Side:ノーヴェ


まさか、アタシ自身が噂の襲撃犯に襲われるとはな……まぁ、ある意味で都合が良いっちゃ都合が良いんだが――


「先ず伺いたいのは、貴女の知る『王』達についてです。
 聖王オリヴィエの複製体と、冥府の炎王イクスヴァリア――貴女は其の双方の所在を知っていると………」

「悪いが知らねぇな。
 聖王のクローンだの、冥王だのと知り合いになった覚えはねぇ……アタシが知ってんのは、今を懸命に生きようとしてる子供達だけだ!」

それ以前にヴィヴィオとイクスをそう言う目で見るんじゃねぇ!
アタシの堪忍袋の緒は無いに等しいってのは自覚してるが――テメェは其れを切る心算かオイ?


「……私の発言が貴女の癇に障ったのならば謝罪します……申し訳ありませんでした。――件のことは他を当たるとしましょう。
 ではもう一つの確かめたい事……其れは私の拳と貴方の拳のどちらかが強いかです――防護服と武装を。」


ハッ、必要ねぇよ。
良く見りゃマダマダガキじゃねぇか?……何だってこんな事をしてる?一歩間違えばお縄になっちまうんだぞ?


――強さを知りたいんです。」


は、バカバカしい。
強さを知りたいってんなら、アタシなんかじゃなくて稼津斗の旦那を襲撃した方が早いぜ?……やったらお前は再起不能だけどな!



――バキィィィ!!


――バチィィィ!!!



「!!!?」

「ち………」

完全に不意を突いたつもりだったんだが、アタシの膝蹴りとスタンショットをガードの上からとは言え受けきるとはな――

「ジェットエッジ!」

『Start Up.』


如何やらこいつは、加減してどうにかできる相手でもねぇみたいだな………先ずは落とすしかねぇな。











遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow3
『ノーヴェとディエチが全力全壊』











Side:ディエチ


武藤遊戯を名乗る……其れがどれ程の事かって言うのを、貴方は理解している――そう認識して良いんだよね?


「構わないぜ?………彼のデュエルも戦術もデッキも全て研究しつくした……俺こそが新たな世代の遊戯になるんだ!!!」

「はぁ……お兄ちゃんだったら、今の一言だけで荒ぶる右ストレートの一閃が炸裂してるよ間違いなく……」

有名デュエリストの戦術とデッキを研究するのは悪い事じゃないけど、其れを真似てるだけじゃ絶対に強くはなれない。
デュエルは自分だけのデッキを作って、其れを幾多のデュエルの中で研磨、鍛錬する事で強くなる事が出来るってお兄ちゃんが言ってた。

只の模倣じゃ何れ地金を曝して惨めな思いをするだけだとも言ってたよ?


「模倣と言うなら俺のデュエルもまた模倣なのかもしれないが……だが、最強を完璧に模倣できれば正に最強この上ない。
 俺はこの力で全てのデュエリストを倒し、ミッドのキングになる……不動遊星とクロウ・H・ホーガンをも倒してな!!」


……聞き捨てならないよそのセリフ。
お兄ちゃんだけでなく遊星さんをも倒すなんておこがましいにも程があるよ貴方……2人がどれ程か知っての発言なんだよね?


「あぁ、知ってる……同時に遊戯のデュエルが出来れば敵ではないと感じていたさ。
 彼等にもまた、俺が次のステージに上る為の礎にはなって貰う心算だけど――今の俺のターゲットはお前だぜディエチ!!!」



……お兄ちゃんを礎にする?………そのセリフ、覚悟は出来てるよね?

「……貴方如きがお兄ちゃんに勝とうなんて18億6千500万年早い。……このデュエルで其れを教えてあげるよ。」

貴方がお兄ちゃんに勝とうなんて思い上がりも甚だしい……そんな事は絶対無理だって、私が教えてあげる。


「言うな……アンタの力を見せて貰うぜ!!」

「其れを見た先に在るのは敗北の冥府だけれどね!!」


「「デュエル!!」」


ディエチ:LP4000
遊戯(自称):LP4000




「先攻は貰うぜ!!俺のターン!!俺は手札から魔法カード『手札断札』を発動。
 互いのプレイヤーは手札を2枚捨て、新たにカードを2枚ドローする!!」


初手からの手札入れ替え……普通なら手札事故を疑うけど、恐らくは目的は別――手札の上級モンスターを墓地に送っての蘇生コンボ。
多分あってると思うんだけど……


「更に『死者蘇生』を発動し、墓地の『デーモンの召喚』を特殊召喚するぜ!!」

『ガァァァァァァァァァァァァ!!!!』
デーモンの召喚:ATK2500



やっぱりね……其れにしてもデーモンの召喚とは随分と強力なモンスターを出してきた物だね……しかも此れは遊戯の主力モンスター。
ただ単に真似してるだけじゃなくて、デッキ構成も同じようになっているのかもしれない……だからこそ私は負けられないんだけれどね。


「先攻ターンは攻撃できないからな……カードを1枚セットしてターンエンドだ。」

「私のターン!!
 私のフィールド上にモンスターカードが存在しないとき、墓地のDK(ダークナイト)−執念のナイトメア』を特殊召喚できる。」
DK−執念のナイトメア:ATK0


貴方が発動した手札断札で墓地に送ったカードだけどね……おかげで1ターン目から私の本気を見せる事が出来るよ。
私のフィールド上に『DK』と名の付くモンスターが存在する時、手札の『DK−反逆のリベリオン』は特殊召喚できる。


DK−反逆のリベリオン:ATK1300


更に『DK−首狩りのマーロー』も、自分フィールド上に『DK』が存在する時に特殊召喚できる。


DK−首狩りのマーロ―:ATK1700


「1ターンで3体のモンスターだと!?」

「其れだけじゃない……私はまだ、このターンモンスターの通常召喚を行っていない。
 私は、執念のナイトメアをリリースし――出でよ、『DK−魔剣士バルムンク』!!!」

『ハアァァァアア!!!!』
DK-魔剣士バルムンク:ATK2500



そして此れだけじゃないよ?
レベル4の首狩りのマーロ―に、レベル3の反逆のリベリオンをチューニング。

「黒き騎士の魂よ、不浄を払いし剣となれ。シンクロ召喚、斬り込め『DK−聖剣のエクスカリバー』!!」

『オォォォォォォ!!!』
DK−聖剣のエクスカリバー:ATK2600


此れで状況は私が有利だけど……問題はあのリバースカード。
もしも遊戯デッキを模してるとしたら、警戒すべきトラップは『ミラーフォース』『魔法の筒』『六芒星の呪縛』の3枚……その内のどれかかな?

普通だったらこのまま踏み込むのは危険かも知れないけど――お兄ちゃんから教わったデュエルで其れはない。
たった1枚のカードを警戒して、攻撃を躊躇ったせいで負けた何て言うのは洒落にならないからね。

其れに、今の私の布陣だったら、其の3枚のドレが来たって怖くない!!
行くよ自称遊戯……聖剣のエクスカリバーで、デーモンの召喚に攻撃!!『ストライクセイバー』!!!


「その攻撃は通さないぜ!
 リバースカードオープン、トラップ発動『聖なるバリア−ミラーフォース』!此れでお前のモンスターは全滅だぜ!!」

「其れは如何かな?
 聖剣のエクスカリバーが表側表示で存在する限り、私の場の『DK』は1ターンに1度だけ相手のカード効果を受けないんだよ?
 黒き聖剣の加護を受けた黒騎士は、早々簡単にはやられない……ミラーフォースの効果もまた、私の黒騎士には通じないよ。」

「なんだと!?……く……!!!」
遊戯(自称):LP4000→3900


更に、魔剣士バルムンクでダイレクトアタック!!


――ズバァァァァァァアッァァ!!!


「グアァァァァァァァァアァ!!!!」
遊戯(自称):LP3900→1400


……早くも圧倒的に有利になったね。
確かに腕は悪くないかもしれないけど、お兄ちゃんと比べれば月と鼈、太陽とミジンコ、ベテルギウスとアメーバだね……私の敵じゃない。

このまま一気に押し切る…カードを1枚セットしてターンエンド。








――――――








Side:ノーヴェ


自分の知りたい強さは表の世界にはない……正直言って、舐めてるとしか思えない一言だったが――言うだけの事はあるな。
技の一つ一つのキレは悪くねぇし、打撃の基礎も申し分ねぇ………粗削りなのは否めねぇが、コイツは只の通り魔の技じゃない………


コイツ、間違いなく格闘が好きだ――そうじゃなかったら独学で此処まで鍛える事は出来ねぇよ……

だが、だからこそコイツの目を覚ましてやらなくちゃならない……コイツは通り魔としてじゃなく、ちゃんとした格闘家として生きるべき奴だ。
こんな通り魔なんて間違った事はこの場で止めさせねぇと、コイツは何時の日か完全に道を誤って戻れなくなる。

「だからよ……ワリィがこの場では、お前の事を完膚なきまでにブッ飛ばさせてもらうぜ?
 つーか、手を出したのはアタシが先だが、喧嘩を売って来たのはそっちなんだから――覚悟は出来てるよな、自称覇王さんよ!!」

「覚悟などはとっくに……」


なら怨むなよな……シンクロカートリッジ!!!


『Yes sir.Synchronizecartridge Standby Drive ignition.』


おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!

「……此れがアタシの本気モードだ……覚悟は良いよな?」

「勿論――」


――バキィ!!!


「!?」


遅いんだよ!!シンクロ化したアタシには、お前の動きは止まって見える。
序に言っといてやるとな、この状態になったアタシはインターミドルのチャンピオンだって瞬殺できるレベルだぜ多分……正に最強だろ?

「でもって、コイツで決まりだ……!!」

「しま………!!!」


なのはさん直伝!!
一撃必殺全力全壊……ディバインバスターーーーーーーーーーーーー!!!!!!!


――キィィィン……ドゴォォォォォォォォォォン!!!!!!


見事なまでにクリーンヒット!
幾ら何でも、略ゼロ距離からシンクロ化+手加減なしのディバインバスター喰らったら只じゃ済まねぇだろ……完全に伸びてやがるしな。




「ったく、大人の姿は変身魔法だったのか……正体は本当にガキじゃねぇか……」

こりゃ、スバルに連絡入れた上で家で簡単な事情聴取をした方が良さそうだな………ったく、面倒な事してくれるなこのお嬢さんも。








――――――








ディエチ:LP2700
DK−魔剣士バルムンク:ATK2500
DK−聖剣のエクスカリバー:ATK2600



遊戯(自称):LP300
マジシャン・オブ・ブラックカオス:ATK2800
ブラック・マジシャン:ATK3200(魔術の呪文書装備)
ブラック・マジシャン・ガール:ATK3000(魔導師の力装備)



Side:ディエチ


思った以上に喰らいついて来たね……まさか1ターンで3体のブラック・マジシャンを呼び出してくるとは思わなかったよ。
バルムンク戦闘耐性効果がなかったら正直ヤバかったかもしれない………だけど、貴方の攻撃は此処までだよ。

「何だと?」

「私のフィールド上に『DK』が2体以上存在する時、手札の『DK−進撃のカリバーン』を特殊召喚できる。」
DK−進撃のカリバーン:ATK1500


そして此れで終わり。
私は進撃のカリバーン、魔剣士バルムンク、聖剣のエクスカリバーの3体をリリースし…現れよ『ギルフォード・ザ・ダークネス』!!!


『ムオォォォォォォォォ!!!!』
ギルフォード・ザ・ダークネス:ATK2800



「上級モンスター2体を含む、モンスター3体をリリースして攻撃力2800?」

「解せない?……3体のモンスターをリリースしてこのカードをアドバンス召喚した時、相手フィールドのカードを全て破壊する。
 そして闇属性モンスターのみをリリースしてこのカードをアドバンス召喚した場合、相手は召喚時にカード効果を発動出来ない。」

「な、そんな!!!!」


此れで貴方のフィールドは完全壊滅……砕け『ダークネス・ブレイザー』!!


――ゴォォォォォォオォォォォォ!!!


「俺のモンスター達が全滅……!!」

「貴方の身を守るモンスターは居ないし、手札も0……終わりだね。」

ギルフォード・ザ・ダークネスで、自称遊戯にダイレクトアタック!!『ダークネス・クラッシュ・ブレード』!!!!


――ズバガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


「うぐ……おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
遊戯(自称):LP300→0


此れが貴方と私の差――って、衝撃で気を失っちゃったか……ティアナに連絡入れておいた方が良いかもしれないね。


それにしてもなんだってこんな事をしてたんだろうね……今は其れを知る術はないか。


『よう、ディエチ聞こえるか?』


ノーヴェ、如何したの?


『いんや、件の通り魔を撃退したモンで、此れから家に運び込むんだが如何せん重くてさぁ……手伝ってくれねぇ?』


……ゴメン無理。
実を言うと、私も辻デュエリストの自称遊戯と本気でやりあったから可成りきついかも……その子も連れて行くからさ。



全ては其れからだと思うんだ。
通り魔も辻デュエリストも、何でそんな凶行に起こすに至ったのかをきちんと理解しておかないとだね――さて、鬼が出るか蛇が出るか…












 To Be Continued…