――ミッドチルダ南部・不動家



Side:アインハルト


私のデバイスが完成したとの事で、レーシャさんの自宅にお邪魔した訳ですが……


「さて、そんな訳で、頼まれてた覇王の愛機が完成したんで、お披露目&お渡し会といこか~~~♪」

「俺達の持てる技術を全て注ぎ込んでみた。――気に入ってくれると良いんだが……」


レーシャさんのお母様とお父様は、片や『管理局の特務佐官』で、片や『管理局屈指の技術者』の肩書を持ちながら、何とも親しみやすい雰囲気ですね。
お父様――遊星さんは、少しばかり『取っつきにくい』印象を受けますが、本当は誰よりも優しい方であるのが分かります。

お母様――はやてさんは、言うに及ばず……正に『理想の母親』を体現したような人だと感じます。優しさに溢れた笑顔は、心がとても温かくなります。


「しかしよ、こう言っちゃなんだが、はやて達の持つベルカのデータを元に、遊星が作り上げたデバイスなんてトンでもねぇ魔改造品なんじゃねぇか?
 下手したら、其れこそロストロギア級の性能を持ってるんじゃねぇかって思っちまうぜ?」

「いや、兄貴……幾らはやて司令と遊星さんだって、其処まではあり得ねぇと思うぞ?」

「実は試作一号機は、バリバリロストロギア級の性能になったんで、急遽性能を80%ダウンして、一般的なデバイスに落ち着かせたんよ?」

「「80%ダウンで一般的!?……インチキ効果も大概にしろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」


お前が言うな!……はて、何でこんな物が思い浮かんだのでしょうか?
其れは兎も角、御二人でデバイスを組んでくれたのですか?


「いや、ユニットベースはツヴァイが組んで、俺とはやてでAIシステムその他を構築・調整したんだ。中々面白かったけどな。」

「んで、外装はアギトの手作りや♪」

「そーなの♪」


其れはまた……如何やら私の専用機は、素晴らしいモノであるようです――此れは、手にするのが楽しみですね。












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow26
『覇王の相方、その名はティオ』











「へ~~~……調整に遊星が関わってるとは言え、コイツはマジモンの真正古代ベルカの特注機じゃねぇか?
 正にアインハルトにピッタリのデバイスって所だろコイツはよ!」

「クロウの旦那もそう思うだろ?デバイスの性能に関しては折り紙付きだけど、外装に関してはアタシも色々考えたんだよ。
 んで、ヴィヴィオやルールーに連絡してシュトゥラの歴史を調べてみたんだ。」

「その中で、クラウスは豹を飼っていたと聞いたんだが、間違いないか?」


あ………はい。
雪原豹は、シュトゥラでは優秀な兵士でしたから、クラウスも大切にしていました……其れこそ兵士と言うよりも、家族であるかのように。


「なんで、外装はシュトゥラの雪原豹をモチーフに作ってみたんだ!」


「って事は動物型?」

「あんまし大きいと、連れ歩くのが大変じゃねーのか?」


「その辺はノープロブレム!ツヴァイ!」

「はいです!」


これは……この大きな箱は若しかして……


「其処にお前の相棒が居る、開けてみてくれアインハルト。」


矢張りこの中に!
一体どんな子が居るんだろう?シュトゥラの雪原豹をモチーフにしたと言う、私の……私だけのパートナー……アナタは、果たしてどんな姿をして―――

「………え?」

「猫?」

「如何見ても猫だろ此れ………豹のモチーフ何処行った!?確かにヒョウ柄ではあるけどよぉ……ダメだ、猫にしか見えねぇ……」


「だろうな、極端にデフォルメを施してあるからな。」

「ぶっちゃけ豹やなくて猫や猫♪アギト自身も『此れは豹じゃなくて猫だな』て言うとったからな~~~?
 見た目が期待外れやったらゴメンナサイやけど、性能の方は折り紙付きやで?」


いえ、そんな……あ、少し動いてる……


『……にゃあ♪』


――ズギュゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!



こ、これは……可愛すぎます!!
つぶらな瞳でそんな可愛い鳴き声は反則でしょう……えぇ、其れこそ一撃でハートを撃ち抜かれましたよ!……こんな、こんなに可愛い子が私の……!


『にゃ?』


でも、可愛いだけじゃない……とても温かい、其れこそ本当に生きているみたいに。
今更かもしれませんが、こんなに可愛い子を本当に私が頂いても宜しいのでしょうか?


「勿論だ、アインハルトの為に生み出したんだからな。
 製作した側としては、お前がそのデバイスの性能を引きだし、共に歩んでくれる事が最大の願いだ…アインハルトには其れと共に進んで欲しいんだ。」

「遊星の言う通りやでアインハルト?その子は君だけの子や。
 其れに、実を言うとマスター認証が未だ済んでないんや………その子に素敵な名前を付けてあげてくれるかなぁ?」

「マスター認証は庭でやるです♪」


私だけの……分かりました、ありがたく拝領させていただきます。
そしてマスター認証。私がこの子のマスターとなる為の大事な大事な儀式――最高の名を贈りたい所ですが、さて如何したモノでしょう?




あぁ……そう言えば、オリヴィエ聖王女殿下が特に気に入ってらしたつがいがいたっけ。
気の早いオリヴィエ殿下は、何時も生まれる前から名前を考えていてくれて……
でも、クラウスとオリヴィエ殿下の最後の年――生まれて来る事が出来なかった子が居て……あの豹の子にはどんな名を贈ろうとしていたんだっけ?



そうだ、思い出した――二人が好きだった物語の主人公。
勇気を胸に、決して諦めずに進む小さな英雄の名前――貴方に贈る名は、此れを措いて他にはないでしょう。

「個体名称登録――アナタの名前は『アスティオン』。愛称は『ティオ』――

『にゃあー♪』

「アスティオン――セットアップ。」


――フィオォォォォォォォォォォォォォォォォ………


此れは……ティオのサポートがあるからでしょうか?今までの武装形態よりもシックリくる感じがします。
其れに、追加のオプションで付けて頂いたナックルガードと、レガース付シューズも、今までのグローブとシューズよりも身体に馴染む気がします。


「巧く行って良かったよ。はやてのアイディアで、デバイスにチューナーモンスターのデータを組み込んだのは正解だったみたいだな?」

「チューナーはシンクロする力を持ったモンスターやから、そのデータを組み込めば使用者とよく馴染むと思ったんよ。」


チューナーモンスターのデータを……成程、ならばまるで長年使って来たかのように身体に馴染むのも理解できます。
此れから宜しくお願いしますね、ティオ?


『にゃあ~~~♪』


「早速仲良くなったみたいやね。」

「それじゃあ、最終調整をしてしまおうか?
 幾らチューナーのデータを組み込んであるとは言え、矢張り最後の細かい調整だけは使用者が一度起動してからじゃないと出来ないからな。」


はい、宜しくお願いします!



これで、インターミドルの参加資格はすべてクリアした訳ですから……後は、当日までに如何に己を高める事が出来るかですね。



大丈夫――私とティオならきっとやれます!インターミドル予選開始が楽しみになってきました。








――――――








Side:レーシャ


さてと、今日の晩御飯はシーフードカレードリアと、トマト入りコンソメスープに、豆腐とタマネギの中華風サラダ!
ん~~~、やっぱりお母さんの料理は最高だね。

「じゃあ、アインのデバイスはちゃんと出来たんだ?」

「あぁ、特に深刻な不具合もなくな。
 アインハルトも気に入ってくれたみたいでよかった――頑張った甲斐があったよ。」


まぁ、お父さんとお母さんで組み上げたデバイスだから、不具合が出る何て事は京に一つあるかどうかって所なんだけどね……寧ろあり得ないよ多分。

でも見たかったなぁ、アインのデバイス。


「丁度入れ替わりになってもうたからね~?
 まぁ、その内練習で見る事も出来るやろ?……そんで、今日のデュエルは如何やった?その顔見ると勝ったんやろうけど。」

「もっちろん大勝利です!
 大型モンスターポコポコ出してくるような人だったけど、バーサーカーで斬り込んで、最後はパラディオスと閃光龍でパーフェクト勝ち決めてきました!」

「パーフェクト勝利か。其れは凄いな?」


でも、其れで満足しちゃいけない――でしょ?
私の目標は、取り敢えず今年から参加できるようになったデュエルの『ジュニアカップ』で優勝する事!そして、最終目標はお父さんに勝つ事だから!


「おぉ!その意気やでレーシャ!
 遊星に勝つのはかな~~り難しいかもしれんけど、どんな事にも『絶対』はないんや!諦めなければいつかきっとやで?」

「そうだな……何事にも『絶対』はない。
 何より、デュエルする度にレーシャがレベルアップしているのが俺には分かるからな――俺を超えるのは、そう遠くない未来なのかもしれないな。」

「「おねちゃ、がんばってね~~~!!!」」


押忍!頑張ります!!


あ、それでね、実は今日のデュエルの後に物凄い有名人と会っちゃったんだ~~~♪


「「有名人?」」

「インターミドルのトップクラスファイターの『ハリー・トライベッカ』選手。通称『砲撃番長』だよ♪」

「ハリー選手って……あの見事な喧嘩根性しとる赤毛の子か~~~!
 ドンだけボロボロになっても、不屈のど根性で勝利をもぎ取ってく姿が印象的やったから良く覚えとるけど、そらまた偉い有名人と会ったもんやね~?」


どうも『見る専』だけどデュエルファンだったみたいで、しかも私のファンでいてくれたらしくて、サイン求められちゃいました。
まぁ、ヴィヴィ達が番長にサイン貰った時に、私のサインも貰ってくれてたみたいだし、サインを断る理由もないしハネクリのイラスト付きサインをしたよ。

あ、因みに此れが番長から貰った直筆サインで。


「なんちゅうキュートなイラストや。」

「彼女の試合からは想像が出来ないが……人は見かけによらないと言う事なんだろうな。」


私も驚いたよ~~。
でも、おかげで番長とは友達になれたし、インターミドルの本戦でぶつかったその時は、手加減なしで良い試合をしようって約束もしたから――


「なら、明日からの練習は此れまで以上に頑張らないとだな?」

「うん!」

頑張るよ!
皆と一緒に、リラと一緒に頑張るよ――今よりももっと、今日よりもずっと強くなる為にね!


「その気持ちを忘れんようにな?……で、ドリアのお代わりいるか~~?」

「あ、うん『大盛り』で!」

「はいな♪沢山作ったから、一杯食べてな~~~♪」

「はやて、俺にもお代わりをくれるか?レーシャと同様に『大盛り』で。」

「ん、了解や♪」


だけど今は、お母さんの美味しい料理で英気を養って、明日からの特訓に備えるとしますか♪








――――――








Side:稼津斗


「ん?」

「どったの稼津斗兄ちゃん?」


セインか……いや、ヴィヴィオ達からメールが来てな?
『改めてやる気の出る事があったから、ガンガン特訓付けてくれ』だとさ……何とも師匠冥利に尽きる事を言ってくれるもんだ。

「良い事じゃん其れ♪」


あぁ、やる気があるのは良い事だからな。
ノーヴェの方も準備は出来ているようだし、何より明日は祝日だからな――明日から、早速『秘密の特訓メニュー』の始まりだ。















 To Be Continued… 








*登場カード補足