Side:アインハルト
まさか私専用のデバイスにまで話が及ぶとは思いませんでした。
しかもそれの開発を担ってくださる方は、ミッドチルダでは――否、次元世界でその名を知らぬ人は居ないとまで言われる『不動夫妻』とは……
姓名から、レーシャさんの両親がそうであると言うのは予測していましたが、よもや本当にそうであったことには驚きを隠せません。
けれど、私の心は未だかつてない位に踊っているのもまた事実。
それと、ヴィヴィオさんと出会って以来、クラウスの無念を象徴するような悲しい夢を見る事もなくなった。
代わりに見るのは、オリヴィエ聖王殿下との短くとも幸福であった日々――極めて短期間であったとしても、間違いなく幸福であった日々の記憶。
でも、私の思いは変わらない。覇王流の強さを証明する思いに変わりはない。
けれど、その舞台は命を賭した場ではなく、競技格闘の世界であるのかもしれない……或は、現代に於いては其れが正しい事なのかもしれない。
「私はずっと、命懸けの世界でなければ到達できないモノと決め付けて居ましたが、如何やらそうでもないようです。
だからクラウス、私はこの世界で私の悲願を果たします。貴方に追いついて、貴方を追い越して、あの日のオリヴィエ殿下よりも強くなります。」
そしてその果てに、私達の悲願は成就される。
だから、当初の目的とは変わってしまいましたが、冥界で見て居て下さいクラウス――私は、必ずやこの悲願を達成して見せる。
受け継いだ覇王の拳、其れが私の誇りなのですから。
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow22
『踏み出そう、新たなる世界に』
Side:ヴィヴィオ
ん〜〜〜〜、3日目も良い天気!
流石に、昨日アレだけの超次元バトルの3連戦を行ったって事で、合宿3日目の午前中はゆっくりマッタリお休みです。
……アレだけのバトルを行ってケロッとしてるママとアインスさんと稼津斗師匠は一体何者なのかと思ったけど、此れは突っ込むだけ無駄だよね。
本気で何者なんだろう?フェイトママはグロッキー寸前だったのに、なのはママは全然平気って――うん、考えるの止めとこう。
「本気で良い天気だな……此れも普段の行いの良さってか?」
「かもね♪」
賑やかな朝食を済ませて、今はノーヴェと適当にブラブラしてる。
何か目的があるとかそう言うんじゃなくて、本当に、トレーニングとかそう言うのは一切無しにしての所謂『お散歩』的なぶらつきだね。
っと、そう言えばありがとうねノーヴェ?
「あん?なんだよ行き成り、藪から棒に?」
「アインハルトさんをこの合宿に誘ってくれたのとか、一緒に練習できるような感じにしてくれた事とか……兎に角色々だよ?」
「別に、アタシは声かけただけさ。
合宿に参加したのも、お前等と一緒に練習しようと思ったのも全てはアインハルトの意思だ、アタシは特別な事はしてねぇよ。」
かも知れないけど、おかげでアインハルトさんはインターミドルに興味を持って、出場も決めたみたいだから、ヤッパリありがとうだよノーヴェ♪
「ならその礼は受けっとっとくぜ。
けどまぁ、あいつが魔法戦競技の楽しさを知って夢中になってくれるってんなら何よりだよ。
んで、その中で、お前等も一緒に、楽しみながら強くなってくれれば、何よりも其れが一番だな。」
はい、師匠!此れからもご指導宜しくお願いします♪
「―――おう、任せときな。
稼津斗の旦那と一緒に、お前等を一流の格闘家に育て上げてやるよ。――だから、楽しみにしときな。」
うん!
マッタク贅沢極まりないかもだけど、私達は良い師に巡り合えたんだろうなぁ〜〜……よし、此れからも頑張っていきまっしょい!!!
――――――
Side:レーシャ
「管理局の魔導騎士、不動はやて司令と技術部総顧問の不動遊星博士……レーシャさんのご両親とのことですが、一体どんな方なのでしょう?
御二方とも、色んな事件を解決した歴戦の勇士との事ですから、失礼ですが矢張り少し怖い方なのでしょうか……?」
「ん〜〜〜…お父さんは第一印象を怖く感じる人も居るだろうけど、実は全然そんな事ないし、お母さんはとっても優しい人だから大丈夫だよ?
其れに、お父さんもお母さんも肩書は大層だけど、そんなのはあんまり普段は気にしてないからね?だから、そんなに固くならなくて良いって。」
「そうそう、肩書は凄くても、その実態は只のラブラブ夫婦だから、そんなに緊張しなさんな。
……てか、アンだけ仲睦まじくてラブラブなのに、周囲が砂糖吐く事が殆どないってのは何でだろ?」
大体お父さんのせいだよルールー。普段はお父さんがクールに対応するから其処までじゃないの。
だけどね、お父さんがクールにデレたその時は、私や兄妹達、或は八神家の皆さん並の耐性がない人間は、砂吐いて即死する運命だからね?
あのエクゾディア級のラブオーラに耐えられる人間なんて、あらゆる次元世界を探したところで、果たして何人いるモノやら……
ま、私達のお父さんとお母さんが最高だって言うのは間違いないんだけどね。
さてと……よし、通信繋がった。
『お、レーシャか!其れとルールーも、久しぶりだな〜〜〜!』
「おい〜〜っす、アギト!」
アギト、来てたんだ。って言う事はシグナムさん達も家に来てるのかな?偶には夜天の主と騎士達との触れ合いも大事だろうからね。
そんでさアギト、お父さんとお母さんは?
『居るよ?デバイスの件だろ、ちょっと待っててくれ。』
――ぬぅ……
「「「!!!?」」」
で、アギトが呼んで来てくれた訳だけど、何してんのお父さんもお母さんも!?なに、その狸と蟹のお面!?
てか、お母さんは兎も角、何でお父さんまで付き合ってるの〜〜〜〜〜!?
『お〜〜〜、元気そうやなレーシャ?ルールーもお久しぶりや♪』
『合宿の方は如何だ?』
其れは問題なくやってます。だけど今のはなんで?
『ちょっとした茶目っ気兼、緊張しとるであろう子を和ませよ思ってなぁ〜〜〜……折角やから遊星にも付き合って貰ったんよ〜〜〜。』
『別に断る理由もなかったからな。』
さいですか……
「レーシャさん、この方達が……」
「そ、私の両親です。
でねお父さん、お母さん、今日はアイン――隣りにいる彼女の事で相談があるんだけど……」
『うん、分かっとるよ?
覇王イングヴァルト陛下の正統血統、ハイディ・E・S・イングヴァルト、格闘技『覇王流』を継承しとる覇王の正統な末裔。
ちょっとやんちゃしてた事も有ったけど、今はノーヴェ師匠やレーシャ達と一緒に魔法競技戦に一生懸命な、真面目で良い子やって聞いとるで。
そないな子にやったら、幾らでも協力するよ〜〜〜♪』
『公式魔法戦用のデバイスとの事だが、どんなデバイスが良いのかとか決まっているのか?』
「あ、はい。」
注文があるならどんどん言っちゃった方が良いよアイン。
普通の技術者には無茶振りと思えるような事でも、お父さんなら楽々やってのけちゃうし、古代ベルカ関係ならお母さんの知識だって凄いから。
デバイスにも武器型とか装着型とか色々あるしさ。
「格闘戦技のみで戦いたいので、武器型ではない方が……」
『成程な〜〜〜……格闘家さんやモンね。
となると、動きを阻害する装着型もなしやろなぁ?スバルのナックルやキャリバーも、見た目以上に何だかんだで結構重いからなぁ……』
『だが、バリアジャケットのオプションとして、拳と足を保護する意味でナックルガードやレガースを展開出来るようにしても良いかもしれないな。
しかし、そうなるとリラの様な補助型と言う事になるが……』
「はい、そのタイプでお願いしたかったんです。」
だよね。
私もヴィヴィも、魔法格闘で戦いたいから自分のデバイスは補助型を希望してた訳だから、アインが補助型を求めるのは至極当然の事だよ。
『成程な〜〜〜、ほんならリラの性能をベースに、エンシェントベルカのシステムで組むのがえぇかなぁ?』
『あぁ、其れが一番だろうな。
既にベースはあるから術式のシステム変更だけなら其処まで時間はかからないし、機体そのものは直ぐにでも完成させられるな。』
いや、そんなあっさり言ってますけど、エンシェントベルカで組み直すって結構な事なんだよお父さん!?
そもそも、エンシェントベルカのシステムを搭載したデバイスなんて、今の世には3機しか存在してないってのに……やっぱりお父さんは凄いよ。
あ、でもエンシェントベルカについてはお母さんが居るから大丈夫か。
『ホンならアインハルト、覇王の愛機、先ずは軽く取り掛かってみるわ。』
『全力を持って作らせて貰おう。』
「はい、お願いします!!!ありがとうございます!!」
如何やら話はまとまったみたいだね〜〜〜。てかリラも一緒にお辞儀しなくて良いから…それ以前にハネクリボーだとお辞儀にならないからね?
『まぁ、詳しい話も聞きたいから、合宿から戻ったら一度家か本局に遊びにおいで〜〜?』
「はい。」
『それにしても、合宿か……機会が有ればまた参加したいものだが――レーシャ、遊陽とシュタームは元気でやってるか?』
元気ですよお父さん様……私の背後をご覧ください。
『ネガ、ネガ、イネガ♪』
「「わ〜〜〜〜〜〜い♪」」
と、あの様にすっかりジャンク・バーサーカーに懐いているようで、更にジャンク・バーサーカーも懐かれて嬉しいらしいので。
取り敢えず、ジャンク・バーサーカーには子守のスキルがある事は間違いないようです……そのお蔭で、子守を任せてトレーニング出来るけどね。
兎に角、私も遊陽もシュタームも元気そのものだから安心して?
『うん、元気な姿見て安心したわ。帰ったらたくさん土産話聞かせてな?』
「勿論だよお母さん!今回の模擬戦も色々凄かったから、私も聞いてほしいからね。――それじゃあ、この辺で通信切るね。」
『あぁ、後は帰って来てからだな……残りの日程も頑張れよ。』
うん………此れにて通信終了と。
さてと、如何だったアイン、私の両親は?別に怖くなかったでしょ?
「はい……御二人ともとても優しい感じを受けました。
其れに、私のデバイスの事を真剣に考えて下さいましたし……とても、良い方達なのですね。」
「自慢のお父さんとお母さんですから♪」
其れは兎も角、今日は1日丸々お休みな訳だから……アイン、此れからコロナを誘ってデュエルしない?
デュエルに興味があるみたいだし、自分のデッキも持ってるみたいだから、デュエルしようよ……つーかぶっちゃけ……オイ、デュエルしろよ。
「其れは構いませんが……何ですかそれ?」
「お父さんの名言にして迷言です――昔は不良系だったらしいので。そんで、如何する?」
「是非とも一槍お願いします……一度、本当のデュエルと言う物を体験したいと思っていたので。」
OK、そう来なくっちゃ!
そんじゃまぁ、コロナを誘って全力のデュエルと行きましょうか!……此れを機にアインがデュエリストの道も目指してくれたら其れは其れでだね。
――――――
Side:遊星
レーシャ達も元気そうで安心したな。
しかし、もうインターミドルの時期なのか……確か、近所の子達の中からも出る子が居たんじゃないか?
「ザフィーラの教え子たちやな?何人か出るみたいやで?
皆何時も頑張っとるけど、レーシャ達のライバルになりそうな子っておるんやろか?」
「居ますよ1人。」
「スゲーのが1人居るぜ?」
レーシャ達のライバルになり得る凄い奴と言うと――あの子かな?確かミウラと言ったと思ったが……
「正解!ザフィーラとだけじゃなくて、アタシやシグナムともちょくちょく模擬戦してっから実力は折り紙付きだ――レーシャ相手でも負けないぜ?」
「おぉっと、其れはまた大きく出たなぁヴィータ?
やけどレーシャはプレシアさんの身体を持って、私の魔導技術と遊星のデュエルタクティクスを受け継ぎ、格闘の師匠の1人がチートバグやで?
ミウラの能力の高さは見事なモノやけど……其れを認めた上で敢えて言おう、私達の娘に勝てる思ってんのかい?」
「思うんじゃねぇ……勝つんだぜはやて?……幾らはやてでも此処は譲らねぇ!!!」
矢張りミウラか。
確かに彼女ならば、レーシャ達のライバルとなるかも知れない……もっと言うなら『親友兼ライバル』と言った存在になってくれるかもしれないな。
如何やら今年のインターミドルは、例年よりも面白い事になるかも知れないな。
予選開始まではあと2カ月――今年のインターミドルでは、どんなドラマが生まれ、そしてどんな絆が試合で紡がれるのか……楽しみだ。
To Be Continued… 
*登場カード補足
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