが、ハッキリ言って協会に入りびたり状態で、只飯食うのも悪いと思って、出来る範囲の事を手伝わせて貰ってるって訳さ。」

「稼津兄ちゃんのお蔭で、結構助かってるよ。」

「意外と人手不足だからね、聖王教会って。」

「成程~~~って言うか、いっその事こっちに住所変更したらどうなの師匠?」

「其れも良いかもな?……なら、はやてにその旨伝えておいてくれ。
 一々本局の担当部署に行って手続きするよりも、はやてに直接伝えてやって貰った方が仕事が数倍速いからな。」

「確かに。」

お母さんは色々とハイスペックだからね。
時にセイン、イクスが目覚めたって言うのは本当なの?



「いやまぁ、何て言うか……口で説明するよりも、実際に見て貰った方が早いと思う。」

「まぁ、あの状態だと其れが良いだろう――百聞は一見に如かずと言うからな。」

「「「???」」」



如何言う事だろう?イクスが目を覚ましたって言うんじゃないの?



セインがイクスの居る部屋の扉を開けて、中に案内してくれたけど――はい?何此れ?如何言う事!?
眠ってるイクスの胸の上に、丁度通常サイズのツヴァイくらいの大きさのイクスがちょこんと座って……なにこれ、滅茶苦茶可愛いんですけど!!!



――フワリ……ペコリ



んでもって、ふわふわ浮いて来て、私達に一礼。
ヴィヴィも同じ風に返してるわね……えっと、取り敢えず宜しくね?



「「しく~~~~~♪」」

「(にっこり)」



あらら、私につられて遊陽達も御挨拶ね?まぁ、イクス的には良かったみたいだけど。
だけどセイン、なんだってこんな事になっちゃってるの?



「いやさ、夕べ何時もの感じで見回りしてたらこんな事になっててさ、そんでもって色々と調べてみた訳。
 イクスの身体は、まだ眠ったままなんだけど………脳波や生体反応は、覚醒状態に近くなってるんだって。」

「現実に、その小さなイクスが現れた後では、眠っているイクスから感じる『気』が、此れまでとは比べ物にならない位に膨れ上がっているからな。」

「つまり、目を覚まし掛けてるってこと?」

「大雑把に言うと、大体そんな感じ。
 ちっこいイクスの動きや感情に対応して、身体の方も反応してるって事みたい。」

「専門家の話だと、視覚や聴覚で得た情報を、本体の方に送信する端末的な役割を担っている、イクスの身体の一部って事らしい。」



って言う事は、この小さいイクスもイクス自身って言う事で間違いないと?



「それでOKーー♪」



なら、身体は眠ってても、この子を通じて色んな物を見たり、色んな体験をする事が出来る訳だよね?
ヴィヴィも同じ事を思ったらしくて、セインに聞いたら、小さいイクスは次元移動でもしない限りは、可成り本体から離れても大丈夫って言う事みたいだし。

で、当のイクスも、ヴィヴィとスバルに身振り手振りでお話し中って所だね。
って、ちょっとリラ?



『クリクリ~~?』

「?」(きょとん)

『クリ~~~~♪』

「♪」(ニコニコ)



何かと思ったら、ちっこいイクスと謎のコミュニケーション交わして、仲良くなっちゃったよあの子……我がデバイス乍ら、一体如何なってんのかしら…?
いや、作ったのがお父さんである以上、どんなハイスペックであっても驚きはしないけどね!?



「小さいイクスとハネクリが戯れる光景……何かすっごく癒されるな~~~……」

「ほっこりしますねぇ~~~~。」



そして、謎の癒し空間発生!此れは完全に、ヴィヴィとスバルはやられてるわね~~~……セインとシャンテもだけど。



「物理的に正気に戻すか?」

「師匠がやると、イクスにトラウマ刻み付けかねないから止めて。」

それに、癒されてるだけで実害無いから、別に良いしね。





んでもって、其れから10分後、正気に戻ったセインの提案で、小さいイクスとお出かけする事に。
この子には、一杯色んな事を楽しんでほしいから勿論断るなんて言う選択肢はないし、シュターム達とリラもイクスと遊びたかったみたいだから好都合。

ただ残念なのは、スバルは此れから署の方に戻らないといけないから、今日のお出かけには一緒に行けないって事だね。

尤も、近い内に休暇を取るって事だから、次の機会には一緒にお出かけできるかもだけど♪



「陛下、スバルさん、レーシャさんーーー。」

「お待たせしました。」

「準備が出来たぞ。」



んで、オットーとディードと稼津斗師匠、セインとシャンテ登場。

どうやら、イクスは昨日の内に作ってたって言う、お休み用バスケットの中に居たみたいね……あぁ、本当に可愛いわ此れ。
でもって、今日のお出かけには、万が一のことを考えて、オットーとディード、其れに稼津斗師匠が護衛として付くと……いや、豪華すぎでしょこの護衛。

この護衛の面子なら、何が起きても絶対に何とかなると思うなうん。

ともあれ、護衛も最強レベルだから、そろそろ行こうか?



「じゃあ行くよイクス?
 イクスがずっと見たかった、青空が広がる平和な世界に……しゅっぱーーーつ!」

「「ぱ~~~~つ♪」」

『クリ~~~~♪』








――――――








Side:ノーヴェ


セインから『イクスが目を覚ました』ってのを聞いた時には、流石に自分の耳を疑ったが、まさかこんな特殊な状態で準覚醒状態になるとは予想外だった
ぜ……ま、チビ共とは即打ち解けられたみたいだから良いけどな。

にしてもアインハルト、昔のお前は、あんないたいけなのに喧嘩売ろうとしてたんだぞ?



「む、昔の事は言わないで下さい!」

「ふざけんな、言わせろってんだ。
 お前の凶行を止める為に、こちとらシンクロカートリッジまで使ったんだからな?此れ位は、言った所で罰は当たらねぇだろ普通に。」

「かも知れませんが……」



ならそう言う事で納得しろや。
ヴィヴィオも、イクスにお前の事を紹介してるから、応えてやった方が良いんじゃないのか?



「そうですね……お初お目にかかります――」



で、アインハルトとイクスの相性は悪くねぇみたいだ。
アインハルトも、詳細に自身の事を伝えてるし、イクスは其れを聞いてしきりに感心してるからな……うん、会わせて良かったの典型例だな此れは。

ん?アタシにも何か用なのかイクス?――若しかして、覚えててくれたのか?



「あ、そっか!ノーヴェ達は起きてるイクスと会ってるんだよね?」

「あぁ、アタシ等も火災現場に居たからな。」

そん時の事を覚えててくれたんだとしたら光栄だ。
ウチのチビ共は、ちょ~~~~っとばかし騒がしい部分もあるけど、どいつもこいつも良い奴だからな……まぁ、仲良くしてやってくれや。



「♪」(コクリ)



其処から、チビ共がアタシやディエチ、双子と稼津斗の旦那の役割なんかを説明して、今のチームナカジマを、イクスに伝えてたみてぇだな。
流石に、適当な説明をしやがったら説教モンだったんだが、大事な事を端的に伝えて『皆で一つのチーム』って事を口に出したから、其れでOKだぜ。

そしてら、その話を聞いたイクスが見てみたいってか……チビ達も呼ぶ心算みたいだから、次の試合のエントリーもそろそろ決めとかねーとだな。



「学業も有るから、キッチリサポートしてあげないとね。」

「その辺は、アニキに相談しながら巧くやるさ。
 何れにしても、新しい友達に良い所を見せられるように、また確り鍛えて行かないとだからな。」

とは言え今日はオフだから、思い切り遊び倒すとしようぜ?
折角だから、プールに行くぞプール!イクスにも、水遊びってモンを、思いっきり楽しんでもらいたいからな。



「「「「「賛成です師匠!」」」」」

「それじゃあ、各自水着を持ってきて、何時ものプールに集合な。」

「「「「「はい!」」」」」



オフの時は、徹底的に遊ばないとだからな。
普段はハードなトレーニングを熟してるから、偶の休みは思い切り羽を伸ばして遊び倒すのが正解だぜ……それが、良い息抜きになって、次のトレーニ
ングで、更にいい結果を出せるようになるからな。

だけど、そんな事は抜きにしても、チビ共とイクスをプールに連れてったのは正解だった――そう思う位に、楽しんでくれたみたいだったからな。








――――――








Side:レーシャ


あ~~~、遊んだ遊んだ~~。
其れこそ、遊陽とシュタームが、遊び疲れて寝ちゃう位に全力全壊で遊び倒したって言う感じ~~~偶にはこう言うのも良いけどね。

流石に私1人で2人を運ぶのは難が有るから、ジャンク・バーサーカーに助っ人を頼んだんだけどね。

「ただいま~~~~」

「おかえり~~。」



お母さん、帰ってたんだ?
てっきり忙しいから、夜中までお仕事が続くと思ってたんだけど、そうじゃなかったんだね?



「20倍速で業務熟して、帰って来たんよ?
 遊星の方はもう少しばかりかかりそうやけど、其れでも7時には帰ってくやろから心配無用やで。――時に、イクスはドナイな感じやった?」



人形なんて言う感じじゃなかったかな?
あの小さいイクスには、明確な意思が有って己の意思表示はハッキリしていた、人形だったら出来ない事だよ。



「やろな。
 セインから連絡受けた時は『マジか』って思たけど、中々如何してやりようはあるもんや――終わりよければ全て良しやないけどな。
 やけど、そう言えば、学校の方はもうすぐ『学期内試験』やなかったっけか?そっちの方は、大丈夫なんかレーシャ?」

「愚問ですねお母さん様。
 武道とデュエルのみならず、学業の方でも抜かりは有りません事よ?今度の試験でも、学年トップの座を譲る気はないし、目標は全科目100点だよ!」

「良い感じに気合入っとるね♪
 でもって、試験が終わったら、また楽しい事が待っとるからね?」



うん、年に一度の『学院祭』がね。
出し物なんかは、此れからクラスで決めて行くんだけど、年に一度のお祭りなんだから、せめて楽しくやらないと損だよ。


其れに、今年も皆を招待しなくちゃだからね♪














 To Be Continued… 








*登場カード補足