Side:セイン
――ドッガァァァァァァァァアァァッァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
あくまでもモニター越しに見てるだけなんだけど、其れでも敢えて言うよ?……何だこのリアル最終戦争!?
誰が如何考えたって模擬戦のレベルじゃないよ此れ!!つーか模擬戦なんかじゃなくて、マジで全力全壊の全面戦争の間違いだよね此れは!?
まぁ、稼津斗兄ちゃんは先ず間違いなく無事だと思うけど………それ以外は全滅とかしてねーよね?……此れが模擬戦とは驚きだっての!!
「まぁ本気のブレイカーがぶつかればこうもなるわねぇ〜〜〜。
あの訓練施設は、ルーテシアが可成り気合い入れて作ったんだけど、今のブレイカーのカチ合いで相当に吹っ飛んだみたいだもの…皆凄いわぁ。」
其れで済ませていいのかよメガーヌさんよぉ!?
「まぁ、ある程度の予想はしていたからねぇ?……さてこの最終戦争の結果は如何程かしらね?」
「あ、其れはアタシも気になる!」
今の爆発を考えるに、両チームとも半数以上が戦闘不能になったと見て間違いはないと思うけど、全滅したってのもまた有り得ないからね。
そんでもって同時に思うよ……ドクター、アンタ完全に喧嘩売る相手間違ってたよってさ………
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow20
『これぞ、強靭!無敵!!最強!!!』
No Side
炸裂した2つの集束砲が巻き起こした大爆発!
フィールドの全てを吹き飛ばさんばかりの其れは、恐らくはセインの予想通りに両チームの戦力を的確に削るに至って居た。
簡潔に言うならば……
フェイト:LP0 アインスのSLB着弾直前にエリオの一撃が直撃して撃墜
エリオ:LP0 ティアナのSLBが直撃して撃墜
「あう〜〜……此れは結構効いた〜〜〜……」
リオ:LP10 ティアナのSLBを辛うじて防御するもダメージ過多で行動不能。
「あ〜〜ん、やられたぁぁ!!」
なのは:LP0 SLB直後の一時的な能力低下のせいで、ティアナのSLBを相殺しきれず撃墜。
「な、何か凄く負けた気分……」
ティアナ:LP0 健闘するも、アインスのSLBを相殺するには至らず、余波(と言うにはあまりにも強烈な一撃)を受けて撃墜。
両チームとも指揮官と主力クラスが揃って撃墜されていた。
加えて………
「ひ〜〜ん、やられたですぅ!!」
ツヴァイ:LP0 アインスのSLB着弾直前にレーシャのボディブローを喰らって撃墜。
「此れって何て戦争?」
「其れは神様にでも聞くべきかも………」
キャロ&ルーテシア:LP0 双方ともにSLBの直撃を喰らって撃墜。
「スバル……集束砲ってのは恐ろしいと思ったのはアタシだけか?」
「いんや、多分これに参加してる人全員が思ってるんじゃないかな?」
スバル&ノーヴェ:LP0 SLBの着弾直前に互いにそれぞれの必殺の一撃を喰らって、姉妹仲良く撃墜。
ツヴァイとルールーとキャロ、スバルとノーヴェが戦闘不能状態だ。
だがしかし、未だ元気な連中も居る訳で……
「うっわ〜〜〜……ティアナさんのブレイカーは、なのはママにも負けるとも劣らずって感じだね……」
ヴィヴィオ:LP1900 ティアナのSLBが着弾直前に超銀河眼の光子竜が割って入ってダメージ軽減。
「其れを押し切ったアインスさんも大概だけどね……!」
レーシャ:LP2000 ティアナのSLBをくず鉄のかかしで軽減
「だが、此処からがメインイベントなのは間違いなさそうだ。」
アインス:LP2500 ティアナのSLBの余波を受けるも、元々の防御力が異常に高かったことで生存。
「俺達のぶつかり合いで決まるのは、間違いなさそうだな?」
稼津斗:LP2700 アインスのSLBを絶気障で軽減。
「その様ですね……ですが、此処で退く事は出来ません。」
アインハルト:LP2000 アインスのSLB着弾直前にコロナのゴーレムが盾になってダメージ軽減。
「勝負は最後まで分からない……思いっきり行こう!!」
コロナ:LP1700 アインスのSLBを防御輪で軽減。
赤組は、稼津斗とアインハルトとコロナが残り、青組はアインスとヴィヴィオとレーシャが残ると言う結果になった――ある意味、最強の布陣だろう。
双方、全員がライフを4桁維持だが、しかしお世辞にもとても多いとは言えない数値なのも確か。
下手をすれば一撃で危険域に入るだろうし、ともすれば一撃で撃墜されかねないレベルのライフ数値なのだ。
そんな中で最初に動いたのはアインスだった。
一足飛びとも言うべき高速移動で稼津斗に肉薄し――
「悪いが後でな?」
「!?」
何もせずにその横を素通りして、後方に陣取っているコロナに一直線!
この局面で、ゴーレムの精製能力を有するコロナを潰しておくのは、有効だろう――数の利を完全に潰す事が出来るのだから。
「させるか!!」
「そうは行かないよ稼津斗師匠!永続魔法『つまずき』を発動!!」
「のわぁぁ!?……レーシャ、お前こんなカードデッキに入れてたか!?」
「デュエル用のデッキと、格闘戦用のデッキは違うんだよ稼津斗師匠!!」
すぐさま稼津斗はコロナを援護しようと向かうが、其処はレーシャが永続魔法カードを使って阻止する。
無敵にして最強のカードである蒼銀の戦士こと稼津斗も、実体化している状態であればある程度のカード効果は有効であるらしい。
「く……ならば私が!!」
「そうは行きませんよ、アインハルトさん!!」
それを見たアインハルトがコロナの救援に向かわんとするが、此方には速攻でヴィヴィオが回り込み、アインハルトの行く手を遮る。
此処は青組の巧さが出たと言うところだろう。
稼津斗とアインハルトの実力を考えれば、長時間抑えておく事は出来ないだろうが、僅か5秒程度であってもアインスには充分過ぎる時間なのだ。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「く、ゴライアス!!!」
『ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!』
迫り来るアインスに対し、コロナはゴライアスで対抗する。
身の丈数メートルにもなるゴーレムの一撃は、普通ならば喰らえば一溜まりもないだろうが、相手は嘗て史上最悪と謳われたロストロギアである。
如何にコロナのゴーレム精製術が一級品であってもその力が及ぶはずもない。
「小賢しい……砕け散れ、ナイトメアハウル!!!」
――バガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
ゴライアスに肉薄すると同時に放たれた零距離砲撃は、いとも簡単にゴライアスを粉砕し、そして術者であるコロナにも凄まじいダメージを与えて行く。
結果………
「く……参りました……」
コロナ:LP1700→1 ゴライアスが奮闘したおかげでギリギリ生き残ったが行動不能。
何とかダメージを軽減したモノの、残りライフが1となり行動不能となり、コロナは此処で脱落。
だが、其れでもコロナの顔には笑みが浮かんでいた。
「だけど、只ではやられませんよアインスさん!」
「なに?……な、此れは!!!」
――バガァァァァァァッァアッァァァァン!!!
「うわぁぁぁっぁあ!!」
アインス:LP2500→1800(クラッシュエミュレート:右手首軽度火傷&右下腕部裂傷多数)
「トラップカード『破壊指輪』……あらかじめゴライアスに仕込んでおいたんです……
だけど、本当だったら1000ポイント削る筈だったのに700ポイントのダメージだなんて、本当に凄い防御力ですよアインスさん。」
落とされようとも只ではやられず、コロナはゴライアスに仕込んでいた罠で、アインスに確実にダメージを与えて見せたのだ。
特にクラッシュエミュレートを発生させたのは実に大きいと言えるだろう。
だがしかし、此れで人数は3vs2となり、数の利は青組にあると見て良いだろう。
コロナの撃墜を確認したアインスは、すぐさまレーシャに合流し、稼津斗を相手に戦闘を開始し、レーシャもアインスと共に猛攻を仕掛けて行く。
同時に――
「せいやぁ!!」
「なんの!!」
タイマン勝負となって居るヴィヴィオとアインハルトの戦いも、自然と熱を帯びて来ていた。
単純な格闘技の技量と、身体能力、実戦経験、そしてスタミナ――これ等は如何考えてもアインハルトの方がヴィヴィオよりも上である。
普通なら、アインハルトが圧倒するところだが、ヴィヴィオにはアインハルトにはないモノがある。
「く……矢張り厄介ですね、その『見切り』は!」
「此れが私の得意技ですので!」
其れは攻撃の気配を感じ取って回避する高町士郎直伝の『見切り』と其れを生かした一閃必中の『カウンター』だ。
この最強の組み合わせには、アインハルトも手を焼き、以前に戦った時に使った相手の避ける気配を察知して攻撃する事でカウンターを防いでいた。
故に、実力的にはインターミドルのトップ選手には及ばない2人の戦いは格闘技ファンでも感嘆する程の見事な攻防となって居たのだ。
そしてその戦いは正に削りあい!!
互いにクリーンヒットを許さず、しかし完全防御も出来ず、一桁ポイント単位での極めて激しい戦いが繰り広げられている。
「如何ですかアインハルトさん?こういう『ルールの中での戦い』って言うのも悪くないんじゃないですか?」
ヴィヴィオ:LP743
「えぇ、まさかこんな世界があるとは――触れもせずに否定していた嘗ての自分を恥じるばかりです。」
アインハルト:LP751
そんな激しい戦いを行って居ながらも、聖王と覇王を継ぐ2人の少女の顔には薄く笑みが浮かんでいた――この状況を楽しんでいるのだ。
「だけど、この勝負は私が勝たせて貰いますよ!!」
――メキィ!!
「ガハ!?」
アインハルト:LP751→451
だが、勝負は突如動いた。
アインハルトの上段突きを躱して放たれたカウンターの裏拳は囮であり、本命のミドルキックがアインハルトに炸裂したのだ。
カウンターフェイントとでも言うこの反撃を見切るのは難しく、辛うじて点はずらしたモノのライフを300削られ、大きく体勢を崩してしまう。
その僅かだが確実な隙を見逃す程ヴィヴィオは甘くはない。
一気に鋭く踏み込み……
「アクセルスマーーーーーッシュ!!!!」
踏み込みの勢いと全身のバネを使って、まるで龍が天に昇るかのごとき勢いで全力全壊のジャンピングアッパーカット一閃!!
的確に顎を捕らえた一撃故に、仮に撃墜できなくともアインハルトは此れで行動不能だろう。
ヴィヴィオも勝ちを確信したようだ――が。
――バキィィィィ!!!
「!?」
倒れ行くアインハルトの右足が振り抜かれ、攻撃後で無防備なったヴィヴィオの側頭部を的確に蹴り抜いてみせたのだ。
意識は……恐らくないだろう。日々の鍛錬で身体に染みついた動きが、意識を失う刹那の瞬間に最後の抵抗を見せ、ヴィヴィオを蹴り抜いたのだ。
だが、と言う事はつまり………
「…………」
ヴィヴィオ:LP743→0 撃墜
「…………」
アインハルト:LP452→0 撃墜
ダブルKOである。
都合3度目となるヴィヴィオとアインハルトの戦いは、両者撃墜のダブルKOと言う壮絶な結果を残して幕引きとなった。
――――――
此れで残りはレーシャとアインス、そして稼津斗の3名。
その3名もまた凄まじい攻防を繰り広げていた。
「ちぃ……流石にお前達2人を俺1人で相手にするのは些かきつい物があるな?」
稼津斗:LP1200
「私達2人の波状攻撃を最低限の被弾で捌いておいてどの口が言うかそれを……」
「流石はお母さん指定の『永久追放禁止カード』だよね……」
如何に天然チートバグの稼津斗であっても、同様のチートキャラであるアインスと、現在伸び盛りで成長著しいレーシャが相手では楽ではないようだ。
2人の猛攻を見事な防御で防いではいるが、少しずつとは言えライフは削られているのだ。
だが一方でレーシャとアインスも、完全に防御に入った稼津斗に対して決定打を入れる事が出来ないでいる。
このまま削り倒す……と言うのは恐らく無理だろう。
其れでも攻撃の手を緩めないのは、手を緩めたらその瞬間に稼津斗が反撃に転じると思っての事だ。
しかしそれも、稼津斗の防御がレーシャ達の攻撃に完全に対応して来た事で僅かばかりの削りダメージも期待できなくなってきている。
だとしても矢張り稼津斗は攻勢に転じられないと言う膠着状態。
――そして其れを破ったのは稼津斗だった。
「このままじゃ埒が明かないな……仕切り直しだ、爆閃衝!!!」
「なに!?」
アインス:LP1800→1050
「うわっと!?」
レーシャ:LP2000→925
範囲攻撃でレーシャとアインスを吹き飛ばし、間合いを離しての仕切り直しをして来たのだ。
「本気でお前達を相手にするのは楽じゃないよ。
だが、お互いにライフは残り少ないから、此処は小細工なしでお互いの最強の一撃での純粋な力比べと行かないか?」
そして、其処で力比べを要求。
確かにこのまま埒の明かない攻防を続けるよりも分かり易い決着の方法と言えるだろう――レーシャとアインスを相手にして凄い自信とも言えるが。
「異論はないな――此方とて、そっちの方が面倒な事がなくて分かり易い。」
「純粋な力比べ……タイマンなら兎も角、アインスさんとのタッグだったら私にも勝機はあるよ稼津斗師匠!」
其れでもレーシャとアインスはその提案を受け入れた。
彼女達もまた、面倒な事を彼是やるよりもスパッとシンプルに分かりやすく決着させる方が肌に合っているのだろう。
「受けてくれた事に礼を言う……なら俺も、本気の本気で行くからな!!」
――バチィ!!
そして稼津斗は己の能力を解放し、イラスト道理の『銀髪蒼眼』の姿になり、両の手に凄まじいまでの気を集中させていく。
「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
対するレーシャとアインスもまた、自らの魔力を限界まで高めている――この一撃が最後の攻防になるのは間違いないだろう。
「行くぞレーシャ、アインス!!……喰らえ、滅殺豪覇王翔哮拳!!!」
「「響け終焉の笛、ラグナロク!!!」」
放たれた気功波と、ベルカ式の直射砲が激突し、ぶつかり合った場所では激しいスパークが発生し、技の威力の凄さを物語っている。
2人を相手にして互角の稼津斗が凄いのか、銀髪蒼眼となった稼津斗に対して互角であるレーシャとアインスが凄いのか……多分両方だろう。
「ぬぅぅぅぅ……でぇりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「負ける……かぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
――バチッバチッ………ドバガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアァァァァァァアァン!!!
互いに裂帛の気合が炸裂した後に、ぶつかり合った技が臨界点を突破して大爆発!!
例え余波であっても、此れだけの技がぶつかり合った末に起きた爆風は半端なモノではないだろう。
巻きあがった粉塵が晴れると………
「結果だけで言うなら引き分け………か?」
稼津斗:LP1200→1 行動不能
「だろうな……だが、1人であれとは我が主が永久追放にした事にも納得だよマッタク…」
アインス:LP1050→1 行動不能
「この弩チートキャラ……」
レーシャ:LP925→0
見事なまでに全員戦闘不能!――つまりこの模擬戦は此処までだ。
「は〜〜い、試合終了〜〜〜♪」
「「しゅうりょ〜〜〜〜〜〜〜♪」」
『イネガ?』
「いや、アンタは呼んでねぇ。」
モニターで模擬戦を観戦していたメガーヌ(ある意味で双子も)が試合終了を宣言して、模擬戦は此れにて終了!
その結果はと言うと……
・赤組:撃墜6名 行動不能2名
・青組:撃墜6名 行動不能2名
・試合時間29分48秒:引き分け
と言うモノであった。
尚この模擬戦の一部始終を観戦していたセインは、改めてスカリエッティは喧嘩を売る相手を間違えたと痛感していたとかなんとか……
To Be Continued… 
*登場カード補足
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