Side:ヴィヴィオ


今日も今日とて、インターミドル選考会に向けてトレーニングなんだけど……


「では紹介しますね?
 この子が私の専用デバイスのアスティオンです、ティオと呼んであげて下さい。」

『にゃ♪』


あ、アインハルトさんのデバイスが可愛すぎる~~~!!いや、私のクリスや、レーシャのリラだってデバイスとしては可愛い部類だけど、この猫には!
あ~~~ん、此れは問答無用で癒されますよアインハルトさん!子猫最強です!!


「えっと、この子は猫では無く、シュトゥラの雪豹をモチーフにしたとの事なんですけれど……矢張り、誰が如何見ても猫にしか見えませんよね?」

「猫です。紛れもなく猫ですよアインハルトさん!!」

「いやぁ、猫でも良いんじゃないアイン?
 てか、マジモンの豹とか再現したら場所もとるし、外装がデバイスらしからぬ物になっちゃうだろうから、多分此れが一番だったんだよ。」


かも知れないけど、レーシャは幾ら何でも落ち着きすぎ!!
大体にして、アインハルトさんのデバイスを作ったのは、不動司令と不動博士なんだから、少しは両親の仕事に対して突っ込みを入れて!お願い!!


「お父さんとお母さんには突っ込むだけ無駄なんだよヴィヴィ。
 私の両親たる最強夫婦に出来ない事なんて多分ない!!故に、彼是突っ込むのは無駄で徒労なの!!分かるでしょ?」


成程……天然チートが両親だと、其れは其れで苦労があるんだね?


ともあれ、今日のトレーニングも始まり始まり~~~!よろしくご指導ご鞭撻をお願いしますね師匠!!












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow29
『Learn a Mach fist!』











Side:ノーヴェ


ったく、準備運動を兼ねた軽めのランだって言ったのに、アイツ等思いっきり走り込んでるじゃねぇか!?……まぁ、アイツ等にとってはアリかもだけど。

此れからの特訓の事を考えれば、軽いジョギング程度で済ませたかったんだが、こうなったらそう言う訳にも行かねぇからな……ま、巧くやるさ。

「んで、何か用かディエチ?」

「インターミドル選考会に参加する人達をある程度纏めてみたから、良かったら使って。
 其れとこっちは、選考会のブロック分け――中々面白い感じに分かれてくれたみたいだから、此れも若しかするかもしれないよ?」


確かに、一瞬で何が起きるか分からないってのが本物の格闘の場だからな。
だが、其れを予測する為の観察眼は経験によってしか培われない――其れを踏まえると、このチビ達の成長速度はトンでもない物があるんだけどな。


特にレーシャ!!
母親が不動司令で、父親が不動博士で、身体そのものはプレシアさんのクローン体ってドンだけのチートかと思うな。割と本気で。


まぁ、特出してるのがレーシャなだけで、ヴィヴィオもコロナもリオも、そしてアインハルトまでもが成長スピードがハンパじゃないって事なんだけどな。
だからこそ鍛えがいもある……稼津斗の旦那が言ってた事が理解できるぜ、今ならな。




「「ゴール!!」」

「負けない~~~~!!!」


っと、戻って来たか。
ったく、軽めのジョギングを本気ランしやがって……ま、まだまだ元気があり余ってるみたいだから良いけどな。

まぁ、丁度良い、ランの後のクールダウンも含めて聞いてくれ。
特訓を始めてそろそろ一月、三日後にはいよいよ選考会と地区予選の開始な訳だが――今し方、お前達の参加ブロックが決定したから通知する。

「分かってると思うが、個人戦だからチームメンバー同士で戦う事も有る――其れは、大丈夫だな?」

「はい!」

「当たり前の事だけど、スポーツもデュエルも勝っても負けても恨みっこなし!」

「正々堂々、全力全壊で良い試合にしようって!」


なら良しだ……が、ヴィヴィオ『全力全壊』じゃなくて『全力全開』な?壊したら拙いからな!?
んん!じゃあ、改めて参加ブロックを発表するが、先ずはリオ予選5組、ヴィヴィオ予選4組、レーシャ予選3組だ。


「リオお嬢様のブロックには『砲撃番長』こと、ハリー・トライベッカ選手がいらっしゃいます。
 彼女を倒さなければ、本戦には行けませんね。」

「勿論倒しますよーーー!!」


その意気だ。
勿論、それ以外にも都市本戦出場者が何人かいるし、5組はとりわけ激戦区って所だな。

そんで、ヴィヴィオの4組だが、エリートシード第3枠にミカヤちゃんが居るな。


「ミカヤさん、スパーリングでもお世話になったけど、いよいよライバルだ!」

「彼女に勝つのは、並大抵の事ではありませんよヴィヴィオさん?」

「頑張らないと!」

「頑張る!!」


相手が誰でも怖気付かねぇとは大したもんだなコイツ等も。
で、レーシャの3組はアタシ等が見た感じだと、特に特筆すべき奴は居なかったんだが、稼津斗の旦那が気になる奴が居たんだよな?


「あぁ、15歳にして初出場との事だが、この『ジャクリーン・ルスカ』ってのが気になって、少し調べてみたら大当たりだったよ。
 彼女は元々地球の出身者なんだが、彼女の祖父が『ウィリアム・ルスカ』――嘗て地球のオリンピックの柔道のゴールドメダリストだったんだ。
 更に、彼女のスタイルが見事なまでの正統派の講道館柔道だと分かってな……もし『赤鬼ルスカ』から柔道の手解きを受けて居たら強敵だぞ。」

「つー事らしい。全くの無名だが、ぶつかる時は用心した方が良いかもな。」

「押忍!誰が相手でも、全力でぶつかって勝つだけ!」


お前ならそう言うと思ったよ。
其れでだな、アインハルトとコロナは予選1組……同じ組になっちまったんだ。
まぁ、ゼッケンは離れてるからノービスクラスに居るうちは当たる事はねーよ。二人が戦う事になったとしてもエリートクラスに行ってからの話だ。


「アインハルトさんが相手でも頑張りますよ!負けません!!」

「此方こそです。」


それと、同組には一昨年の優勝者がトップシードに居るんだ。
名前は『ジークリンデ・エレミア』――敗戦記録は出場辞退のみで、戦って負けた記録は一度もないって言う生粋のエリートファイターだ。

アインハルトとコロナのどっちが勝ち上がるにしろ、コイツを倒さなきゃ都市本戦にはすすめねーって訳だ……相当に厳しいだろうけどな。


「「はい!!」」

「だけど、いよいよって感じで燃えて来たね!!」

「うん!!」

「それじゃあ『チームナカジマ』……ファイトーーー!!」

「「「「おーーーーーーーーーー!!!」」」」



「チームナカジマ?」

「陛下とお嬢様達で考えたチーム名だって。」


もっと考えろって言ったんだけどな。
ともあれ、三日後には選考会だから、特訓は今日で最後!特訓が終わったら魔力バンドを外して、残りの日数は回復に使うからな。


「「「「「はい!!」」」」」


ったく、一カ月の間に負荷が4倍にまで膨れ上がるとは思ってなかったが、この一月で見違えるほど魔力量が増えたのは間違いねーだろうな。
まぁ、魔力量が多ければ勝てるってもんでもないが、其れでも期待しちまうのはコーチとしての欲目かな?

選考会は兎も角、予選を勝ち抜くのは容易じゃねーだろうが、頑張れよチビ共!








――――――








Side:レーシャ


選考会前の最後の特訓……いよいよですね師匠!


「あぁ、この一月でお前も随分と強くなった。試しに一発突きを放ってみろ。」

「はい!はぁぁ……てやあ!!!!」


――パァン!!!


「4倍負荷の状態で、完璧に音速拳を打てるようになった訳だからな。
 その魔力バンドを外した暁には、お前の全ての打撃が『スピード=破壊力』の技になってると断言できるよ。
 さて、其れを踏まえ、今日はいよいよ音速拳を光速拳『マッハ突き』に進化させるが、先ずはおさらい――音速拳は何故それだけの速さで打てる?」


正拳突きに使用する8箇所の関節を同時に加速する事で音速の拳を生み出す……だったよね?


「正解だ。――が、実はその基本8箇所以外にも、加速しようと思えば出来る関節はまだまだあるんだ。
 拳を形作る拳から、足場を固める足首や膝、果ては頸椎や突きには直接関係ない引き腕の関節までな。
 尤も、お前の事だから此れだけ聞けば自分で思いつく限りの加速可能な関節の同時加速位は出来るだろ?やってみろ。」

「かな~~り、無茶ぶってくれるね師匠?
 まぁ、大体イメージは出来てるけど――ふぅぅぅぅぅ………でぇりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


――バァァァン!!!


!?
な、何この轟音!?音速拳の時の裂破音とは比べ物にならないし、今の突きは間違いなく音速拳よりも早かった!?……此れがマッハ突き?


「やっぱり出来たか……だが、コイツはまだマッハ突きじゃない。精々『超音速拳』てところだな。」

「此れでもマッハ突きじゃないの!?」

「あぁ、違う……とは言っても、超音速拳が出来たなら後は簡単だ。
 此の超音速拳を『完全に脱力した状態から瞬間的に放つ』事が出来れば、其れでマッハ突きの完成だ。」


脱力?


「どんなスポーツでも、一流アスリートほど必要なその一瞬までは力を抜いてるモノだ。
 例えば野球のイチロー選手や松井選手なんかは、ボールを打つその瞬間まで構えてはいるが余分な力が一切入って居ない。
 更に、超一流のボクサーは殴られた時すら目は開いているんだ……力を抜いてダメージを逃がしてる証拠だね。」


脱力……つまり余分な力を完全に抜いた状態……イメージするなら無形の『水』かな?
固有の形を持たずに、有るがまま……其れこそ拳の力も抜いて……「おい、レーシャ…」――はい、何ですか師匠?


「お前、そいつは無意識にやってるのか?その拳は?」

「拳?……って、何じゃこの不思議な拳の形は!?」

人差し指と小指が突き出た独特の拳の形……此れって一体なんなの師匠?


「そいつは、人が完全に五指の力を抜いた時に自然と出来上がる拳の形なんだ。
 つまり、その形の拳がマッハ突きには絶対必要不可欠な訳で――後で教えてやる心算だったんだが、脱力の段階で自然に辿り着くとは驚いた。
 其れが出来れば、後はお前が何処まで脱力できるかだ――此れは若しかしたら、マッハ突きを超えた『超マッハ突き』が誕生するかもしれないな。」


超マッハ突き!?何それ燃える!!

絶対に会得して見せるよ其れ!!


え~と、其れじゃあ続き!
イメージは水……全身が形を持たない液体で、骨は……無数のパーツを組み合わせた超フレキシブル関節のイメージで、拳はこの形。

更に、イメージした疑似関節も同時に加速するイメージで……打つ!!!



――バガァァァァァァァァァァァァン!!



「コイツは……全然粗削りだが、簡単な説明で此処まで辿り着くとは……ネギと小太郎以上の逸材が居たって事か。
 上々だレーシャ!今日は、時間まで徹底的に此れを鍛える!まだまだ原石のマッハ突きを、最高のダイヤモンドに磨き上げる!良いな?」

「はい!宜しくお願いします!!」

「そんじゃあ先ずは軽くスパーと行くか……とは言っても攻撃するのは基本俺だけで、お前は俺の攻撃に対して『ソレ』でカウンターな。
 そいつを10本やったら、今度は俺に3分間、それを交えてのありとあらゆる打撃を使ってのラッシュ訓練だ!」


押忍!
選考会前の最後の特訓、此処でドレだけやれるかが、私のインターミドルでの結果に直結するのは、多分間違いじゃない――だったら思いっきりだ!

やれる事は全部やって、いざ本番だからね!!



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そしてあっと言う間に時が経って――


――第27回インターミドルチャンピオンシップ ミッドチルダ選考会第一会場


いよいよ選考会の日!
会場は物凄い人だけど、此れって観客以外は全部出場選手なんだよね?……改めてインターミドルの凄さを実感できるわ此れ。

でもって、参加セレモニーに出てると、実際に自分が此れから闘うんだって言う実感が湧いて来るよ。
デュエルの時とは違ったドキドキ感だけど、此れは此れで悪くない。


『其れでは、昨年度都市本戦ベスト10選手のエルス・タスミン選手に、第一会場に集まった選手に激励の挨拶をお願いしたいと思います。』

「エルス・タスミンです。
 年に一度のインターミドル、皆さん、練習の成果を充分発揮して、全力で試合に臨んでいきましょう。
 勿論私も全力で頑張りますので、皆さんも全力で頑張りましょう!!えいえい…」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


さて、いよいよ始まりだね、私の――レーシャ・Y・不動のインターミドルが!














 To Be Continued… 








*登場カード補足