Side:ヴィヴィオ


さてと、今日からいよいよ特別訓練開始って事だから、否が応でもやる気が出て来るよね?
インターミドル予選まではもう残り時間は少ないけど、其れでもノーヴェと稼津斗師匠が組んだ特別メニューをクリア出来れば、或は若しかするかもだし。

其れにハリー選手とは、本戦でぶつかる事が有れば『本気でやろう』って約束しちゃったし――其れ相応の実力を身に付けなきゃ!


「わりぃわりぃ、待たせたな!」

「全員揃ってるか?」


ノーヴェ、其れと稼津斗師匠!
うん、この通り高町ヴィヴィオ以下初等部4名、全員集合であります!!って言うか、特訓が凄く楽しみなんだけど!!


「アタシ等が来る前にアップは出来てるって、ドンだけ気合入ってんだオメー等?……まぁ良いや。
 さてと、今日から特訓開始な訳だが、同じチームとは言え選手としては此処に居る全員がライバルだから、特訓は夫々個別にやる――良いな?」


個別に……確かにチームではあるけど、個人としてはレーシャも、リオも、コロナも……そしてアインハルトさんもライバルになる訳だから当然か。


「その特訓だが、残された時間が少ないだけにシンプルかつ効果的なモノにしてみた。
 此れから始める特訓の目的は只一つ――『特技の徹底強化』、其れだけだ。」


特技の――言うなれば一点特化強化!
強化部分以外はザルになる、極端な強化だけど、その分強化した部分は無類の強さを誇る一点集中強化……確かに私達にはピッタリかもしれないね。












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow27
『Secret intensive training』











で、ノーヴェ……オットーとディードは何で此処に居るの?


「ん?あぁ、コイツ等は特別コーチとして呼んだんだ。リオとコロナの専門コーチとしてな。」


成程~~~。
まぁ、個別に特訓するって言うならそれぞれにマンツーマン指導するコーチが必要になるからねぇ?……この二人ならコーチとしては最適だね。


って、ちょっと待って!?
と言う事は、私とレーシャのコーチはノーヴェか稼津斗師匠って事!?最大限ぶっちゃけて1/2の確率で、人外チートがコーチ!?嘘でしょ………!?


「んでヴィヴィオ、お前のコーチはアタシだ。」

「都合、お前のコーチは俺だなレーシャ。」

「稼津斗師匠が専属コーチ……良いね、燃えて来るぜ!」


……何だろう、レーシャにチートレベル強化フラグが立った気がする。
稼津斗師匠の特別訓練を受けたら、ドレだけレーシャは強くなるんだろう?……今だって、この4人の中ではダントツの強さだって言うのに……

だけど、負けないよレーシャ!
この特訓で、私はきっと強くなる!強くなって見せる!!

なのはママに誓った『強くなる』って言う決意を、本当の現実にする為にも、どんなにキツイ特訓でも必ず熟して見せるよ!此れは私の意地だから!!


「その意気だ。なら……んじゃまぁ、早速個別訓練と行くか!
 訓練メニューは各自に渡してあるから、其れに従ってやってくれ――但し稼津斗の旦那、アンタに限っては好きなようにやってくれて構わないけどな。」

「OK……レーシャに魔改造的強化を施してやろう……」

「……私、無事にインターミドルに参加できるよね?」


が、頑張って!!

あれ?そう言えばアインハルトさんは何処に行ったのノーヴェ?


「あぁ、アインハルトは出稽古に行ってる。
 格闘型にとっての難敵――斬撃武器対策を嫌って程出来るところにな。」


アインハルトさんも……此れは、尚の事頑張らないとだね!








――――――








Side:アインハルト


「練習相手にご指名頂いて光栄に思うよ。
 だが、私も出場選手だからあまり手加減はしてあげられない――其れでも構わないかな?」

「無論です……寧ろ手加減されたのでは特訓の意味もありませんから。」

ノーヴェさんから『対武器対策の訓練が出来る』との事で教えられた場所に来てみれば、待って居たのはインターミドルのトップ選手だったとは……


しかもそれは、目視不可とまで言われている神速の抜刀術の使い手たる『ミカヤ・シェベル』選手――これ以上の武器対策の特訓相手は居ませんね。
何よりもコーチからは『斬撃の怖さを体験して来い』と言われていますので。


「つまりは利害が一致した訳だね?
 君は斬撃対策を、そして私は斬撃を超えて来た格闘型との戦い方を――いや、そうなる前に一方的に斬り倒す戦い方の鍛錬が出来ると言う訳だ。」

「その通りです。
 私自身はマダマダ未熟者ですが、せめて御役に立てるように頑張ります。」

「……ふふふ、そう言いながらも瞳はそう言ってないよ?
 思いっきり殴り倒す気満々じゃないか?――マッタク持って怖い怖い……だが、君となら如何なる訓練でも互いの血肉になると確信できるけれどね。」


恐縮です。
ならばお見せしましょう……覇王流の斬撃対策を!!

「行きますよティオ!」

『にゃあ!!


果たして今の私が、インターミドルのトップ選手に何処まで通じるのか……其れを知る良い機会でもありますね。








――――――








Side:レーシャ


「そう言えば聞いたかレーシャ、アインハルトのデバイスの事?」

「うん、お父さんとお母さんから聞いた。
 行き成りバリバリの好相性――其れこそ10年前からの愛機みたいにシンクロが取れてて、アインも驚いてたって聞いたよ?」

会うのが楽しみだねリラ♪


『♪』


「見た目がハネクリだと癒されるなぁ……じゃなくて、いよいよ特訓を始める訳だが――レーシャ、先ずお前の欠点はなんだ?」


この流れで特訓開始ですか!!まぁ、良いけどね。
其れで、私の欠点……魔力保有量は多いけど、其れを完全に引き出す事が出来ない出力不足――早い話が、全体的に攻撃力不足だよね?


「正解。……じゃあ、美点は?」


美点?
ん~~~~……デュエルで培われた判断力と戦術眼と直観力かな?後は自慢じゃないけど、度胸は誰にも負けない自信があるよ?


「確かに其れもお前の美点だが、『格闘家』としてのお前の美点は……セィヤ!」

「!?」



――ビュン!!


のわぁぁぁぁあぁぁ!?
い、行き成り正拳突きって、何するの稼津斗師匠!!下手したら直撃で病院送りだったんだけど!!


「大丈夫だ、お前なら避けられるって確信があったからやった訳だし。
 そして、今のがお前の最大の美点――俺の本気の拳が『放たれた』のを『見て』から回避が間に合った、そのスピードこそがお前の最大の美点だ。」

「へ?スピード?」

「こう言ったらなんだが、俺の本気の拳速は時速にして凡そ300㎞……近接格闘の間合いで見切れるスピードじゃない。
 だがお前は、其れを目視した上で避けて見せた――つまりお前の最大スピードは時速300㎞を上回るって事だ。特訓ではそいつを強化する。」


自分では意識してなかったけど、其れだけのスピードが私に。
其れを伸ばすって言う事は、私の格闘のスタイルはスピードで相手の攻撃を躱しての高速カウンター型……かな?


「不正解。カウンター型じゃなく、スピードにモノを言わせた手数で勝負するラッシュ型、其れがお前の格闘スタイルだ。」

「ラッシュ型!!」

でも、其れだと手数は多くても決定力に欠けるんじゃないの?
幾ら手数を増やしても、打撃に重みがなければ大したダメージにはならないし、タフな人が相手だったら逆に私の方がガス欠になっちゃわないかなぁ?


「並のラッシュスタイルならそうだろうが、お前の最大速度は並のラッシュスタイルの数倍だと言う事を忘れるな。
 大概の物がそうであるように、質量が同じモノならば速度が速くなればその分だけ当たった時の衝撃も大きくなる。
 例えばプラスチックのBB弾を只放った物なら当たっても痛くないが、エアガンで撃ちだされたのに当たれば相当痛いし、場合によっては死に至る。
 詰まりパワー不足であるお前の拳も、徹底的に速度を加えれば、それは即ちスピードこそがパワーとなる――そう言うのも悪くないだろ?」


スピードこそがパワー……何それ、凄くワクワクする!
決定力不足をスピードで補う事が可能だなんて……もしそれが本当に出来るなら、私だけの格闘スタイルが出来る!!

「うん、そのスタイルで行く!」

「なら決まりだ。
 其れでだな、この特訓が終わったころには、お前に教えてやった『音速拳』は更なる進化を遂げてる筈だ――音速の先……光速にな。」


いぃ!?音速拳が進化!?
音速の先の光速って事は、言うなればそれって『マッハ突き』って事!?……いいね、俄然やる気出て来たよ師匠!


「よし、その意気だ。
 さてと、其れじゃあ特訓の前にコイツを渡しておく。」

「リストバンド?」

「ノーヴェが技術部のアテンザに頼んで作って貰った特訓用の秘密アイテム、だそうだ。」


マリーさんが?
リストバンドって言う事は、何らかの負荷発生装置かな?稼津斗師匠がグローブとかに筋力強化の為の重り仕込んでるみたいに。


「多分な……とは言ってもお前達の場合、筋力負荷じゃなくて魔力負荷だろうけどね。
 成長期の筋力負荷は身体に負担をかけすぎるが、魔力負荷なら問題ないし、今の時期のお前達は効率よく魔力を伸ばせるだろうからな。」


成程。
時に稼津斗師匠は、ドレだけの重さのグローブしてるんですか?


「……持ってみ?」

「はい?」


――ドガシャアァァァァァァァァァァァアァ!!


はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?
何ですかこの凄まじく重いグローブは!?此れを付けてさっきの拳打を放つって、ドンだけなの稼津斗師匠!?てか、此れ片方でドレだけあるの~!?


「遊星特注なんだが、片方で約20㎏、靴は片方30㎏で、胴着の下に着てるインナーは50㎏……占めて総重量150kgって所だな。」

「其れだけの重さを背負っても普通に動く稼津斗師匠……やっぱりチートだ!!」

でも、と言う事はつまり、この魔力負荷を発生させるリストバンドをしておけば私の魔力もどんどん伸びるって事だよね?
だったら早速装着して……


――ズン!!


って、此れは思った以上に負荷がきつい!?
身体が思うように動かせない上に、魔法も巧く出せない……此れは可成りきついリミッターだね?


「だが其れが良いんだ。
 ノーヴェが言うには、負荷と解放を繰り返す事で飛躍的に魔力が伸びるし魔力の出力も上がる……一種の基礎固めらしいからな。」


OK……基礎が盤石なら恐れる物は何もないって、お父さんとお母さんも言ってたからね。
可也ハードなトレーニングになるだろうけど――分かった、頑張る!!


「良い返事だレーシャ――其れじゃあ始めるぞ、最速のラッシュファイターになる為の特訓をな!」

「押忍、お願いします!!」

目指すは超スロー再生じゃないと確認できない程の打撃速度!
インターミドル予選までに必ず極めて見せようじゃないの、『スピード=パワー』が売りとなるラッシュファイターの究極形態をね!!















 To Be Continued… 








*登場カード補足