Side:はやて
――トンッ、トンッ、トンッ
「良いな、こう言うのも。」
「ん?何がや遊星?」
「いや、穏やかな空気の中で、食事の準備の音を聞くって言うのも何とも言えない贅沢だと思ってな。
其れこそ、ドレだけの金を払っても聞く事が叶わない、最高の音楽だと言えるのかもしれない――はやてが奏でる包丁の音は、俺は好きだな。」
~~///!!ったく、相変わらず素で気障なセリフを言ってくれるなぁ遊星は!
普通やったら『何言ってるんや?』って突っ込んでやるところやけど、遊星が言うと全く嫌味がなくて、其れで居てダイレクトに心に響くから不思議やな?
まぁ、其れが遊星の遊星たる所かも知れへんけどね。
「そう言って貰えると嬉しいかなぁ?
ヤッパリ、食事は大事やし如何にも気合が入ってまうからね?――まぁ、自分の作ったモンを、残さず『美味しい』って食べて貰えるのは嬉しいで?」
「はやての料理は本当に美味しいからな。
今日の夕食は何なのか楽しみだよ。」
今日はな~、十二穀ご飯と、大根と人参と油揚げと小松菜となめこの実沢山のお味噌汁に、鯵の南蛮漬けとホウレン草の胡麻和えと冷奴や。
レーシャも特訓でへとへとになって帰ってくるやろうから、疲労回復を促進し、尚且つ栄養バランスバッチリな和食メニューにしてみました!如何や!!
「確かに美味しそうだな?メニューを聞いただけで、腹の虫が鳴いてる気がするよ。」
やろ?まぁ、料理は好きやから、自然と気合も入るんやけどね。
「た、ただいまぁ~~~~……」
「お、おかえり~~~!」
「おかえり、大分頑張ったみたいだな?」
「「おねちゃ、おかえり~~~♪」」
随分とへとへとやなぁレーシャ?
……此れは、態々聞かんとも、相当にハードな特訓が開始されたんは想像に難くない――ハードな日々の始まりやね。
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow28
『Daily life after intensive』
で、可成りお疲れみたいやけど、ご飯とお風呂とどっち先にする?
ご飯はあと10分くらいで出来るし、お風呂はもう良い感じに沸いてるけど……私等はレーシャの都合に合わせるで?
「そ、其れじゃあお風呂を先に……さっすがに今日のトレーニングは堪えたよ。
あ!それからお父さん、稼津斗師匠になんてもの作ってるの!?総重量150キロの錘なんて、普通の人が装着可能なレベルじゃないよ!!?」
「使う奴が人外だから問題ないだろう?」
「此処で、そっちに行くんだ!?」
あ~~~……遊星が何か作っとると思ったんは稼津斗さん用の錘入りグローブやら何やらやったんかい。
あの人はホンマに何処の頂を目指してるんやろか?……事と次第によっては禁止カードどころか、封印指定のS級ロストロギア認定しとくべきかもなぁ…
まぁ、あの人のチートっぷりは今更突っ込むだけ無駄やね。
チートレベルで言うなら、ウチの旦那の知能&技術レベルも相当にチートやけど――まぁ、其れは言わないお約束やな♪
「取り敢えず、レーシャはゆっくりとお風呂してきたらえぇよ。
身体がじわ~~~っと、解れるように、熱すぎず温すぎずの40度やから、疲れた身体を解き解してくるとえぇ。出てきたらご飯にしよな♪」
「うん、了解です。」
ほな、ゆっくり浸かってきや。
そんで、ご飯の時にどんな特訓したか聞かせてや♪
――――――
Side:レーシャ
あふぅ~~~~~~……やっぱり疲れ切った後のお風呂は、全身に染み渡るね~~?ん~~~、気持ちいい!
まぁ、魔力負荷だから一晩ぐっすり寝れば治るって事だけど、此れがもしも筋力負荷だったら、最低でも3日間は筋肉痛で動けない……間違いないよ。
そんな訳で、特訓チームは大変だったんだけど、出稽古に行ってたアインは如何だった?
『此方も、大分ボロボロにされてしまいました。……此れが所謂『フルボッコ』と言う奴かと実感する位には。』
『にゃーん。』
アインも結構強い方だと思うけど、其れがボロボロって、相手の人はそんなに強かったの?
『実戦だったら、今日だけで20回は天に召されて居るかも知れません――其れほどまでに強い方でしたからミカヤさんは。
ですが、音を上げてはいられません。ミカヤさん以外にもスパーリングを沢山組んでいただいていますから。』
『にゃっ!』
成程ね~~~……てか、スパーリング相手ってミカヤさんだったんだ。
そりゃボロボロにもなるわぁ~~~……確かミカヤさんて、美由希さんの内弟子だった時期もあった筈だし、其れじゃあアインもボロボロにされるわね。
『そう言えば、アインハルトさんもこのリストバンドしてるんですよね?』
『はい、中々に大変です。』
『にゃーん♪』
『あの、アインハルトさん、さっきから猫の声がするんですけど?』
言われてみれば確かに。
ヴィヴィに続いて敢えて問おう、猫飼ってるのアイン?
『あぁその……詳しい事は、明日の練習会で………ティオ、のぼっちゃダメです。』
明日の練習会で、ね?
若しかしたら今の鳴き声って、お父さん達が作ったアインの専用デバイスなのかな?だとしたら、明日会うのが楽しみだね♪
ん~~~~……じっくり浸かって身体も解れたし、そろそろ上がるとしようかな?浸かり過ぎは良くないし。
其れに、遊陽とシュタームはそろそろご飯が待ちきれなくなってるだろうからね♪
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
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・・・
何時もの事だけど、お母さんのご飯は本当に見た目から美味しそうだよね~~♪
もうお腹もぺこぺこだし……
「「「いただきます!」」」
「「た~きま~す♪」」
く~~~~!美味しい~~~~~!!
胡麻和えもお味噌汁も美味しいけど、この鯵の南蛮漬けは本気で絶品!!揚げた鯵に甘辛いタレが絶妙だし、玉葱と輪切りの唐辛子がまた最高!!
此れなら御飯が何杯でも行ける感じ!!
あ、遊陽とシュタームのは唐辛子は抜いてあるみたいだけどね。
「お~~~、特訓して来ただけあってよく食べるなぁ?沢山作ったから、一杯食べてな?」
「うん!」
「食は身体の基本だからな。
そう言えばレーシャ、そのリストバンドは魔力負荷をかける物だったか?開発室で、マリーがノーヴェから頼まれたって何か作っていたんだが……」
うん、そうだよ?
本気のスパーリングをやる時以外と、寝る時以外はずっと着けておくようにってね。
「そうかぁ~~~、そう言えば私も昔似たような事してたなぁ?
遊星が一度シティに戻った後やったけど、足のリハビリで遅れとった魔法の訓練の効率化の為に自分に負荷掛けて練習した記憶があるわ。
尤も、その時はそないに便利なモノなかったから、シャマルが色々工夫してくれたんやけどね。」
「あ、その話シャマル先生から聞いた事有る!」
「試合に向けて魔力を伸ばそう!って、そう言う作戦か~~?」
其れだけじゃないけどね。特訓はまた別だし。
「中々に大変そうだが、キツクないか?」
「大丈夫だよお父さん。確かに特訓は1日目から結構ハードだったけど辛いとは思わなかったし。
其れに、自分で選んだ道だからね。――加えて、デュエルも格闘技も訓練してドンドン強くなるのが凄く楽しいと思うから、だから大丈夫だよ♪」
「なら良いさ。だが絶対に無理だけはしないでくれ。
頑張るのは結構だが、気が急いて無理や無茶をしたら良い結果は生まれないからな?――自分のペースで焦らず騒がずやると良いさ。」
了解です♪
選考会では、参加者の度肝を抜いてやる心算だけどね♪
時にお母さん、ご飯とお味噌汁のおかわりを下さい!
「は~~い♪お味噌汁は普通として、ご飯の方は?」
「大盛り……いや、特盛でお願いします!稼津斗師匠との特訓は流石にお腹が減りました!」
明日の練習会に備えて、今日は一杯食べて一杯寝ないとだからね。
――――――
Side:はやて
さてと、レーシャも遊陽もシュタームも寝てもうたけど、主婦が寝るのはもうちょっと後やな~~、ご飯の後の片付けもあるしな。
まぁ、遊星が手伝ってくれるから其れほど手間が掛かる事もないんやけどね。
『くり~~~……』
「ん?どないしたリラ?レーシャと一緒やなくてえぇの?」
『クリ!クリ~~!クリリ~~~~~。』
へ?陸戦教導のビデオ?
其れやったら何本か持っとるし、局の方に行けば結構な数があると思うけど………何でまた急に?
『くり~~~、クリ!クリクリ、くりり~~~~、クリ!!』
自分に出来る事――――――如何すればもっとレーシャの役に立てるか、その方法を探したいんです――――ってか?
『クリクリ~~!』
そう言う事なら了解や。
局の私のデスクの方にアクセスすれば、資料は仰山あると思うし役に立ちそうなの見繕ったるわ♪……レーシャの事、頼むでリラ?
『クリリ~~~!』
「一人じゃ大変だろ?俺も手伝うよ。」
「うん、ありがとな遊星♪」
インターミドルの参加申請は既に締め切られとるし、地区予選開始まではあと僅かや。
せやけど、その『僅か』な時間でドレだけ己を鍛えられるか、高められるかで選考会と地区予選の結果は全然変わってくるのは間違いないやろね。
其れを考えると、ノーヴェと稼津斗さんて言う最高レベルの師匠が居るレーシャ達は、若しかしたら若しかするかも知れへんなぁ?
何が起こるか分からへんのが勝負やから過度な期待はせぇへんけど、其れでも今年のインターミドルは中々如何して面白い事に成るかも知れへんね♪
To Be Continued… 
*登場カード補足
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