Side:レーシャ
ん?なのはさんが集束を始めたみたいだね?
一撃必殺の集束砲は、切り札として取っておくものだと思ったけど、若しかして一気にブチかまして相手の頭数を減らした方が有利って思った?
まぁ、ぶっちゃけてなのはさんの集束砲は頭数を減らすどころじゃなくて、発動=敵勢力全滅って言うのが、割と冗談じゃない代物なんだけど……
だけど、その最強の切り札を切る事を選んだって言う事は、此れが勝負の分かれ道って事だよね?
だったら、私も全力でブチかますだけです!!
「あぁ!?」
「踏み込みが浅いですよツヴァイさん?それじゃあ決定打にはなり得ない、どころか相手にとって絶好の反撃の機会となる!こんな風に!!
あぁぁぁあぁっぁぁぁぁ……ボディが甘いぜ!!!!」
――ドガ!バキィ!!バガァァァァアァアン!!!
「うわぁぁぁ!?」
ツヴァイ:LP2100→1200
ボディブローから、ショートアッパーカット、そして上段回し蹴りに繋ぐこのコンボは流石に効いたでしょ?
そして同時に此れは、なのはさんに『ブチかませ』って言う合図にも他ならない!!全力全壊で行っちゃって、なのはさん!!!
「此処が勝負の分かれ道!
行くよ?此れが私の全力全壊!!スターライトォォォォッォォォォオォォォォォ……ブレイカーァァァァァァァァァァァァ!!!」
――キィィィン…・・・ドガバァァァァァァァアッァァァァァァァァァン!!!
来たー!なのはさんの不敗の超絶奥義『スターライトブレイカー』!
この一撃が決まれば、私達の勝ちは略確定する!!いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow19
『全力全壊!粉砕・玉砕・大喝采!』
No Side
撃ち放たれたなのはの『スターライトブレイカー』。
ともすれば、一撃で全てを消し去りかねない必殺の集束砲の発射を見て、しかしティアナには一遍の動揺も何もなかった。
――この状況でブレイカーを撃ってくるとは、その勝負勘と思い切りの良さは見習いたいものですが……ですが、この展開は読めていました!!
そして、ブレイカーが着弾する刹那の瞬間、突如としてティアナの前に磨き抜かれたミラーバリアが展開され、ブレイカーを跳ね返したのだ。
「ブレイカーを反射した!?」
此れには流石のなのはも驚いたようだ。
まさか、己が絶対の自信を持っている最強奥義たる集束砲が反射されるとは思っていなかったのだろう。
「発動を急ぎましたねなのはさん?――削りあいの戦いになって来た場合に、貴女がブレイカーを撃って来る事は予想していました。
確かになのはさんのブレイカーは一撃で全てを吹き飛ばす程に強力ですが、だからと言って対抗策が無い訳じゃないんですよ?」
「対抗策!!」
「なのはさんがブレイカーを撃って来る事は予想していました。だから、私は事前にコロナにこのカードを仕込んで居て貰ったんです!
トラップカード『聖なるバリア―ミラーフォース』!絶対無敵のミラーバリアが、なのはさんのブレイカーを反射してチーム全体を攻撃します!!」
その反射の真相は、コロナの最強トラップ『ミラーフォース』の仕込みがあったらしい。
なのはの戦術を読み、此れを仕掛けていたティアナは、間違いなくなのは以上の策士であるのかもしれない。
現実に、この反射攻撃が成立すれば青組は全滅必至だろう。
だがしかし、忘れてはいけない……青組には嘗て封印指定のロストロギアと言われていた、極悪チートキャラが居ると言う事を!!
「反射攻撃など……深き闇に沈め!!デアボリックエミッション!!!」
そう、リインフォース・アインスが居るのだ!
ミラーフォースの発動を見るや否や、反射攻撃に対してチートクラスの広範囲攻撃をブチかまして、見事なまでに完全相殺!!
なのはの思惑は読めたティアナだが、まさかミラーフォースの反射攻撃が相殺されるとは夢にも思っていなかったはずだ。
だが其処は若手執務官として名を馳せているティアナだ。
反射こそ成らなかったが、ブレイカーを撃った直後のなのはは大きな一発を撃てないだろうと考え、直ぐにアインハルトに指示を出す。
『アインハルト、今のなのはさんは強力な一発を撃つ事は出来ない筈だから、少しだけでも削って貰えるかしら?』
「其れは構いませんが……ですが、ヴィヴィオさんを振りきってそちらに向かうのは些か難しいと思うのですけれども……」
『其れについては大丈夫、コロナの方にも指示を出したからね。』
アインハルトになのはの方に向かうように指示を出すが、アインハルトの言うようにヴィヴィオを振りきってと言うのは、流石に無理があるだろう。
勿論ティアナもそんな事は分かっていたが故に、コロナに別に指示を出していたらしい。
『ゴガァァァァァァァァァア!!!!!』
メタル・ゴーレム サバーニャ:ATK3300
「此れは、コロナのゴーレムモンスター!?」
そう、ゴーレム・モンスターを召喚させてヴィヴィオの相手をさせたのだ。
そして、現れたゴーレムはヴィヴィオに怒涛の攻撃を仕掛け、ヴィヴィオもまた其れの対処をしているため、アインハルトを追う事も出来ない。
その隙にアインハルトは、一気になのはへと接近し、得意の格闘に持ち込まんとする。
「ヴィヴィオさんのお母様、一槍お願いします。」
普段のなのはならば、才能に溢れ、将来有望な若手との勝負は喜んで受けていた事だろう。
だが、今のなのははブレイカーをブチかましたせいで本来の力を出すためには少しばかりの休息が必要な状態になってしまっている。
加えて、アインハルトがバリバリのクロスレンジファイターであると言うのもまた悪い。
なのはは近接戦闘が出来ない訳ではないが、其れの専門家と比べれば如何したってその質は数段落ちる事は否めない。
実力から言えば、遥かに格下のアインハルトが相手でも、本来の力が出し切れない状態で、己の本分ではない近接戦闘は悪手でしかない。
が、しかし!!
『ダァァァアァッァァァァァァァァァアァァァァ!!!!』
「!?」
突如、なのはとアインハルトの間に何者かが割って入り、アインハルトの突貫を止めて見せた。
「此れは、若しかしてレーシャちゃんかな?」
『フゥゥゥゥ……テヤァァァ!!』
ジャンク・ウォリアー:ATK2300
その正体は、レーシャが呼び出した『ジャンク・ウォリアー』!
ツヴァイの相手をしつつ、状況を見極めてなのはの護衛としてジャンク・ウォリアーを呼び出したのだろう。
この辺の状況判断の鋭さは、母親のはやて譲りだろう。
逆に完全に虚を突かれた形になったのがアインハルトだ。
完全に決まると思っていた一撃が炸裂する刹那の瞬間に、ジャンク・ウォリアーに割り込まれ、放とうとしていた一撃は直前で勢いを失ったのだ。
「邪魔立て……と言うのは無粋ですね?チーム戦にて指揮官を護るは定石ですから。
其れを踏まえるとレーシャさんの判断もまた見事と言う他ないのですが……私の前に現れたと言う事は、一槍お願いしても宜しいのですね?」
『ふあぁ!』(コクリ)
とは言え、アインハルトはすぐさま思考を切り替え、目の前のジャンク・ウォリアーを倒す事に集中する事にしたようだ。
ジャンク・ウォリアー自身も、自分と全力で戦ってくれる相手に不満はないようだ。
「覇!!!」
『ダァァァァァァ!!』
次の瞬間、アインハルトの拳とジャンク・ウォリアーのナックルがかち合い、凄まじい衝撃波が湧きおこる!
アインハルトにダメージはないが、この攻撃が如何に凄まじいモノだったかと言う事は消し飛んだバリアジャケットの右袖が物語っている。
激しい戦いであるのは間違いないだろう。
「行くよバルディッシュ!」
『Sonic form.』
エリオと戦っていたフェイトはソニックに換装し、圧倒的なスピードでエリオを圧倒しようとするが、エリオもまたフェイトに決定打を撃たせていない。
良くも悪くも、フェイトの教育を受けていたエリオにとって、如何に速くなろうともフェイトの動きを捕らえられない道理は全く無いのである。
それどころか……
「此処だ!!!」
――ズバッァアァァァァァ!!
「!?」
フェイト:LP2500→1200
ストラーダを使った一閃で、ソニックのフェイトに大ダメージを与えて見せたのだ。
だがマダマダ終わりには遠い。
各所で見る者を唸らせる様なバトルが展開され、ともすれば格闘ファンには堪らない戦いが展開されていると言えるだろう。
ヴィヴィオとアインハルトは、互いの相手であるモンスターを撃破し、其処から再び相対して手加減不要の打ち合いを繰り広げている。
レーシャはツヴァイに対してアドバンテージを得ていたが、ツヴァイもまた見事なカウンターを行い、着実にレーシャのライフを削っているらしい。
ノーヴェとスバルの姉妹対決は言うに及ばず、どちらも退けないが故のガチで打ち合う泥仕合の様相を呈していた。
尤も、スバルもノーヴェも笑みを浮かべていたと言うのだから心配は無用だが。
詰まるところ、全ての戦いが拮抗して決定打が与えられない状況に陥ったのだ。
このままでは拉致が明かない――そう思った瞬間に動いたのは、今度はティアナだった。
「此処が決め時!一気にブチかますわ!!」
なのはがデカい一撃を撃てない今こそが好機と見たのか、ティアナは必殺の一撃を放つべく、集束を開始する。
この一撃が決まれば、赤組の勝利は略確定と見て良いだろう。
だがしかし、物事は得てして己の思惑通りに進む事が無いのが世の常だ。
「その一撃は迎え撃つ!!」
危険極まりない集束砲の気配を感じ取ったアインスが、なのはの前に現れたのだ。
此れにはなのはも驚くが、逆に最強クラスのアインスが来てくれたのは有り難かっただろう。
だがそうなると、アインスと戦っていた稼津斗はどうなったのかと言う疑問が生まれるが……
「ちぃぃぃぃ……コイツ等を相手にするのは流石に楽じゃないな!」
『グゴォォォォォォォォォォ!!』
超銀河眼の光子竜:ATK4500
『グガァァァァァァァァァ!!』
ギャラクシーアイズ FA・フォトンドラゴン:ATK4000
『ショアァァァァァァァァッァア!!』
銀河眼の閃光龍:ATK3000
確りバッチリ、レーシャが呼び出した銀河眼3体を相手に苦労しているようだった。
となれば、アインスの集束砲のチャージを邪魔する物は何もない。
「咎人達に滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ!」
「此れが今の私に出来る最高の一撃!!」
同時にティアナもまた集束を完了する。
「貫け閃光!!」
「撃ち抜いてみせる!!」
『Starlight Breaker.』
「「スターライトォォ……ブレイカァァー!」」
そして放たれた一撃必殺の最強奥義たるスターライトブレイカー!
闇色と橙色の集束砲撃は手加減なしにかち合い、互いに相手を押し切らんとして、ぶつかった地点で激しい火花放電を起こしている。
其れだけでも、どれほどに凄まじいエネルギーがぶつかり合っているのか分かるだろう。
だが、得てして強大なエネルギーのぶつかり合いは長時間続かないモノと相場が決まっている。
地力だけならばアインスの方が上だが、集束の技術に関してはティアナの方が上であるが故に、集束砲の破壊力は略互角!!
「闇に……沈めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「撃ち抜けぇぇぇぇぇぇぇえっぇぇぇぇ!!!」
双方の裂帛に気合が篭った咆哮に呼応するが如く、闇色の集束砲と橙色の集束砲は、共に臨界点を突破して大爆発を巻き起こす!!
其れこそ、バトルフィールド全てを包み込まんばかりの大爆発だ。
少なくとも、この模擬戦に参加して居る面子も流石にこの大爆発の余波を受けて無傷とは行かないだろう。
バトルフィールドには、大爆発によって凄まじい粉塵が巻き上げられ、事の詳細を覗うのは難しい状態になって居る。
何がどうなったかは粉塵が晴れるまでは分からないが、モニターで観戦してたメガーヌだけは、今の一撃で双方全滅だけはないと思っていた。
――今の一撃は見事ね。
だけど、今の一撃だけは決まらない――まだライフを残している、次代を担う者は残されているのだから……
一人思考を終えたメガーヌは、再びモニターを見やるが別分変わった所はない。
だが、この晴れぬ粉塵の中で、闘気が消えていない者が、この時点で実に6名も存在していた事は誰も気が付かなかっただろう。
そして粉塵が晴れた瞬間、この6人のバトルが再び始まるとは誰も思っていなかった――
To Be Continued… 
*登場カード補足
|