Side:???
……此処は?
私は確か……最近行っている格闘家への野試合をノーヴェ・ナカジマさんに申し込んで……其れで……
「よう、目が覚めたか?」
「!!」
そうだ……目の前の彼女の圧倒的な力の前に、私は成す術もなく敗れ去ったんだった――こんな事では覇王の拳を継ぐ事は出来そうにない…
「あ〜〜〜……まぁ、お前にも色々あるんだろうが先ずは飯食って落ち着かねぇか?
思った以上に手強かったから、アタシも手加減できなくてシンクロ状態でブッ飛ばししまったから結構ダメージ来てるだろ?…大丈夫か?」
「お心遣い痛み入ります……ですが大丈夫です。
それに、例え怪我をしたとて此方から戦いをしかけた以上、其れで怪我をしたと文句を言うのはお門違いだと思いますので……」
「……人並みの常識は持ち合わせてるみたいだから安心した。
この期に及んで舐めた事言ってたら、即刻アタシの右ストレートが炸裂してたからな?……アニキが聞いたら速攻滅殺だろうけどな。
まぁ、そいつは良いとしてだ……お前の目的は古代ベルカの王族をブッ飛ばしたいって事か?……最大限ぶっちゃけて言ったけどよ……」
其れは少し違います。
確かにこの拳がかの『王』達を相手にどれ程通じるのか……私は其れを知りたいんです。
「成程………なら、やってみるか聖王と?」
「え?」
「お前が探してる聖王ってのは十中八九ヴィヴィオの事だろ?……だったら話は早い。
今からアタシがヴィヴィオに連絡を取って、今週の土曜日の予定は開けて貰う……其処での模擬戦で、お前が目標とした奴の強さを知りな。」
……痛み入ります。
しかもヴィヴィオさん……聖王である彼女との戦いとは心が躍ります……良き戦いが出来ると良いですね……
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow4
『襲撃と辻デュエルの真実』
――同刻・ナカジマ家ディエチの部屋
Side:ディエチ
貴方に彼是問いただす事はしたくないから、出来れば素直に答えてほしんだけど……何故遊戯を名乗って辻デュエルなんてしていたの?
確かに貴方のデッキは、アノ『武藤遊戯』が使っていたって言うデッキそのもので、デュエルの腕だって決して悪くなかったよ?
「鍛えれば上位デュエリストにだってなれるよ?
己を高めたいならどこかのショップデュエリストになるって言う手もあるし……このまま辻デュエリストで終わったら勿体ないよ?」
「………分かってるよ。」
だったら何故?
如何しても言いたくないなら強制はしないけど、出来れば話してくれるとありがたいよ?
あ、其れと今更だけど、名前と年齢を教えてね?――こっちは強制だから回避不能だからね。
「……神楽坂……神楽坂乱堂だ!!因みに11歳!!」
神楽坂君ね?……レーシャやヴィヴィオと同い年か…
其れじゃ改めて聞くけど、如何してこんな事をしたの?――一歩間違えたら貴方は通り魔として収容されてもおかしくなかったんだよ?
幾ら遊戯をコピーしたからと言っても、コピーは所詮コピーに過ぎない……模倣は本物に勝つ事は出来ないんだから………
どうしてこんな事をしたのかな?
「……俺の親父はデュエリストだった……其れこそあらゆるデュエリストのデュエルを完璧に再現できる技量の持ち主だったんだ!
実際親父は遊戯や海馬って言う伝説のデュエリストの戦術を完璧に再現できてた……其れを聞いた時親父はスゲェって思ったよ。
なのに親父はデュエリストを止めてデュエル研究家になっちまった……遊城十代って奴に負けたのが原因だったって言ってたけどさ……
だけど、親父は遊戯のデュエルで十代ってのを追い詰めたんだぜ!?だったら、最強を再現を極めれば誰にだって負けないだろ!?
だから俺は徹底的に最強のデュエルを極める……親父のやり方でも1番には慣れるって事を証明する……そうすれば親父だってきっと……」
お父さんの……だけどさ、君のお父さんがデュエル研究家になったって言うのが答えじゃないのかな?
お父さんは十代って言う人とのデュエルで気付いたんじゃないかと思うよ?――ただ真似るだけでは本当に強いデュエリストにはなれないって。
だから、自分のデュエル研究力を生かして研究家になったんじゃないかな?
あらゆるデュエリストのデュエルの基本パターンを完全に解析できれば、ホビーショップのNPCデュエリストのAIの強化にも繋がるだろうしね。
「其れに模倣で1番になって貴方は如何するの?
模倣で1番になっても、やっぱり遊戯は凄いって事になって誰も貴方自身を評価する事はない……そんなのはつまらないと思うのだけど…」
「!!だけど!!!」
「……形だけでは誰も評価しないよ?――貴方はT&Hのプレシア店長を知ってる?」
「え?知ってるけど……」
私の知り合いに彼女のコピー……クローニングで生まれた女の子が居るの。レーシャって言うんだけどね。
プレシア店長は嘗ては次元世界最強の魔導師って言われた魔導師で、そのクローンの女の子も凄く強い――魔法も格闘もデュエルもね。
だけど誰もその子の事を『プレシアのクローンだから』って言う評価はしない……何故だか分かる?
「………」
「その子が確固たる『自分』を持っているからだよ。
自身がプレシアのコピーと知りつつ、其れに悲観する事もなく、大好きな人達と共に『不動・Y・レーシャ』って言う個人として過ごしてるから。
父親の遊星さん以上のデュエリストを、母親のはやて司令以上の魔導師を目指して日々精進を続けているからだよ?」
「ちょ〜〜〜っと待て!!!
遊星って不動遊星!?ミッドのチャンピオンの!?其れにはやてって……若しかして不動はやて!?23歳の若さで二佐だって言うアノ!?」
そうだよ?戸籍上とは言え、その2人がレーシャの両親。
――もしよければデュエルしてみる?
「へ?」
「レーシャは近くT&Hのショップデュエリスト登録をするらしいんだけど、その前に彼女と一戦やってみる?
あの子は強い……お兄ちゃんなら兎も角、私とウェンディが相手なら10回やったら8回はレーシャが勝つからね……如何する?」
「……やらせてくれ!
俺がコピーした最強が今の最強を継ぐ奴に何処まで通じるか……俺は其れを知りたい!!!!」
その意気やよし――ってお兄ちゃんなら言いそうだね。
この子のデュエリストとしての腕そのものは悪くない……だったら正しく鍛えればきっとモノになる筈だもの……お願いねレーシャ♪
――――――
Side:レーシャ
『と言う訳で、デュエルをお願いしたいんだけど良いかな?』
全然OKだよディエチ♪
私もT&Hのショップデュエリスト認定デュエル前にデッキの動きを確認したいと思ってたから、良いどころかタイムリーだってね♪
「でも遊戯のデュエルを再現出来るのは凄いよね?
お父さんから聞いた話だけど、武藤遊戯はデュエリストにとって最強その物を意味するらしいから、其れを模倣できるってのは凄いよ……」
『私もそう思うけど、模倣は模倣に過ぎない……其処からの昇華がないと成長は望めないし、何より辻デュエルは余り良い事じゃないから……』
まぁ、確かに。
行き成り目の前に現れてデュエルを強要って言うのは良くないね………お父さんが襲われたら速攻で終わったと思う私は絶対悪くないけど。
だけどまぁOKだよディエチ。
私もやる以上は全力全壊だけど……負ける気は微塵もないからね!!私のデュエルでその子の目を覚ましてやりますって!!
『ゴメンね?……だけど、受けてくれてよかった。当日は宜しくねレーシャ♪』
りょ〜〜か〜〜い!!
「「か〜〜〜い♪」」
うわっ!?遊陽にシュターム……何時の間に!?
「「さっき♪」」
!!……何この可愛い生き物!!!
此れはアレだよね?全力全壊で弟と妹を愛でなさいっていう神の啓示だよね?私リミッター解除しても良いよねディエチ!!!
『えっと……まぁ、程々レベルで……』
「だったら……リミッター解除ぉぉぉ!!
も〜〜〜遊陽もシュタームも可愛いんだから〜〜〜♪2人とも大好きだよ〜〜〜〜♪」
「「おねちゃん大好き〜〜〜〜♪」」
此れは……お母さんが溶け切る理由が分かるわね〜〜……掛け値なしに可愛すぎ!!……お父さんとお母さんの娘で良かったわ……!!
OK!!じゃあ、お姉ちゃんの勝利を2人にプレゼントするわ!
伝説を模倣したその力、見せて貰うわよ神楽坂君!
――――――
Side:ヴィヴィオ
「……もう、充分です。――貴女の拳は、其れなりに通じるでしょうが……私の求めた物とは違います。」
ノーヴェから連絡を受けてから1週間――トレーニングを積んで件の襲撃犯――アインハルトさんとの模擬戦だったんだけど、ダメだったみたい…
「お手数をおかけしました…何れまた……」
「待って。」
え?レーシャ!!?
アインハルトさんを……止めたの?
「アインハルトさん、今回はヴィヴィが期待に応えられなかったってとこだろうけど……今のこのスパーリングで評価するのは早計じゃない?」
「如何言う事です?」
「貴女が望んだのは『全力のバトル』だろうけど、今回のヴィヴィには『トレーニングの延長線上のスパーリング』って言う意識があった。
其処に決定的な認識差異があるのよ……スパーリングだと思ってたヴィヴィと、全力でと思っていた貴女に認識の差異があるのは当然。
だから今から1週間後にもう1度だけヴィヴィと戦って!……認識レベルが同じなら、ヴィヴィが貴女の望む答えを出してくれるわ…必ずね。」
レーシャ……!!
確かに私とアインハルトさんの認識にはずれがあったのかもしれない……だとしたら私の勘違いでアインハルトさんを落胆させちゃったんだね…
だとしたら私は格闘家としての礼を欠いちゃったと言えるかも……
あんまり褒められたことじゃないよね此れって…『武は礼節も大事也』って稼津斗さんも言ってたし……落胆されるのも無理はないか……
だけどアインハルトさん、次は今よりももっと私は――だから、もう1度私と戦って頂けますか?
「……分かりました。
……同時に先刻の無礼を謝罪します……貴女もまた真剣に日々の鍛錬に勤しんでいた……其れを蔑ろにした発言はすべきではなかった。
次の土曜日には心躍る戦いが出来る事を願っていますよ……」
其れじゃあ決まりです!
今度の土曜の模擬戦は最初から全力全壊で行きますから覚悟しておいてくださいね!!
――――――
Side:レーシャ
ヴィヴィの方は此れで問題ないわよね。
むしろ私的には此処からが本番――自称遊戯の神楽坂乱堂とのデュエルが控えているからね――っと、貴女も見ていってね覇王様?
「その心算です…ヴィヴィオさんの親友の貴女のデュエルを見過ごす事など出来ません……楽しいデュエルを見せて下さい。」
勿論その心算!!
私の考えが正しければ、自称遊戯はお父さんには及ばないけど、其れなりに強いのは間違いない――だからこそ模倣は此処までにしないと…
「スパーリングが終わった……今度は俺達の番だなレーシャ不動!」
「Yを抜かすな〜〜〜!!」
名前は正しく伝えないと相手の評価の暴落に繋がるから注意した方が良いよ?
まぁ、其れは其れとして確かに今度は私等の出番だわ……デビュー戦前の肩慣らしにはなるだろうけど……負ける心算は毛頭ないからね!!
行くよ神楽坂君!!
「「デュエル!!」」
レーシャ:LP4000
神楽坂:LP4000
「先攻は俺から!!ドロー!!
手札から魔法カード『古のルール』を発動!手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚できる!
俺はこの効果で、このモンスターを特殊召喚するぜ!!来い『暗黒騎士ガイア』!!」
暗黒騎士ガイア:ATK2300
「カードを1枚セットしてターンエンド。」
暗黒騎士ガイア――初代キングの主力の1体である魔導騎士系最強を誇るカード……其れを初手からとは、確かに模倣レベルは高いかもね。
だけど其れじゃあ私には勝てない!!
私のターン!!
「私のフィールドにモンスターが存在しない場合、手札の『フォトン・スラッシャー』は特殊召喚できる!
そして『ギャラクシー・ドラグーン』を通常召喚!!」
フォトン・スラッシャー:ATK2100
ギャラクシー・ドラグーン:ATK2000
そして攻撃力2000のこの2体をリリースし……光の狭間より現れよ!!!『銀河眼の光子竜』!!!
『グオッォォオォォォォ!!!』
銀河眼の光子竜:ATK3000
「い、行き成り攻撃力3000だと!?」
「初手からの大型展開は貴方の専売特許じゃないよ?私のデッキも大型召喚に特化してるしね。」
だけど此れで、先ずは先手を取る事が出来る!!!
バトル!!銀河眼の光子竜で、暗黒騎士ガイアに攻撃!!万物を吹き飛ばせ!『破滅のフォトンストリーム』!!!
――ドガァァァァン!!!
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
神楽坂:4000→3300
今のはホンの挨拶代わりだよ……寧ろ此れからが本番。
本当のデュエルって言うのが如何言うモノかを教えてあげるよ――今の私の全力全壊でね!!!!!
To Be Continued… 
|